JPS6242866Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のスペアタイヤ支持装置に関
し、特にバン・ワゴン型等の自動車において車体
下側にスペアタイヤを吊下げ状態で支持するスペ
アタイヤ支持装置の改良に関するものである。

従来より、この種自動車のスペアタイヤ支持装
置として、例えば実開昭56−70377号公報等に開
示されているように、前端部が車体に回動自在に
取付けられたスペアタイヤ載置用のタイヤキヤリ
アと、上端部が該タイヤキヤリアの後端部に対応
する車体に回動自在に取付けられたフツク部材と
を備え、上記タイヤキヤリア後端部をフツク部材
の下端部に係合せしめて保持するようにしたもの
は知られている。

ところが、上記従来のものでは、スペアタイヤ
の取外し時には、スペアタイヤが載置されたタイ
ヤキヤリア後端部を片手で持ち上げながらフツク
部材を外方に回動させて、タイヤキヤリア後端部
の係合状態を解除しなければならず、その取外し
操作が面倒であるという問題があつた。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、ス
ペアタイヤの取外し時にタイヤキヤリアの後端部
を持ち上げると、それに連動してフツク部材が外
方に回動してタイヤキヤリア後端部の係合状態が
解除されるようにすることにより、スペアタイヤ
の取外し操作を容易に行い得るようにすることを
目的とするものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例である
スペアタイヤ支持装置Ａを装備したワゴン型自動
車を示し、１は車体、２は車体１の背面に開閉自
在に取付けられたバツクドア、３は車体１のフロ
ア部を構成するフロアパネルであつて、該フロア
パネル３の後部下側には、ブラケツト４を介して
スペアタイヤＴ載置用のタイヤキヤリア５の前端
部５ａが回動自在に取付けられているとともに、
該タイヤキヤリア５の後端部５ｂに対応してタイ
ヤキヤリア５後端部５ｂを保持する保持手段６が
設けられている。

上記保持手段６は、フロアパネル３の上面側か
らフロアパネル３を貫通して垂下するロツクボル
ト７を備え、該ロツクボルト７の下部外周には、
内周面にネジ部８ａを有する円管状のクランプ部
材８が螺合連結されていて、該クランプ部材８は
ロツクボルト７の回転操作により上下動するよう
になつている。上記クランプ部材８の下端部には
ピン９を介して、前方に開口する断面コ字状のフ
ツク部材１０が車体前後方向の垂直面内を回動自
在に支承されている。該フツク部材１０の下端部
前側には上記タイヤキヤリア５後端部５ｂと係合
可能な鈎状の係止部１０ａが形成され、該係止部
１０ａの下端面は前方上向きに傾斜する傾斜面１
０ｂに形成されている。

また、上記クランプ部材８の下端部には前方に
突出するベースプレート１１の後端部が固着さ
れ、該ベースプレート１１の前部にはピン１２を
介して略く字状のレバー１３がその中央部にて回
動可能に支承されている。該レバー１３はその一
端部１３ａが上記フツク部材１０に当接している
一方、他端部１３ｂは上記フツク部材１０の傾斜
面１０ｂに対応して後側に湾曲するよう延長され
ていて後方下向きに傾斜する湾曲部１３ｃが形成
されている。以上によつて、スペアタイヤＴの取
外し時タイヤキヤリア５後端部５ｂを持ち上げる
と、該タイヤキヤリア５後端部５ｂがレバー１３
の一端部１３ａに当接して該レバー１３を介して
フツク部材１０を外方に回動させるようにした本
考案のスペアタイヤ支持装置Ａが構成されてい
る。

尚、１４はフロアパネル３の後部下面に固定さ
れたフロアクロスメンバ、１５はフロアパネル３
の後端部のリヤクロスメンバ、１６はベースプレ
ート１１とレバー１３との間に介設された思案点
スプリングであつて、該思案点スプリング１６
は、通常はレバー１３を内方寄り（第２図で時計
方向）に回動付勢し、レバー１３がある位置（思
案点）より外方に回動したときには逆に該レバー
１３をより外方寄り（第２図で反時計方向）に回
動付勢するものである。また、１７はベースプレ
ート１１の前端部に一体成形されたストツパであ
つて、レバー１３の前方寄りの回動を規制するも
のである。１８はレバー１３にフツク部材１０を
支持するピン９との干渉を避けるために形成され
た切欠き部、１９はストツプリング、２０はワツ
シヤである。

次に、上記スペアタイヤ支持装置Ａの作動を第
１図、第２図および第４図により説明する。

通常は、第２図に示す如きスペアタイヤＴの支
持状態において、ロツクボルト７の締付け方向へ
の回転操作によりタイヤキヤリア５の後端部５ｂ
をクランプ部材８およびフツク部材１０を介して
上方に引き上げ、該タイヤキヤリア５上に載置さ
れたスペアタイヤＴをフロアパネル３下側のフロ
アクロスメンバ１４に押し付けることにより、ス
ペアタイヤＴがフロアパネル３とタイヤキヤリア
５との間で強固に保持されている。

このような状態からスペアタイヤＴを取外す場
合には、先ず、ロツクボルト７を弛緩方向に回転
させてタイヤキヤリア５後端部５ｂを下げ、スペ
アタイヤＴとフロアクロスメンバ１４との間に、
タイヤキヤリア５を上方に持ち上げるのに必要な
空間を確保する。

しかる後、上記タイヤキヤリア５後端部５ｂを
上方に持ち上げると、該タイヤキヤリア５後端部
５ｂがレバー１３の一端部１３ａに当接し、この
ことにより、上記レバー１３は、タイヤキヤリア
５からの押圧力によりピン１２回りに思案点スプ
リング１６の内方寄り方向への付勢力に抗して外
方（反時計方向）に回動し、また該レバー１３に
当接したフツク部材１０はレバー１３の回動に伴
つてピン９回りに外方に回動する。そして、上記
レバー１３がある位置（思案点）よりも外方に回
動すると、上記思案点スプリング１６の付勢力が
外方寄り方向に変わるため、上記レバー１３およ
びフツク部材１０は、第４図ａに示すように思案
点スプリング１６の付勢力によりフツク部材１０
の上端がクランプ部材８の外側面に当接するまで
回動しかつその状態に保持される。

この状態で上記タイヤキヤリア５後端部５ｂを
下方に引き下げると、フツク部材１０の係止部１
０ａが元の位置よりも外方に移動しているため、
タイヤキヤリア５後端部５ｂは、該係止部１０ａ
と係合することなくその前方を通つて下降するこ
とになる。

その後、第４図ｂに示すように上記タイヤキヤ
リア５後端部５ｂがレバー１３の湾曲部１３ｃに
当接するが、さらに該タイヤキヤリア５後端部５
ｂを引き下げると、上記レバー１３は思案点スプ
リング１６の外方寄り方向への付勢力に抗してピ
ン１２回りに内方（時計方向）に回動する。そし
て、上記レバー１３がある位置（思案点）よりも
内方に回動すると、上記思案点スプリング１６の
付勢力が再度内方寄り方向に変わるため、レバー
１３は、思案点スプリング１６の付勢力によりベ
ースプレート１１のストツパ１７に当接するまで
回動する。また、上記フツク部材１０は、レバー
１３からの押圧力がなくなるため、自重によりピ
ン９回りに内方に回動し元の位置に戻る。そのこ
とにより、上記タイヤキヤリア５後端部５ｂはレ
バー１３の湾曲部１３ｃとの係合から解放されて
下降し、該後端部５ｂを接地させることにより、
第１図の仮想線で示すようにタイヤキヤリア５が
後方下向きに傾いた状態となり、該タイヤキヤリ
ア５上からスペアタイヤＴを取り出すことができ
る。

一方、スペアタイヤＴを取付ける場合には、上
述の如く後方下向きに傾けたタイヤキヤリア５上
にスペアタイヤＴを載置した後、該タイヤキヤリ
ア５後端部５ｂを上方に持ち上げると、第４図ｃ
に示すようにタイヤキヤリア５後端部５ｂがフツ
ク部材１０の傾斜面１０ｂに摺接し、このことに
より、該フツク部材１０は、タイヤキヤリア５か
らの押圧力によりピン９回りに外方に回動する。
そして、上記タイヤキヤリア５後端部５ｂが所定
量持ち上げられてフツク部材１０の傾斜面１０ｂ
から離れると、該フツク部材１０は自重により内
方に回動し元の位置に戻る。この状態でタイヤキ
ヤリア５後端部５ｂを下ろすと、該タイヤキヤリ
ア５後端部５ｂはフツク部材１０の係止部１０ａ
と係合して保持される。

しかる後、ロツクボルト７を締付け方向に回転
させてタイヤキヤリア５後端部５ｂを引き上げる
ことにより、スペアタイヤＴがフロアパネル３と
タイヤキヤリア５との間で強固に保持される。

尚、上述の如きスペアタイヤＴの取外し時また
は取付け時には、ロツクボルト７を回転操作する
ためにバツクドア２を開けておく必要があるが、
これはスペアタイヤＴの盗難防止のために採られ
た措置である。

したがつて、このように、スペアタイヤＴの取
外し時または取付け時には、タイヤキヤリア５の
後端部５ｂを持ち上げるだけで該タイヤキヤリア
５をフツク部材１０の係止部１０ａに係合させた
りあるいはその係合状態を解除したりすることが
できるので、１人だけでもスペアタイヤＴの取外
しや取付けを簡単にかつ容易に行うことができ、
その操作性の向上を図ることができる。

尚、上記実施例では、本考案をワゴン型自動車
に適用した場合について説明したが、バン型等の
自動車にも同様に適用できるのは勿論である。

以上説明したように、本考案によれば、スペア
タイヤの取外し時にタイヤキヤリア後端部を持ち
上げると、該タイヤキヤリア後端部がレバーの一
端部に当接して該レバーを介してフツク部材を外
方に回動させて該フツク部材との係合状態が解除
されるものであるので、タイヤキヤリア後端部の
持上げ操作という簡単な操作によつてスペアタイ
ヤの取外しを容易に行うことができ、よつてその
取外し操作性の向上を図ることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
ワゴン型自動車のスペアタイヤ支持装置の全体構
成を示す概略図、第２図は第１図の要部拡大図、
第３図は第２図の−線における拡大断面図で
あり、第４図ａ〜ｃはスペアタイヤ支持装置の作
動説明図である。 Ａ……スペアタイヤ支持装置、Ｔ……スペアタ
イヤ、１……車体、３……フロアパネル、５……
タイヤキヤリア、５ａ……前端部、５ｂ……後端
部、８……クランプ部材、１０……フツク部材、
１０ａ……係止部、１３……レバー、１３ａ……
端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端部が車体に回動自在に取付けられたスペア
   タイヤ載置用のタイヤキヤリアの後端部に対応す
   る車体に上下動自在のクランプ部材が取付けら
   れ、このクランプ部材にタイヤキヤリア後端部と
   係合可能な係止部を有するフツク部材がその上端
   部にて回動自在に、また略く字状のレバーがその
   中央部にて回動可能にそれぞれ設けられており、
   上記レバーはその一端部がフツク部材に当接して
   いて、スペアタイヤ取外し時のタイヤキヤリア上
   方移動により該タイヤキヤリア後端部がレバーの
   一端部に当接して該レバーを介してフツク部材を
   外方に回動させるように構成されていることを特
   徴とする自動車のスペアタイヤ支持装置。