JPS6246908Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用クラツチのクラツチデイスク
に関するものである。

車両（以下自動車ともいう。）のエンジンとト
ランスミツシヨンとの間には、エンジンの動力を
トランスミツシヨンを介して駆動輪に伝達する場
合、動力の継続をするためにクラツチが設けられ
ている。そして、従来のクラツチにはエンジンの
クランクシヤフトに取りつけられたフライホイー
ルからの動力（トルク）をクラツチシヤフトに伝
達するために、第１図、第２図に示すように、ク
ラツチデイスク１が設けられている。そして、ク
ラツチデイスク１には、ボス部２ａにクラツチシ
ヤフト（図示せず）の取りつけられるクラツチハ
ブ２があり、このクラツチハブ２の円板状のデイ
スク部２ｂに設けた適数のクラツチハブ窓３内に
は、金属製円板状のシート５，５を両端に固着し
たトーシヨンゴム４又はトーシヨンスプリング
（図示しない）がそれぞれ嵌合されている。クラ
ツチハブ２のデイスク部２ｂの両表面には、この
デイスク部２ｂに対してその円周方向に所定量移
動可能にデイスクプレート６及びサブプレート７
がそれぞれ取りつけられている。そして、クラツ
チハブ２のクラツチハブ窓３内に嵌挿されたトー
シヨンゴム４は、デイスクプレート６及びサブプ
レート７によりクラツチハブ窓３から脱落しない
ように保持されている。デイスクプレート６の表
面でサブプレート７と反対側の面には、クツシヨ
ニングプレート８が適数のリベツト９により取り
つけられており、クツシヨニングプレート８の両
表面にはクラツチフエーシング（図示せず）が取
りつけられている。クラツチデイスク１はそのク
ラツチフエーシングがフライホイールへプツシヤ
プレート（いずれも図示せず）により圧接される
と、エンジン側のトルクがデイスクプレート６に
伝達される。そして、デイスクプレート６の回転
は適数のトーシヨンゴム４を介してクラツチハブ
２に伝達され、クラツチハブ２が回転する。

クラツチデイスク１が回転すると、トーシヨン
ゴム４には遠心力が作用する。このため、トーシ
ヨンゴム４はクラツチデイスク１の外周方向へ押
し出す力をうける。この場合、トーシヨンゴム４
の両側端に固着したシート５が、クラツチハブ２
のクラツチハブ窓３の外周側を摩耗させる。そし
て、その摩耗が大きくなるとシート５の外周が、
デイスクプレート６とサブプレート７とに当接し
て、トーシヨンゴム４がダンパーとしての役目を
しなくなる。そして、最後にはシート５がデイス
クプレート６とサブプレート７との間にかみ込
み、初期に設定したクラツチデイスク１の捩り特
性を維持することができなくなるという不具合が
生じる。

この考案は上記に鑑み、クラツチデイスクの回
転による遠心力によりトーシヨンゴム及びシート
がクラツチデイスクの外周方向へ移動するのを防
止して、シートがデイスクプレート及びサブプレ
ートと接触するのを防止し、初期において設定さ
れた捩り特性を長期間にわたり安定させることの
できるクラツチデイスクの提供を目的とするもの
である。

次に、この考案を図面に示す実施例に基づいて
説明する。

第３図において、トーシヨンゴムは従来のトー
シヨンゴム４と同一であり、このトーシヨンゴム
４の両端に接着等の手段により取りつけられたシ
ート１０，１０′は従来のシート５と異なつてい
る。シート１０はクラツチデイスク１の中心Ｏ
（第１図参照）に近い側の肉厚が厚く、クラツチ
デイスク１の中心Ｏより遠くにある側の肉厚が薄
くテーパ状に形成されている。すなわち、シート
１０はトーシヨンゴム４に固着される面１０ａが
円板状であるのに対して、外側面は楕円状の傾斜
面１０ｂになつている。シート１０′はシート１
０と逆向きになつている。なお、シート１０はそ
の上端と下端とに従来と同様に係止部１０ｃ，１
０ｄがあり、又内側面１０ａの中央部には丸棒状
の突部１０ｅがある。

そして、上記のように形成されたシート１０，
１０′を固着したトーシヨンゴム４をクラツチデ
イスク１に取りつけるには、クラツチハブ２のデ
イスク部２ｂのクラツチハブ窓３の形及びデイス
クプレート６並びにサブプレート７の形を、シー
ト１０並びに１０′の傾斜面１０ｂ及び１０′ｂが
嵌合できるように変える必要がある。第３図イは
シート１０，１０′を固着したトーシヨンゴム４
をクラツチデイスク１に取りつけた状態を示し、
これらの部材の外側はサブプレート７（デイスク
プレート６）になつている。

クラツチデイスク１が回転するこにより、トー
シヨンゴム４及びシート１０，１０′に対し、第
３図イに示す矢印Ｐ方向の遠心力が作用すると、
シート１０，１０′の傾斜面１０ｂ及び１０′ｂが
クラツチハブ窓３の斜面３ａ，３ａに当接するの
で、シート１０，１０′及びトーシヨンゴム４は
移動できない。このため、トーシヨンゴム４及び
シート１０，１０′は定位置にあつて、シート１
０，１０′がデイスクプレート６の上部裏面６ａ
及びサブプレート７の上部裏面７ａに当接するこ
とがないので、初期に設定されたクラツチデイス
ク１の捩り特性が長期にわたり安定する。

第４図はトーシヨンゴム及びシートの第２実施
例を示す。この図におけるトーシヨンゴム４Ａ及
びシート１１，１１′はトーシヨンゴム４及びシ
ート１０，１０′と異なる形にしたものである。
併し、トーシヨンゴム４とシート１０，１０′と
の結合状態の形と、トーシヨンゴム４Ａ及びシー
ト１１，１１′との結合状態の形は同じになつて
いる。ここで、シート１１，１１′は楕円形の板
になり、下方が外側に突出している。

第５図は第３実施例を示す。この図におけるト
ーシヨンゴムは第３図のトーシヨンゴム４と同じ
である。シート１２，１２′はトーシヨンゴム４
の両端に固着する円板１２ａ，１２′ａを有して
おり、この円板１２ａ，１２′ａは第１図に示す
シート５，５′と同じ形をしている。このシート
１２，１２′は円板１２ａ，１２′ａの外側の中心
部に傾斜板１２ｂ，１２′ｂが固着されている。
従つて、シート１２，１２′を有するトーシヨン
ゴム４をクラツチハブ２に取りつけるには、クラ
ツチハブ窓３の形をシート１２，１２′の傾斜板
１２ｂ，１２′ｂを収容可能な形にするだけで従
来のクラツチハブ２に取りつけられる。

第６図は第４実施例を示し、第１実施例のトー
シヨンゴム４の両側に、円弧状の外側面１３ａ及
び１３′ａを有するシート１３，１３′を固着した
ものである。

第７図は第５実施例を示し、シート１４，１
４′はいずれも円弧状の外側面１４ａ，１４′ａと
円弧状の内側面１４ｂ，１４′ｂとを有してい
る。そして、トーシヨンゴム４Ｂはそのシート取
付部が円弧状に突出して、両シート１４，１４′
の内側面１４ｂ，１４′ｂに固着可能な形状にな
つている。

第８図は第６実施例を示す。この実施例のシー
ト１５，１５′は、第６図におけるシート１３，
１３′が円弧状の外周面を有していたのに対し
て、三角形の外側面１５ａ，１５′ａを有してい
る。

第９図は第７実施例を示す。この実施例のシー
ト１６，１６′は第７図におけるシート１４，１
４′が円弧状の内、外側面を有していたのに対し
て、三角形の外側面１６ａ，１６′ａと三角形の
内側面１６ｂ，１６′ｂとを有している。又、ト
ーシヨンゴム４Ｃもそのシート取付部が三角形状
に突出して、両シート１６，１６′の内側面１６
ｂ，１６′ｂに固着可能な形になつている。

そして、第２実施例から第７実施例までの作用
効果は第１実施例と同様である。

第１０図は第８実施例を示す。この実施例にお
けるシート１７，１７′はそれぞれの外側面１７
ａ，１７′ａ及び内側面１７ｂ，１７′ｂが球面の
一部をなすように形成されている。又、トーシヨ
ンゴム４Ｄの両側のシート取付部も球面状になつ
ている。

第１１図は第９実施例を示す。この実施例にお
けるシート１８，１８′はそれぞれの外側面１８
ａ，１８′ａ及び内側面１８ｂ，１８′ｂが円錐面
状に形成されている。又、トーシヨンゴム４Ｅの
両側のシート取付部も円錐面状になつている。

上記、第８、第９実施例におけるように、シー
トがトーシヨンゴムをだきかかえるような形にす
ると、シート及びトーシヨンゴムのクラツチデイ
スク１の外周方向への移動を防止できるだけでな
く、第２図においてＢで示すデイスクプレート６
及びサブプレート７のトーシヨンゴム飛び出し防
止用フランジ６ａ及び７ａが必要でなくなる。又
この形式のシートではシートの両側の球面状又は
円錐状の外側部がクラツチハブ２のデイスク部２
ｂの窓穴により保持されるので、第１図にＣで示
すデイスク部２ｂの一部が不要となるため、クラ
ツチハブ２の軽量化ができる。

なお、上記各実施例はトーシヨンゴムについて
説明したが、トーシヨンゴムに代るトーシヨンス
プリングについても同様に適用することができ
る。

この考案は上記のように、車両用クラツチデイ
スクに設けられたクラツチハブ窓の形状を、デイ
スク部の円周方向に沿つた窓幅がデイスク部の内
側で大きくなるように形成し、両端のシートを含
むトーシヨン部材の形状もクラツチハブ窓に対応
した形状に形成したことにより、クラツチデイス
クが回転してトーシヨン部材及びシートに遠心力
が作用しても、トーシヨン部材及びシートはクラ
ツチハブに固定されてその半径方向に移動しな
い。従つて、シートがデイスクプレート及びサブ
プレートに当接することがなく、クラツチデイス
クの捩り特性を長期にわたり安定させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来のクラツチデイスクの一
部を示し、第１図はクラツチデイスクの一部切り
欠き正面図、第２図は第１図の側面図、第３図〜
第１１図はこの考案の実施例を示し、第３図は第
１実施例であり、イはシートを取りつけたトーシ
ヨンゴムをクラツチデイスクに取りつけた状態を
示す正面図、ロはイ図のシートの斜視図、第４図
は第２実施例であり、第３図イに対応する図、第
５図は第３実施例であり、イは第３図イに対応す
る図、ロはイ図のシートの斜視図、第６図は第４
実施例であり、第３図イに対応する図、第７図は
第５実施例であり、第３図イに対応する図、第８
図は第６実施例であり、第３図イに対応する図、
第９図は第７実施例であり、第３図イに対応する
図、第１０図は第８実施例であり、イは第３図イ
に対応する図、ロはイ図の一つのシートとトーシ
ヨンゴムの斜視図、第１１図は第９実施例であ
り、イは第３図イに対応する図、ロはイ図の一つ
のシートとトーシヨンゴムの斜視図である。 １……クラツチデイスク、２……クラツチハ
ブ、２ｂ……デイスク部、３……クラツチハブ
窓、４，４Ａ，４Ｂ，４Ｃ，４Ｄ，４Ｅ……トー
シヨンゴム、１０，１０′……シート、１０ｂ，
１０′ｂ……傾斜面、１１，１１′……シート、１
２，１２′……シート、１２ｂ，１２′ｂ……傾斜
板、１３，１３′……シート、１３ａ，１３′ａ…
…円弧状外側面、１４，１４′……シート、１４
ａ，１４′ａ……円弧状外側面、１５，１５′……
シート、１５ａ，１５′ａ……三角形外側面、１
６，１６′……シート、１６ａ，１６′ａ……三角
形外側面、１７，１７′……シート、１７ａ，１
７′ａ……球面形外側面、１８，１８′……シー
ト、１８ａ，１８′ａ……円錐状外側面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 適数のクラツチハブ窓をデイスク部の円周方向
   に有するクラツチハブと、軸線方向両端に一対の
   シートを固着し前記クラツチハブ窓に嵌合される
   トーシヨン部材と、前記デイスク部の両表面にデ
   イスク部に対して相対移動可能にそれぞれ取りつ
   けられて、トーシヨン部材を保持するデイスクプ
   レート及びサブプレートとを有する車両用クラツ
   チデイスクであつて、前記クラツチハブ窓の形状
   は前記デイスク部の円周方向に沿つた窓幅がデイ
   スク部の半径方向内側で大きくなるように形成さ
   れ、前記シートを含む前記トーシヨン部材の形状
   も前記クラツチハブ窓に対応した形状に形成され
   たことを特徴とする車両用クラツチのクラツチデ
   イスク。