JPS6331009B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

粘性流体利用の感温制御式駆動装置は自動車の
エンジン冷却フアンの駆動に使用される。これら
駆動装置は、フアンが比較的低い角速度で回転し
て非係合状態になつている場合と、比較的高い角
速度で回転して係合状態となつている場合とがあ
る。燃料の節約と消音のためには、できるだけ角
速度を低く押えて非係合状態としておくのがのぞ
ましい。感温制御式駆動装置を運転状態にないま
まにしばらく放置すると、駆動装置内の粘性流体
が貯蔵室と作動室に入る。車両エンジンの始動の
際、通常ラジエータの水は比較的冷たく、従つて
フアンを作動する必要がない。従つてフアンの角
速度を小さくしてフアンの騒音を小さくするため
には、流体を作動室から貯蔵室へできるだけ速か
にくみ出すのがのぞましい。駆動装置の作動間
は、エンジンの角速度に対して比較的高い角速度
でフアンを作動して最大限の冷却効果をあげるの
がのぞましい。駆動装置のポンプ要素が高能率過
ぎると、作動室内の流体の大半は、エンジンの角
速度が比較的高い中に、貯蔵室にくみ出されるこ
とになる。この結果、所謂高速くみ出し現象が起
り、フアン速度低下の原因となる。 この発明の主たる目的は、非係合の際角速度が
比較的低く、係合の際比較的角速度が高いが高速
くみ出しを惹起せず、又くみ出し時間の短い感温
制御式粘性流体駆動装置を提供するにある。 この発明の別な目的は、標準的な粘性流体駆動
装置に広く使用される部材と組立技術とを用い
て、上記駆動装置を提供するにある。 クラツチ部材の外周面とハウジング部材の内周
面との間に比較的大きな空間を持ち、かつ弁プレ
ートに固着された半径方向に延びる部分と、両部
材の周面間の空間の一部を横切る軸方向に延びる
部分とを具備するほぼＬ字形のポンプ要素を作動
室内に配置することから成る感温制御式粘性流体
駆動装置の提供により、上記の目的は達成され
た。 第１図に示す感温制御式粘性流体フアン駆動装
置１０は、フランジ１４によつて（図示しない）
車両のエンジンに固着される入力軸１２を具備し
ている。クラツチ部材１６は軸１２の一方端に固
着され、かつ軸受２０によつてハウジング部材１
８を回転可能に支承している。作動室２２はキヤ
ステング２４と、弁プレート２６と、クラツチ部
材１６とで形成されている。貯蔵室２８は室２２
に近接して設けられ、かつカバープレート３０と
弁プレート２６とで形成されている。カバープレ
ート３０と弁プレート２６とはキヤステイングに
固着されている。 軸３８を介して弁アーム３６に連結されたバイ
メタルコイル３４を設けて、弁プレート２６の入
口孔４０を開閉するようになつている。入口孔４
０は、貯蔵室２８と作動室２２とを流体連通させ
る。コイル３４はハウジング部材１８の外部の大
気温度の変動に感応して弁アーム３６を移動す
る。 粘性シリコン流体（第１図には図示されないが
第５図に示してある）を貯蔵室２８に入れ、孔４
０を経て作動室２２へ流入させて、駆動クラツチ
部材１６から被駆動ハウジング部材１８へのエネ
ルギ伝導に影響をおよぼすようにしてある。運転
に際して、フアン（図示されない）をねじ孔４２
にボルト締めして、キヤステング２４に固着す
る。 クラツチ部材１６は、軸方向に隔てられたほぼ
半径方向に延びる１対の環状側面４４，４６を具
備している。キヤステング２４は、側面４６から
隔てられたほぼ半径方向に延びる環状側面５０を
もつ側部４８を含んでいる。側面４６，５０は、
複数の環状組合せランド及び溝を含んでいる。ク
ラツチ部材１６は、キヤステン２４の軸方向に延
びる環状内周面５４から半径方向に隔てられた軸
方向に延びる環状外周面５２をさらに具えてい
る。反対向きの半径方向に延びる１対のＵ字溝５
６は、クラツチ部材１６の側面４６に形成された
ランド及び溝を貫通して設けられている。各溝５
６は、側面４６から側面４４へとクラツチ部材１
６の外側を軸方向に延びるＵ字みぞ穴５８に連つ
ている。複数の円周方向に隔置された孔６０，６
２は、半径方向においてクラツチ部材１６のラン
ド及び溝と軸１２の回転軸線との間に配置されて
いる。 上記したものは、米国で生産された自動車に使
用の目的で広く販売されている粘性流体フアン駆
動装置の公知の特色のいくつかである。上記装置
の作動については、米国特許第3005473号と第
4132299号により詳細に述べられている。理解し
易いように、第１図には粘性流体を抜いてあり、
第５図にはわずかに違つた横断面位置での第１図
の一部を示し、又係合状態で回転中の駆動装置１
０内の粘性流体を示してある。明細書と図面を通
じて、類似又は同一の部分には同一の符号を使用
している。 この実施態様では、周面５２，５４間の半径方
向空間が比較的大きくされている。例えば、クラ
ツチ部材１６の外径がほぼ11.2cm（4.4吋）の場
合、周面間の半径方向間隔はほぼ0.25cm（0.1吋）
となる。標準的装置より周面５２，５４間の半径
方向寸法を大きくすることは、装置１０の非係合
時角速度の低下に資するものである。 第２，３，４図に示すポンプ要素の理解のた
め、粘性流体フアン駆動装置１０用の標準ポンプ
要素について先ず述べることにする。第１０，１
１図に示すように、標準ポンプ要素は、弁プレー
ト２６に熔接され、かつわん曲上部表面６６と下
部表面６８とにより形成される半径方向に延びる
ものである。ポンプ要素のＵ字形凹部７０は、弁
プレート２６の出口孔７２（第５図）と境を接し
ていて、凹部７０の後縁を形成する３側面は出口
７２の後縁と整合している。ポンプ要素はクラツ
チ部材１６の環状ポンプ表面７４と共働する。作
動中第１，５図に示すように、クラツチ部材とハ
ウジング部材は、その頭部を観者に向けて移動し
ながら回転し、しかもクラツチ部材がハウジング
部材より早い速度で回転する。流体は出口孔７２
の前縁７２ｂを過ぎて凹部７０の後部に向けて導
かれ、弁プレート２６の出口孔７２に流入する。
第１，２，３，４，５図の実施例において、出願
人はハウジング部材１８の側面８０，８２間にお
いて周面５２，５４間の半径方向空間に軸方向に
延びる部分７６を追加した。ポンプ要素６４の表
面８４，８６，８８は、わん曲して、表面８４，
８６を環状周面５４，５２に事実上順応させてい
る。ポンプ要素６４の一側表面９０は、他側表面
９２を環状ポンプ表面７４から軸方向に隔てるよ
うに、弁プレート２６に溶着されている。ポンプ
要素６４はプレス加工により形成される。 軸方向に延びる部分７６の巾Ｄを減少するとく
み出し時間が増大する。ハウジング部材１８の側
面８０，８２間の距離は約0.76cm（0.3吋）、クラ
ツチ部材１６の外径は、約11.2cm（4.4吋）、周面
５２，５４間の半径方向間隙は、約0.25cm（0.1
吋）、表面７４，９２間の軸方向距離は、約0.5cm
（0.2吋）、半径方向に延びる部分７８の高さＨは、
約0.76cm（0.3吋）でポンプ要素の半径方向に延
びる部分の厚さｔは、約0.127cm（0.05吋）の条
件下の試験で、ポンプ要素の軸方向に延びる部分
７６の形状と巾を変えることによつて下記の結果
が得られた。

【表】 各試験において、粘性流体の粘度と量を、駆動
装置の其地の寸法に合せて一定に保持した。ポン
プ要素の後縁９４から軸方向に延びる部分７６の
前縁９６に至る距離Ｌを表に示すようにし、又図
面に示す形状にし、後縁９４から半径方向に延び
る部分７８の前縁９６ａにかけての長さをほぼ一
定の1.27cm（0.5吋）に保持した。図示したよう
に、前縁９６ａは、第２，６，８，１０図におい
て、凹部７０を形成する。 第２乃至４図は、試験３、４のポンプ要素を示
す。第６，７図は、試験２のポンプ要素を示す。
第８，９図は、試験５のポンプ要素を示す。第１
０，１１図は、試験１のポンプ要素を示す。 軸方向に延びる部分７６の長さは、好ましい結
果を得るためには、後縁９４から前縁９６ａにか
けて測つた半径方向に延びる部分の長さの少くと
も20％を占めるべきものとされている。長さを半
径方向に延びる部分の長さの20％以下に減ずる
と、改良も限界に達するようである。軸方向に延
びる部分７６の前縁９６は、凹部７０の後縁と並
べるかその前方に位置づけるのがのぞましい。試
験されてはいないが、ポンプ要素６４は第２図に
示すような凹部７０を具備しない構成でものぞま
しい結果を達するものとされていることも銘記す
べきである。第２ａ図のポンプ要素の場合には、
半径方向に延びる部分７８の前縁９６ａは、出口
孔７２の後縁７２ａと一直線を成して整合されて
いる。軸方向に延びる部分７６の巾Ｄは、のぞま
しい結果を得るためには、側面８０，８２間の軸
方向距離の少くとも50％にすべきものとされてい
る。巾Ｄが50％以下でも、非係合時速度を減ずる
ための軸方向に延びる部分を具備しないポンプ要
素に比してある程度の改良を示すであろうが、く
み出し時間の事実上の減少は見られない。 ポンプ要素の軸方向に延びる部分を、クラツチ
部材とハウジング部材の周面との間、及びクラツ
チ部材とハウジング部材の側面との間において、
それらからできるだけ隔てられるように半径方向
と軸方向とに延ばすのがのぞましい。 ポンプ要素はハウジングに固着され、かつクラ
ツチ部材とハウジング部材は相互に回転するの
で、ポンプ要素がクラツチ部材と摩擦しないよう
にするためには、許容できる製作公差内の適当な
すきまを与える必要がある。 必要があれば、軸方向と半径方向とに延びる部
分を別々にし、又それぞれをキヤステング２４と
弁プレート２６とに固着することもできる。その
ような構造の場合には、前記２つの部分は、流体
と衝突してそれを孔７２へ導くように周囲を整合
されている。さらに、究極の効果を挙げるために
は、出口孔７２の後縁７２ａを半径方向に延びる
部分７８の前縁９６ａ近くに位置づけるのがのぞ
ましい。 このポンプ要素の利用により、フアン駆動装置
により軽量のフアンを使用し、しかも非係合速度
を増さないようにすることができることは立証済
である。これは、ポンプ要素のより効率の優れた
ポンプ作用によるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例の部分断面側面図、
第２図は同上におけるポンプ要素の取付状態を示
す拡大側面図、第２ａ図はポンプ要素の他の実施
態様の第２図と類似の側面図、第３図は第２図又
は第２ａ図のものの側面図、第４図は第２図又は
第２ａ図のものの平面図、第５図は第１図のもの
の別な断面線に関する一部拡大図、第６図と第７
図はポンプ要素のさらに他の実施態様の第２図と
第４図に類似の図面、第８図と第９図はポンプ要
素のさらに他の実施態様の第２図と第４図に類似
した図面、第１０図と第１１図は従来のポンプ要
素の第２図と第４図に類似した図面である。 １０……駆動装置、１２……入力軸、１６……
クラツチ部材、１８……ハウジング部材、２２…
…作動室、２６……弁プレート、２８……貯蔵
室、３０……カバープレート、３４……コイル、
３６……弁アーム、３８……軸、４０……入口
孔、４４，４６……クラツチ部材の側面、５２…
…外周面、５４……内周面、６０，６２……孔、
６４……ポンプ要素、７０……凹部、７２……出
口孔、７２ａ……出口孔の後縁、７２ｂ……出口
孔の前縁、７４……ポンプ表面、７６……軸方向
に延びる部分、７８……半径方向に延びる部分、
８０，８２……ハウジング部材の側面、８４，８
６，８８，９０……ポンプ要素の表面、９２……
表面、９６……軸方向に延びる部分７６の前縁、
９６ａ……半径方向に延びる部分７８の前縁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ほぼ軸方向に延びる内周面５４と、それと共
   に作動室２２を形成する軸方向に離隔したほぼ半
   径方向に延びる１対の側面８０，８２とをもつハ
   ウジング部材１８と、作動室２２の近くにハウジ
   ング部材３０，８２によつて形成された貯蔵室２
   ８と、作動室２２内に位置し、かつハウジング部
   材１８の半径方向に延びる側面８０，８２から離
   隔した１対のほぼ半径方向に延びる側面４４，４
   ６と、ハウジング部材１８の内周面５４から離隔
   したほぼ軸方向に延びる外周面５２とをもつクラ
   ツチ部材１６と、作動室２２と貯蔵室２８内の粘
   性流体と、両部材１６，１８のうちの一方の部材
   に固着され、かつ他方の部材を回転可能に支承す
   る入力軸１２と、流体を作動室２２から貯蔵室２
   ８へ連通するハウジング部材の側面８２に設けら
   れた出口孔７２と、流体を貯蔵室２８から作動室
   ２２へと連通するハウジング部材の側面８２に設
   けられた入口孔４０と、入口孔４０を通つて流体
   を貯蔵室２８から作動室２２に連通させるための
   感応弁部材３２とを有する粘性流体駆動装置にお
   いて、ハウジング部材は、ポンプ要素６４を具
   え、このポンプ要素６４は出口孔７２に隣接して
   半径方向に延びていて、クラツチ部材１６の側面
   ４４の一部内に向つて軸方向に突出するととも
   に、出口孔７２の後縁と整合する前縁９６ａをも
   つ半径方向に延びる部分７８と、この半径方向に
   延びる部分７８の外周から軸方向に延びる部分７
   ６とからなり、この軸方向に延びる部分７６がハ
   ウジング部材１８の内周面５４とクラツチ部材１
   ６の外周面５２、及びハウジング部材１８の両側
   面８０，８２間に形成される空間内において、内
   外周面５４，５２との間に間隙を形成して配置さ
   れており、この軸方向に延びる部分７６は内外周
   面５４，５２間を流れる流体と衝突して、その流
   体は両部材１６，２６の側面４４，８２に沿つて
   半径方向内方に導かれ、ポンプ要素６４の半径方
   向に延びる部分７８の前縁と接触して出口孔７２
   へ流入するようになつていることを特徴とする粘
   性流体駆動装置。 ２ 半径方向に延びる部分７８と、軸方向に延び
   る部分７６とが固着されている特許請求の範囲第
   １項記載の粘性流体駆動装置。 ３ 半径方向に延びる部分７８の前縁に、その三
   方の側面がハウジング部材の出口孔７２の一部と
   一致し、残つた他側で開放された凹部が形成さ
   れ、流体はこの凹部によつて、出口孔７２へ導か
   れるようになつている特許請求の範囲第１項記載
   の粘性流体駆動装置。 ４ 軸方向に延びる部分７６の前縁９６が、半径
   方向に延びる部分７８の前縁９６ａの後方で、出
   口孔７２の後縁７２ａの前方に位置している特許
   請求の範囲第３項記載の粘性流体駆動装置。 ５ 軸方向に延びる部分７６が、ハウジング部材
   １８の両側面間に８０，８２において延びている
   特許請求の範囲第１〜３項のいずれかに記載の粘
   性流体駆動装置。 ６ 軸方向に延びる部分７６が、ハウジング部材
   １８の両側面８０，８２間の距離の少くとも1/2
   延びている特許請求の範囲第１〜３項のいずれか
   に記載の粘性流体駆動装置。 ７ 軸方向に延びる部分７６の最小長さが、半径
   方向に延びる部分７８の最大長さより20％大きく
   なつている特許請求の範囲第６項記載の粘性流体
   駆動装置。 ８ 軸方向に延びる部分７６の前縁９６と、半径
   方向に延びる部分７８の前縁９６ａとがほぼ相互
   に並んで位置している特許請求の範囲第６項記載
   の粘性流体駆動装置。 ９ 軸方向に延びる部分７６の前縁９６が、入力
   軸１２の回転軸線と交叉している特許請求の範囲
   第６項記載の粘性流体駆動装置。