JPS6252543B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は軸方向に空隙を有する偏平形モータの
コイルエンドの成形方法とその装置に関する。

従来技術を第１図および第２図を参照して説明
する。第１図の固定子１はマグネツトワイヤーを
図示しない巻線機の巻枠に巻きつけて、所定の形
状、巻回数を有するコイル２群とし、環状に形成
された固定子鉄心３の表面に放射状に設けたスロ
ツト４に前記コイル２を手作業で収納して製造さ
れる。なおスロツト４にはあらかじめスロツト絶
縁物５を挿入しておき、コイル２を納めたのちウ
エツジ６で止める。この固定子１の内径部は回転
子の軸を通すために、第２図に示すように固定子
鉄心３内側のコイルエンド２ａの内径を径Ｄとな
るように押し広げる必要がある。その為、従来は
径Ｄよりやや外径の大きい図示しないマンドレル
を、固定子１の内側に挿入して径Ｄに押し広げて
いた。

この方法では、成形前第２図の点線で示す状態
のコイルエンド２ａの内側を径Ｄになるようにマ
ンドレルで成形するので、固定子鉄心３の内側及
び外側のコイルエンド２ｂが実線で示すように引
張られる。この為、スロツト絶縁物５もコイルエ
ンド２ｂと同方向に引張られて変形したり、固定
子鉄心３とコイルエンド２ｂとが接触してコイル
２に傷が発生する欠点があつた。

本発明の目的は前記欠点を解決したもので、コ
イルエンド成形時にスロツト絶縁物の変形及び破
損を防止してコイルの絶縁信頼性を向上させ、し
かも作業能率のよい軸方向に空隙を持つ偏平形モ
ータのコイル成形方法と装置を提供することにあ
る。

以下本発明について一実施例の第３図及び第４
図を参照して説明する。第３図は本発明による軸
方向に空隙を持つ偏平形モータのコイル成形装置
の一実施例の断面図で、成形装置７は下型８、マ
ンドレル９、上型１０、ピン１１などから構成さ
れている。

下型８の中心部で上型１０側の面（以下下型の
上面という）には凹部８ｂを設け、この凹部８ｂ
に外径が径Ｄよりやや大きく先端部が細くなつた
マンドレル９を嵌込みボルト１２によつて固定さ
れる。又、下型８の胴部で下型８の上面には固定
子鉄心３の位置決めとなる前記凹部８ｂと同心円
で環状のガイド溝８ａが設けられる。更にガイド
溝８ａの内周及び外周の側壁に沿つて下型８上面
方向に突出するピン１１を複数本植設する。即ち
このピン１１は第３図及び第４図に示す位置関係
で、コイル２の内側でしかもコイル２が収納され
た固定子鉄心３のスロツト４近辺でスロツト絶縁
物５の両端折り返し面近くであり、且つ下型８面
より突出する高さは下型８のガイド溝８ａに収納
された固定子鉄心３の軸方向端面と略同等となる
ように下型８にネジ止めされている。一方、上型
１０は中心部にマンドレル９と同一径の貫通孔１
３を穿設する。又上型１０の胴部で上型１０の下
面（下型８側の面）には、固定子鉄心３及びピン
１１が上型１０に当接しないような貫通孔１３と
同心円の環状溝１０ａが設けられている。この環
状溝１０ａの穿設により環状溝１０ａの両縁には
突出部１０ｂが形成される。

以上のように構成された偏平形モータのコイル
成形装置による成形作業を説明する。固定子鉄心
３のスロツト４にスロツト絶縁物５を挿入し、こ
のスロツト絶縁物５内へ一相分である例えばＵ相
の略扇形状のコイル２を巻装した固定子１を形成
する。そして第４図に示すように、固定子鉄心３
の内径側となるコイルエンド２ａの外側をマンド
レル９に沿わせながら、略扇形状のコイル２四隅
の内周がピン１１の外側にかかり且つピン１１の
先端がコイルエンド２ａ，２ｂの厚さ方向の上型
辺側面より突出させるようにし、固定子鉄心３の
一方の軸方向端面をガイド溝８ａの底に当接させ
て第３図に示すように固定子１を下型８に装着す
る。

続いて上型１０の貫通孔１３をマンドレル９に
沿わせて挿入し、図示しないプレスで上型１０を
押し突出部１０ｂでコイルエンド２ａ，２ｂに加
圧しながら、上型１０の環状溝１０ａの底部にピ
ン１１及び固定子鉄心３の他方の軸方向端面が当
接した時、プレス加圧を止める。次に上型１０を
はずして、固定子１を下型８より取りはずせば成
形作業は完了する。続いてＶ相，Ｗ相についても
夫々の上型を使用して成形し、全コイルエンドの
成形を完了する。

このようにコイルエンドの成形時に、コイルエ
ンド２ａ，２ｂは上型１０の突出部１０ｂにより
圧力を受け、コイル２四隅の内周がピン１１の反
固定子鉄心３側に接しながら、固定子鉄心３の内
径側となるコイルエンド２ａの外側がマンドレル
９によつて規制され、且つピン１１の先端がコイ
ルエンド２ａ，２ｂの厚さ方向の上型辺側面より
突出している。このため、コイルエンド２ａ，２
ｂを形成するマグネツトワイヤーがピン１１の先
端を越え上型で挟まれて潰れることがなく、且つ
固定子鉄心３側へ崩れない等の相乗作用で、コイ
ルエンド２ａの形状を円弧にし内径が径Ｄとなる
様に成形されて回転子の軸が通り易くなる。又、
ピン１１の働きによりスロツト４近傍のコイル２
を無理に引張ることがなくなり、スロツト４近傍
であるコイル２の四隅がスロツト４と平行に成形
される。このため、スロツト絶縁物５の変形や破
損がなくなると共に、コイル２傷の発生もなくな
つた。更に上型１０の突出部１０ｂによるコイル
エンド２ａ，２ｂ押えにより、コイルエンド２
ａ，２ｂの高さが固定子鉄心３の軸方向端面より
も低く成形することができるので、図示しない固
定子枠への固定子の取付が問題なく出来る。

なお、上型１０をプレスヘツドに固定し、下型
８を上型１０のセンターに位置決めすれば自動
化、省力化が容易にできる。

以上本発明によれば、ピン、マンドレル、環状
溝等の相乗作用により、コイルエンドを形成する
マグネツトワイヤが固定子鉄心側へ崩れず、コイ
ルエンド内周が円弧になると共に、スロツト絶縁
物の変形や破損もなくコイル傷が発生しない。そ
して偏平形モータの絶縁信頼性が向上する効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は偏平形モータの固定子鉄心にコイルを
収納中の斜視図、第２図は固定子鉄心にコイルを
収納中の平面図、第３図は本発明の偏平形モータ
の成形装置の縦断正面図、第４図は本発明による
ピンとコイルとの位置関係を示す平面図である。 １……固定子、２……コイル、２ａ……内側の
コイルエンド、２ｂ……外側のコイルエンド、３
……固定子鉄心、４……スロツト、５……スロツ
ト絶縁物、７……成形装置、８……下型、８ａ…
…ガイド溝、９……マンドレル、１０……上型、
１０ａ……環状溝、１０ｂ……突出部、１１……
ピン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 環状鉄心の表面に放射状に設けたスロツトに
   コイルを収納して、下型のガイド溝に環状鉄心を
   嵌着して位置決めすると共に、コイルエンドを形
   成するコイル内周の四隅に前記下型へ植設された
   ピンを配し、且つ環状鉄心の内径側となるコイル
   エンドの外側をマンドレルに当接させたのち、上
   型をマンドレルに嵌合摺動させて上型の環状溝へ
   ピンの先端が当接するまで突出部でコイルエンド
   を加圧して成形することを特徴とする偏平形モー
   タのコイル成形方法。 ２ 軸方向に空隙を有する偏平形モータの鉄心の
   スロツトに収納したコイルのコイルエンドを上型
   と下型で加圧して成形する成形装置において、下
   型の中央部に凹部を設けこの凹部に嵌込んだマン
   ドレルと、下型の上面で胴部に前記凹部と同心円
   で環状に穿設されたガイド溝と、このガイド溝の
   内外周の側壁に沿い且つ下型の上面から突出する
   ように下型に植設された複数本のピンと、上型の
   中央部に穿設され前記マンドレルと嵌合する貫通
   孔と、上型の下面で胴部に前記貫通孔と同心円で
   環状に穿設された環状溝と、この環状溝の両縁に
   設けた突出部とで構成されたことを特徴とする偏
   平形モータのコイル成形装置。