JPS6253809B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はプラスチツクに酸化インジウム等の透
明導電膜を設けたプラスチツクパネルの配向処理
膜に関するものである。 本発明の目的は、導電膜上及びプラスチツク基
板上に安定した水平配向効果を得ることである。 従来の液晶表示パネルは無機ガラスを基板とし
たものがほとんどであり、プラスチツクを基板と
した液晶表示パネルはほとんどない。導電膜上の
配向処理膜は従来の無機ガラスに用いられている
方法をプラスチツクパネルに移行しただけでは、
液晶の水平配向安定性は得られない。例えば無機
ガラス上の導電膜に酸化スズを用いた無機ガラス
パネルの水平配向処理剤として有機アミノシラン
カツプリング剤を用いる方法がある。この配向処
理剤をポリエステルフイルム上導電膜に酸化イン
ジウムを用いたプラスチツクパネルに用いても、
液晶は配向しない。これは有機シランカツプリン
グ剤が導電膜の影響を受けやすいためである。又
無機ガラスパネルに用いられている傾斜蒸着法で
SiOを上記プラスチツクパネルに蒸着させた場合
蒸着直後では液晶は導電膜上及びパネル基板上で
配向するが、次の２つの欠点があつた。その１つ
は蒸着したSiO膜とパネルとの密着性がなく、透
湿性、透気性があるため、経時変化による配向不
良やパネル内への気泡の混入が生ずる。他の１つ
はパネルがプラスチツクであるため高温焼成が行
なえないことから、化学的に不安定なSiOを安定
なSiO₂に変えられず、吸湿性が高く、配向不良
を起こす要因となる事である。他に無機ガラスに
対する水平配向処理方法として導電膜の影響を受
けない高分子物質であるイミド環含有重合体を配
向膜として導電膜上に形成させた後、綿布などで
ラビングする方法がある。この方法ではイミド環
含有重合体を形成する際に300℃以上の高温を要
するためプラスチツクパネルに用いることができ
ない欠点があつた。 本発明による有機シアネートとビスマレイミド
の付加重合形熱硬化性樹脂の配向処理膜は以下
(1)，(2)，(3)の特徴により従来のプラスチツクパネ
ルの配向処理方法のもつ欠点を排除できる。 (1) 本発明の配向膜樹脂は有機シランカツプリン
グ剤などと異なり、導電膜の影響を受けない高
分子物質である。 (2) 本発明の配向膜樹脂はプラスチツクパネルと
の密着力が大きく、かつ化学的及び熱的に安定
であるため、傾斜蒸着法でSiO膜を形成させた
時に見られた透湿性、吸湿性及び透気性がな
く、経時変化による配向不良やパネル内への気
泡の混入がない。 (3) イミド環含有重合体を形成する際に300℃以
上の高温を要したが、本発明の配向膜樹脂を形
成する際の温度は150℃以下の低温であるた
め、プラスチツクが熱的に耐える。 本発明に用いる有機シアネートとは一般に式１
で表わされる有機化合物である。 式１ また、ビスマレイミドとは一般に式２で表わされ
る有機化合物である。 式２ 上記有機シアネートとビスマレイミドの付加重
合形熱硬化性樹脂をプラスチツクパネル上に形成
する方法は、有機シアネートとビスマレイミドを
ケトン系溶媒に溶かした溶液にパネルを浸漬する
か、溶液をパネルに吹き付けた後、熱風乾燥など
で溶媒を除去し、付加重合反応に必要な温度と時
間をかけて焼成する等の方法を用いる。この焼成
された樹脂薄膜上を綿布などで軽くラビングし、
液晶を封入して、本発明による安定した水平配向
処理膜のついた液晶表示パネルができる。 本発明による液晶表示パネルの構成を示す断面
図は第１図に示す。１はプラスチツク基板で材質
は一般にポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
エーテルセルフオン等のプラスチツクである。２
は透明導電膜で、少量のスズを含む酸化インジウ
ムから成る。この導電膜を基板に設ける方法には
真空蒸着法が用いられる。基板と導電膜の密着性
を上げるため、あらかじめ基板に有機シランカツ
プリング剤を下塗りする方法が用いられる。さら
に熱処理又は陽極酸化によつて特性を改善するこ
とも可能である。３はシール剤でパネルの保持及
び液晶の封止の役目をもつ。４はネマテイツク型
液晶で、アゾキシ系液晶、ビフエニル系液晶、シ
ツフ系液晶、フエニルベンゾエート系液晶等が用
いられる。５は本発明による配向処理膜で、有機
シアネートとビスマレイミドの付加重合形熱硬化
性樹脂から成る。 以下、実施例によつて本発明をさらに詳しく説
明する。 〈実施例〉 ポリエステルフイルムに酸化インジウムを主成
分とする透明導電膜を設けたプラスチツクパネル
に、表１の組成の0.1％BTレジン溶液（BTレジ
ンとは三菱瓦斯化学株式会社の有機シアネートと
ビスマレイミドを主原料とした付加重合形熱硬化
性樹脂の商品名である）を塗布し、70℃の熱風乾
燥で溶媒を除去する。さらに150℃30分間焼成

【表】 溶媒はアセトンを使用
した後、パネル上を綿布で軽くこする程度にラ
ビングし、ビフエニル系液晶（BDH社、Ｅ−
７）を封入して無電界時の液晶の初期配向及び熱
や水分に対する水平配向安定性をテストした。表
２にテスト結果を示す。いずれのテスト後におい
てもパネル内に気泡は生じなかつた。又、液晶封
入前に行なうラビングのこすりをさらに強くした
後の

【表】 各テスト後の配向効果に変化はなく、配向処理
膜と基板との密着性は充分にあると判断できる。 なお本発明はプラスチツクパネルの水平配向処
理膜に有機シアネートとビスマレイミドの付加重
合形熱硬化性樹脂を用いて導電膜上及びプラスチ
ツク基板上に安定した水平配向効果を得ることを
目的としており、この付加重合形熱硬化性樹脂を
パネル上に形成する方法を問うものではない。又
本発明の配向処理膜は液晶がネマチツク型液晶だ
けではなく、スメステイツク型液晶やコレステリ
ツク型液晶等を用いたプラスチツクパネルに用い
ても同様の効果がある。

【図面の簡単な説明】

図１は本発明によるプラスチツクパネルの構成
を示す断面図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ プラスチツクに酸化インジウム等の透明導電
   膜を設けた基板をパネル基板とした液晶表示パネ
   ルにおいて、配向処理膜として有機シアネートと
   ビスマレイミドの付加重合形熱硬化性樹脂を用い
   ることを特徴とする液晶表示パネル。