JPS6330812Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、回転時の異音やがたつきの防止を考
慮したヒンジピン装置の改良に関する。

例えば、自動車におけるヒンジピン装置として
は、第１図に示すドアチエツカにおいて、車体１
のブラケツト２にヒンジピン３でチエツカプレー
ト４を枢着するものが採用されており、該チエツ
カプレート４は、ドア５に取付けた保持装置６で
保持して、ドア５の開放角度に節度を与えるもの
である。

ところで、ドアチエツカにおける従来のヒンジ
ピン３は、第２図ａに示す如く、軸３ａの小径段
部３ｂに複数の弾性変形可能な抜止片７ａ，…を
有する筒状クリツプ７を嵌着して、該抜止片７
ａ，…によりヒンジピン３の抜け止めを行なつて
いるが、ヒンジピン３の軸部３ａとブラケツト２
やチエツカプレート４のピン孔２ａ，４ａとの間
にチエツカプレート回転用の嵌合隙間ｇを必要と
することから、ドア５の開閉時に異音が発生した
りがたつきが生じたりする不具合があつた。

このような異音やがたつきを防止するために、
実開昭53−81776号（考案の名称「枢軸ピン」）で
は、第２図ｂに示す如く、ヒンジピン３の外周面
に、ナイロン等の耐摩耗性に富む軟質合成樹脂の
被膜８を一体的に形成し、この被膜８によりヒン
ジピン３がブラケツト２とチエツカプレート４の
ピン孔２ａ，４ａに圧入嵌合により固定される構
造が提案されているが、ヒンジピン３に被膜処理
を必要とするのでコスト高になる欠点があつた。

本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされた
もので、基本的には筒状クリツプの弾性変形可能
な抜止片を利用して、該抜止片にピン孔内に弾接
挿入される延長部を設けて、該延長部により異音
やがたつきを防止するように工夫したものであ
る。

以下、本考案の実施例を添付図面について詳細
に説明する。

第３図及び第４図ａ，ｂに示すように、車体１
１のブラケツト１２，１２とチエツカプレート１
４，１４とにそれぞれ設けたピン孔１２ａ，１４
ａに挿入されるヒンジピン１３は、従来と同様
に、大径頭部１３ｃと、ピン孔１２ａ，１４ａに
嵌合する軸部１３ａと、小径段部１３ｂと、コー
ン状差込み部１３ｄとで構成される一方、上記軸
部１３ａには、小径段部１３ｂの外周面とほぼ同
一面で、大径段部１３ｃの近傍まで偏平に削除し
た平坦面１３ｅを形成する。

一方、筒状クリツプ１７は、従来と同様、ヒン
ジピン１３の小径段部１３ｂに半径方向から嵌着
可能な切込み１７ｆ付の筒部１７ｂと、該筒部１
７ｂの外周囲の一部を外径方向に切起こして形成
した複数の抜止片１７ａ，…とで構成される一
方、抜止片１７ａの１つには上記ヒンジピン１３
の軸部１３ｂの平坦部１３ｅに沿つて伸長し、ピ
ン孔１２ａ，１４ａに挿入される延長部１７ｃを
形成する。

該延長部１７ｃは、ブラケツト１２とチエツカ
プレート１４のピン孔１２ａ，１４ａの全域にわ
たつて挿入される長さを有し、一部域に挿入され
る短い長さに設定した場合と比べて、後述するが
たつきを全域にわたつて抑制できる点で安定度が
高くなる。

また、延長部１７ｃを波板状に形成すると、延
長部１７ｃの弾性力がブラケツト１２とチエツカ
プレート１４のピン孔１２ａ，１４ａに同時に作
用するので、よりがたつきの抑制安定度が高くな
る。

従つて、上記のようにヒンジピン１３と筒状ク
リツプ１７を構成すれば、従来と同様、ヒンジピ
ン１３の小径段部１３ｂに筒状クリツプ１７の筒
部１７ｂを嵌着して予じめ組付け、延長部１７ｃ
を平坦部１３ｅに臨ませておく。

ついで、ブラケツト１２とチエツカプレート１
４のピン孔１２ａ，１４ａにヒンジピン１３を差
込み部１３ｄから差込んでゆくと、抜止片１７ａ
が弾性力で下側のブラケツト１２のピン孔１２ａ
の周縁部に係合して抜け止めされる。

このとき、延長部１７ｃは弾性力でピン孔１２
ａ，１４ａに当接すると共に、その反力で軸部１
３ｂをピン孔１２ａ，１４ａの反対方向に押し付
けるので、軸部１３ｂとピン孔１２ａ，１４ａの
嵌合隙間が実質的にゼロとなり、ドアの開閉時に
異音が発生したりがたつきが生じたりすることが
なくなるのである。

上記実施例は、自動車のドアチエツカに適応し
たものであるが、ドアヒンジ等、ヒンジピンを必
要とする他の箇所、並びに他の分野の装置等にも
適応できることは言うまでもない。

以上の説明からも明らかなように、本考案は、
ヒンジピンに嵌着される筒状クリツプの抜止片の
少なくとも１つに、固定部材と可動部材のピン孔
内に弾接挿入される延長部を設けたものであか
ら、延長部は弾性力でピン孔に当接すると共に、
その反力で軸部をピン孔の反対方向に押し付ける
ので、ヒンジピンの軸部とピン孔の嵌合隙間を実
質的にゼロとすることができ、嵌合隙間に起因す
る回転時の異音やがたつきが防止できるようにな
る。

また、基本的には抜止片に延長部を設けるだけ
でよいから構造はきわめて簡単で製造コストも安
価である。

【図面の簡単な説明】

第１図はドアチエツカの平面図、第２図ａ及び
第２図ｂは従来のヒンジピンと筒状クリツプを示
す断面図、第３図は本考案に係るヒンジピンと筒
状クリツプを示す断面図、第４図ａはヒンジピン
の斜視図、第４図ｂは筒状クリツプの斜視図であ
る。 １１……車体、１２……ブラケツト、１２ａ…
…ピン孔、１３……ヒンジピン、１３ａ……軸
部、１３ｂ……小径段部、１３ｃ……大径頭部、
１３ｄ……差込み部、１３ｅ……平坦面、１４…
…チエツカプレート、１４ａ……ピン孔、１７…
…筒状クリツプ、１７ａ……抜止片、１７ｂ……
筒部、１７ｃ……延長部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 固定部材と可動部材とにそれぞれ設けられた
   ピン孔に挿通され、両部材を回転自在に連結す
   るヒンジピンと、該ヒンジピンに嵌着され、上
   記両部材のいずれか一方のピン孔周縁部に係合
   する複数の弾性変形可能な抜止片を有する筒状
   クリツプとから成り、該クリツプの少なくとも
   １つの抜止片には、上記ピン孔内に弾接挿入さ
   れる延長部が設けられていることを特徴とする
   ヒンジピン装置。 (2) 上記抜止片の延長部は、上記両部材のピン孔
   全域にわたつて挿入される長さを有することを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項記載
   のヒンジピン装置。 (3) 上記抜止片の延長部は、波板状に形成されて
   いることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第(1)項または第(2)項のいずれかに記載のヒンジ
   ピン装置。