JPS6318919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、超音波顕微鏡に使用される走査装置
に関する。

光学顕微鏡のように光を用いず、超音波ビーム
を使い半導体集積回路や生体組織の顕微鏡像を得
ようという考えが古くからあつた。この超音波顕
微鏡は、圧電素子をＭHz帯の電気信号で駆動して
超音波を発生させ、それをサフアイア等の球面レ
ンズで集束してビームとなし、試料上の一点に当
てる。試料から反射した超音波を同じ圧電素子と
検波器により電気信号に変換して陰極線管の表面
に二次元的に表示し、顕微鏡像を得るものであ
る。このとき全画像を得るためには試料の方を機
械的に走査する。なお、試料を透過する超音波の
散乱や位相の変化から顕微鏡像を作る透過型もあ
る。

第１図は透過型の超音波顕微鏡の基本構成を示
すブロツク図で、図面中、１は高周波発振器、２
は送波側超音波集束レンズでサフアイアなどの超
音波伝搬媒体材から成り、一面に送波用圧電体ト
ランスジユーサ２ａが貼着され、他面は球面状に
えぐられた球面レンズ部２ｂを有する。３は受波
側超音波集束レンズで同じくサフアイアなどの超
音波伝搬媒体材からなり、一面に受波用圧電体ト
ランスジユーサ３ａが貼着され、他面には球面状
にえぐられた球面レンズ部３ｂを有する。そして
このような一対の超音波集束レンズは互いに球面
レンズ部を対向せしめて音場媒体となる水４を介
して共焦点構成に配設されている。５は試料保持
用枠でマイラー膜６が張設され、該マイラー膜６
に被検査物体となる試料７が取付けられている。
８は試料保持用枠５をＸ及びＹ方向に移動させる
走査装置、９は走査装置８を制御する走査回路、
１０は受波側超音波集束レンズ３の出力を受信す
る受信回路、１１はCRTを用いた表示装置であ
る。

上記のような超音波顕微鏡において、まず高周
波発振器１から出力された高周波が、送波側超音
波集束レンズ２に貼着された送波用圧電体トラン
スジユーサ２ａによつて平面超音波となり、更に
球面レンズ部２ｂによつて集束されて超音波ビー
ムとなり、水中において試料に焦点を結ぶ。この
焦点に集まつた超音波は共焦点に配置されている
受波側超音波集束レンズ３の球面レンズ部３ｂに
よつて集音され、平面超音波となり、受波用圧電
体トランスジユーサ３ａによつて電気信号に変換
される。そこで試料７の検査面が焦点に位置する
ようにしながら試料保持用枠５をＸ方向に振動さ
せながらＹ方向に少しづつ移動させれば、超音波
ビームは相対的に試料面を走査することになる。
超音波ビームが試料７を透過する際、振幅や位相
の変化を受けるから、超音波ビームが透過すると
ころの試料面の各点に対応させて表示装置１１内
の陰極線管（CRT）の電子ビームを掃引し、受
波用トランスジユーサ３ａからの出力信号に応じ
て輝度変調をかければCRT面上には二次元的に
顕微鏡像が得られる。

ところで、上記のような超音波顕微鏡におい
て、前記試料保持用枠５のＹ方向の走査は少しず
つ移動させることで超音波ビームが試料を走査
し、その際の試料面の各点に対応させて表示する
表示装置の顕微鏡像も、少しずつ、Ｙ移動方向に
沿つて形成される。

一般には一画面を形成するのに、10秒程度を要
しているが、かかる比較的長時間で一画面を形成
する機械走査装置は、試料面の各点に対応させて
表示しているその表示装置の表示方向も、走査方
向と一致しているので、一画面を描き終えた後、
走査Ｙ方向送りを逆転し、最初の起動位置まで、
戻す必要があつた。そのため、次の画面を迅速に
観察するにはＹ方向送りに、別の早送装置を組込
んで、最初の位置に戻さねばならなかつた。

本考案は、上述の欠点を解決するもので、Ｙ方
向走査の起動により、表示装置の掃引に一致して
起動させる起動装置を二つ用意し、Ｙ方向正・逆
両方向の起動時に、同期をCRTと一致させる様
にした試料の走査装置を提供するものである。

以下、本考案の走査装置の一実施例を第２図の
ブロツク図を用いて詳細に説明する。

同図において１２は起動装置、１３はのこぎり
波発生器、１４は走査制御器、１５はたとえば
ACモータ等からなるＹ方向駆動部、１１はCRT
を用いた表示装置、１６はたとえば水晶発振器等
からなる基準発振器、１７は増幅器、１８はクラ
ンプ回路、１９はたとえばボイスコイル等からな
るＸ方向駆動部である。

上述のような構成の超音波顕微鏡装置におい
て、次にその動作を説明する。

まず、起動装置１２から起動信号となるパルス
波が出力されると、該出力を受けてのこぎり波発
生器１３からのこぎり波が出力される。該のこぎ
り波の立上り直線特性を利用して、表示装置１１
のＹ方向走査とACモータ等から成るＹ方向駆動
部１５を制御する走査制御部１４との同期をとる
ようにする。これはのこぎり波の立上り直線性か
ら、この変化を利用してACモータの駆動のため
の電圧を作り出し、モータ駆動行ない、他方表示
装置１１のＹ方向走査信号を作り出すものであ
る。また、基準発振器１６からの正弦波を増幅器
１７によつて増幅し、該増幅信号をボイスコイル
等からなるＸ方向駆動部１９に加えて、試料保持
用枠５のＸ方向走査を行なう。更に前記増幅信号
をクランプ回路１８によつて電圧をゼロ電位まで
シフトし、表示装置１１に入力してＸ方向の走査
信号とする。

上述のように、本考案はＹ方向の走査に起動装
置１２からのパルス波によつて、のこぎり波発生
器１３からのこぎり波を出力し、該のこぎり波の
立上り特性を利用して表示装置１１内の電子ビー
ムの走査と試料７のＹ方向駆動とを同期するよう
にした起動装置を二個個別に備え、Ｙ方向のアツ
プ用とダウン用として、該スイツチの作動によつ
てのこぎり波発生器１３からののこぎり波の波形
を逆にし、走査方向を決め、個々の起動スイツチ
によつて試料７面を順次送ることができる様にし
たものである。

従つてＹ方向アツプ用の起動スイツチの作動
で、一画面が終了した後、ダウン用の起動スイツ
チを作動すれば、それに同期した表示装置の画面
が下から順次形成することができる。

本考案によれば、Ｙ方向走査装置のアツプ、ダ
ウン用の二個の起動スイツチにより、表示を同期
起動できるので、Ｙ方向早送り機構を別に備える
ことなく、引続き、顕微鏡像を形成することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は透過型超音波顕微鏡のブロツク図、第
２図は本考案に係る試料保持用枠の走査装置の一
実施例を示すブロツク図である。 ３……受波側超音波集束レンズ、５……試料保
持用枠、７……試料、１０……受信回路、１１…
…表示装置、１２……起動装置、１３……のこぎ
り波発生器、１４……走査制御器、１５……Ｙ方
向駆動部、１６……基準発振器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 超音波集束レンズからの超音波ビームを試料検
   査面にＸ，Ｙ二次元走査する機械走査型超音波顕
   微鏡の走査装置において、Ｘ方向に振動させなが
   らＹ方向に少しずつ移動し、超音波ビームを相対
   的に走査すると共に、超音波ビームの試料面の各
   点に対応し、Ｘ，Ｙ移動方向に一致して表示する
   表示装置と、Ｙ方向走査に一致して上記表示装置
   の掃引を起動する起動装置を備えると共に、上記
   起動装置を二個とし、Ｙ方向アツプ用とＹ方向ダ
   ウン用に用い、上記表示装置をＹ両方向から表示
   できるようにしたことを特徴とする超音波顕微鏡
   の走査装置。