JPS6330260B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、用紙、織物、フイルム等のシート状
或は帯状の薄物を搬送し又は案内するローラに係
り、特にこれら薄物の搬送又は案内時にしわの発
生を防止することができる搬送案内ローラに関す
る。

〔従来技術〕

シート状或は帯状の薄物についてはこれを搬送
する際にしわが発生することがあり、このしわの
ためその後の処理工程或は加工工程において支障
を来すことがあつた。

例えば、複写機においてコピー用紙を搬送する
際に、その表面に紙しわ等が発生すると、その後
例えば転写時においてトナーがコピー用紙にうま
く転移されないことがあり、このため転写不良等
をおこし問題となつていた。

また、転写型の感熱記録装置においてインク・
ドナー・フイルムを搬送する際に、このインク・
ドナー・フイルムにシワが発生すると、サーマル
ヘツドによりインク・ドナー・フイルムを介して
記録紙上に画像の記録を行なうとき、インク・ド
ナー・フイルムのシワの部分は、フイルムが重な
つているためサーマルヘツドの熱がインク・ドナ
ー・フイルムに十分伝わり難く、記録画像に欠け
やかすれ等が生じて鮮明な記録を行なうことがで
きないという問題点があつた。

そこで、薄物を搬送する際にしわの発生を防止
して上記の問題を解決するものとして、既に次に
示すようなものが提案されている。

(イ) 肉厚の薄にテーパ付のローラを用いて紙を搬
送し、ローラのテーパによつて紙面に幅方向の
引張力を作用させ、シワの発生を防止するよう
にしたもの（実開昭49−141132号）。

(ロ) 送りローラの少なくとも両端部をラツパ状に
拡げ、前記送りローラと紙葉類の圧着時に前記
両端部が外方に屈曲することにより紙葉類の左
右端に同じ大きさの外方向偏倚力を与えながら
紙葉類を搬送するようにしたもの（実公昭56−
27161号）。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、このような従来技術の場合には、次の
ような問題点を有している。

すなわち、(イ)の場合には、肉厚の薄いローラ自
体をすべてテーパ状に形成したものであるため、
ローラを長期間使用していると、ローラに塑性変
形が生じ易く、ローラに塑性変形が生じると紙に
所定の張力を作用させることができなくなるとと
もに、紙を搬送する力も弱くなり、搬送が確実に
行えないばかりか、かえつてしわを発生させてし
まうという問題点がある。

(ロ)の場合には、搬送物と略等しい幅のローラを
用いているため、ローラ自体の塑性変形は上記(イ)
のものに比べて生じ難いが、ローラの両端部のラ
ツパ状の部分によつて薄物に張力を与えると同時
に、このラツパ状の部分によつて薄物の搬送をも
行なつているため、両端部が塑性変形した場合に
は、薄物に張力を加えるのは勿論のこと、薄物の
搬送を確実に行なえなくなり、かえつてしわを発
生させてしまうという問題点がある。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を
解決するためになされたもので、その目的とする
ところは、シート状あるいは帯状の薄物を搬送し
又は案内する際に、しわの発生を防止できるのは
勿論のこと、長期間使用した場合でもしわの発生
を確実に防止することができ、万一ローラに塑性
変形が生じた場合でも薄物の搬送を確実に行なう
ことができる搬送案内ローラを提供することにあ
る。

すなわち、シート状或は帯状の薄物を搬送し又
は案内する搬送案内ローラにおいて、上記ローラ
に、弾力性を有し、且つ外側に向けてテーパ状に
拡開した中空の可変部と、この可変部の小径側に
連続した中実円柱状の搬送部とを設けるように構
成されている。

〔作 用〕

この考案においては、薄物にテンシヨンを付与
する可変部と、薄物を搬送する搬送部とを別個に
備えており、可変部は薄物にテンシヨンのみを付
与するため、長期間の使用においても塑性変形し
難い。また、薄物の搬送は中実円柱状の搬送部が
行なうため、たとえ可変部が塑性変形した場合で
も、常に薄物の搬送を確実に行なうことができ
る。

〔実施例〕

以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発
明を説明する。

第１図ａ及びｂは、本発明の一実施例に係る搬
送案内ローラが適用された薄物搬送用の搬送装置
であり、この搬送装置は、上下一対の回転可能な
シヤフト１と、このシヤフト１の左右両端側に軸
装され、上下一対をなして圧接回転可能な搬送案
内ローラ２とから構成されている。

上記搬送装置に用いられている本発明の搬送案
内ローラ２は、第２図に示すように、シヤフト
（図示略）に固定された中実円筒状の搬送部３と、
この搬送部３の一端側に弾力性を有し、且つ、外
側に向けてテーパ状に拡開された可変部４とから
構成されている。そして、上記可変部４は、中空
で薄肉状に形成され自在に弾性変形できるように
なつている。また、搬送部３及び可変部４の外周
面は、搬送される薄物５との間で所定の摩擦力が
発揮できるように形成されている。

従つて、上記実施例の搬送装置を始動させる
と、シヤフト１が回転し、これに固定され上下一
対をなして圧接する搬送案内ローラ２も回転を始
める。そして、この搬送案内ローラ２に向つてシ
ート状或は帯状をなす薄物５を送り込むと、この
搬送案内ローラ２が上記薄物５を左右両端側付近
において噛み込んだ後、ローラ２は、その搬送部
３によつて薄物５に搬送力を与え、薄物５を所定
方向へ搬送させていく。その際、上記可変部４は
薄物５との接触部４ａにおいて互いに上下一対を
なして圧接しているため、これら接触部４ａは弾
性変形をおこし、第３図に示すように長さｄだけ
変位する。このときまた、可変部４の接触部４ａ
には、外側へ向う引張力ｆが発生し、これによつ
て可変部４と接触する薄物５にはその幅方向外側
に向うテンシヨンが付与される。このため、上記
薄物５は、その上下両面に亘り、中央部から可変
部４との接触領域５ａである両端側に向けて引張
られながら搬送されていくため、搬送時にしわ等
の発生が防止されていると共に、この搬送装置に
より既に形成されていたしわが伸ばされる。

尚、本発明が適用された搬送案内ローラを取付
けた搬送装置としては、上記以外にも例えば第４
図の如く、上下一対に設けたシヤフト７の一端側
に上記搬送案内ローラ２を取付けると共に、他端
側には上記搬送案内ローラ２の搬送部３と同径を
なす円柱状の回転ロール８を取付けて構成するこ
とも可能であり、この場合搬送される薄物５は、
ローラ２の搬送部３及び上記回転ロール８によつ
て支持されながら搬送案内ローラ２方向にテンシ
ヨンが付与されるが、同様の効果が得られる。

また、本発明が適用された搬送案内ローラは、
上記のような搬送装置以外の、例えば第５図のよ
うな案内装置にも取付けることができる。即ち、
これは、各所定位置に夫々一本ずつ設けられたシ
ヤフト９に上記搬送案内ローラ２を取付ける構成
となつており、この搬送案内ローラ２に帯状の薄
物１０を圧接させて案内する際に、この薄物１０
の長手方向に予めテンシヨンを付与させておくこ
とによつて上記薄物１０の幅方向にもテンシヨン
が付与され同様の効果が得られる。

尚、本発明の一実施例に係る上記搬送案内ロー
ラ２は、径方向に比して回転軸方向の長さが比較
的短く、固定部３の左右何れか一端側に可変部４
を形成したものであるが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、例えば第６図に示すように、
シヤフト１１方向の長さを薄物の幅と略同程度の
長く形成すると共に、その中央部１２側は小径と
して、かつ、その両端側のうち少なくとも一端側
に可変部４を形成するようにしても勿論可能であ
る。

〔発明の効果〕

以上述べてきたように、本発明の搬送案内ロー
ラは、単純な構成のものであり、これを例えば搬
送装置や案内装置に取付けることにより、低コス
トでしわの防止や矯正を行うことができる。ま
た、可変部が搬送部と別個に設けられているの
で、薄物の搬送は、主に搬送部に行なうことがで
き、可変部は薄物に張力を付与するのみでよいた
め、可変部が塑性変形し難く、長期間の使用に耐
えることができる。また、万一可変部が塑性変形
した場合でも、搬送部によつて常に搬送力を得る
ことができるので、薄物の搬送を常に確実に行な
うことができ、可変部が塑性変形した場合でも搬
送力が変化しないので薄物にしわが発生するのを
防止することができる。さらに、可変部は中空に
形成されているので、これを中実に形成した場合
に比べて薄物に与えるテンシヨンを小さな値とす
ることができる。特に、インク・ドナー・フイル
ムのように非常に薄いフイルムを搬送する場合に
は、可変部が中実の形成されていると作用するテ
ンシヨンが過大となりやすく、フイルムが破れる
虞れがあるが、可変部を中空にして変形しやすく
することにより、フイルム等に過大なテンシヨン
が作用するのを防止して、薄物が破損するのを防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ及びｂは、本発明の一実施例に係る搬
送案内ローラが適用された搬送装置の説明図及び
平面図、第２図は本発明の一実施例に係る搬送案
内ローラの断面図、第３図は第１図ａの部分拡大
図、第４図は本発明の一実施例に係る搬送案内ロ
ーラが適用された搬送装置の変形例、第５図は本
発明の一実施例に係る搬送案内ローラが適用され
た案内装置の斜視図、第６図は本発明に係る搬送
案内ローラの変形例である。 符号説明、１，７，９，１１……シヤフト、２
……搬送案内ローラ、４……可変部、５，１０…
…薄物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シート状或は帯状の薄物を搬送し又は案内す
   る搬送案内ローラにおいて、上記ローラに、弾力
   性を有し、且つ外側に向けてテーパ状に拡開した
   中空の可変部と、この可変部の小径側に連続した
   中実円柱状の搬送部とを設けたことを特徴とする
   搬送案内ローラ。