JPS6327052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 考案の技術分野 この考案は、ガソリンエンジン等の機関の排気
音を減衰させる消音器の改良に関する。

(ロ) 技術の背景 従来、機関の排気音を減衰させる消音器として
は、第１図に示すように円筒状又は楕円筒状の匣
体１の両端開口を端板２，３により密閉し、この
匣体１内の中間部に孔明きパツフルプレート４を
設けて拡張室５，６を形成するとともに、匣体１
の軸線上に端板２，３及びバツフルプレート４を
貫通する孔明きパイプ７を配設した構造のもの、
又は第２図に示すように端板２，３により両端開
口を閉塞した匣体１内を孔明きバツフルプレート
８とパイプ状のポート９を取り付けたバツフルプ
レート１０により３室に区画して室１１，１２を
拡張室とし、室１３を共鳴室とするとともに、端
板２から拡張室１２に達するインレツトパイプ１
４と、拡張室１１から端板３に達するアウトレツ
トパイプ１５を匣体１内に配設した方式のもの、
あるいは第３図に示すように両端開口を端板２，
３で閉塞した匣体１内に端板２，３を貫通するパ
イプ１６を配設し、このパイプ１６の一部にポー
トを構成する小孔１７を穿設して匣体１内を共鳴
室１８とする方式のもの等がある。

(ハ) 従来技術と問題点 しかし、第１図の方式は拡張作用により排気音
を減衰させるものであるため中間及び高周波数域
での減衰には有効であるが、低周波数域の減衰は
劣り、排気系等の振動及び車室内こもり音の発生
を招く虞れがある。また、第２図の方式のもの
は、拡張室１１，１２に加えて共鳴室１３がある
ため、低周波数域から高周波数域の排気音の減衰
が可能であるが、共鳴器で低周波数を減衰させる
には大容量の共鳴室が必要となる為、消音器自体
が大型化し、重量化する欠点があるほか、共鳴室
１３による低周波数域の排気音の減衰が充分でな
く、車室内こもり音も依然として発生する虞れが
ある。更にまた、第３図に示す方式の消音器にあ
つては、パイプ１６に穿設した小孔１７の径、数
に相当したコンダクテイビテイによる共鳴周波数
域を減衰できるが、低周波数域（100Hz以下）を
より有効に減衰させようとすると、孔径を小さく
しなければならず、このような孔明きパイプはコ
スト高になるとともに、あまり小径にし過ぎると
音波の導入ができなくなり、また、共鳴室１８の
容積を大きくしなければならず、消音器が大型化
する欠点があつた。

(ニ) 考案の目的 この考案は上記従来の欠点を解消したもので、
その目的とするところは、共鳴室の容積が小さく
てもより有効な低周波数域の排気音の減衰を可能
にし、かつ中間周波数域の音波も減衰でき、併せ
て排気系への最適装着位置の設定も可能にした機
関用消音器を提供するにある。

(ホ) 考案の構成 この考案はかかる目的を達成するために、密閉
された匣体と、この匣体内をバツフルプレートに
より排気ガスの流れ方向に２分割して形成した拡
張室及び共鳴室と、上記拡張室を貫通して上記共
鳴室に開口し、該拡張室に多数の小孔を介し連通
するインレツトパイプと、上記共鳴室を貫通して
拡張室に連通するアウトレツトパイプと、上記イ
ンレツトパイプの開口に連結して共鳴室のポート
を形成する多孔性焼結金属製パイプとで構成し
た。

(ハ) 考案の実施例 以下、この考案の実施例を図面に基づき説明す
る。

第４図はこの考案にかかる機関用消音器の実施
例を示すもので、２０は円筒状又は楕円筒状をな
す匣体であり、この匣体２０の両端開口は端板２
１，２２により気密に閉塞されているとともに、
匣体２０内をバツフルプレート２３により排気ガ
スの流れ方向（匣体の長手方向）に２分割して、
拡張室２４と共鳴室２５を形成する。この拡張室
２４は孔明きバツフルプレート２６によつて２分
割してある。また、このようにした匣体２０内に
は、端板２１側から拡張室２４を貫通して共鳴室
２５に開口するインレツトパイプ２７が匣体２０
の長手方向に配設され、かつ拡張室２４内に位置
するインレツトパイプ２７の周壁には多数の小孔
２８が穿設されている。インレツトパイプ２８の
共鳴室２５への開口部２７ａには該共鳴室２５の
ポートを形成するアルミニウム等の多孔性焼結金
属製パイプ２９が連結してある。このパイプ２９
の端部には多孔性焼結金属製のプレート又は鋼板
等２９ａが取り付けられその開口を閉塞してい
る。更にまた、上記匣体２０内には端板２２側か
ら共鳴室２５を匣体２０の長手方向に貫通して拡
張室２４に連通するアウトレツトパイプ３０を配
設している。

上記多孔性焼結金属製パイプ２９の気孔率は30
〜60％であり、このためパイプ２９の周壁には、
その多孔組織によつてパイプ壁の肉厚方向に貫通
する無数の不定形通気孔が形成され、この不定形
な、即ち断面積及び長さの異なる通気孔は共鳴室
２５のチユーニング用のポートとなる。

上記のように構成された本実施例において、図
示しない機関から排出される排気ガスがインレツ
トパイプ２７に導入されると、該排気ガスはイン
レツトパイプ２７内を矢印方向に噴出する。この
とき、排気ガス音波も小孔２８を通して拡張室２
４内に分散拡張され、これにより音波エネルギー
（中間〜高周波数域）を減衰させる。また、イン
レツトパイプ２７の開口部２５ａに連結する多孔
性焼結金属製パイプ２９を介して連通される共鳴
室２５においては、該パイプ２９にその多孔組織
により形成されている断面積及び長さの異なる不
定形な無数の通気孔と共鳴室２５の容積とで決ま
る周波数域で共鳴が起こり、これにより共鳴周波
数域の音波（100Hz以下の低周波数域）を有効に
減衰させる。

一方、拡張室２４内に流入した排気ガスは孔明
きバツフルプレート２６を通して噴出し、これに
伴い音波は拡張室２４内に分散拡張され、拡張室
２４の内壁との衝突及び干渉により中間〜高周波
数域の音波を減衰させる。

そして、上記拡張室２４で中間周波数域及び低
周波数域の音波を減衰した排気ガスはアウトレツ
トパイプ３０を通して匣体２０外に排出される。

第５図はこの考案の消音器と従来の孔明きパイ
プによる共鳴形消音器とを同一機関の排気系に装
着し、機関の回転数を低速から高速へ変化させた
ときのエンジン回転数に対する吐出音レベル変化
の測定結果をグラフに表わしたもので、特性曲線
はこの考案の消音器の吐出音特性を示し、ま
た、特性曲線は従来の消音器の吐出音特性を示
す。

この特性図からも明らかなように、この考案に
おける消音器の吐出音レベルは100Hz以下の周波
数域において、従来のものより大幅に低減される
ことが認められる。このことは多孔性焼結金属製
パイプ２９を用いて共鳴室２５とのポートを形成
するようにしたためである。また、低周波数域の
排気音を有効に減衰させることは、車室内こもり
音及び排気系等の振動を減少もしくは防止できる
ことになる。

さらに、この実施例によれば、多孔性焼結金属
製パイプ２９の長さＬを変化させることにより共
鳴室のポートである多孔性焼結金属製パイプ２９
のコンダクテイビテイを変化させることができる
ため、設計が容易になる。多孔性焼結金属製パイ
プ２９の開口を多孔性焼結金属製のプレート又は
鋼板等で閉塞しているため、コンダクテイビテイ
を高くすることができ、多孔性焼結金属製パイプ
２９の長さＬが短かくても従来の消音器に比し低
周波数域の音波を低減することができる等の利点
がある。

(ハ) 考案の効果 上述の如くこの考案によれば、共鳴室のポート
を多孔性焼結金属製パイプの多孔組織で形成され
る通気孔により構成したので、共鳴室を低周波数
域の音波の減衰用として有効に機能させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は各々従来における機関用消音
器を示す断面図、第４図はこの考案に係る機関用
消音器の実施例を示す断面図、第５図はこの考案
の消音器及び従来の消音器の周波数とエンジン回
転数と吐出音レベルとの関係を示す測定結果のグ
ラフである。 ２０……匣体、２１，２２……端板、２３……
バツフルプレート、２４……拡張室、２５……共
鳴室、２６……孔明きバツフルプレート、２７…
…インレツトパイプ、２８……小孔、２９……多
孔性焼結金属製パイプ、２９ａ……多孔性焼結金
属製のプレート又は鋼板等、３０……アウトレツ
トパイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉された匣体と、この匣体内をバツフルプレ
   ートにより排気ガスの流れ方向に２分割して形成
   した拡張室及び共鳴室と、上記拡張室を貫通して
   上記共鳴室に開口し、該拡張室に多数の小孔を介
   し連通するインレツトパイプと、上記共鳴室を貫
   通して上記拡張室に連通するアウトレツトパイプ
   と、上記インレツトパイプの開口に連結して上記
   共鳴室のポートを形成する多孔性焼結金属製パイ
   プとからなる機関用消音器。