JPS6237950Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用内燃機関等の燃料供給装置
として用いられる可変ベンチユリ方式の摺動絞り
弁型気化器に係り、更に詳細にはメータリングニ
ードルがフローテイング式の取付構造によつて摺
動絞り弁に取付けられている型の摺動絞り弁型気
化器に係る。

可変ベンチユリ方式の摺動絞り弁型気化器の一
つとして、気化器本体に設けられた吸気通路を横
切る方向に移動可能に設けられ可変ベンチユリを
構成する有底筒状の摺動絞り弁と、前記摺動絞り
弁の先端部に対向して設けられ前記吸気通路に開
口したニードルジエツトと、前記摺動絞り弁の先
端部をなす底部に形成された貫通孔を経て前記底
部より突出して前記ニードルジエツトに嵌合する
とともに前記摺動絞り弁の筒内に位置する突出基
端に設けられたフランジ部と前記底壁との係合に
より抜け止めされたメータリングニードルとを有
し、前記メータリングニードルが前記摺動絞り弁
の筒内に係止されたリテーナと前記フランジ部と
の間に設けられた圧縮ばねにより突出方向へ付勢
されたり、或いは単に貫通孔により支承された、
即ち前記メータリングニードルがフローテイング
式の取付構造によつて摺動絞り弁に取付けられて
いる型の摺動絞り弁型気化器が従来より知られて
いる。

上述の如きフローテイング式の取付構造は、メ
ータリングニードルが摺動絞り弁に対しセルフリ
ターン作用の下に所定の範囲内にて傾動すること
を許し、メータリングニードルとニードルジエツ
トとの円滑な嵌合を容易ならしめ、また吸気脈動
やエンジンその他の振動によりメータリングニー
ドルに無理な力が作用することを回避する効果を
奏し、有用なものであるが、しかし摺動絞り弁は
その筒内に内壁よりその内方へ向けて突出形成さ
れリテーナの外周縁部に突出形成された係止片部
と選択的に係合する係止片部を備えていなければ
ならず、これが摺動絞り弁の製作性を悪化させて
いる。

即ち、摺動絞り弁は、アルミニウム合金の如き
金属製の場合には金型鋳造により製造され、合成
樹脂製の場合には金型を用いた射出成形により製
造されるが、いずれに於ても筒内に上述の如くそ
の内方に突出した係止片部を有していると、型抜
きのことから簡単な金型装置によつては成形され
得ず、この摺動絞り弁の成形には比較的複雑な金
型装置が必要になる。このため従来に於ては、前
記摺動絞り弁の前記係止片部は切削加工による削
り出しにより形成されており、これは摺動絞り弁
の製造工数を増大し、摺動絞り弁の製作性を悪化
して摺動絞り弁の製造価格を高騰させる原因にな
つている。

本考案は、フローテイング方式の取付構造によ
りメータリングニードルが摺動絞り弁に取付けら
れた型の摺動絞り弁型気化器に於ける上述の如き
製作性に関する問題に鑑み、簡単な金型装置によ
つて生産性よく製造され得るよう改良された係止
片部付きの摺動絞り弁を備えた摺動絞り弁型気化
器を提供することを目的としている。

上述の如き目的は、本考案によれば、気化器本
体に設けられた吸気通路を横切る方向に移動可能
に設けられ可変ベンチユリを構成する有底筒状の
摺動絞り弁と、前記摺動絞り弁の先端部に対向し
て設けられ前記吸気通路に開口したニードルジエ
ツトと、前記摺動絞り弁の先端部をなす底壁に形
成された貫通孔を経て前記底壁より突出して前記
ニードルジエツトに嵌合するとともに前記摺動絞
り弁の筒内に位置する突出基端に設けられたフラ
ンジ部と前記底壁との係合により抜け止めされた
メータリングニードルとを有し、前記メータリン
グニードルは前記摺動絞り弁の筒内に係止された
リテーナにより前記フランジ部が覆われて保持さ
れる摺動絞り弁型気化器に於て、前記リテーナは
外周縁部にその周方向に互いに隔置して突出形成
された舌片状の複数個の第一の係止片部を有し、
前記摺動絞り弁は筒内に内壁よりその内方へ向け
て突出形成され前記第一の係止片部と選択的に係
合する舌片状の複数個の第二の係止片部を周方向
に互いに隔置して有し、前記摺動絞り弁の前記底
壁には該摺動絞り弁の軸線方向に見て前記第二の
係止片部の各々に整合する位置に前記第二の係止
片部の前記底壁に対する正投影形状に実質的に等
しい形状の型抜き用透孔が設けられていることを
特徴とする摺動絞り弁型気化器によつて達成され
る。

上述の如き構成によれば、前記摺動絞り弁の金
型成形に際して前記第二の係止片部を成形する部
分の金型を前記摺動絞り弁の前記底壁を隔ててそ
の両側より型合せと型抜きすることができ、この
ことにより前記第二の係止片部を有する摺動絞り
弁が二分割の簡単な金型装置によつて鋳造或いは
射出成形により生産性よく製造され得るようにな
る。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案による摺動絞り弁型気化器の一
つの実施例をその全体について示している。第１
図に於て、１は気化器本体を示しており、該気化
器本体１は水平方向に延在する吸気通路２を有し
ている。気化器本体１には有底筒状の摺動絞り弁
３が吸気通路２を横切る方向に移動可能に設けら
れており、該摺動絞り弁３は、これを受入れる孔
４より吸気通路２内に突出し、その先端部をなす
底壁５とこれに対向する吸気通路２の内壁との間
に可変ベンチユリ部６を構成している。

気化器本体１には、摺動絞り弁３の底壁５に対
向する位置に取付けられて吸気通路２に開口した
ニードルジエツト７が設けられており、該ニード
ルジエツト７は気化器本体１に垂直方向に延在し
て取付けられたエアブリードチユーブ８及び該エ
アブリードチユーブ８の下端部に取付けられたメ
イン燃料ジエツト９を経てフロート室１０に連通
している。

吸気通路２を流れる吸気流で見て可変ベンチユ
リ部６より下流側には弁軸１１によつて気化器本
体１に対し回動可能に支持された吸入混合気量制
御用のスロツトル弁１２が設けられている。

気化器本体１には、吸気通路２を流れる吸気流
で見て図示されている如きアイドル開度位置にあ
るスロツトル弁１２より下流側の位置にて吸気通
路２に開口したアイドルポート１３と、アイドル
開度位置にあるスロツトル弁１２の外周縁部近傍
に対応する位置にて吸気通路２に開口したスロー
ポート１４とが設けられており、アイドルポート
１３とスローポート１４とは気化器本体１に設け
られたスロー燃料通路１５及びスロー燃料ジエツ
トを兼ねたエアブリードチユーブ１６を経てフロ
ート室１０に連通している。

フロート室１０は、気化器本体１と該気化器本
体の外壁に取付けられたフロート室ケース１７と
により構成され、燃料入口１８よりガソリンの如
き液体燃料をフロート１９により開閉制御するフ
ロート弁２０を経て供給され、一定量の液体燃料
を貯容するようになつている。

摺動絞り弁３は、ダイヤフラム装置２１のダイ
ヤフラム２２に接続され、ダイヤフラム２２の図
にて上方に郭定されたダイヤフラム室２３に導入
される負圧の増大に応じて圧縮コイルばね２４の
ばね力に抗して図にて上方へ変位し、可変ベンチ
ユリ部６を拡大するようになつている。

ダイヤフラム２２の図にて下方に郭定されたダ
イヤフラム室２５はポート２６によつて吸気通路
２の上流側のほぼ大気中に開放されており、これ
に対しダイヤフラム室２３には摺動絞り弁３の底
壁５に設けられ可変ベンチユリ部６に開口した負
圧取入れポート５ａ（第３図参照）よりベンチユ
リ負圧が供給されるようになつている。従つて、
摺動絞り弁３は、ベンチユリ負圧の増大に応じ
て、即ち吸入空気量の増大に応じて圧縮コイルば
ね２４のばね力に抗して図にて上方へ変位し、可
変ベンチユリ部６を拡大するようになる。

摺動絞り弁３にはメータリングニードル２７が
取付けられている。第２図によく示されている如
く、メータリングニードル２７は、摺動絞り弁３
の底壁５の中央部に設けられた貫通孔２８を貫通
して吸気通路２内に突出し、ニードルジエツト７
及びエアブリードチユーブ８内に軸線方向に移動
可能に嵌合し、ニードルジエツト７と共働して該
ニードルジエツトよりの燃料流量を制御するよう
になつている。メータリングニードル２７の突出
基端は摺動絞り弁３の筒内に位置しており、該突
出基端にはフランジ部材２９がかしめ等の適宜の
手段により固定されている。メータリングニード
ル２７はフランジ部材２９と底壁５の内側に突出
形成された環状座部３０との係合により抜け止め
されている。

摺動絞り弁３内には底壁５より貫通孔２８と同
心に円筒部３１が突出形成されており、該円筒部
の先端の開口縁部には該開口縁部より径方向内方
へ向けて突出した舌片状の係止片部３２が２個周
方向に互いに隔置して設けられている（第３図、
第４図）。

円筒部３１内には円筒状のばねリテーナ３３が
挿入されている。ばねリテーナ３３は、係止片部
３２のアンダカツト面３２ａに選択的に係合する
係止用フランジ片部３４と、底壁５に接合する底
部フランジ片部３５とを有し、係止用フランジ片
部３４の上面にて係止片部３２の下面、即ちアン
ダカツト面３２ａに係合することにより係止片部
３２と底壁５との間に挟まれて摺動絞り弁３に対
し固定されている。ばねリテーナ３３の筒内には
圧縮コイルばね３６が設けられており、該圧縮コ
イルばねは、ばねリテーナ３３の底部とフランジ
部材２９との間に設けられて、メータリングニー
ドル２７を突出方向、即ち図にて下方へ付勢して
いる。

ばねリテーナ３３の係止用フランジ片部３４と
底部フランジ片部３５とには、第５図によく示さ
れている如く、係止片部３２に対し補形をなす形
状の切欠部３７，３８が設けられておりこれによ
り係止用フランジ片部３４は二つの実質的に舌片
状の係止片部をなしている。

ばねリテーナ３３の円筒部３１内に対する挿入
は、切欠部３７，３８が係止片部３２に整合する
方向姿勢にて行なわれ、ばねリテーナ３３は、切
欠部３７，３８によつて係止片部３２を越えて円
筒部３１内に挿入された後に所定角度、例えば90
度回動変位されることにより係止用フランジ片部
３４の上面にて係止用片部３２のアンダカツト面
３２ａに係合し、抜け止めされるようになつてい
る。

尚、第５図に最も詳しく示されているように、
ばねリテーナ３３の頭部には組付け時にこれを回
転変位させるための工具が係合する六角部３９が
設けられており、またばねリテーナ３３の外周部
には、該ばねリテーナ３３をその係止用フランジ
片部３４が係止用片部３２に係合する回動位置に
固定するために、係止片部３２をその両側より挟
持する一対の廻り止め用突起４０が設けられてい
る。

上述の如き構造よりなる摺動絞り弁３は、これ
がアルミニウム合金の如き金属製である場合に
は、金型鋳造により、合成樹脂製の場合には金型
を用いた射出成形によりその全体を一体成形され
る。この成形のために摺動絞り弁３の底壁５には
係止片部３２に整合する位置に係止片部３２の該
底壁５に対する正投影形状に実質的に等しい形状
の型抜き用透孔４１が設けられている。この型抜
き用透孔４１が設けられていなければ、内部に係
止片部３２を有している摺動絞り弁３は型抜きの
困難性からして簡単な金型装置によつては一体成
形されないが、本考案に於ける如く、上述の如き
型抜き用透孔４１が底壁５に設けられていれば、
係止片部３２のアンダーカツト面３２ａの成形を
行なう部分の金型を型抜き用透孔４１を通して抜
き出すことができ、このことにより摺動絞り弁３
が簡単な二分割型の金型装置によつて成形され得
るようになる。

第６図は本考案による摺動絞り弁３の成形を行
なう金型装置の一つの実施例をその要部について
示している。第６図に示された金型装置は、摺動
絞り弁３の主に内面を形成する金型５０と摺動絞
り弁３の主に外面を形成する金型５１とを含み、
金型５１には円筒部３１の内周面及び係止片部３
２のアンダーカツト面３２ａを構成する突出金型
部分５２が一体に設けられている。

この金型装置に於ては、金型５０と金型５１と
が互いに図にて上下方向に引離されることにより
型開きされ、金型５１の突出金型部分５２は、摺
動絞り弁３の機能上必要な係止片部３２を成形す
ると同時に自身の型抜き用の透孔４１を摺動絞り
弁３の底壁５に形成し、この透孔４１を通つて抜
き出される。

型抜き用透孔４１は、ばねリテーナ３３が円筒
部３１内に挿入されて上述の如く装着されると、
その底部フランジ片部３５によつて閉塞される。
従つて、型抜き用透孔４１は気化器の使用過程に
於ては底部フランジ片部３５により閉塞され、可
変ベンチユリ部６の開度特性が負圧取入れポート
５ａ以外のこのような透孔４１によつて悪影響を
受けることが回避される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による摺動絞り弁型気化器の一
つの実施例をその全体について示す縦断面図であ
る。第２図は第１図に示された本考案による摺動
絞り弁型気化器をその要部について示す拡大縦断
面図である。第３図は第２図の線−に沿う断
面図である。第４図は第２図の線−に沿う拡
大断面図である。第５図は第１図に示された本考
案による摺動絞り弁型気化器をその要部について
示す分解斜視図である。第６図は本考案による摺
動絞り弁型気化器の摺動絞り弁の成形に用いられ
る金型装置の一つの実施例をその要部について示
す概略構成図である。 １……気化器本体、２……吸気通路、３……摺
動絞り弁、４……孔、５……底壁、５ａ……ポー
ト、６……可変ベンチユリ部、７……ニードルジ
エツト、８……エアブリードチユー、９……メイ
ン燃料ジエツト、１０……フロート室、１１……
弁軸、１２……スロツトル弁、１３……アイドル
ポート、１４……スローポート、１５……スロー
燃料通路、１６……エアブリードチユーブ、１７
……フロート室ケース、１８……燃料入口、１９
……フロート、２０……フロート弁、２１……ダ
イヤフラム装置、２２……ダイヤフラム、２３…
…ダイヤフラム室、２４……圧縮コイルばね、２
５……ダイヤフラム室、２６……ポート、２７…
…メータリングニードル、２８……貫通孔、２９
……フランジ部材、３０……環状弁座部、３１…
…円筒部、３２……係止片部、３２ａ……アンダ
カツト面、３３……ばねリテーナ、３４……係止
用フランジ部、３５……底部フランジ片部、３６
……圧縮コイルばね、３７，３８……切欠部、３
９……六角部、４０……廻り止め用突起、４１…
…型抜き用透孔、５０，５１……金型、５２……
突出金型部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 気化器本体に設けられた吸気通路を横切る方
   向に移動可能に設けられ可変ベンチユリを構成
   する有底筒状の摺動絞り弁と、前記摺動絞り弁
   の先端部に対向して設けられ前記吸気通路に開
   口したニードルジエツトと、前記摺動絞り弁の
   先端部をなす底壁に形成された貫通孔を経て前
   記底壁より突出して前記ニードルジエツトに嵌
   合するとともに前記摺動絞り弁の筒内に位置す
   る突出基端に設けられたフランジ部と前記底壁
   との係合により抜け止めされたメータリングニ
   ードルとを有し、前記メータリングニードルは
   前記摺動絞り弁の筒内に係止されたリテーナに
   より前記フランジ部が覆われて保持される摺動
   絞り弁型気化器に於て、 前記リテーナは外周縁部にその周方向に互い
   に隔置して突出形成された舌片状の複数個の第
   一の係止片部を有し、前記摺動絞り弁はその筒
   内に内壁よりその内方へ向けて突出形成され前
   記第一の係止片部と選択的に係合する舌片状の
   複数個の第二の係止片部を周方向に互いに隔置
   して有し、前記摺動絞り弁の前記底壁には該摺
   動絞り弁の軸線方向に見て前記第二の係止片部
   の各々に整合する位置に前記第二の係止片部の
   前記底壁に対する正投影形状に実質的に等しい
   形状の型抜き用透孔が設けられていることを特
   徴とする摺動絞り弁型気化器。 (2) 前記第一の係止片部と前記第二の係止片部と
   が完全に不整合する回動位置にある状態で前記
   リテーナを前記筒内に挿入した後に、該リテー
   ナを回動させることにより前記第一の係止片部
   と前記第二の係止片部とが互いに整合係合する
   ことをもつて該リテーナが前記摺動絞り弁に係
   止装着されるようになつていると共に、前記リ
   テーナの前記第一の係止片部の上側に前記第二
   の係止片部の幅に概ね等しい間隔を互いに有す
   る外向突起が少なくとも２個形成されているこ
   とにより、前記リテーナが前記係止装着位置か
   ら回動し難いようになつていることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項に記載の摺動
   絞り弁型気化器。 (3) 前記リテーナは前記第一の係止片部と前記第
   二の係止片部との係合によつて前記摺動絞り弁
   に係止装着されている状態のときに前記型抜き
   用透孔を閉塞する壁部を有していることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項もしくは
   第２項に記載の摺動絞り弁型気化器。