JPS6322181Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ダム、河川等に設置されるローラ
ーゲート・二段式ローラーゲートなどの越流形ゲ
ートの上面形状に関するものである。

従来、ローラーゲートあるいは二段式ローラー
ゲート１１の上端越流部１２の縦断側面形状は、
第１図に示すような、越流水深によつて求められ
た刃形ぜきの上を流れる自由越流水脈の下面形状
（一般にクリーガー曲線と云われている）略同じ
からなるものと、第２図に示されているような大
きい勾配（１：５）を有するものが一般的であ
る。ところが前者の場合には、第３図に示すよう
に、越流部１２の支配断面より下流側の部分に負
圧が発生し、振動を起す原因となつている。ま
た、後者の場合には、第４図に示すように越流部
１２全体に下向きの大きな力が作用し、そのため
にゲートを昇降させるとき、その巻上荷重が増大
して巻上機の容量を大きくしなければならず、極
めて不経済になるという問題がある。

この考案は、上記問題点すなわち、振動の原因
となる負圧発生および圧力増大を解消せしめるこ
とを目的としてなされたものである。

すなわち、この考案は、上面を水が流れるよう
にせられたローラーゲートなどの越流ゲートにお
いて、ゲート上端越流面を縦断側面形状がクリー
ガー曲線すなわち、刃形ぜきの上を流る自由越流
水脈の下面形状と略同じ曲線からなり、しかも下
流側端（越流部終端）がこの曲線の頂点とるよう
に構成したことを特徴としている。かかる構成に
より、ゲート上端越流面には負圧が発生せず、し
かも下向きに作用する力がさほど大きくならない
ので、振動が生起せず、ゲート昇降時の巻上荷重
も増大しない。

第５図はこの考案の好ましい一実施例を示すも
ので、越流ゲート１は、その上端越流面２の縦断
面形状が、越流水深Ｈにより求めた刃形ぜきの上
を流れる自由越流水脈の下面形状、特にその上流
側部分すなわち刃形ぜきの上辺を離れた直後から
頂点までの曲線と略同じからなり、しかもゲート
１の下流側端（越流部終端）Ｔがこの曲線の頂点
となるように構成されている。ゲート１から越流
する水深Ｈが、ゲート１の厚さＤに対して大き
い、いわゆる刃形越流に対して特に有効であり、
上端越流面２の圧力分布を側定した結果の一例を
示せば第６図のとおりである。この第６図と第３
図および第４図とを比較すれば明らかなように、
本考案の実施例では、上端越流面２が前記曲線か
らなる曲面であるから、この上端越流面２に作用
する越流水の圧力分布が、第６図のように下流側
端に向かつて漸次小さくなり、しかも、０に近づ
いているが負圧が発生していないので振動が誘発
される恐れがない。

また、第４図と第６図の比較から明白なよう
に、ゲート１の上端越流面２に作用する圧力が、
本考案では略直線的に減少しているのに比べて従
来例ではゲート中央部分で上凸状にふくらみをも
つている。

したがつてゲート上端越流面２全体に受ける下
むきの力は、本考案では従来例に比べて小さく、
ゲート昇降時の巻上荷重が軽減される。

なお、第３，４および６図の圧力測定にはゲー
ト背面空間（下流側）に負圧を生起せしめないよ
うに空気が供給されている。

この考案は、上述のような構成であるから、従
来の越流ゲートと比較して、その製作においても
何ら遜色がなく容易であり、越流能率が低下する
ことなく、また、ゲート上端越流面に負圧が発生
しないので振動の原因が取り除かれ、しかもゲー
ト越流面全体に作用する下向きの力を減少せしめ
うるのでゲート昇降時の巻上荷重が増大せず、し
たがつて巻上機の容量を小さくし経済性を高めう
るなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は従来例を示すもので、第１図およ
び第２図は越流ゲートの概略側面図、第３図は第
１図のゲートにおける越流面の圧力分布図、第４
図は第２図のゲートにおける越流面の圧力分布
図、第５〜６図はこの考案の一実施例を示すもの
で第５図はゲートの概略側面図、第６図はこの考
案にかかるゲートにおける越流面の圧力分布図で
ある。 １……越流ゲート、２……上端越流面、Ｔ……
頂点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面を水が流れるようにせられたローラーゲー
   トなどの越流ゲートにおいて、ゲート上面を縦断
   面形状が、刃形ぜきの上を流れる自由越流水脈の
   下面形状、特にその上流側部分と略同じ曲線から
   なり、しかもゲート上面の下流側端が前記曲線の
   頂点となるように構成したことを特徴とする越流
   ゲート。