JPS6242513Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、変圧器，リアクトル等の油入電気機
器に関するものである。

一般に油入電気機器においては、電気機器本体
で発生した熱を絶縁油に伝達させ、絶縁油を放熱
器に流通させて放熱させることによりケース内に
収納された電気機器本体を冷却している。しかし
電気機器本体の巻線内部は絶縁油に直接接する部
分よりも高温になる上に、その熱が絶縁油に伝達
されにくいため、巻線内部の冷却が十分に行なわ
れず、巻線内部の絶縁物が熱により劣化すること
があつた。そこで巻線内部にヒートパイプを挿入
することにより巻線内部の熱を電気機器のケース
の外部に導いて巻線の冷却効率を高めることが提
案された。しかしヒートパイプは文字通りパイプ
状に構成されていて巻線との接触面積が少なく、
巻線からヒートパイプへの熱伝達が十分に行なわ
れないため所期の放熱効果が得られていなかつ
た。

本考案の目的は、ヒートパイプへの熱伝達を良
好にして巻線の冷却効率を高めた油入電気機器を
提供することにある。

以下図示の実施例により本考案の油入電気機器
を詳細に説明する。

第１図乃至第３図は油入変圧器に本考案を適用
した実施例を示したもので、第１図において１は
上端開口部がカバー２により気密且つ液密に閉じ
られた変圧器ケース、３はケース１の側壁に取付
けられた放熱器である。ケース１内には絶縁油４
とともに変圧器本体５が収納され、巻線６の端部
はカバー２に取付けられた低圧ブツシング７及び
高圧ブツシング８にそれぞれ口出線９及び９′に
より接続されている。１０は上端がカバー２を貫
通してケース１の外部に導出され、下端部側が巻
線６内に挿入されたヒートパイプで、このヒート
パイプのケース外に突出した端部には放熱フイン
Ｆが取付けられている。

第２図に示したように、巻線６は内側に位置す
る低圧巻線６１と、低圧巻線６１の外側に同心的
に配置された高圧巻線６２とからなり、低圧巻線
６１の内側の窓部６１ａに鉄心の脚部が挿入され
る。低圧巻線６１の外周及び高圧巻線６２の内周
にはそれぞれ適宜の厚さを有するように巻回され
た主絶縁物６３及び６４が配設され、両主絶縁物
６３，６４の間の間隙に集熱体１１とともにヒー
トパイプ１０が挿入されている。更に詳細に述べ
ると、第３図に示したように、集熱体１１は、銅
やアルミニウム等の熱伝導性の良好な材料からな
る比較的薄い帯板を低圧巻線６１の外周に配設し
た主絶縁物６３の外周面に密接する径寸法で螺旋
状に成形したものからなり、閉ループを形成しな
い構造になつている。この集熱体１１の軸方向の
長さは、低圧巻線６１の巻回軸方向の寸法に略等
しく設定されている。ヒートパイプ１０は本実施
例では３本設けられ、これら３本のヒートパイプ
はそれぞれの下端部１０ａが集熱体１１の下端部
１１ａ付近の外周面に位置するように設けられて
互いに平行にして集熱体１１の螺旋状に延びる外
周面に添わせて巻き付けられている。各ヒートパ
イプ１０は半田付けやろう付け等の適宜の手段に
より集熱体１１に伝熱的に接合されている。各ヒ
ートパイプ１０の螺旋状に巻回された部分の上端
１０ｂは集熱体１１の上端１１ｂから巻線の巻回
軸方向に立上るように折曲げられ、各ヒートパイ
プ１０の集熱体１１の上端部から立上つた立上り
部１０ｃの上端が第１図に示したようにカバー２
を貫通して外部に導出されている。

上記集熱体及びヒートパイプを巻線内部に配設
するに当つては先ず帯板を螺旋状に曲成して集熱
体１１を形成し、この集熱体にヒートパイプ１０
を接合した後に集熱体１１を低圧巻線６１の外側
の主絶縁物６３の外周面に嵌合させる。しかる後
ヒートパイプ１０の螺旋状部の外側に主絶縁物６
４を巻きつけ、更にこの主絶縁物６４の外周に高
圧巻線６２を巻回する。このようにすることによ
り低圧巻線と高圧巻線との間に所定の絶縁強度を
保持して集熱体とヒートパイプの螺旋状部を配設
することができる。

上記の油入電気機器において運転により巻線の
温度が上昇した場合、巻線で発生した熱は集熱体
１１に伝達され、各ヒートパイプ１０の集熱体に
巻付けられた部分が加熱される。これによりヒー
トパイプ１０の内部の冷媒が気化し、気化した冷
媒はパイプ内を上昇してカバー２の上方に突出し
たヒートパイプの上端部に達する。このようにし
て冷媒により運ばれた熱はヒートパイプ１０の上
端部に設けられた放熱フインＦ等を通して外部に
放散されるため冷媒は再び液化し、ヒートパイプ
１０の下端部に戻る。このようにして冷媒が循環
し、巻線内部の熱を直接ケース外に放出させて巻
線を効率良く冷却する。また集熱体１１は低高圧
巻線間に介在しているため、巻線に雷サージが侵
入した場合には混触防止板の役目を果し、低圧巻
線への雷サージの侵入を防止することができる。
更に集熱体１１に形成された螺旋状の間隙１１Ａ
は油道として作用するので巻線内部における絶縁
油の流通を良好にして巻線の冷却を一層効果的に
行なわせることができる。

上記実施例ではヒートパイプを３本設けたがヒ
ートパイプの本数は任意である。また本実施例で
は集熱体の軸方向寸法を巻線の軸方向寸法に略等
しくしたが両者の寸法関係は任意である。更に集
熱体１１は高低圧巻線間に設けたが、必要に応じ
低圧巻線の内部に設けてもよい。また場合によつ
ては集熱体１１の内周面にヒートパイプの螺旋状
部を接合するようにしてもよい。また、集熱体に
巻付けたヒートパイプの両端部間には低電圧を誘
起するので、これを変圧器に付属させた例えば表
示装置等の制御回路電源の３次巻線として利用す
ることができる。

以上のように、本考案によれば、ヒートパイプ
を集熱体に添わせて螺旋状に巻いて巻線内部に配
設するようにしたので、巻線からヒートパイプへ
の熱伝達を良好にして巻線の冷却効率を高めるこ
とができる利点がある。特に本考案においては集
熱体を螺旋状にしているため電気的な閉ループを
形成することなしにヒートパイプを２ターン以上
巻きつけることができ、ヒートパイプと集熱体と
の接触面積を増大させて冷却効率を一層高めるこ
とができる。更に集熱体に形成された螺旋状の間
隙により油道を形成できるため巻線内部に油流を
生じさせて油の自然対流による巻線の冷却効果を
増進させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を油入変圧器に適用した一実施
例を一部断面して示した正面図、第２図は第１図
の変圧器本体の巻線部分の断面図、第３図はヒー
トパイプを取付けた集熱体の一例を示す斜視図で
ある。 １……ケース、２……カバー、４……絶縁油、
５……変圧器本体、６……巻線、１０……ヒート
パイプ、１１……集熱体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケース内に絶縁油とともに電気機器本体が収納
   された油入電気機器において、板状材料を螺旋状
   に成形してなる集熱体が前記電気機器本体の巻線
   内部に配設されて、前記集熱体に添わせて螺旋状
   に成形されたヒートパイプが接合され、前記ヒー
   トパイプの一端が前記ケースの外部に導出されて
   いることを特徴とする油入電気機器。