JPS6244482Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、正の抵抗温度係数を有するチタン酸
バリウム系半導体磁器サーミスタ（以下正特性サ
ーミスタと言う）を使用した正特性サーミスタ装
置に関する。

正特性サーミスタは、キユリー温度を適当に選
定することにより任意の発熱温度が得られるこ
と、発熱温度または外部から与えられる温度があ
る特定温度に達すると、電気抵抗値が急激に増加
する正の抵抗温度特性を有し、自己発熱を自動的
に制御する自己温度制御機能または電流制御機能
が得られること等の特異な性質があり、これらの
特性、機能の故に各種発熱装置の発熱素子、電流
制御用素子或は感熱素子として利用されている。

第１図はこの種の正特性サーミスタ装置の従来
例を示し、磁器、耐熱絶縁材料で構成されたケー
ス１の内部に、電極端子２，３間に弾力的に挟持
された平板状の正特性サーミスタ４を内蔵させた
構造となつている。電極端子２は弧状に湾曲させ
てバネ性を持たせ、その凸面側が正特性サーミス
タ４の電極４ａに圧接するようにして、前記ケー
ス１の内部底面上に配置し、引出し端子部２ａを
ケース１の肉厚部を貫通して外部へ導出してあ
る。電極端子３は正特性サーミスタ４の他の電極
４ｂのほぼ全面を覆うように圧接させると共に、
引出端子部３ａを、ケース１の肉厚部を貫通し
て、前記電極端子２の引出し端子部２ａと同一の
方向に導出してある。これらの電極端子２，３は
銅、銅合金、ステンレスまたはアルミニユーム等
の金属材料によつて構成される。

従来の正特性サーミスタ装置は上述のような構
造であつたから、これを発熱装置等に実際に組込
むには、第２図に示すように、当該正特性サーミ
スタ装置の電極端子３と機器側の被加熱体５との
間にマイカ、シリコンまたはポリエステル等より
成る耐熱絶縁板６を挟込み、この状態で正特性サ
ーミスタ装置、絶縁板６及び被加熱体５を耐熱接
着剤もしくは機械的結合手段によつて一体化する
ことが必要であつた。このため、従来の正特性サ
ーミスタ装置は、被加熱体、熱源体などに対する
取付け作業が面倒で、しかも取付後に絶縁試験を
行なう必要がある等、機器への組込み作業が面倒
で煩わしいという欠点があつた。

本考案は上述する従来の欠点を除去し、正特性
サーミスタを機器側の被加熱体または熱源体に熱
結合させる場合に、組立が非常に容易で、しかも
高度の熱結合性、電気的絶縁性を確保しうる正特
性サーミスタ装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本考案に係る正特性
サーミスタ装置は、一面側に一対の分割電極を間
隔をおいて設け、前記一面側と対向する平面状の
他面側の略全面に共通電極を平面状に設けた正特
性サーミスタと、前記正特性サーミスタの前記共
通電極側を被加熱体または熱源体の平面部に面接
着させる耐熱性両面接着シートと、前記正特性サ
ーミスタの分割電極に対してバネ接触する一対の
電極端子と、前記正特性サーミスタ、前記両面接
着シート及び前記電極端子を覆うようにして前記
被加熱体または熱源体に取付け固定され、前記電
極端子を前記分割電極の方向に押圧するケースと
を備えることを特徴とする。

以下実施例たる添付図面を参照し、本考案の内
容を具体的に説明する。第３図は本考案に係る正
特性サーミスタ装置の正面図である。この実施例
では、平板状の放熱体または熱源体７の表面に、
両面接着シート８を用いて正特性サーミスタ９の
一面側を接着した構造となつている。前記正特性
サーミスタ９は、第４図及び第５図に示すよう
に、接着される面側と反対の面上にギヤツプG₁
を隔てて対向する一対の分割電極１０，１１を設
けると共に、接着される面側の略全面にこの分割
電極１０，１１に対して共通となる共通電極１２
を設けた構造となつている。

前記両面接着シート８はマイラー、ポリエステ
ル、ポリイミド等の耐熱性に優れた絶縁シートも
しくはフイルムをベースとし、その両面に予め接
着剤を塗布したものであつて、市販品として容易
に入手できる。

正特性サーミスタ９の分割電極１０，１１に
は、バネ性を有する電極端子１３，１４を対接さ
せてあり、これをケース１５によつて弾圧保持し
てある。ケース１５は正特性サーミスタ９、両面
接着シート８及び電極端子１３，１４の組立体を
覆うように配置した上で、その端部を被加熱体ま
たは熱源体７に取付け固定してある。

上述のように、正特性サーミスタ９を両面接着
シート８によつて放熱体または熱源体７に接着す
る構造であると、接着剤の塗布工程や機械的結合
の組立工程が不要になり、機器に対する組込み作
業が非常に簡単かつ容易になる。しかも、両面接
着シート８は接着剤の塗布厚さが均一でベース自
体も10μｍ〜300μｍの極く薄い層となるから、
高度の熱結合性を確保することができる。また、
両面接着シート８は、前述のような絶縁シートで
構成されるものであるから、十分な絶縁性を確保
することもできる。

また、正特性サーミスタ９として、一面側に分
割電極１０，１１を設け、対向面側に共通電極１
２を設けた構造のものを使用したので、平面状の
共通電極１２を放熱体または熱源体７に平面的に
熱結合させることができる。このため、熱結合性
がより一層密になり、熱効率、熱感度が向上す
る。

更に、正特性サーミスタ９の分割電極１０，１
１に対してバネ性を有する電極端子１３，１４を
対接させ、これをケース１５によつて弾圧保持し
たので、加熱ー冷却の繰返し動作に伴つて、正特
性サーミスタ９、両面接着シート８、被加熱体ま
たは熱源体７等の熱膨張係数の差異に起因して発
生する熱的ストレスを、弾圧保持構造によつて吸
収し、熱的ストレスによつて両面接着シート８が
剥離するのを防止できる。このため、長期間使用
しても、高度の熱結合性、熱効率及び熱感度を保
つことができる。

仮に、加熱ー冷却の繰返し動作または熱的劣化
によつて、両面接着シート８の接着力が低下した
場合でも、電極端子１３，１４のバネ性によつ
て、正特性サーミスタ９を、被加熱体または熱源
体７に密着させ、高度の熱結合性、熱効率及び熱
感度を保持することができる。

また、一対の分割電極１０，１１を設けると共
に、この分割電極１０，１１に一対の電極端子１
３，１４をバネ接触させてあるので、バネ押圧箇
所が２箇所になり、正特性サーミスタ９、両面接
着シート８及び被加熱体または熱源体７の間の接
着界面に偏りのないバネ圧が加えられ、熱結合度
が高くなる。

以上述べたように、本考案に係る正特性サーミ
スタ装置は、一面側に一対の分割電極を間隔をお
いて設け、前記一面側と対向する平面状の他面側
の略全面に共通電極を平面状に設けた正特性サー
ミスタと、前記正特性サーミスタの前記共通電極
側を被加熱体または熱源体の平面部に面接着させ
る耐熱性両面接着シートと、前記正特性サーミス
タの分割電極に対してバネ接触する一対の電極端
子と、前記正特性サーミスタ、前記両面接着シー
ト及び前記電極端子を覆うようにして前記被加熱
体または熱源体に取付け固定され、前記電極端子
を前記分割電極の方向に押圧するケースとを備え
ることを特徴とするから、次のような効果が得ら
れる。

(a) 正特性サーミスタを機器側の被加熱体または
熱源体に熱結合させる場合に、組立が非常に容
易で、しかも高度の熱結合性、電気的絶縁性を
確保しうる正特性サーミスタ装置を提供するこ
とができる。

(b) 正特性サーミスタとして、一面側に分割電極
を設け、対向面側に共通電極を設けた構造のも
のを使用したので、平面状の共通電極を放熱体
または熱源体に平面的に熱結合させることがで
きる。このため、熱結合性がより一層密にな
り、熱効率、熱感度が向上する。

(c) 正特性サーミスタの分割電極に対してバネ性
を有する電極端子を対接させ、これをケースに
よつて弾圧保持したので、加熱ー冷却の繰返し
動作に伴つて、正特性サーミスタ、両面接着シ
ート、被加熱体または熱源体等の熱膨張係数の
差異に起因して発生する熱的ストレスを、弾圧
保持構造によつて吸収し、熱的ストレスによつ
て両面接着シートが剥離するのを防止できる。
このため、長期間使用しても、高度の熱結合
性、熱効率及び熱感度を保つことができる。

(d) 加熱ー冷却の繰返し動作または熱的劣化によ
つて、両面接着シートの接着力が低下した場合
でも、電極端子のバネ性によつて、正特性サー
ミスタを、被加熱体または熱源体に熱的に密着
させ、高度の熱結合性、熱効率及び熱感度を保
持することができる。

(e) 一対の分割電極を設けると共に、この分割電
極に一対の電極端子をバネ接触させてあるの
で、バネによる押圧箇所が２箇所になり、正特
性サーミスタ、両面接着シート及び被加熱体ま
たは熱源体の間の接着界面に偏りのないバネ圧
が加えられ、熱結合度が高くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の正特性サーミスタ装置の正面断
面図、第２図は同じく機器への組込み方法を説明
する図、第３図は本考案に係る正特性サーミスタ
装置の断面図、第４図は同じく正特性サーミスタ
の平面図、第５図は同じくその底面図である。 ７……被加熱体または熱源体、８……両面接着
シート、９……正特性サーミスタ、１０，１１…
…分割電極、１２……共通電極、１３，１４……
電極端子、１５……ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一面側に一対の分割電極を間隔をおいて設け前
   記一面側と対向する平面状の他面側の略全面に共
   通電極を平面状に設けた正特性サーミスタと、前
   記正特性サーミスタの前記共通電極側を被加熱体
   または熱源体の平面部に面接着させる耐熱性両面
   接着シートと、前記正特性サーミスタの分割電極
   に対してバネ接触する一対の電極端子と、前記正
   特性サーミスタ、前記両面接着シート及び前記電
   極端子を覆うようにして前記被加熱体または熱源
   体に取付け固定され、前記電極端子を前記分割電
   極の方向に押圧するケースとを備えることを特徴
   とする正特性サーミスタ装置。