JPS6225491Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、糸捲取用の紙製ボビンに関する。

従来、ナイロン糸のような合成繊維糸などを捲
き取るためのボビンとしては、アルミニウム製又
は鉄製などの金属ボビンが用いられていた。しか
し、一般にボビンは輸出の際には回収して再使用
しないことが多く、また、金属ボビンは高価であ
るなどの理由から、最近においては紙製ボビンが
多く検討されるようになつた。

しかしながら、この紙製ボビンは、使用に際し
てスピンドルとの嵌合を確実にして大きな駆動力
を与えるために、紙製筒状体の一端にスピンドル
の軸芯に嵌着可能な軸受と回転駆動を伝える伝導
部を設けた合成樹脂製のソケツトを嵌入してスピ
ンドル係合部としており、その製造に際して紙製
円筒体のほかに他の材料と特別な加工工程を必要
とするので量産を安価に行なうのが困難であり、
ソケツトの嵌合部の弛み等の欠点もあり、このた
め、金属ボビンに対する価格上の優位性はさほど
大きくはなかつた。

本考案は、紙製筒状体と合成樹脂あるいは金属
材料とからなる前記紙製ボビンにおけるこのよう
な欠点を解消するためになされたものであつて、
他の材料を必要とすることなしに実質的に紙製筒
状体だけから構成される極めて簡単な構造の紙製
ボビンを提供することを目的とする。

このため、本考案の紙製ボビンは、ボビン本体
を成す紙製円筒体の端部から周方向に沿つて複数
箇所に、軸方向に所定長さの切り込みを入れ、該
切り込み部を前記円筒体の内面奥側に折り曲げて
スピンドル軸部に当接するごとくした軸受部と
し、前記折り返した後に形成された凹部を前記ス
ピンドルの駆動部に係合する回転伝動部としたこ
とを特徴とする。

本考案の前記折り曲げた部分は、そのままでも
よく、又、一定形状保持のために合成樹脂を含浸
させたり、前記紙製円筒体内面に接着させてもよ
い。又、前記折り曲げ形状は、単に折り曲げる
外、「の」の字状としてもよい。

本考案の紙製ボビンの前記折り曲げは、該ボビ
ン筒体内に装着するスピンドルによつて駆動され
るものであり、前記の切り込み部を折り返してで
きた凹部を前記スピンドルの駆動部の凸部に係合
させて駆動力伝達を行わせると共に、該折り返し
部は紙特有の弾性力のために、ここに当接する前
記スピンドルの軸部に対し同心円的に該ボビンを
セツトできると共に、糸の捲装による周圧によつ
て該スピンドルを締め付けて抜けなくなることを
防止するように作用する。

以下、図面に示された本考案の一実施例に基い
て本考案を具体的に説明する。

第１図は、本考案の紙製ボビンの一実施例の一
端の正面図、第２図は、そのＡ−Ａ線断面図、お
よび第３図は、本考案の紙製ボビンの一例の部分
的斜視図で、紙製円筒体１の一端では、その内径
よりも大きくて外径よりも小さい位置の３箇所で
軸方向に外周および内周に沿つて平行に所定の長
さで切り込まれ、その切り込みの内側の部分が内
側に折り曲げられて折り曲げ部２が形成されてい
る。なお、この折り曲げ部２は、一定の形状の保
持のために合成樹脂等を含浸及び接着させて成形
すると一層よい。また、折り曲げ部２の形状は特
定されるものではないが、曲率半径を大にしたい
わゆる「の」の字形の形状であつてもよい。この
折り曲げ部２の形成によつて凹部３が形成され
る。この凹部３に図示されていないスピンドルの
駆動部が係合して駆動部を形成する。

このように構成される紙製ボビンを用いて捲糸
するに際しての１例では、第４図に示されるよう
に、スピンドル５へ紙製円筒体１の前記一端から
嵌挿する。これによつて、折り曲げ部２がスピン
ドル５の軸６に嵌合する軸受け部となり、また、
凹部３と残存する凸部４から成る凹部がスピンド
ル５の駆動部７に嵌着して回転伝導部として作用
することになる。スピンドル駆動部に紙製ボビン
が嵌着不可能な場合は、紙製ボビンの下端の内径
を拡大し、該折り曲げ部２、凹部３、凸部４を成
形するとよい。このため、高速回転に際しても振
れや滑りを生ずることがなく、また、遊転するこ
ともない。なお、スピンドル５の先端部について
は、紙製円筒体１内において適当な手段（図示さ
れていない）によつて回転可能に支持すればよ
い。

以上説明したように本考案の紙製ボビンは、ボ
ビン本体を成す紙製円筒体の端部から周方向に沿
つて複数箇所に、軸方向に所定長さの切り込みを
いれ、該切り込み部を前記円筒体の内面奥側に折
り曲げてスピンドル軸部に当接するごとくした軸
受部とし、前記折り返した後に形成された凹部を
前記スピンドルの駆動部に係合する回転伝動部と
する構成としたために、(1)従来紙製ボビンに駆動
力を与えるために使用していた合成樹脂製のソケ
ツトを使用しないでも紙製円筒体のみでスピンド
ルへの装着及び駆動力伝達を行うことが可能とな
るので、高価な金型、成形装置、製造工程、管理
等に要する費用が不用となり、(2)前記のように軸
受部を構成することで、糸を捲装したことによる
周圧によりスピンドルが締め付けられて抜けなく
なることを防止し、(3)構造が簡単で、加工が容易
であるために安価に量産できるという効果を奏す
ることができる。

したがつて、本考案の紙製ボビンは、回収、再
使用しないような輸出糸用に使用するいわゆるワ
ンウエイ用のボビンとして極めて有利に使用する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の紙製ボビンの一実施例の一
端の正面図、第２図はそのＡ−Ａ線断面図、第３
図は、その部分的斜視図、第４図は、本考案の紙
製ボビンの一例にスピンドルを嵌挿させた場合に
ついて第１図のＢ−Ｂ線断面図に基づいて示した
説明図である。 １……紙製円筒体、２……折り曲げ部、３……
凹部、４……凸部、５……スピンドル、６……
軸、７……駆動部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボビン本体を成す紙製円筒体の端部から周方向
   に沿つて複数箇所に、軸方向に所定長さの切り込
   みをいれ、該切り込み部を前記円筒体の内面奥側
   に折り曲げてスピンドル軸部に当接するごとくし
   た軸受部とし、前記折り返した後に形成された凹
   部を前記スピンドルの駆動部に係合する回転伝動
   部としたことを特徴とする紙製ボビン。