JPS6224845Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はベースバルブによつて発生する圧側減
衰力を適正化した車両の油圧緩衝器に関する。

車両の油圧緩衝器のうち、主としてベースバル
ブによつて圧側減衰力を発生させるものは、例え
ば第１図に示すように構成されている。

１はシリンダ、２はアウターチユーブ、３はシ
リンダ１に摺動自由なピストンで、ベアリング６
で支持されるピストンロツド４は車体側に、アウ
ターチユーブ２は下端のブラケツト５を介して車
軸側に連結される。

ピストン３によりシリンダ１の内部は上下の油
室７，８に区画されるとともに、シリンダ１とア
ウターチユーブ２の間にはリザーバ室９が形成さ
れ、上部にガスが封入されている。

リザーバ室９と油室８との間のバルブケース１
１にはベースバルブ１０が介装され、油室８が収
縮する圧側作動時に、リザーバ室９へ逃げるピス
トンロツド４の侵入体積分の作動油に抵抗を付与
して、圧側減衰力を発生させる。

すなわち、ベースバルブ１０は、シート部１２
の外周に着座するリーフバルブ１３と、内側でた
わむリーフバルブ１４とが重ねて装着され、圧側
作動時には下側のリーフバルブ１４がたわんで作
動油に抵抗を与えつつ流し、逆に伸側作動時には
両リーフバルブ１３，１４がスプリング１５に抗
していつしよに上方へ移動し、ほとんど抵抗なく
リザーバ室９から油室８へ油を流すのである。

ところで、一般に圧側減衰力特性としては、ピ
ストン低速域では減衰力増加割合が高く、高速域
では低くすることが、良好な操安性、乗心地を確
保するために要求される。

しかしながら、このようにたわみ型のリーフバ
ルブ１４のみで減衰力を発生させる場合は、第２
図にも示すようにピストン低速域での減衰力を満
足させれば高速域で減衰力が高すぎ、逆に高速域
で満足させれば低速域で低くすぎとなり、全領域
で要求通りの減衰特性を得ることができず、とく
に低速域で高い減衰力に設定すると高速域でバル
ブに過剰な圧力がかかりバルブのひび割れ等が発
生することもあつた。

これに対して、ピストン低速域で効くオリフイ
スを設け、バルブが開くまではオリフイスにより
減衰力を発生させるものもあるが、この場合に
は、第２図の点線で示すように、低速域で減衰力
の変化が流速の２乗に比例し、極低速域では減衰
力が低くなりすぎるのと、急激に変化するという
問題があつた。

本考案はかかる問題に鑑み、ピストン速度が一
定以上になつてもバルブの撓み量が大きくなつて
バルブが破損するような心配が無く、しかもピス
トン速度低速域での圧側減衰力の増加割合が高く
なるようバルブを設定してもピストン速度高速域
における減衰力が過剰になるのを防止できるリリ
ーフ機能を備えたピストン速度依存型の減衰力特
性を示す油圧緩衝器を提供することを目的として
いる。

本考案は、ベースバルブのバルブケースをスプ
リングで保持し、圧側減衰力の上昇に伴いバルブ
ケースが所定量変位したときに、ベースバルブを
バイパスして開く油口を設け、ピストン高速域で
はこの油口から作動油の一部を流出させるように
したものである。

以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明
する。

第３図に示すように、バルブケース１１はセン
ターロツド２０に摺動自由に挿入され、ロツド２
０はベースプレート２１に螺合する。

ベースプレート２１はシリンダボトム部に固定
され、ベースプレート２１とバルブケース１１と
の間にコイルスプリング２２が介装され、通常は
バルブケース１１をセンターロツド２０のつば部
２４と係止するまで上方に移動させている。

シリンダ１にはバルブケース１１の下部に位置
して油溜室９とバルブ室２８を常時連通する通孔
２５が設けられるとともに、その上方に通常はバ
ルブケース１１の外周部２６により閉じられる油
口２７が形成される。

なお、バルブケース１１にはベースバルブ１０
が第１図と同様にして取付けられているが、これ
らには同一符号を付して、説明を省略する。

ピストン３が侵入してくる圧側作動時には、油
室８の作動油はベースバルブ１０のリーフバルブ
１４をたわませつつバルブ室２８から通孔２５を
経て油溜室９へと流れる。

このため、リーフバルブ１４のたわみ荷重に対
応しての減衰力が発生し、同時にこれにより油室
８とバルブ室２８の間に生じる差圧で、バルブケ
ース１１がスプリング２２に抗して下方へ押し下
げられる。

ピストン速度が低い領域では、バルブケース１
１の移動は油口２７を開くに至らないが、ピスト
ン速度が上昇して作動油の移動流量が増大する
と、上記したリーフバルブ１４により生じる差圧
（減衰力）も大きくなり、これに伴つてバルブケ
ース１１の変位量も増加し、やがて油口２７が開
き始める。

油口２７が開きだすと、油室８の作動油の一部
は、この油口２７を通つて直接的に油溜室９へと
流出する。

このため、リーフバルブ１４による減衰力はこ
れ以上に高まらず、以後はバルブケース１１を付
勢するスプリング２２のたわみにもとづいて緩や
かに減衰力が増加するにとどまる。

この状態を示したのが、第４図であり、油口２
７が開き出したときに特性線が折れ曲がる。

なお、伸側作動時は従来と同様に、油溜室９の
作動油は通孔２５バルブ室２８から、リーフバル
ブ１３，１４を同時に押し上げてほとんど抵抗な
く拡大する油室８へ流入するのであり、このとき
はバルブ室２８側が油室８の圧力よりも高いの
で、バルブケース１１はセンターロツド２０に係
止されるまで上方へ移動し、油口２７は閉じてい
る。

以上のように本考案によれば、ピストン速度依
存型の減衰力特性を示す油圧緩衝器としたので、
ピストン速度低速域では比例型特性に基づいて比
較的高い増加割合の減衰力を発生させられるとと
もに、ピストン速度高速域では減衰力が所定値以
上にならないようにカツトすることができるた
め、全領域で操安性や乗心地の点から良好な減衰
力特性が得られる一方、ベースバルブの応力がピ
ストン速度高速域であつても過大になるのを防止
してバルブとしての耐久性を向上できるという効
果を生じる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の断面図、第２図はその減衰
特性を示す説明図、第３図は本考案の実施例を示
す断面図、第４図はその減衰特性を示す説明図で
ある。 １……シリンダ、２……アウターチユーブ、３
……ピストン、４……ピストンロツド、７，８…
…油室、９……油溜室、１０……ベースバルブ、
１１……バルブケース、１３，１４……リーフバ
ルブ、２０……センターロツド、２１……ベース
プレート、２２……スプリング、２５……通孔、
２７……油口、２８……バルブ室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダに摺動自由に収装したピストンにより
   上下部油室を画成し、圧側作動時に下部油室から
   油溜室へ流出する作動油に抵抗を付与するベース
   バルブをシリンダ下部に設けた油圧緩衝器におい
   て、ベースバルブのバルブケースをシリンダに摺
   動自由に形成し、かつ下部油室の圧力上昇に対抵
   するようにバルブケースをスプリングで付勢し、
   バルブケースがスプリングに抗して所定以上変位
   したときに開きベースバルブをバイパスして作動
   油を油溜室へ逃がす油口をシリンダに形成したこ
   とを特徴とする油圧緩衝器。