JPS6227281Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、素材に挿入されたマンドレル棒と交
叉ロールによつて管壁を減厚する、薄肉管特に薄
肉鋼管の製造に係り、特に素材がその前端から被
圧延管外径の１／11よりも小さい壁厚に圧延さ
れ、素材後端の圧延領域内進入の直前に、交叉ロ
ールの回転軸線と被圧延管の軸線との間の調整角
が、それぞれ直接の圧延領域すなわち段付きロー
ルの高点から圧延方向に離れた点を中心とする前
記回転軸線の揺動によつて減少する薄肉管製造装
置に関するものであつて、その出発点となる薄肉
鋼管製造方法（***国特許出願公告第1527750号
明細書）では、素材後端の圧延領域への進入直前
に、被圧延管端部の壁厚増加のために、交叉ロー
ルの回転軸線と被圧延管の軸線とのなす角を急激
に減少させている。この増径はなるほど管を被圧
延管外径の1/11よりも小さい壁厚に圧延すること
を可能にするが、この壁厚の維持は公知の方法で
は端末部の圧延に困難を招いて管断面がクローバ
ー形になりやすく、そのために素材がたちまち閉
塞したり裂けたりし、また交叉ロール圧延機の損
傷をも起しかねなかつた。そこで、公知の方法で
は、圧延の円滑な進行のためには管端の肥厚化と
それに伴うむだも止むを得ないものとされてい
る。

しかし、肥厚端はいかなる場合もむだと見なさ
るべきものではなく、肥厚端付きの管が用いられ
る場合もある。このような要求は油田用管の製造
に対してあり得るが、その場合肥厚端には米国特
許第2336397号明細書にも示されているように外
ねじまたは内ねじが設けられる。しかし、これに
は***国特許出願公告第1527750号明細書の方法
は充分でない。その端部の壁厚増加は2.2mmがせ
い一杯のところだからである。従つて端部に所望
範囲の肥厚化を行うには他の手段を講じなければ
ならない。ここで考えられるのは、***国特許出
願公告第1752349号明細書に提唱されているよう
に、ロール開口の増大である。その一例は***国
特許出願公開1939778号明細書による管の延伸圧
延用の段付きロール圧延機における迅速調整可能
なスピンドルの形の装置で知られている。

なお、本考案の型の交叉ロール圧延機、いわゆ
るアツセル（Assel）圧延機は中間の管圧延機に
多く見られその場合は広範囲の完成管寸法に対応
し得なければならない。

本考案の課題は、このような現状に鑑み、原則
として端部を肥厚させることがなく、従つて管圧
延機の生産能力の著しい増大をもたらす、薄肉管
製造用の交叉ロール圧延機を供するにある。ただ
し、その圧延機は必要に応じて端部を特に肥厚さ
せた管の製造もできるような柔軟性を具えていな
ければならない。

よつて本考案は交叉ロール圧延機において、交
叉ロール回転軸線の揺動中、これに基くロール開
口の増大に、圧延方向を横断する方向の調整運動
の形で段付きロールのロール開口変更運動が付加
重畳されるようにすることを提唱する。

本考案の交叉ロール圧延機は薄肉管の製造特に
端部を肥厚化しない薄肉管の量産に好適であつ
て、その圧延機では交叉ロールの調整角の減少に
伴う管径の増加が、交叉ロールの圧延機中心方向
への同時調整によつて補正される。この方式は、
段部を具えた交叉ロールのいわゆる高点、すなわ
ち被圧延管外径を規定する交叉ロールの口径領
域、のロール軸線に対する相対位置が実質的に一
定に維持される。一方、交叉度の減少は素材の送
りを落としてその広がりが少なくなるので、管端
域におけるさきに述べた管断面形状の好ましくな
い変形はこの種の方法では考えられない範囲に納
められる。

本考案の実施態様については実用新案登録請求
の範囲従属項を参照されたい。なお、実用新案登
録請求の範囲第１項の装置は端部の肥厚されない
管のみならず端部を余分に肥厚させた管の製造を
も可能ならしめるものである。

以下、本考案の実施例を添付図面について説明
する。第２図はその三ロール式交叉ロール圧延機
の全体を示すが、初めに本考案による構成が明瞭
に示されている第１図について本考案を説明す
る。

三ロール式交叉ロール圧延機の断面図第１図に
は、段付きロールになつている三交叉ロールの一
つ１が示されている。この交叉ロール１には高点
３８の位置を示すが、素材の管への変形はここで
完了する。交叉ロール１に付属するロール軸２は
可動フランジ９側および固定フランジ８側でそれ
ぞれ自動調心軸受３，４を介してチヨツク６，７
に軸支されている。継手５には図示されていない
関節軸が連結され、これを介して交叉ロール１の
回転駆動が行われる。

ロール架構は固定フランジ８と、環状のフレー
ム部分２６に回動可能に支承された可動フランジ
９とで構成され、フランジ８，９にはチヨツク
６，７が圧延軸線に直角な螺杆１１，１４を介し
て圧延軸線に直角に即ち半径方向に移動できるよ
うに支承されている。螺杆１１，１４の駆動は、
それぞれ駆動軸１２，１５を取付けられている調
整装置１０，１３によつて行われ、固定フランジ
８の螺杆１１は固定フランジ８に結合された筒状
のナツト１６内で調整装置１０により回転可能で
あり、その回転によつてチヨツク７を移動させ
る。圧延中は螺杆１１は一度調整された位置に保
たれる。

同様に、チヨツク６の基本調整は可動フランジ
９に取付けられた螺杆１４を介して行われ、その
際螺筒１７が螺杆案内ナツトとして役立つ。

しかし、螺筒１７は外面歯形１８を具えてこれ
で歯車１９と噛合つており、歯車１９は軸２３を
介して可動フランジ９に回転可能に軸支され円弧
状ラツク２１の歯形２０と噛合つている。ラツク
２１は中間リング２２を介して固定フランジ８に
固定されている。なお、螺筒１７はラジアル軸受
２５とラジアルアキシヤル軸受２４を介して可動
フランジ９内に支承されている。

可動フランジ９はこのように歯車１９を含む歯
車機構を介して固定フランジ８と連結している。
この伝動結合は第３図に明瞭に示される。第３図
は第１図のＣ−Ｄ線による断面図であつて、歯車
１９は二つの別々の扇形歯車部分３０，３１から
成り、歯車部分３０は螺筒１７に、歯車部分３１
はラツク２１に噛合つている。

第２図はこの三ロール式交叉ロール圧延機、す
なわちアツセル型圧延機とも称される段付き圧延
機の立面図であつて、固定フランジ８と固定フレ
ーム部分２６は、架台２７に固定結合されてい
る。判りやすいように重複図示した可動フランジ
９の回動は、空気または流体シリンダーの形の回
動装置２８によつて行われ、その調整プランジヤ
ー２９が可動フランジ９に関着されている。第２
図には、第一交叉ロール１の自動調心軸受３とチ
ヨツク６ばかりでなく、他の交叉ロールの対応す
る自動調心軸受３′とチヨツク６′も見られる。１
４′はこれら他交叉ロールの螺杆を示す。

次に、第１ないし第３図に示した交叉ロール圧
延機の作用について説明する。

素材の圧延中、交叉ロール圧延機は例えば第１
図に示す位置にあつて、高点３８は管軸線に最も
近い位置を占めており、管を薄肉に圧延するが、
このときロール軸２の軸線の交叉度は比較的大で
あり、そのために比較的大きな圧延送りが与えら
れる。素材の後端が到達する直前には、ロール軸
交叉度は回動装置２８に駆動されて可動フランジ
９が回動することにより減少する。可動フランジ
９が回動すると、歯車１９は固定フランジ８のラ
ツク２１上を転動すると共に螺筒１７を回転させ
る。螺筒１７は可動フランジ９内に軸線方向移動
不可能に支承されているので、回転するとチヨツ
ク６を圧延線の方に移動させる。このようにし
て、ロール軸線２の交叉度の減少によつて与えら
れる高点３８の圧延線からの偏位が充分に補正さ
れる。

この歯車伝動のメカニズムすなわちこの機械的
連動は、二つの別々の扇形歯車部分３０，３１に
よつて、交叉度の変化に基く高点の偏位が第４図
に鎖線Ａで示す曲線に沿つて進むように配慮され
ている。曲線Ａには、同図に符号Ｂで示す、螺筒
の回転による直線反対運動が重畳される。両運動
の重畳からもう一つの曲線Ｃが得られ、被圧延管
の壁厚に幾分の偏差それも0.3〜0.4mm程度の大き
さの偏差を生ずる。このような僅小な偏差は格別
の手段を講じないでも被圧延管を完成管にする後
加工で補正される。結局、本考案によれば実質的
に端部の肥厚しない管が圧延されることになる。

第５図に示す三ロール式交叉ロール圧延機は、
第１図ないし第４図に示す圧延機と同様に作動し
て端部を肥厚させずに管を圧延することができ、
また端部を普通に或いは余分に肥厚させた管を圧
延することも可能である。端部の肥厚化は、ラツ
ク２１自体を可動の回動リング３５に固定し、後
者が回動装置３６により種々の位置を採り或いは
所定の運動を成し得るようにすることによつて達
成される。この場合も、可動フランジ９の螺筒１
７と固定フランジ８との連結は、第６図に示すよ
うに、やはり一種の歯車機構を介して行われる。
すなわち、螺筒１７は可動フランジ９内の軸３４
上に支えられた歯車３２と噛合つており、歯車３
２はラツク２１の歯形２０と噛合つた他の歯車３
３と一体に結合されている。ラツク２１は回動装
置３６に結合された可動リング３５に取付けられ
ている。

回動装置３６がいわば遊動の状態にあると、可
動フランジ９の回動に伴い歯車３３がラツク２１
を移動させて可動リング３５を回動させるが、螺
筒１７は動かない。可動フランジ９の回動中に可
動リング３５が調整装置３６を介して同方向或い
は反対方向に回動駆動されると、端部の余分に肥
厚した管或いは端部の肥厚しない管が得られる。
このことは第７図ないし第９図から明瞭に理解さ
れる。第７図は第４図と対応する図形である。な
お、ここで、第１図ないし第３図の交叉ロール圧
延機において第３図の扇形歯車部分３０，３１の
径を互に異ならせ、また第６図における歯車３
２，３３の径を互に異ならせれば、曲線Ａの直線
Ｂからの偏差を補正して正しい位置の曲線Ｃを得
ることができる。また、この場合、通常はロール
の送り角８度で圧延されこれが管端域では３度に
減少することになる。

第５第６両図の交叉ロール圧延機で第７図或い
は第４図に示す条件を得るためには、可動リング
３５を回動装置３６の鎖止によつて固定すればよ
い。

通常の肥厚端すなわち端部肥厚度約2.2〜2.4mm
の管を得るには、可動リング３５を回動装置３６
により可動フランジ９の回動と同方向且つ同角量
に制御してこの種の装置での通例の条件を具えさ
せる。

第９図は余分に管端を肥厚させた管の製造を示
すが、この場合は第８図に示す鎖曲線Ａにもう一
つの曲線Ｂが重畳して曲線Ｃを生じる。そのため
には、可動リング３５を可動フランジ９の回動中
その回動方向と同方向に一定量移動させる。その
際リング３５の移動は、第９図に示すように、若
干遅れて開始させると共に可動フランジ９の回動
停止と同時に停止させることができる。

通常の圧延作業には二次的な意義しかないが、
図示を省略した本考案の一変型では、可動リング
３５の対応する逆移動によつて管端の縮小も可能
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を図式的に示したもので
あつて、第１図は第２図の線Ａ−Ｂによる交叉ロ
ール圧延機の一部断面図、第２図は三ロール式交
叉ロール圧延機を圧延方向から見た図、第３図は
第１第２両図中の一ユニツトを第１図の線Ｃ−Ｄ
で切断した断面図、第４図は交叉ロールの高点の
動程線図である。第５図は調整範囲の拡大された
三ロール式交叉ロール圧延機の第２図と同様の
図、第６図は第５図の線Ａ−Ｂによる一部断面
図、第７第８および第９図はこの交叉ロール圧延
機の高点動程線図である。 １……交叉ロール圧延機、２……ロール軸線、
３，３′４，４′……自動調心型軸受、５……継
手、６，６′，７……チヨツク、８……固定フラ
ンジ、９……可動フランジ、１０……調整装置、
１１，１４……螺杆、１２，１５……駆動軸、１
６……筒状ナツト、１７，１８……螺筒とその外
面歯形、１９……歯車、２１……ラツク、２２…
…中間リング、２４……ラジアルアキシヤル軸
受、２５……ラジアル軸受、２６……固定フレー
ム部分、２７……架台、２８……回動装置、２９
……調整プランジヤー、３０，３１……歯車１９
の扇形歯車部分、３２，３３……歯車、３５……
可動リング、３６……回動装置、３８……交叉ロ
ール／の高点。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 各交叉ロールにその半径方向位置を調整する
   調整装置が設けられ、これらの交叉ロールが一
   方で固定フランジに他方で可動フランジにそれ
   ぞれ自動調心軸受を介して軸支され、前記可動
   フランジの前記固定フランジに対する相対角位
   置が、前記可動フランジの素材軸線と一致する
   軸線を中心とする圧延中の回動によつて可変で
   ある、薄肉管製造用の交叉ロール圧延機にし
   て、前記調整装置は各交叉ロール軸支用の前記
   可動フランジ９側自動調心軸受３の圧延軸線に
   直角に移動可能なチヨツク６に係合する圧延軸
   線に直角な螺杆１４と、前記可動フランジ９内
   に回転可能に支承され前記螺杆１４と螺合する
   螺筒１７とを含み、該螺筒１７の外面に設けた
   歯形１８を前記可動フランジ９に回転可能に取
   付けられた歯車１９と噛合させ、該歯車１９を
   前記固定フランジ８に取付けられた円弧状ラツ
   ク２１と噛合させて成り、これにより前記調整
   装置が前記可動フランジ９の回動と連動するよ
   うにしたことを特徴とする交叉ロール圧延機。 ２ 前記歯車１９が異なる円弧径の二つの扇形歯
   車部分３０，３１を有し、前記螺筒１７に係合
   する扇形歯車部分３０の円弧径が前記ラツク２
   １に係合する扇形歯車部分３１の円弧径よりも
   約５％大であることを特徴とする、実用新案登
   録請求の範囲第１項に記載の交叉ロール圧延
   機。 ３ 前記ラツク２１が圧延軸線と同心のリング３
   ５に結合され、該リングが前記固定フランジ８
   に回転自在に支承され、該フランジには前記リ
   ング３５を限られた範囲内で回転させる調整可
   能の回動装置３６が結合されていることを特徴
   とする、実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の交叉ロール圧延機。