JPS62179303A

JPS62179303A - 播種物

Info

Publication number: JPS62179303A
Application number: JP61018066A
Authority: JP
Inventors: 本山　示; 誠一梅田; 荻島　博明; 茂木　佐四郎
Original assignee: Freund Corp
Current assignee: Freund Corp
Priority date: 1986-01-31
Filing date: 1986-01-31
Publication date: 1987-08-06
Also published as: US4769945A

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分腎〕本発明は播種物に適用して有効な技術に関する。

〔従来の技術〕

従来、植物の品種改良を実施するには、交配や突然変異
の誘発等により獲得された優れた形質を、一定の品種（
固定種）として定着せしめることにより達成されていた
。近時は、これらに加えて、遺伝子の組み替えや、細胞
融合等の手法が利用されるに至っている。

しかし、いずれの方法によるとしても、特に−年生の植
物にあっては、この優れた形質を保有する親植物から、
同じ形質を有する子孫を得るためには、親植物から種子
を採取して、これを播種するという過程が必要である。

このような、種子を介した繁殖方式は、まず固定種を作
出するための多大な労力、時間や特殊な技法が必要であ
るし、一旦作出された固定種も、常に雑文によって形質
が劣化する危険性を有している。

このような固定種による方法の他、存用な品種が一代雑
種として成立している場合や、異数性、構造変異の異型
接合、二倍性など、特異な染色体型によって得られてい
る場合には、種子繁殖によって次代にその特性を遺伝さ
せることは、実質的に不可能である。このような場合は
、毎世代、親植物どうしの交配によって新たに種子を採
取するとか、特殊な処理を加えるなどの手段によって種
子を得る必要がある。このような方法は甚だしく５１雑
なばかりか、場合によっては有用な植物種子を特定の機
関の供給に依存しなければならないという、国家の農業
政策上極めて好ましくない事態を惹起する可能性を有し
ている。

また、種子を介した繁殖方法は多大な労力および時間を
必要とすると同時に、天候、土地などによっても制約を
受けるという欠点を有していた。

このような欠点を解消するものとして、植物体の＆Ｉｉ
織の一部を培養して得られる不定胚、不定芽、苗条原基
またはカルス等の活性植物組織をさらに苗化培養して植
物体を得る栄養体生殖の手法が開発された。この方法は
、条件によっては染色体数の変化などを生起することが
あるが、適当な培養条件を選ぶことによって、原種物と
全く同一の形質を有するクローン体を得ることが可能で
あって、原理的には一つの親植物から多量に、また何代
でも無制限に子孫を繁殖せしめ得る。

しかしながら、天然の種子には、後に植物体に生長する
胚の他に、胚の養分となる胚乳や、胚を物理的に保護す
る種皮等の植物学的アクセサリ−が具備されている。そ
して、この植物学的アクセサリ−の作用により、胚の枯
死、保存中の発芽等が防止され、また腐敗等が起こらぬ
ような適量の水分含有量に調整されているものである。

これに対して、組織培養で得た活性植物組織には、この
ような植物学的アクセサリ−は付属しておらず、全く無
防備な裸の状態で提供される。

ところで、このような裸の活性植物組織を含有する種子
１ｓ偵物については、特開昭５９−１０２３０８号公報
および特開昭６０−１１８１０３号公報に開示されてい
る。その概要は、養分を付与する目的で裸の活性植物組
織をゲルマトリックス中に含み込んで種子類似物を形成
するものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、上記のようなゲルによる被覆はゲルの強度が小
さい上に多量の水分を含むため取り扱い難く、かつ保存
性が不良であるという欠点を有している。また、この欠
点を克服するため、上記公開公報においては、グルタル
アルデヒド等の処理剤によりゲル表面を硬化せしめる方
法が示されているが、その効果は十分でなく、上記の欠
点を解消するには程遠いものである。

さらに、活性植物組織がゲル中に完全に包み込まれてい
るため、発芽・発根時に酸素の供給が不十分で、生長が
阻害されたり枯死することが多く、またゲルの強度が大
きいために活性植物組織の生長力によってはゲルが破壊
せず、幼芽がゲル中に閉じ込められてしまうことがある
などの欠陥もあった。

本発明の目的は、？ＩＭ物についてその取り扱いを容易
にし、かつ活性植物組織に十分な酸素を供給し、発芽・
発報を促進することができる技術を提供することにある
。

本発明の他の目的は、ゲルの強度が大きい場合でも幼芽
の生長を阻害することを防止できる技術を提供すること
にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明のａ要は、その内側面に水不溶性の物質が被覆さ
れている容器内にヒドロゲルを充填し、該容器内に活性
植物組織を収容し、播種物の基本的構成とするものであ
る。

〔作用〕

播種物を上記構成にすることにより、該播種物の骨格を
形成する容器を、その中にヒドロゲルを安定して収容で
き、１１種後は圃場の水分でその本体が容易に溶解し、
被覆物質が発芽・発根時には容易に破壊される機能を備
えたものにすることができる。

加えて、活性植物組織をヒドロゲルに接触させることに
より、該ヒドロゲルから活性植物組織への水分等の供給
を可能にし、かつその活性植物組織の少なくとも一部を
露出させることにより、該活性植物組織に十分な酸素を
供給することができるものである。上記各作用が相まっ
て、前記目的が達成されるものである。

次に、前記播種物についてさらに詳細に説明する。

本発明に用いられる容器は、その本体が形状保持および
内容物の保持ならびに保護のための機械的強度を有する
水溶性物質からなり、その容器の内側面に水に対し不溶
で水を実質的に透過しない水不溶性物質を薄く被覆した
ものである。すなわち、播種物には貯蔵、輸送、を品種
等の段階では、ある程度の機械的強度が要求されるが、
播種後はその必要がない。むしろ発芽や発根した植物体
の生長を妨げることがないようにする必要がある。

そのために、本発明では容器本体を圃場の水分で軟化・
溶解するようにし、かつ培地であるヒドロゲルからの水
分により、溶解・膨潤等を生起しないようにするために
容器本体の内側面に水に不溶でかつ水をほとんど透過さ
せない被覆を施すものである。

容器本体を形成する水溶性物質としては、この目的を達
成し、植物体に無害のものであればよく、ゼラチン、ア
ルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、澱粉、プルラン、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ
アクリルアミド、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロ
リドンなどの水溶性高分子が例示されるが、これらに限
定されるものではない、また、必要に応じてこれらの水
溶性物質には、それに適した可塑剤を配合することもで
きる。内側に被覆する水不溶性物質は、収容されている
ヒドロゲルの水分をほとんど透過せず、植物体に無害の
ものであればよく、ポリエチレン、ポリメチルメタクリ
レート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどの合成樹
脂、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリウレタン
などの合成ゴム、エチルセルロース、アセチルセルロー
ス、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体、あるい
は油脂やロウなどが例示されるが、これに限定されるも
のでない、また、その被覆は、如何なる方法によっても
よいことはいうまでもない。

容器内に収容するヒドロゲルは、活性植物＆Ｉｌ織の発
芽・発根を妨げず、これを助長するものが望ましく、一
般には公知の寒天培地が好適であるが、この目的を達成
するものであればよく、このほかアルギン酸ナトリウム
、ペクチン、マンナン、カラギーナンまたはバクテリア
が産生ずる多１！頻の一種であるジェランガム（商品名
、メルク社製）等が例示されるが、これらに限定される
ものでない、また、上記ヒドロゲルは、主としてこれら
高分子物質と水分からなり、ゲル状を呈しているもので
ある。このヒドロゲルには、他に、栄養剤、植物生長ホ
ルモン、殺菌剤、防カビ剤、保水剤、ＰＨ調節剤等を含
有せしめることは差支えない。

特に栄養剤の配合は極めて好ましく、また播種物の容器
が開放型の場合には、殺菌剤、防カビ剤等を配合するこ
とが望ましい。

本発明において、対象とされる活性植物＆ｌ１ｖａとは
、直接もしくは分化、器官形成を経た後、生長すること
により植物体となりうる＆ｆｌ織をいい、種子は含まな
いものである。具体的には、体細胞、胚、不定器官、苗
条原基、プロトコーム球状体、グリーンスポット等と表
現されている***組織を挙げることができる。また、利
用できる植物の種類としては、これら活性植物組織が得
られるものであればよく、特に制限はない、なお、実用
性の大きな植物品種として例示するならば、稲、小麦、
大麦、トウモロコシ、大豆などの主要作物、セルソー、
パセリ、レタス、カリフラワー、ニンジン、ナス、トマ
ト、玉葱、ニンニク、ショウガ、イチゴ、スイカ、アス
パラガスなどの野菜、アブラナ、サトウキビ、テンサイ
、タバコなどの工芸作物、ベラドンナ、朝鮮人参、ウィ
キヨウなどの薬用植物、菊、百合、間、グラジオラス、
アマリリス、ゼラニウム、ベゴニア、セントポーリア、
シダ、ポインセチアなどの観賞植物などを挙げることが
できる。

本発明においては、活性植物組織はヒドロゲルに接触し
、少なくともその一部が該ヒドロゲル中から露出してい
ることが必要である。すなわち、活性植物組織は、ヒド
ロゲルから水分または栄養分を吸収するため、少なくと
もその一部分を該ヒドロゲルに接触される。また、必要
ならば活性植物組織の飛散、逸失を防ぐために、その一
部を上記ヒドロゲル中に埋没させて固定することもてき
る。そして、発芽の妨害を排し、また空気中の酸素の供
給を良好にするため、活性植物組織の少なくとも一部は
空気中に露出していることが必要とされる。

次に、本発明による播種物の実施例についてその代表的
構造を図に基づいて説明する。なお、その構造としては
、種々の形態のものが目的に応して利用可能であること
はいうまでもない。

第１図〜第３図はそれぞれ密閉型の播種物を示す断面図
であり、第４図〜第７図はそれぞれ開放型の播種物を示
す断面図である。

第１図に示す播種物では、その容器ｌが水溶性物質で形
成された容器本体２と、その内側面に被覆された水不溶
性物質からなるＰＪ膜３とで形成されている。上記容器
１の中にはヒドロゲル４が充填されており、該ヒドロゲ
ル４には活性植物組織５がその一部を差し込んだ状態で
固定されている。

そして、上記容器ｌの開放端には、該容器１と同構造の
蓋本体２ａ、！：薄膜３ａとからなる蓋６が、接着剤７
で取付けられており、その中の活性植物組織５等が封止
されている。

第１図に示す１１種物は、播種後、土中の水分や雨水等
の環境水分によりその容器本体２および蓋本体２ａが熔
失し、薄膜３および３ａが残ることになるが、該薄膜３
は芽または根の生長により容易に破壊されるものである
。

また、第２図に示す播種物は、基本的には前記第１図に
示したものと同様のものである。ただし、活性植物組織
５がヒドロゲル４の表面に′ＩＩ＆ｔされて該両者が接
触している点、およびＭ６が水溶性物質のみで形成され
ている点において異なっている。上記播種物は、播種後
、水分により蓋６が溶失し、容易に開放型に移行するも
のである。

さらに、第３図に示す播種物は、前記第２図に示すもの
と同様のものであり、活性植物組織５がヒドロゲル４の
中に差し込まれている点とＭ６がほぼ平坦な形状である
点において相違するものである。

なお、前記第１図〜第３図に示した各播種物について、
容器ｌを構成する材料と蓋６を構成するそれとが同一の
ものであっても、また物性が共通する異なる材料を組み
合わせたものであってもよいことはいうまでもない。

また、密閉型の播種物においては、必ずしも活性植物組
織がヒドロゲルに常時固定されている必要はなく、播種
時に接触させることができればよい。

第４図に示すｔ１種物は、その容器ｌは基本的に前記第
１図〜第３図に示したものと同じであるが、蓋がないた
めに該容器の上端が初めから開放されているものである
。

また、第５図に示す播種物は、その容器ｌの底部に孔１
ａが設けられているもので、他は前記第４図と同様のも
のである。この播種物では、孔ｌａより土中の水分等の
吸収を可能にし、かつ根の発育が妨げられることが防止
されている。

そして、第６図に示す播種物は、前記第５図における孔
１ａを大きくしたものに相当するものであり、また容２
Ｓ１の側面はほぼ直線状であり所定のテーパが付けられ
、該テーバによりヒドロゲル４の保持がなされている。

また、第７図に示す播種物は、基本的構成が前記第４図
に示したものと共通であるが、容器１が大形で複数の活
性植物＆Ｉｌ織が収容されている点、および水不溶性物
質からなる蓋６ａで封止されている点において相違する
ものである。なお、上記Ｔｉ５ａは播種時には取り外し
、開放して使用するものである。

本発明の播種物は、通常では培養した後、馴化しなけれ
ば圃場等に植えつけることのできない活性植物組織を、
特別の設備を用いることなく圃場等に直接ｔ１種するこ
とが可能である。

特に、密閉型の場合は、一定時間、内部を無菌状態に保
つことが可能であって、植物体が発芽または生育した後
無菌状態が破れるように設計することが可能である。ま
た、開放型の場合には、ヒドロゲル中に殺菌剤や防カビ
剤を配合することにより外界からの汚染を防ぐことが好
ましい。

次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
。

〔実施例１〕本発明による実施例１は前記第１図に示す１ｍ種物の一
例について実施したものである。

可塑剤としてグリセリンを含むゼラチン（水溶性物１Ｉ
ｔ）で形成された日本薬局方の１号カプセルのボディか
らなる容器本体２の内側面に、ニトロセルロースの８％
酢酸エチル溶液を細筆を用いて塗布し、風乾した。これ
により、その内側面に厚さ約１．０μｍのニトロセルロ
ース（水不溶性物質）の薄膜３が被覆された容器１を形
成した。これにＭｕｒａｓｈｉｇｅ−５ｋｏｏｇ　（以
下ｒＭＳＪと略称する）の寒天培地約０．２ｇを充填し
、ニンジン（Ｄａｕｃｕｓｃａｒｏｔａ　Ｌ、）の不定
胚１個を、その茎極を空気中に露出した状態でその相極
を培地に差し込んで容器１内に収容した０次に日本薬局
方の１号カプセルのボディを前記と同様に内面被覆した
前記容器１と同一構造の蓋６を用意し、その開放端の端
面にニトロセルロースの８％酢酸エチル溶液を塗布した
後、該端面を不定胚を挿入した容器ｌの端面に合わせて
接着した。そして、第１図に示すような構造の播種物を
得た。これらの操作は全て無菌的に実施した。

こうして１″ｔられた１１種物を播種したところ、該播
種動向の不定胚は、２５℃恒温槽中で５日後に発根し、
７日後に胚軸が伸び、１０日後に発芽した。また、圃場
に於いて土中に頂部付近まで差し込んだものは、徐々に
外層の容器本体２および蓋本体２ａが土中の水分で溶解
し、１０日後には内側のニトロセルロースの’ｉｉＪ膜
３．３ａのみ残った。

この薄膜３，３ａはニンジンの生長により破壊され、ニ
ンジンは順調に生育した。

〔実施例２〕本実施例２では前記第２図に示した播種物の一例につい
て実施したものである。

実施例１と同様のカプセルのボディからなる容器本体２
の内側面に、エチルセルロースの１０％エタノール溶液
を満たしてから液を捨て、６０℃で真空乾燥した。これ
により、その内側面が厚さ約３０μｍのエチルセルロー
ス（水不溶性物質）の薄膜３で被覆された容器ｌが形成
された。これにＭＳの寒天培地約０．１５　ｇを入れ、
ニンジンの不定胚１個を培地上に載置した。

次に、同じカプセルのキャップからなる蓋６を上記容器
１にかぶせた。その際、嵌合部である容器１の外側面と
蓋６の内側面とを水でぬらして接着し、第２図に示すよ
うな構造の播種物を得た。

これらの操作は全て無菌的に実施した。

この播種物の２５℃恒温槽中における生育状況は実施例
１と同様であった。また、圃場において、土中に頂部付
近まで差し込んだものは、徐々にボディの外層およびキ
ャップが溶解ないし軟化し、発芽後の生育は）順調であ
った。

〔実施例３〕本実施例３は前記第３図に示した播種物の一例について
実施したものである。

ポリビニルアルコール（商品名：ＰＡ−０５、ケン化度
８８モル％の部分ケン化物、信越化学工業株式会社製）
に１０％のグリセリンを加えたもので直径１３組織、深
さ２５龍、膜厚０．２　ａｍの円筒を形成し容器本体２
とした。この容器本体２の内側にポリ酢酸ビニルの２０
％メタノール溶液を細筆を用いて塗布し、風乾し、約２
０μｍの薄膜３でその内側面が被覆された容器ｌを形成
せしめた。

この容器１に、蔗糖含量を２ｇ／ｌとしたＭＳの寒天培
地約１．５ｇを充填した。この境地に、キク（Ａｓｔｅ
ｒ　ｓρ、）の不定芽１個を、その基部２１程度が培地
中に埋没するように垂直に挿入した０次に、この容器ｌ
の開口端にポリビニルピロリドン（商品名：ＰＶＰ　　
Ｋ−３０、Ｇ、Ａ、Ｆ、株式会社製）の厚さ約２０μｍ
のフィルムを水で少し湿らせ、上記容器１の開口端に接
着してＭ６とし、第３図に示すような播種物を得た。こ
れらの操作は無菌的に実施した。

この播種物は、圃場に載置したとき、土中の水分および
雨水により、蓋６および容器本体２が溶解し、不定芽は
順調に生育した。

（実施例４）本実施例４は前記第２図に示した播種物の他の一例につ
いて実施したものである。

実施例１と同様のカプセルのボディからなる容器本体２
の内側面にポリクロロプレンの１０％のトルエン溶１（
市販ゴム接着剤を希釈して用いた）を少し入れ、傾けて
回しながら内面に付着させた後、５０　’Ｃで真空乾燥
を行った。そして、内側面に約５０μｍのクロロプレン
（水不溶性物質）からなる薄膜３が被覆された容器ｌを
形成せしめた。これにイーストエキスを２００　ｍ　ｇ
　／　１含むＷｈ　ｉ　ｔｅ寒天培地約０．１５　ｇを
充填し、キャベツと白菜の種間交雑の接合胚１個を培地
上にＲ置した。

ポリビニルピロリドン（商品名：ＰＶＰ　　Ｋ−１５、
Ｇ、Ａ、Ｆ、株式会社製）を用いて製した、局方１号カ
プセルのキャップと同様の形状の蓋６を、嵌合部にポリ
ビニルアルコールＰＡ−０５の水溶液を少量塗布してボ
ディに接着し、第２図に示す播種物とほぼ同様のものを
得た。これらの操作は無菌的に実施した。この播種物の
圃場における挙動は実施例３と同様であった。

〔実施例５〕本実施例５は前記第５図に示した播種物の一例について
実施したものである。

可塑剤としてグリセリンを含むゼラチン（水溶性物質）
で形成された日本薬局方の００号カプセルのボディから
なる容器本体２の底部に、２龍φの孔を穿ち、容器本体
２の内側面および孔１ａの内面に市販のアクリル系白色
ペイントを軍で塗布し、風乾してその内側面に厚さ約６
０μｍの薄膜３が被覆された容器ｌを形成せしめた。こ
の容器ｌにベノミル（Ｑｕ　ＰｏｎＬ社製殺菌剤、商品
名：ペンレート）１００ｐｐ−を添加したＭＳの寒天培
地約０．４ｇを充填し、ニンジンの不定胚１個を、その
茎掻を空気中に露出した状態でその相極を培地に差し込
み、第５図に示すような構造の播種物を得た。

この播種物を圃場の土中にその下半分を埋めたところ、
徐々に外層の容器本体２が土中の水分で溶解し、約１０
日後には内側の薄膜３のみ残った。

ニンジンの不定胚は順調に生育した。

〔実施例６〕本実施例６は前記第７図に示した播種物の一例について
実施したものである。

ヒドロキシエチルセルロース（水溶性物’Ｉｔ　）　　
（商品名：ナトロゾール２５０　Ｌ、ハーキエレス社製
）を用いて縦・横・高さがそれぞれ約１０００．２００
　ｍＩＩ、２０−■で厚さが約０．２■ｌの浅い箱状の
本体容器２を形成した。

この容器本体２の内側面に、エチルセルロースの１０％
エタノール溶液をスプレーして塗布し、厚さ約２０μｍ
のエチルセルロース（水不溶性物質）からなる薄膜３を
形成し容器１とした。これにベンジルアミノプリン２Ｐ
Ｐ−を含むＭＳの寒天培地を厚さ約１（ｌｎに充填した
。これに、イネ（Ｏｒｙｚａ　５ａｔｉｖａ　ｊａｐｏ
ｎｉｃａ）の不定芽約１０００個を培地上に互いに重な
らないように散布し、この上に水不溶性物質であるポリ
スチロール製の１５ａをかぶせて、第７図に示すような
構造の播種物を得た。これらの操作は無菌的に実施した
。この播種物は、２５℃の恒温槽中で７日間経過後に発
根した。その後、’１ｌＧａを外して屋外の上玉に移し
たところ、容器本体２である外層は徐々に溶解し、エチ
ルセルロース層のみ残った。不定芽は順調に生長し、良
好なイネの苗が得られた。

以上、本発明による播種物を実施例に基づいて説明した
が、前記実施例に示したものに限るものでないことはい
うまでもなく、基本的構成が共通であり、同一の目的を
達成できる構造からなる播種物であれば如何なるもので
あってもよい。

なお、前記第４図および第５図にそれぞれ示した播種物
については、特に実施例で取り上げて説明しなかったが
、前記実施例に示したものと同様に目的を達成すること
ができたことはいうまでもない。

〔発明の効果〕

以上説明した如く、本発明によっては次に示す効果が得
られる。

すなわち、水溶性物質からなる容器本体の内側面に水不
溶性の物質を被覆して形成した容器内にヒドロゲルを充
填し、該ヒドロゲルに少なくともその一部を露出する状
態で活性植物組織を接触させてなる播種物を形成するこ
とにより、保形性の高い容器を備えているので、＋１種
までの該播種物の取り扱いを容易にできるとともに、上
記活性植物＆［ＩＶａに対しヒドロゲルからの水分・栄
養等の供給と空気からの酸素の供給とを同時に可能とし
、かつ播種時には圃場からの水分により容器本体を溶失
させ、該活性植物＆ＩＩＶａの発芽・発根を阻害するこ
とを防止できるので、優れた発芽・発根能力等の種子機
能を備えた播種物を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による播種物の一実施例を示す断面図、
第２図〜第７図は本発明による播種物の他の実施例を示
す断面図である。１・・・容器、　　　　１ａ・・孔、２・・・水溶性物質からなる容器本体、２ａ・・蓋本体
、３．３ａ・・・水不溶性物質からなる薄膜、４・・・ヒ
ドロゲル、　５・・・活性植物組織、６．６ａ・・・蓋
、　　７・・・接着剤。第１図　　　第２図

Claims

【特許請求の範囲】

（１）、内側面に水不溶性物質を被覆した水溶性物質よ
りなる容器内にヒドロゲルを充填し、該容器内に活性植
物組織を収容してなる播種物。
（２）、ヒドロゲルが活性植物組織の発芽に要する栄養
分を含有することを特徴とする特許請求の範囲第１項記
載の播種物。
（３）、活性植物組織が少なくともその一部を露出した
状態で上記ヒドロゲルに保持されていることを特徴とす
る特許請求の範囲第１項記載の播種物。