JPS6227866B2 - - Google Patents

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JPS6227866B2
JPS6227866B2 JP10936183A JP10936183A JPS6227866B2 JP S6227866 B2 JPS6227866 B2 JP S6227866B2 JP 10936183 A JP10936183 A JP 10936183A JP 10936183 A JP10936183 A JP 10936183A JP S6227866 B2 JPS6227866 B2 JP S6227866B2
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JP
Japan
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coating film
waterproofing
waterproof
resin
acrylic
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JP10936183A
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JPS60865A (ja
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Takao Takemoto
Kentaro Nagai
Takeshi Myazawa
Haruki Kawase
Takashi Oguri
Atsunori Bito
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP10936183A priority Critical patent/JPS60865A/ja
Publication of JPS60865A publication Critical patent/JPS60865A/ja
Publication of JPS6227866B2 publication Critical patent/JPS6227866B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明はアクリル樹脂系エマルジヨンを用いる
塗膜防水施工法に関するもので、二種類のエマル
ジヨンを用いての複層塗膜による防水施工法に関
するものである。 さらにまた本発明は、防水すべき物体の表面、
すなわち建築物の屋上や壁面などの表面に高い意
匠性と優れた耐久性を有する防水塗膜を、公害を
発生させることなく与えることができる優れた防
水施工法に関するものである。 従来より建築物の防水を目的に各種の防水方法
が開発されてきている。 これらの防水方法の中で塗膜防水工法は現地
で、連続した防水杉膜を形成することが、可能な
ため、建築物の複雑な形状をした部位、あるいは
防水シート等の成形材料では施工の難しい壁面の
防水に最も好適な方法として高く評価され適用さ
れている。 塗膜防水工法に用いられる材料としては、アス
フアルト又はポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂な
どを主原料とした溶液型もしくは無溶媒型のもの
や、各種合成ゴム、あるいは酢酸ビニール、スチ
レン、塩化ビニール、アクリル酸エステルなどを
重合して得られる合成樹脂を用いるエマルジヨン
型のものがある。 これらの中でアスフアルト防水は、低温では、
塗膜の柔軟性が著しく劣りポリウレタンやエポキ
シ樹脂は、硬化剤の配合に留意しないと所期の性
能の塗膜が得にくいとか、臭いの点、火気に注意
しなければならない点など作業性に難点があるこ
とや、下地の亀裂に対する塗膜の追従性に劣ると
いう欠点がある。 これに対して合成樹脂エマルジヨン系の塗膜防
水材料は、水系であるため、作業性が良く、又、
殆んどが既調合の一液型の材料であるために安定
した塗膜物性を得られるという特徴がある。 中でもアクリル樹脂を主原料とするアクリル系
エマルジヨン型塗膜防水剤は耐候性に優れている
ことや、構成成分であるアクリル酸エステル又は
メタアクリル酸エステルを選択することにより適
当な柔軟性を得ることができ、下地亀裂に対する
追従性に優れ、かつ耐水、耐アルカリ性に優れて
いる塗膜が得られるために、優れた塗膜防水剤と
いうことができる。 アクリル系エマルジヨン型塗膜防水剤は上記の
ごとく、優れた特性のために、広く使用されてき
ているが、さらに最近は下地亀裂追従性を重視す
る観点から、より柔軟な塗膜を与えるアクリル系
エマルジヨン型塗膜防水剤が強く要望される様に
なつてきた。 ここで、下地亀裂追従性とは、防水塗膜の施工
後、コンクリート等の硬化収縮等によつて発生す
る防水塗膜の施された下地の亀裂によつて、防水
塗膜が破断せず亀裂によつて発生する伸びに柔軟
に追従する性能をいい。そしてこの特性は冬期の
低温条件下でも塗膜が硬化せず柔軟に追従し満足
することを要求され、そのために塗膜に対して高
い柔軟性が求められているのである。 このように、防水塗膜の柔軟性は信頼性の高い
防水施工にとつて、重要な性質であり強く要望さ
れるものであるが、単に柔軟性のみを追求すると
いくつかの弱点が生じ新たな問題が発生する。 すなわち、アクリル系塗膜防水剤にあつては、
塗膜の柔軟性と粘着性との間に相関関係があり、
塗膜が柔軟になればなるほど、粘着性も増加し汚
れ易くなることであり、さらには、柔軟性を増す
とパンチング、引つかき、摩擦等の機械的に衝撃
に対する抵抗力が低下するという欠点がある。 特公昭49−16352号公報にはアクリル樹脂に
種々の添加剤を配合することにより柔軟性を保持
したまま、機械的衝撃に対し、強靭で、かつ粘着
性の少い、アクリル系塗膜防水剤が得られること
を開示しているが、この様な優れた防水材料であ
つても、長期間の曝露条件下では前記の問題点を
生ずる様になり未解決の問題を残しているといわ
ざるを得ないものである。 従来より、この対策として、柔軟性のある防水
塗膜の上にその塗膜を保護する層すなわち保護層
を設け、防水膜と保護層との複層化による防水方
法が実施されてきている。 保護層に使用される材料としては一般的には(1)
ポルトランドセメントを主体とし、砂と場合によ
つては高分子エマルジヨンを使用する、モルタル
または樹脂モルタル(2)各種の塗料などが用いられ
ているが十分満足できるものがあるとはいえない
状況である。 なぜなら、モルタル、樹脂モルタル等のセメン
ト系材料にあつては、防水層との接着性が十分で
なく、保護モルタル層の剥離、浮きが多々発生す
る、まれに、良好な接着性が得られる材料であつ
ても、セメント系の様な硬い材料の場合、防水膜
の亀裂追従性を大幅に損う結果になる、なぜな
ら、建築下地に亀裂が発生した場合続いて上層の
モルタル保護層に亀裂が発生し、防水層は上下方
向からゼロスパンテーシヨンを受け、防水層の亀
裂追従性能を大幅に低下させるのである。 ここでゼロスパンテーシヨンとは、下地に発生
した亀裂によつて防水膜に引張り応力がかかる状
態をいう。 又溶剤系及び水系の保護用塗料にあつては、
応々にして防水膜との接着性が不充分で、防水膜
と保護層の間に接着仲介層を必要としたり、保護
剤の柔軟性が不適当でセメント系の保護剤と同様
に防水膜の亀裂追従性能を低下させる。 加えるに溶剤系の材料では厚く塗布することが
難しく、従つて機械的な衝撃に対し、防水膜を保
護するだけの厚みの保護層を得ることが困難であ
る。 本発明者等はアクリル系塗膜防水剤を用いる防
水施工法に関し保護材料として、耐候性が良好
で、防水膜の亀裂追従性を低下させず、機械的衝
撃に対し防水膜を良好に保護する材料を得るべく
鋭意検討を加えた結果、本防水施工法を完成し
た。 すなわち本発明は、防水すべき物体の表面にガ
ラス転移温度が−20℃以下のアクリル樹脂を含有
するエマルジヨンを塗布して塗膜を形成せしめ、
ついで該塗膜の上にガラス転移温度が−10℃以上
20℃以下のアクリル樹脂を含有するカチオン性エ
マルジヨンを塗布して塗膜を形成せしめることを
特徴とする防水施工法に関するものである。 本発明防水施工法に用いられるガラス転移温度
が−10℃以上20℃以下のアクリル樹脂を含有する
カチオン性エマルジヨンから得られる塗膜は保護
層として機能するものであつて防水膜との密着性
が優れているため、接着仲介層が不用で、長期に
渡り、剥離が発生しない。又用いられる樹脂に適
当な柔軟性を選択したことによつて、防水膜の亀
裂追従性能を低下させず、機械的損傷にし良好に
防水膜を保護する。加えるにその樹脂は耐候性に
優れたアクリル樹脂であるため、長期間の耐久性
が優れている。 次に本発明に用いられる構成成分について具体
的に述べる。 本発明に於けるアクリル樹脂とは、アクリル酸
エステル及びメタクリル酸エステルの一種以上を
20〜100%、好ましくは40〜100%、特に好ましく
は70〜100%含む単量体又は単量体混合物を通常
の重合法により重合して得た重合体であり、一般
的にアクリル系樹脂と云われているものを総括的
に含むものである。 上記アクリル酸エステル及びメタクリル酸エス
テルの具体例としては、アクリル酸及びメタクリ
ル酸のメチル、エチル、n−プロピル、iso−プ
ロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチ
ル、n−アミル、iso−アミル、n−ヘキシル、
n−ヘプチル、オキソヘプチル、n−オクチル、
2−エチルヘキシル、n−ノニル、オキソノニ
ル、n−デシル、オキソデシル等のエステルがあ
る。 上記アクリル酸アルキルエステル以外にアクリ
ル樹脂を構成する単量体として用いられる単量体
にはアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステ
ルと共重合可能なビニル系単量体があり、具体的
にはアクリル酸又はメタクリル酸、エチレン、酢
酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、スチレン、ブタジエン、アクリルア
マイド、メチロールアクリルアマイド、ビニルプ
ロピオン酸エステル、イタコン酸及びそのエステ
ル、マレイン酸及びそのエステル、クロトン酸及
びそのエステルなどが用いられる。 本発明に於いて用いられるアクリル樹脂の構成
単量体としてのアクリル酸エステル及びメタクリ
ル酸エステルが20%未満では樹脂自体の耐候性が
低下する欠点がある。 又アクリル酸、メタクリル酸或はその他の単量
体を共重合させることにより、塗膜の強靭性を向
上させ、塗膜のひび割れを生じ難くくすることが
できる。 一方、アクリル酸、メタクリル酸或はその他の
単量体の配合量が余りにも多すぎると塗膜の柔軟
性が低下し、構造物の亀裂に対する追従性が低下
し防水機能が低下する傾向にあり、もちろん上記
耐候性にも問題を生ずる。 本発明で用いられるアクリル樹脂のガラス転移
温度(以下Tg点と称す。)とは無定形ポリマーの
各種性質が急変する温度で、この温度以下ではポ
リマーの無定形部分の分子セグメントの運動が凍
結されるような温度である。 本発明で用いられる樹脂のTg点を実際に測定
するには一例として種々の温度での熱膨張を測定
してそれぞれの温度に対して比容積をプロツト
し、得られた曲線で屈曲している点の温度を求め
る一般的な方法が用いられる。 しかし、実際的には、個々の単独モノマーより
成る樹脂のTg点の値が知られている場合、共重
合樹脂のTg点の値は次の計算式によつて求める
事ができる。 1/Tg=W/Tg+W/Tg+……+W
/Tg W1:成分1の重量分率。 W2:成分2の 〃 。 Wo:成分nの重量分率。 Tg1:成分1単独ポリマーのガラス転移温度
(〓) Tg2:〃 2 〃 (〓) Tgo:〃 n 〃 (〓) ここでW1+W2+……+Wo=1である。 知られている主な単独樹脂のTg点をあげると
(弧内は全てTg点)、ポリメチルアクリレート
(8℃)、ポリブチルアクリレート(−54℃)、ポ
リ2−エチルヘキシルアクリレート(−55℃)、
ポリメチルメタクリレート(105℃)ポリスチレ
ン(100℃)ポリ酢酸ビニル(30℃)ポリメタク
リル酸(130℃)等である。 次に共重合樹脂のTg点の計算例を示すと、ブ
チルアクリレート70重量部(以下部と略す)スチ
レン30部の共重合樹脂のTg点は上式より求める
と−23℃となる。 以上、Tg点の求め方について説明したが、本
発明に於ける塗膜防水剤に用いられる樹脂のTg
点は上記の式およびTg点(記載のないものは丸
善(株)発行の化学便覧等を参照)から決められるも
のである。 本発明の防水施工法は2種類のエマルジヨンを
用いる複層塗膜による防水工法に関するものであ
り、防水膜と保護層(保護塗膜)の複層塗膜を設
けることを特徴とするものである。 本発明において防水膜を作るべきエマルジヨン
はTg点が−20℃以下のアクリル樹脂を含有する
エマルジヨンである。防水膜に用いられるアクリ
ル樹脂として、Tg点が−20℃以下のアクリル樹
脂を用いる理由は一度に厚塗りしても、ひび割
れ、亀裂等を生じさせない為である。 なぜならアクリル樹脂としてTg点が−20℃以
下の柔らかい樹脂を用いる事は建造物の表面の防
水機能という面からみた場合、均一な厚い皮膜に
よつて雨水等による漏水を防ぐために不可欠な要
件であるからである。 もしTg点が−20より高い硬い樹脂を用いた場
合、数百μ以上というような膜厚とすると、どう
しても成膜時に亀裂、ひび割れ等のトラブルを生
じ易く、これらの塗膜のひび、亀裂等から漏水が
起り厚塗りをしても防水膜としての性能を十分に
発揮する事ができない。 本発明においてTg点が−20℃以下の柔らかい
樹脂を用いる第2の理由は、下地亀裂に対する追
従性を与える事である。 即ち、樹脂そのものが柔らかい為に、建造物の
ムーブメント等によつて下地に数mmの亀裂が発生
しても、そのうえに塗布された塗膜は、ピンホー
ル、亀裂等を生じることなく下地亀裂によく追従
する。 もしTg点が−20℃より高い樹脂を用いると亀
裂追従性がなく、通常生ずる0.3mm程度の亀裂
(ヘアークラツクという)にも追従できず、ひび
割れ等を生じ結局漏水を生ずる原因となる。 又、Tg点が−20℃以下の樹脂を用いた場合
は、低温時においても塗工性がよく保持されてお
り、成膜性能にも優れており、防水用塗膜に最適
のものである。 Tg点が−20℃以下のアクリル樹脂は前記した
様なアクリル酸エステル及びメタアクリル酸エス
テルを重合して得られるものであるが、本発明の
防水膜に用いられるアクリル樹脂としては炭素数
が3ないし10、より好ましくは4ないし9のアル
キル基を有するアクリル酸アルキルエステルを重
合して得られるものが好ましい。 炭素数3ないし10のアルキル基を有するアクリ
ル酸アルキルエステルを用いることにより、低温
下での柔軟性の保持及び、厚塗りをしても、ヒビ
割れ等をしないことなどの防水膜としての特長を
強く持たせることができ、それは炭素数4〜9の
アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル
を用いることによりさらに増長させ得る。なおこ
こで炭素数3未満のものを用いたときは塗膜の耐
水性、柔軟性に問題が生じる恐れがあり炭素数10
を越えるものを用いるときは塗膜の強度に問題が
生じる恐れがある。 本発明に於いて用いられるアクリル樹脂を含有
するエマルジヨンは、通常公知の乳化剤を用いて
常法により前記単量体を重合して容易に得る事が
でき、得られるエマルジヨンの固形分濃度が通常
30〜70%になるように行なわれる。 又、このエマルジヨンのPH値は7〜10である事
が安定性の面より好ましく、アンモニア、水溶性
アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を
用いて、エマルジヨンのPH値を調整しておく事が
好ましい。 但し、弱酸性、又は酸性領域でも、安定性のよ
いエマルジヨンであれば、本発明の目的にそのま
まで十分に利用できるものである。 本発明においては上記構成のアクリル樹脂を含
有してなるエマルジヨンに常法により骨材、短繊
維、増粘剤、界面活性剤、粘度安定剤、消泡剤な
どを配合して塗膜防水剤とする。 用いられる骨材としては、例えば、タルク、マ
イカ、酸性白土、ケイ藻土、カオリン、石英、硅
砂、寒水砂、鉄粉、フライアツシユ、サチンホワ
イト、酸化チタン、フエライト、リトポン、バラ
イタ、木粉、ジルコニア、パーライト、ひる石、
シラスバルーン、カーボンブラツク、ベントナイ
ト、炭酸カルシウム、ホワイトカーボンなど及び
各種ポルトランドセメント、高炉セメント、アル
ミナセメントなどのセメント類である。 これら骨材は、粒径1mm以下の粗目のものも使
用可能であるが通常は粒径100μ以下のものを用
いるのが好ましい。 又、短繊維としては無機繊維状物、天然繊維又
は合成繊維を用いる事ができ、具体例としては、
石綿、岩綿、グラスウール、スラグウール、パル
プ、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ビ
ニロン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリ
エステル繊維、木綿、麻などが用いられる。 増粘剤としては、メチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース等の変性セルロース、多糖
類、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコ
ール、水溶性ポリアクリル酸塩類、ポリアクリル
アミド、アルカリ増粘型ポリアクリレートなどが
用いられる。 界面活性剤は、骨材の分散性を良好ならしめる
為に用いられるものであるが、かかる界面活性剤
としては、例えばポリオキシエチレンのアルキ
ル、アルキルフエノールなどのエーテル類、ポリ
オキシエチレンのソルビタン脂肪酸などのエステ
ル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロツク
ポリマーなどがあげられる。 粘度安定剤としては、例えばリグニンスルホン
酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリポ
リリン酸などのソーダ、カリ、アンモニウム塩な
どが用いられる。 又、消泡剤としては、オクチルアルコール、カ
プリルアルコール、ラウリルアルコール、シクロ
ヘキサノールなどである。 本発明における防水膜の保護層となる保護塗膜
を作るべきエマルジヨンはTg点が−10℃以上20
℃以下、好ましくは−10℃以上10℃以下のアクリ
ル樹脂を含有するカチオン性エマルジヨンであ
る。 保護層に用いられるアクリル樹脂としてTg点
が−10℃以上20℃以下のアクリル樹脂を用いる理
由は、前記した防水層の下地亀裂に対する追従性
を阻害しないことと、保護層としての耐衝撃性、
意匠性を良好に維持するためである。 もしTg点が20℃より高い硬い樹脂を用いた場
合、建築下地に亀裂が発生した場合、保護層にも
亀裂が発生し、防水膜は上面及び下面においてゼ
ロスパンテーシヨンを受け、亀裂を発生しやすく
なり防水膜の防水性能を著しく制限してしまう。
又、Tg点が−10℃より低い柔軟性のあるアクリ
ル樹脂を用いると粘着性が著しく増加し、ごみや
ほこりが付着しやすくなり保護層としての表面美
装性を欠くようになり、保護層としての耐衝撃性
も不足する。 Tg点が−10℃以上20℃以下のアクリル樹脂は
前記した様なアクリル酸エステル及びメタアクリ
ル酸エステルを重合して得られるものであるが、
本発明の保護層に用いられるアクリル樹脂として
は炭素数が3ないし10のアルキルを有するアクリ
ル酸アルキルエステルを重合して得られるものが
好ましい。 炭素数3ないし10のアルキル基を有するアクリ
ル酸アルキルエステルを用いるのは、前記した防
水膜における理由と同じであるが、保護層として
表面に用いられるため、特に耐候性、耐水性を強
く求められるためアクリル酸アルキルエステルの
含有量を多くすることが好ましく、メタアクリル
酸エステルと合せたときに単量体中の40%以上、
さらには70%以上とすることが特に好ましい。 なお、保護層として耐水性が要求されるため、
アクリル樹脂を構成する単量体として、アクリル
酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を使用す
ることは避けた方がよく、使用する場合も最少量
とするのが好ましい。 保護層を形成するアクリル樹脂を含有するエマ
ルジヨンは、防水膜との密着性が優れた塗膜を形
成するものでなければならず、その特性はエマル
ジヨンをカチオン性にすることにより、はじめて
得られるものである。 カチオン性エマルジヨンを製造する方法として
は前記単量体をカチオン性界面活性剤の存在下通
常公知の乳化重合によつて製造するか、又は、ノ
ニオン性及び又はアニオン性界面活性の存在下に
公知の乳化重合により得られたエマルジヨンにカ
チオン性界面活性剤を添加混合することによつて
固形分濃度が30〜70%のエマルジヨンとして製造
する方法がある。 用いられるカチオン性界面活性剤としては、一
般市販の2級及び3級アミン型の界面活性剤と、
4級アンモニウム塩型の界面活性剤が使用できる
が、防水膜との密着性をより向上させる、4級ア
ンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤の使用が
好ましい。 4級アンモニウム塩型の界面活性剤の具体例を
あげればラウリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムク
ロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウ
ムクロライドなどである。 Tg点が−10℃以上20℃以下のアクリル樹脂を
含有するカチオン性エマルジヨンには、必要に応
じて、塗膜防水剤と同様に骨材、短繊維増粘剤、
界面活性剤、粘度安定剤、消泡剤を加えて防水塗
膜用の保護剤とする。本発明の保護層は防水膜の
表面に塗布されるものであるので、歩行用すべり
止め、艶消しあるいは壁面でのスタツコ調等の意
匠性付与のために本発明においては粗骨材と細骨
材を併用された保護剤とすることが好ましい。 粗骨材としては硅砂5号、硅砂6号、硅砂7
号、寒水砂などが好ましく、細骨材としてはタル
ク、酸化チタン、カオリン等を用いるのが好まし
い。 粗骨材と細骨材とを併用するときの割合は60:
40〜95:5が好ましく、70:30〜90:10であるこ
とがより好ましい。粗骨材が少い場合は表面の粗
面化ができず、多すぎる場合は緻密な膜ができに
くい。 骨材の添加量としては、樹脂および骨材を併せ
て100としたときに樹脂の含有量を好ましくは5
〜40%、より好ましくは15〜25重量%とする量が
よい。樹脂含有量が少い場合は成膜性が不十分と
なり、多すぎる場合は、樹脂の分離によつて意匠
性が低下したり、すべり易すくなり、表面保護剤
としては不適当になることがある。 保護剤とするときに好ましい増粘剤として、メ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等
の変性セルロースがあり、アルキルスチレン−プ
ロピレンオキサイドブロツク共重合体をレベリン
グ剤としてもちいることも保護剤として好まし
い。 本発明にかかわる塗膜防水剤及び保護剤は、自
由に着色する事ができ、着色剤は通常の染料、顔
料が用いられる。 つぎに本発明の防水施工法の施工方法について
説明すると、塗膜防水剤は、防水すべき構造物表
面に、刷毛又はローラー等による塗布又はスプレ
ーガンでの吹付けにより塗膜を形成させるが、該
防水剤の粘度は300cps以上(B型粘度計、
30rpm、ローターNo.2、20℃)が好ましく、より
好ましくは1000〜50000cps程度になるように塗
布方法に応じて調節しておく事がよい。 粘度が300cpsより小さいとレベリング性が高
すぎて一度に厚塗りすることが難しくなり、又高
粘度の場合には、厚塗りのできる利点があるが、
高粘度に過ぎる時は、塗工上に難点が生じる傾向
にある。 塗膜防水剤の塗布量は、好ましくは成膜後の膜
厚が300μ以上、より好ましくは500〜3000μとな
るように調整して塗布する事がよい。膜厚が薄す
ぎると、下地亀裂などに対する追従性が低下して
漏水の原因となり、又膜厚を増せば、上記追従性
を向上し、亀裂、ヒビ割れがなくなるが、厚過ぎ
てもそれに対応した効果の向上は認められない。 又、塗膜防水剤の使用に際し、防水を行なおう
とする構造物の目地部や、すき間部の空隙の大き
な箇所には、シーリング剤やモルタル及び樹脂エ
マルジヨンを混入したセメント混合物等であらか
じめ空隙を埋めておいてから、塗膜防水剤を塗布
する事も好ましい方法である。 又、躯体にあらかじめ下地処理剤を塗布してか
ら、塗膜防水剤を塗布する事も可能である。 下地処理剤としては、エポキシ系樹脂エマルジ
ヨン、一般の市販のエマルジヨンタイプ、あるい
は溶剤タイプの塗料、又は、粘着剤等がある。 塗膜防水剤の適用しうる対象、すなわち本発明
の防水施工法が適用される対象は、一般の建築物
や建築部材であり、例えば、コンクリート、モル
タル、ALC板や石コウボードなどの軽量材、鉄
板やアルミなどの金属、ベニヤ、その他の木質材
など多様な物にわたる。 防水膜の形成後、引き続き、保護剤が塗布され
る。塗布方法としては塗膜防水剤の塗布方法と同
一で、同じ様に粘度を調整して吹き付け、ハケ塗
り、ローラー塗り等で行われる。保護層の厚みは
機械的損傷に対する抵抗性の点で防水膜と同じ厚
みすなわち好ましくは300μ以上、より好ましく
は500〜3000μとする。 又、壁面等において意匠性付与を目的とする場
合は、型紙や目地テープ等の使用あるいはデザイ
ンローラー等を使用することが可能である。 さらに保護層の表面に油性または水性のペイン
トを種々の特性を付与するために塗布してもよ
い。 本発明の防水施工法により形成された塗膜は、
美観に優れた立体的模様を作ることが出来、また
塗膜表面の粘着性もなく、防水性、耐候性、耐汚
染性及び低温での柔軟性に優れた塗膜であり、保
護層表面に、ヒビ割れを生ずる事がなく、防水膜
の下地追従性を低下させることなく、すぐれた防
水性を長期にわたつて保持するという特長を有し
ている。 次に、本発明の詳細を実施例を用いて説明す
る。実施例中の部及び%は全て重量部及び重量%
である。又、実施例中における試験法は次の通り
である。 1 試験体の調整 スレート板(30×30×0.3cm)に塗膜防水剤
をエアースプレーガンで2.0Kg/m2吹き付け室
内に24Hr放置した。 次いで保護剤を同じくエアースプレーガンで
2.0Kg/m2吹き付け、20℃60%RH条件下で7日
間放置し、特性評価試験体とした。 2 付着強度 調整された試験体における強度(常態強
度)、及び該試験体を常温で水中に1週間浸漬
し、さらに1日室温で放置したものの強度度
(耐水強度)を建研式付着力試験機を用いて測
定した。 なお、浸漬後の試験体の外観と塗膜の破断し
た位置を目視により観察した。 防水膜が破断したときをM、防水膜と保護層
の界面で破断した場合をM・Pと示した。 3 下地亀裂追従性(ゼロスパンテンシヨン) 試験体下地のスレート板中央に亀裂を入れ、
5mm/分の速度で引張り、亀裂追従性を測定し
た。防水層にピンホール、又は破断を生じ始め
た時の亀裂幅を読み取つた。 4 耐汚染性 JISZ2381(屋外暴露試験方法通則)に準拠
し、東亞合成化学工業(株)研究所(名古屋市港区
船見町1−1)屋上において、南面30゜の角度
で試験体を維持し屋外曝露試験を実施した。6
ケ月間曝露後の外観の汚れを目視により以下の
ごとく判定した。 〇 良 好 △ 若干汚れ付着 × 著しく汚れる 5 荷重載荷試験 温度20℃、60%RH環境下に、底部4×4
cm、厚み2cmの鋼製治具を、試験体上面に置き
上部より320Kgの加重を10分間加えた。その加
重を除却し、24時間経過後、載荷部の状態を目
視により観察し、変形の程度を以下のごとく判
定した。 〇 ほとんど変形せず △ 若干荷重週辺に段差あり × 著しい変形又は亀裂の発生有り 実施例 1 塗膜防水剤の製造 アクリル酸ブチル90部、酢酸ビニル10部、トデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、ポリオキシ
エチレンノニルフエノール2部、過硫酸アンモン
0.3部、水100部より成る組成物を用い70℃の温度
で5時間常法により重合し、固型分濃度48%のア
クリル樹脂含有エマルジヨンを製造した後アンモ
ニア水を加えてPH7.0に調整した。得られたアク
リル樹脂のTg点は−48℃であつた。 上記エマルジヨンに樹脂分100部あたり花王ア
トラス(株)製のノニオン性界面活性剤エマルジヨン
910,1部を添加し、カオリン粘土30部、炭酸カ
ルシウム10部を混合して塗膜防水剤を得た。 保護剤の製造 アクリル酸2−エチルヘキシル50部、スチレン
50部、ポリオキシエチレンノニルフエノールエー
テル2部、ステアリルトリメチルアンモニウムク
ロライド1部、2、2−アゾビス(2−アミジノ
プロパン)塩酸塩0.4部、水100部より成る組成物
を用い70℃の温度で乳化重合を行い、固型分濃度
48%のアクリル樹脂含有エマルジヨンを製造し
た。得られたアクリル樹脂のTg点は2℃であつ
た。 これに、カオリン粘土50部、酸化チタン5部を
混合して保護剤を得た。 上記塗膜防水剤と保護剤を用いて試験体を調整
し、各種特性を測定しその試験結果を表3にまと
めたが、いずれも良好な性能を示した。 実施例 2〜4 表1に示す塗膜防水剤と表2に示す保護剤を、
表に記載のこと以外は実施例1と同様にして製造
し、試験体を調整した。 これの各種特性評価試験を実施した結果を表3
に示すが、いずれも良好な性能を示した。 比較例 1〜8 比較例として、実施例で得た塗膜防水剤及び実
施例で得た保護剤又は市販品を使用して、実施例
1と同様に試験体を調整した。これの各種特性評
価試験の結果も表3に示すがいずれも本発明施工
法により得られるものに比べ著しく劣る結果であ
つた。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 防水すべき物体の表面にガラス転移温度が−
    20℃以下のアクリル樹脂を含有するエマルジヨン
    を塗布して塗膜を形成せしめ、ついで該塗膜の上
    にガラス転移温度が−10℃以上20℃以下のアクリ
    ル樹脂を含有するカチオン性エマルジヨンを塗布
    して塗膜を形成せしめることを特徴とする防水施
    工法。
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