JPS626676Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は改良されたチツプ形電解コンデンサに
関するものである。

一般に電解コンデンサは高純度のアルミニウム
箔をエツチング処理して表面積を拡大した後、化
成処理をほどこしてアルミニウム箔に酸化皮膜を
生成せしめ、該アルミニウム箔を電極箔とし、該
電極箔を所定寸法に裁断した後、第１図に示すよ
うに陽極用および陰極用の電極箔１，１′に外部
引出リード端子２をかしめなどによる方法で接続
せしめ、電解紙３を介して巻回してコンデンサ素
子４を形成する。次に該コンデンサ素子４に電解
液を含浸せしめ、ゴムパツキングなどの弾性を有
する封口体５にリード端子２を貫通するように装
置してアルミニウム、樹脂などよりなるケース６
に挿入し、該ケース６の開口端部を巻締めなどに
より密封されていた。

最近の回路技術の進歩に伴ない、上述のような
製造方法により製作された電解コンデンサにも各
種の問題が発生しており、これらの改良を余儀な
くされているのが電解コンデンサ業界の現状であ
る。

特に特性面では漏れ電流の減少、信頼性の向上
またコスト面では製造方法の簡略化、その他小形
大容量化など数えあげれば限りがない程である。

そして多くの電子機器類も小形化の傾向をたど
るとともに、プリント基板などの配線においても
部品の自動挿入によりコストダウンをはかつてお
り、電解コンデンサにおいても自動挿入が可能で
しかも小形化の要求がされていることは例外でな
い。特に円筒形の場合、電極箔を巻回して製造す
るため、高さ方向の寸法が大きくなるにもかかわ
らず、電子機器類においては薄形化が要求され、
これら逆方向の思考が大きな研究課題として取上
げられている。

また電解コンデンサは他の電子部品に比較して
使用部品、材料の点数が多く、製造コストがかか
り、高価なものとなつてしまうことは周知の通り
である。

本考案は上述のような多くの問題を解消し、安
価で生産性の高いチツプ形電解コンデンサを提供
しようとするものである。

以下、本考案を第３図〜第６図に示す実施例に
ついて説明する。

漏れ電流の原因としては多くの説があることは
周知の通りである。これらの原因の中で特に破壊
された酸化皮膜の修正時に流れる微小電流のフア
クターが漏れ電流における大きな原因のひとつに
なつている。この酸化皮膜の破壊について実験し
たデータを第３図に示す。エツチング、化成した
高純度アルミニウム箔の試験片を(イ)表面が無傷
で、切口の未エツチング、未化成部のあるもの、
(ロ)表面に傷があり切口の未エツチング、未化成部
のあるもの、(ハ)上記(ロ)の条件でさらに故意に巻回
などにより皮膜破壊をせしめたものの３種類の酸
化皮膜修正時に流れる電流を測定したものであ
る。その結果、第３図に示すように漏れ電流は(イ)
のもの（図中曲線ａ）が最も速く定電流に達し、
(ロ)のもの（図中曲線ｂ）がその次で、(ハ)のもの
（図中曲線ｃ）は最も遅く、しかも定電流に達し
てもその数値自体が他のものより高い値を示して
いる。上述の実験より漏れ電流を減少せしめるに
は電極箔の酸化皮膜の破壊を最少限にすることが
望ましいことがわかる。

また製造後のリード端子に与えられる衝撃によ
つても漏れ電流が大きく変化することは周知の通
りである。

本考案は上述の点に鑑みて考案されたもので、
第４図〜第６図に示すようにエツチング処理のさ
れた第１のアルミニウム電極板７と、該電極板７
に接続された第１の外部端子８と、電極箔接続部
９と、該接続部９に接続された第２の外部端子１
０とを樹脂に埋込み成形した絶縁ケース１１を製
作し、また第１のアルミニウム電極板７と該電極
７に接続された第１の外部端子８を樹脂に埋込み
成形して蓋１１′を製作し、上記絶縁ケース１
１、蓋１１′のアルミニウム電極板７側を対向せ
しめ、含浸された電解紙などのセパレータ１２に
包まれたエツチングおよび化成された第２のアル
ミニウム電極箔１３の一部１３ａを上記電極箔接
続部９に接続した後、上述の２個の絶縁ケース１
１、蓋１１′を重ね合わせてお互いの外周部を超
音波溶着、熱溶着などにより溶着、密封せしめた
ものである。

本考案のチツプ形電解コンデンサは以上のよう
にして構成されているので、成形時に平角状、円
板状など形状を自由に選択できるとともに、外部
端子８，１０の位置も上下、左右自由に導出方向
が選択できるため、基板の配線方向に容易に合せ
ることができる。そして第６図の内部配線図に示
すように基板上の配線に応じて電解コンデンサの
組合せが選択できるなど、機能の多様化もでき
る。

また第１のアルミニウム電極板７、第２のアル
ミニウム電極箔１３はいずれも箔、板の厚さに限
定するものでなく、またいずれの側に化成処理を
してもよく、要求される機能に応じて組合せるこ
とができる。

なお、上述の実施例において、蓋１１′内に設
けたアルミニウム電極板７と、該電極７に接続さ
れた第１の外部端子８とを除去すれば単層のチツ
プ形電解コンデンサが構成できることは云うまで
もない。

以上のようにして構成されたチツプ形電解コン
デンサは最近のアルミニウム箔のエツチング技術
の進歩により表面積の高倍率化が可能となつてき
たため、静電容量においても比較的大きなものが
可能となり、しかも製造工程において巻回せず、
電極箔を損傷することもないので、漏れ電流は小
さくなる、形状が平角状、円板状など自由に設計
できる、電子機器の小型化に対応でき、プリント
基板における自動挿入も可能となるなどの効果が
ある。また電解コンデンサの製造コストも使用部
品が少なく、大巾なコストダウンができる。

叙上のように本考案は電子機器などにおける技
術的発展に大きく寄与でき、工業的ならびに実用
的価値の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電解コンデンサ素子の一部解体
斜視図、第２図は従来の電解コンデンサの断面
図、第３図は漏れ電流−時間特性図、第４図〜第
６図は本考案のチツプ形電解コンデンサの一実施
例で第４図は解体斜視図、第５図は斜視図、第６
図は内部配線図である。 ７：第１のアルミニウム電極板、８：第１の外
部端子、９：電極箔接続部、１０：第２の外部端
子、１１：絶縁ケース、１１′蓋、１２：セパレ
ータ、１３：第２のアルミニウム電極箔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板状または箔状の第１のアルミニウム電極７と
   該電極に接続された第１の外部端子８と、電極箔
   接続部９を有する第２の外部端子１０とを埋込み
   成形した樹脂よりなる絶縁ケース１１に、電解液
   の含浸されたセパレータ１２を介して板状または
   箔状の第２のアルミニウム電極１３を積層し、該
   第２のアルミニウム電極１３を上記第２の外部端
   子の電極箔接続部９に接続し、上記絶縁ケース１
   １に蓋１１′を嵌合し密封してなるチツプ形電解
   コンデンサ。