JPS622948Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関用点火装置を動作させるため
の発電コイルの外に、ヘツドランプ等の負荷を駆
動する発電コイルを備えた内燃機関点火装置用磁
石発電機に関するものである。

従来のこの種の発電機として第１図及び第２図
に示したものが知られている。第１図の発電機
は、磁性材料からなるカツプ状のフライホイール
１の内周に永久磁石２を固着して４個の磁極を形
成した４極のフライホイール磁石回転子３と、４
極の環状星形鉄心４′の突極部４′ａ〜４′ｄのう
ち１つの突極部４′ｄに点火装置用発電コイル５
を巻装し、他の３つの突極部４′ａ〜４′ｃに一般
負荷用発電コイル６を巻装した固定子７とからな
つている。ここで磁石回転子３は機関のクランク
軸に取付けられ、固定子７は機関のケース等の固
定位置に取付けられている。尚図中磁石２に付し
た破線は着磁領域と非着磁領域の境界を示してい
る。この磁石発電機では、点火装置用発電コイル
６が巻回された突極部４′ｄに流れる磁束φが一
般負荷用発電コイルが巻回された隣接の突極部
４′ａ及び４′ｃを通して流れるため、点火装置用
発電コイルが一般負荷用発電コイルの負荷電流に
よる電機子反作用の影響をまともに受け、点火動
作に支障を来すことがあつた。特に点火装置用発
電コイルの出力で点火位置を定める場合、例えば
発電コイル５をコンデンサ放電式無接点点火装置
のエキサイタコイルとして用いてその正の半サイ
クルの出力でコンデンサを充電し、負の半サイク
ルの出力でコンデンサを放電させる時期（点火時
期）を定めるようにした場合には、一般負荷用発
電コイルの負荷電流を開閉した際に発電コイル５
の出力が変動して点火時期が変動したり、負荷電
流の大小により進角幅が変動したりすることがあ
つた。

また第２図に示した磁石発電機は、４極の星形
鉄心の１つの突極部を取除いた形状の星形鉄心
４″の突極部４″ａ〜４″ｃにそれぞれ一般負荷用
発電コイル６を巻回するとともに、鉄心４″の側
方にＩ字形鉄心７を配置してこのＩ字形鉄心７に
点火装置用発電コイル５を巻回したものである。
この磁石発電機でも、磁石２から点火装置用発電
コイル５が巻回された鉄心７を通して流れる磁束
φの磁路と磁石２から一般負荷用発電コイル６が
巻回された鉄心４″を通して流れる磁束φ′の磁路
とがその一部を共通にしているため、一般負荷用
発電コイル６による電機子反作用が点火装置用発
電コイル５に大きな影響を与え、前記と同様の不
具合を生じる欠点があつた。

本考案の目的は点火装置用発電コイルが一般負
荷用発電コイルによる電機子反作用の影響を殆ん
ど受けないようにした内燃機関点火装置用磁石発
電機を提供することにある。

本考案は、上記問題点を解決するために、内燃
機関用点火装置を動作させるための点火装置用発
電コイル５と、点火装置以外の負荷を駆動する一
般負荷用発電コイル６と、内周面に異なつた極性
の磁極が交互に配置されるように構成されたｎ極
（ｎは４以上の整数）の磁石回転子３とを備えた
磁石発電機において、ｎ個の突極部４ａ，４ｂ，
４ｃ……が等角度間隔で放射状に設けられた環状
星形鉄心の１つの突極部を除去した形状を有する
ｎ−１極の第１の鉄心４と、第１の鉄心４の１つ
の突極部が除去された部分に隣接して配置され両
端に磁石回転子３の磁極に対向する磁極部８ａ及
び８ｂを有する第１の鉄心部分８１及び第１の鉄
心部分８１の中間部から第１の鉄心４と反対側に
突出した先端に前記磁石回転子３の磁極に対向す
る磁極部８３を有する第２の鉄心部分８２からな
る第２の鉄心８とを設けた。そして、一般負荷用
発電コイル６を第１の鉄心４の各突極部４ａ，４
ｂ，４ｃに巻装し、点火装置用発電コイル５を第
２の鉄心８の第２の鉄心部分８２に巻装してい
る。また第２の鉄心８を第２の鉄心部分８２と第
１の鉄心４のｎ−１個の突極部４ａ，４ｂ，４ｃ
とが360゜／ｎの角度間隔で並ぶように配置し、
更に第２の鉄心８の磁極部相互間の間隔を第２の
鉄心部分８２の先端の磁極部８３が磁石回転子３
の１つの磁極に対向している間に第１の鉄心部分
８１の両端の磁極部８ａ及び８ｂが磁石回転子３
の前記１つの磁極の両側に位置する磁極に対向し
得る大きさに設定した。

以下第３図に示した実施例により本考案の発電
機を詳細に説明する。

第３図において１は鉄等の磁性材料からなるカ
ツプ状のフライホイールで、このフライホイール
の底壁の中央には回転軸嵌合用のボス１ａが設け
られ、フライホイールの周壁部１ｂの内周にはリ
ング状の永久磁石２が接着等の適宜の手段により
固着されている。この磁石２は図に破線で示した
領域が径方向に着磁され、フライホイール１及び
磁石２により４極のフライホイール磁石回転子３
が構成されている。

上記磁石回転子３の内側には３個の継鉄部４０
から３個の突極部４ａ〜４ｃを90゜の角度間隔で
放射状に突出させた星形突極形の第１の鉄心４が
配置され、各突極部には一般負荷用発電コイル６
が巻回されている。本実施例では突極部４ａ〜４
ｃに巻回された発電コイル６が直列に接続され、
該発電コイル６から得られる出力はヘツドランプ
やバツテリ充電回路等の点火装置以外の負荷に供
給される。継鉄部４０にはフライホイール１のボ
ス１ａを回転自在に貫通させる孔４１が設けら
れ、この孔４１はその一部が中央の突極部４ｂと
反対側に切欠き４１ａを通して開口している。上
記第１の鉄心４は、継鉄部４０に設けられた孔４
０ａに挿入したビスを機関のケース等に設けた固
定子取付部に螺入することにより回転子と同心的
に取付けられる。

上記第１の鉄心４の突極部４ａ及び４ｃに隣接
する位置には点火装置用発電コイル５が巻装され
た第２の鉄心８が配置されている。第２の鉄心８
は、突極部４ａ及び４ｃにそれぞれ隣接する磁極
部８ａ，８ｂを両端に有する第１の鉄心部分８１
と、この第１の鉄心部分８１の中間部から第１の
鉄心４と反対側に突出した第２の鉄心部分８２と
からなり、第２の鉄心部分８２の先端には前記突
極部４ａ〜４ｃの先端の磁極部４３と同形状の磁
極部８３が形成されている。そして第１の鉄心部
分８１及び第２の鉄心部分８２は、磁極部８３が
第１の鉄心４の突極部４ａ，４ｃの磁極部４３に
対し90゜の角度間隔で配置されるように形成さ
れ、且つ磁極部８ａと８３及び８ｂと８３との間
の角度間隔は、磁極部８３が磁石回転子のいずれ
か１つの磁極に対向している間に磁極部８ａ及び
８ｂが該回転子の隣接する他の磁極、すなわち両
側に位置する磁極に対向し得るような大きさに設
定されている。第２の鉄心８の第２の鉄心部分８
２には点火装置用発電コイル５が巻回され、この
発電コイルは、内燃機関用点火装置のエキサイタ
コイル若しくは点火位置を定める信号を発生する
信号用コイルとして、またはエキサイタコイル及
び信号用コイルの双方として用いられる。上記第
２の鉄心８は、その第１の鉄心部分８１に設けた
孔８１ａに挿入したビスを固定子取付部に螺入す
ることにより取付けられる。

上記のように構成すると、第２の鉄心８の磁極
部８ａと８３及び８ｂと８３がそれぞれ磁石回転
子の隣り合う２つの異極性の磁極に対向する際に
磁石２から鉄心８を通して磁束φが流れ、この磁
束φの変化により点火装置用発電コイル５に電圧
が誘起する。また発電コイル６には磁石２から鉄
心４を通して流れる磁束の変化により電圧が誘起
する。こゝで磁石２から第２の鉄心８を通して磁
束φが流れる際には、この第２の鉄心８に隣接す
る第１の鉄心の突極部４ａ，４ｃが共に回転子の
同極の磁極（図示の例ではＳ極）に対向するため
これらの突極部４ａ，４ｃを通しては磁束が流れ
ない。すなわち、第３図の発電機では、点火装置
用発電コイル５に対する磁路が単独で成立してい
るため、点火装置用発電コイル５は一般負荷用発
電コイル６による電機子反作用の影響を殆んど受
けず、発電コイル６の負荷電流に変動があつた場
合でも点火装置は殆んど影響を受けることがな
い。

上記の実施例では、磁石発電機を４極に構成し
たが、一般に磁石回転子及び固定子をｎ極（ｎは
４以上の整数）に構成する場合に、星形突極形鉄
心の一部の突極部を除いたものを第１の鉄心と
し、この第１の鉄心の突極部が除去された部分に
隣接させて第２の鉄心を配置することにより同様
に本考案を実施できる。尚極数に応じて第２の鉄
心８の第１の鉄心部分の形状が異なるのは勿論で
ある。

以上のように、本考案によれば、環状星形鉄心
の１つの突極部を除去した第１の鉄心と第１及び
第２の鉄心部分を有する第２の鉄心とから鉄心を
構成し、点火装置用発電コイルが巻装される第２
の鉄心の第２の鉄心部分と第１の鉄心のｎ−１個
の突極部とを360゜／ｎの角度間隔で並ぶように
配置し、且つ第２の鉄心の磁極部相互間の間隔を
第２の鉄心部分の先端の磁極部が磁石回転子の１
つの磁極に対向している間に第１の鉄心部分の両
端の磁極部が磁石回転子の前記１つの磁極の両側
に位置する磁極に対向し得る大きさに設定したの
で、点火装置用発電コイルに対する磁路を単独に
構成することができる。従つて、環状星形鉄心構
造を用いる場合に、点火装置用発電コイルが一般
負荷用発電コイルによる電機子反作用の影響をあ
まり受けないようにすることができ、一般負荷用
発電コイルの負荷変動によつて点火装置の出力が
変動したり進角が変動したりするのを防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ異なる従来例を示
す正面図、第３図は本考案の一実施例を概略的に
示す正面図である。 １……フライホイール、２……永久磁石、３…
…磁石回転子、４……第１の鉄心、４ａ〜４ｃ…
…突極部、５……点火装置用発電コイル、６……
一般負荷用発電コイル、８……第２の鉄心、８１
……第１の鉄心部分、８２……第２の鉄心部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内燃機関用点火装置を動作させるための点火装
   置用発電コイルと、前記点火装置以外の負荷を駆
   動する一般負荷用発電コイルと、内周面に異なつ
   た極性の磁極が交互に配置されるように構成され
   たｎ極（ｎは４以上の整数）の磁石回転子とを備
   えた磁石発電機において、 ｎ個の突極部が等角度間隔で放射状に設けられ
   た環状星形鉄心の１つの突極部を除去した形状を
   有するｎ−１極の第１の鉄心と、 前記第１の鉄心の前記１つの突極部が除去され
   た部分に隣接して配置され両端に前記磁石回転子
   の磁極に対向する磁極部を有する第１の鉄心部分
   及び該第１の鉄心部分の中間部から前記第１の鉄
   心と反対側に突出した先端に前記磁石回転子の前
   記磁極に対向する磁極部を有する第２の鉄心部分
   からなる第２の鉄心とを具備し、 前記一般負荷用発電コイルは前記第１の鉄心の
   各突極部に巻装され、前記点火装置用発電コイル
   は前記第２の鉄心部分に巻装され、 前記第２の鉄心は前記第２の鉄心部分と前記第
   １の鉄心のｎ−１個の突極部とが360゜／ｎの角
   度間隔で並ぶように配置され、且つ前記第２の鉄
   心の磁極部相互間の間隔は前記第２の鉄心部分の
   先端の磁極部が前記磁石回転子の１つの磁極に対
   向している間に前記第１の鉄心部分の両端の磁極
   部が該磁石回転子の前記１つの磁極の両側に位置
   する磁極に対向し得る大きさに設定されているこ
   とを特徴とする内燃機関点火装置用磁石発電機。