JPS621020B2 - - Google Patents

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JPS621020B2
JPS621020B2 JP56104666A JP10466681A JPS621020B2 JP S621020 B2 JPS621020 B2 JP S621020B2 JP 56104666 A JP56104666 A JP 56104666A JP 10466681 A JP10466681 A JP 10466681A JP S621020 B2 JPS621020 B2 JP S621020B2
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JP
Japan
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fabric
ready
carpet
yarn
dark
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JP56104666A
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JPS588154A (ja
Inventor
Satoru Yamamoto
Hisayasu Akita
Michinobu Kaimori
Shizuomi Yamada
Kenji Kitamura
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Publication date
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Publication of JPS588154A publication Critical patent/JPS588154A/ja
Publication of JPS621020B2 publication Critical patent/JPS621020B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は既製服素材、特に異なるロツト間にお
ける色相差が殆んどなく、既製フオーマルウエア
用として上下各衣の組合せに有利な朱子織物なら
びにその製造方法に関するものである。 既製フオーマルウエア用織物は梳毛織物中でも
高級品として知られ、経緯に梳毛糸を用いた五枚
朱子組織を用い、織上げ後、黒無地に布染めし、
縮絨、起毛後、剪毛して表面を滑らかに手触り柔
かく仕上げたものが使用されているが、従来のか
かる織物は布染めする関係上、ロツトが変われば
色相に変化を生じ、統一された色相を得ることが
困難であつた。即ち、通常使用される前記梳毛糸
は一般に60〜72番手双糸とか、52番手単糸という
比較的細番手の梳毛糸であり、これを色相統一を
図るべく羊毛スライバー状としてケンスに充填
し、バンプ巻きを作成し、バンプ染色を行なうに
は従来の染色手段では技術的に不可能ではないに
しても、その後の精紡工程での糸切れが多くな
り、たとえ無理をして糸に形成し得たとしても原
糸欠点が多く、強伸度に難があることから製織時
の欠点発生を惹起するので、結局、仕方なく、生
地糸として紡糸し、その色付けは布染め(反染
め)に依存している状況である。 そのため、若し、かかる反物を利用してフオー
マルウエアを作成しようとする場合には我々が日
常、経験している如く、同一ロツト即ち同一反物
を用いて上衣と下衣を作成するのでなければ両者
の色相は合致せず、従つて、上衣又は下衣の何れ
か一方が損傷し、あるいは体形に適合しなくなつ
たとしても必らず、上下両衣を改めて作り直さな
ければならないという不便を醸し出している。 これは又、現代の合理的風潮に対応し、漸次、
既製化されつつある既製服業界において消費者に
とつては極めて不経済なことであり、その理想像
として全国何れの場所においても上下何れの衣服
が損傷又は不適合になつたときでも容易に他の残
りの適合衣服を調製できることが希求されてい
る。 そこで、本発明者等は上述の如き時代の要求に
対応し、改めて、フオーマルウエア用朱子織物の
実態について検討を試み、先ず、その後の染色技
術の著しい進展を加味して、均一な染色に好適な
スライバー染色を含めて研究を行なつたところ、
本出願人が別途開発した省エネルギー無人染色シ
ステムを導入し、低浴比染色を行なえば染色時の
液流を非常に穏やかに、かつ少なくしても染斑が
発生せず均一に染色することが可能であることを
見出し、同時に染色時の繊維の形状を「トツプ」
より「バンプ」に変えることにより染液の流れ方
向を繊維と垂直方向から水平方向に変えることで
染液による染色時の繊維への物理的力による損傷
を減少し、かつ、更に低温染色助剤を開発し、こ
れを適用して低温染色を行なうことで繊維への損
傷を減少することを知り、結局、従来の通常のト
ツプ染めに比し強力で20〜25%、伸度で35〜50%
の向上を得て精紡工程での糸切れを70〜80%ダウ
ンさせ、生地糸と殆んど大差のない性状のトツプ
染糸を充分製造し得ることを知見した。 かくて、これによつてスライバー染色の難問を
解決し、前記理想像への一歩前進を得たが、更に
前記スライバー染色に対応し、羊毛を主体とする
朱子織物の仕上げに第2の難関が存在した。 そこで、引続き、あらゆる場所においても均一
な色相を得て、相互に適合し合う上衣又は下衣を
作成できる朱子織物の性状と、かかる性状を得る
に適合した仕上手段について検討を重ねた。 一般に羊毛を主体とする織物、即ち絨布の製造
工程において最も重要かつ微妙な工程は仕上工程
であり、該工程の管理如何によつて得られる絨布
の品質、性状が著しく左右されることは周知の通
りである。 この仕上工程は通常、ガス焼、煮絨、洗絨、プ
レス、乾絨等の各処理工程から成り立つており、
絨種により前記各処理工程を適宜に選択、組み合
わせて実施しているが、なかでも最も影響の大き
いものは煮絨工程である。 煮絨工程は、絨布の繊維集合性を向上させると
共に、絨布内各部の応力緩和を進め風合、寸法安
定性を向上することを目的としており、従来のバ
ツチ式煮絨装置に代り、最近、作業の省力化、高
速化を図るため連続煮絨機が提案され、実用に供
されている。 本出願人においてもかかる連続煮絨処理に関し
以前より研究が進められ、従来のバツチ式あるい
は連続煮絨処理を改善するものとして、例えば、
特公昭55−42183号公報にその方法が開示されて
いる。 この方法は、絨布に含水せしめ、移動する加熱
体表面と、弾性体シートとの間に挾持して均一な
面圧と熱を付与し、次いで実質的に無拘束状態で
含水せしめると共に、30℃以下に冷却して充分に
収縮せしめ、次いで低張力を保ちつつ、再び移動
する加熱体表面と弾性体シートとの間に挾持して
均一な面圧と熱を付与する方法で、湿潤した絨布
を加圧圧縮した状態で均一加熱することによる圧
縮変形による応力と、布帛中に内在していた内部
残留応力の緩和操作と、羊毛繊維の最も低い二次
転移点(30℃)以下に急速冷却することによるセ
ツト安定化操作を繰り返し実施すること、及び冷
却時に無拘束状態で充分に収縮を発現させること
により煮絨効果として求められる絨布集合性、応
力緩和を短時間で促進し、従来の連続煮絨処理で
は得られなかつた絨布特性を確保し、かつ従来の
バツチ方式で得られなかつた厚み面積収縮率、風
合の内外むらの解消を図つたものである。 この連続煮絨方式は極めて効果的な処理方式で
あり、本出願人は前記改善されたスライバー染色
による梳毛糸織物にこれを適用すべく、煮絨仕上
げを試みたところ、驚くべきことに、前記スライ
バーによる低温バンプ染色を行なつた羊毛繊維か
らなる60番手以上の細い梳毛糸使用の朱子織物は
各ロツト間における色相差が高々0.5、通常、0.3
程度に抑えられ、その単位長さ当りの剛性も向上
することが判明した。 かかる結果を生じた理由は、煮絨処理工程での
絨布の挙動から、ある程度、煮絨処理の態様が深
く関連していることが推測されるが、結果的に見
て何れの朱子織物においてもそのUB溶解度が他
の従来の織物に比較し高い値を示していることが
重要な因子であることが看取された。 即ち、本発明の目的は、ロツトを異にした場合
においても互いの色相差が少なく、相互の反物に
よるフオーマルウエアの組合せを可能とするフオ
ーマルウエア用濃色既製服素材を提供することに
ある。 又、本発明は前記の如きフオーマルウエア用濃
色既製服素材を工業的に、かつ高能率に生産し得
る、染色より絨布の仕上工程に至る一連の方法を
提供することを目的とする。 かくして、本発明は究極において、従来の既製
フオーマルウエアのあり方を改善し、消費者に喜
ばれる経済的、かつ合理的な既製フオーマルウエ
アを提供することにその目的を有する。 しかして、かかる目的に適合する本発明の第1
の発明は、クロム染料により濃色に染色された、
少くとも60番手以上の細い梳毛糸を経糸及び緯糸
に用いて製織してなる朱子織物であつて、JIS L
1081−1971によつて測定されるUB溶解度が13
以上である素材であり、又、第2の発明は前記素
材を製造するための具体的な染色、絨布仕上工程
を含む一連の方法即ち、クロム染料により90℃以
下の温度で染色した羊毛スライバーを用いて60番
手以上の細い梳毛糸を作成し、該梳毛糸により朱
子織物を製織した後、該朱子織物に含水せしめ、
移動する加熱体表面と弾性シートの間に挾持して
その間、均一な面圧と熱を付与し、次いで実質的
に無拘束状態で含水せしめると共に30℃以下に冷
却して充分に収縮せしめ、その後、更に低張力を
保ちつつ再び移動する加熱体表面と弾性体シート
との間に挾持して均一な面圧と熱を付与して連続
煮絨処理を施し、爾後、洗絨と、前記同様の煮絨
処理を1回又は複数回繰り返した後、常法により
蒸絨し仕上げ処理する方法である。 ここで、JIS L 1081−1971によつて測定され
るUB溶解度(尿素、重亜硫酸ソーダ溶解度)と
は羊毛の側鎖結合の変化を表わす指数で、通常、
クロム染料による染色物の繊維損傷を示す特性値
として羊毛の染色加工業界において強伸度、酸・
アルカリ溶解度と並んで重要な特性を表すもので
あり、具体的には次の如き方法によつて測定され
る。 UB溶解度(尿素、重亜硫酸ソーダ溶解度) 沸騰している蒸留水に尿素50gを溶解し、メタ
重亜硫酸ナトリウム3gを加えてのち冷却し、さ
らに2mlの5N水酸化ナトリウム溶液を添加し、
蒸留水で薄めて100mlにする(PHを7.0±0.1に調
整する)。油脂分、植物質、きよう雑物を含まな
い試料の異なる箇所から、絶乾重量測定用として
約1gの試験試料を1個、UB溶解度測定用とし
て約1gの試験試料を2個採取し(試料が糸ある
いは布の場合は約1cm長さの糸に分解して試験試
料を調製する)、100mlの尿素、重亜硫酸ナトリウ
ム液を入れた有せんフラスコ中に1個の試験試料
を入れ65±0.5℃に調節した湯せん器上で15分ご
とに約5秒ずつ静かに振とうし、60分後に吸引ろ
過したのち残さを10mlの尿素溶液(尿素25g/
100ml)で3回洗い、つぎに蒸留水で6回洗浄す
る。その後るつぼに移した残さを105±2℃で乾
燥絶乾重量を求める。UB溶解度は試験試料の重
量減を処理前の絶乾重量に対する重量割合(%)
で表わし、つぎの式により算出し、2回の平均値
で表わす(小数点以下1けたまで)。 (1) 酸を含まない試料の場合 UB溶解度(%)=w−w/w×100 ここに w1:試験試料の絶乾重量(g) w2:残さの絶乾重量(g) (2) 酸を含む試料の場合(PH4.0以下の場合) UB溶解度(%)=(S−s)100/100−s ここに S:補正前のUB溶解度(%) s:硫酸の含有率(%) 以下、更に上記本発明について順次、その具体
的な態様を説明する。 先ず、本発明素材に使用される梳毛糸は60番手
以上、好ましくは70番手以上の細い梳毛糸であ
る。勿論、従来のフオーマルウエア用梳毛糸とし
ても60〜72番手双糸が用いられており、これ以下
では実質上、フオーマルウエア用素材に適さない
ことは云う迄もないが、本発明の場合において
は、前記梳毛糸は特にスライダーの形態において
濃色に染色された羊毛スライバーによつて作成さ
れる。 即ち、通常の工程によつて得た羊毛スライバー
を、そのスライバー形態において連続オーバーセ
ンターコイリングモーシヨンにより均一にケンス
内に充填してバンプ巻きを作成したのち、かかる
バンプに対しクロム染料を用い、90℃以下の高圧
バンプ染色を施し、前記梳毛糸を作る羊毛スライ
バーとするのである。この場合の染色具体的条件
は列記すると次の通りである。
【表】 そして、上記の如くバンプ巻し、染色が施され
た羊毛スライバーは水洗乾燥後、リコームされ、
紡績工程に付されて梳毛糸として作成されるが、
リコームに先立ち、制電性能を良好ならしめるべ
く、導電性複合繊維を適宜量、好ましくは3重量
%以下ミキシングすることがより効果的である。 導電性複合合成繊維は合成繊維の吸湿性のない
こと、静電気が発生することなどの欠点をカバー
するために開発された繊維であり、基本型は既存
の合繊糸わたの単糸部分に何らかの形状で導電性
炭素微粉粒部分を含ませているもので既にデユポ
ン社を始め国内合繊各社によつて種々の断面形状
をもつものが開発されているが、本出願人におい
ても特開昭54−30919号公報及び特開昭54−30920
号公報などによつて種々の断面形状が提案されて
いる。 従つて、本発明においては、特にかかる本出願
人によつて提示された導電性複合繊維が一般に好
適なものとして使用される。 この導電性複合繊維は、上記公報によつても明
らかであるが代表的には断面形状において円形断
面を2分する如く直径部分に導電成分をもつもの
であり、非電導成分には硫酸相対粘度2.70、
TiO2含有率2.0%のナイロン6成分が、一方、導
電成分には上記ナイロン成分に導電性カーボンブ
ラツクを20%配合した成分が配されている。 そして、この複合繊維は通常、巻縮が付けら
れ、単糸繊度5デニール、カツト長89mm程度の繊
維として前記羊毛スライバーに混合される。 導電性複合繊維は、その炭素の存在により織物
生地に摩擦などによつて静電気が発生し難く、発
生しても放電(コロナ放電現象)が起り帯電気の
減衰時間が短かい効果を付与すると共に、また静
電気は一般に湿度が低いと発生し易いがこの恐れ
を少なくする面で有効である。しかも少量でこれ
らの効果を奏し得るところから混合は3重量%以
下で十分である。 次に前述のようにして前紡工程−精紡工程を経
て通常の手法によつて作成された梳毛糸を経糸及
び緯糸として公知の織機を利用し、所要の製織工
程に従つて朱子織物を得る。 通常、フオーマルウエア用織物はドスキンで代
表されるように五枚朱子組織を用いた朱子織物で
あり製織時における筬密度、緯密度は適宜、所要
に応じて選定される。しかし勿論、密な織り方が
喜ばれることは云うまでもない。 かくして得た朱子織物は次に以下の順序に従つ
て絨布の仕上処理に付される。 仕上工程は、勿論、前述のようにガス焼、煮
絨、洗絨、蒸絨、プレス、乾絨などの各処理工程
があり、適宜、絨種により選択して実施され、必
らずしも一定するものではないが、ここでは本発
明の目的、効果の面から必要最少限度に要求され
る仕上工程について述べることにする。 従つて、本発明にあつてもここに記載する仕上
工程のみに限定されるものではなく、必要に応じ
他の仕上工程も随時、実施されることは勿論であ
る。 先ず、本発明における仕上工程の特徴はその煮
絨工程である。 煮絨工程はその後における湿潤工程で発生する
歪みを防止することと、絨布に永久性のある艶お
よび、いわゆる腰のある柔軟性による特有の風合
を醸成するためで前述したようにバツチ式煮絨機
による方式、連続煮絨機による方式があるが、本
発明においては、本出願人がさきに提案した特公
昭55−42183号公報に記載した方法によつて通
常、複数回の煮絨処理を行なう。 この方法は、同公報に開示され、前述したよう
に絨布、即ちここにおける朱子織物に含水せし
め、これを移動する加熱体表面と弾性体シートと
の間に挾持して均一な面圧と熱を付与し、次いで
実質的に無拘束状態で含水せしめると共に30℃以
下に冷却して充分に収縮せしめ、後、引続き低張
力を保ちつつ再び移動する加熱体表面を弾性体シ
ートとの間に挾持して均一な面圧と熱を付与する
ことによつて行なわれる。 この場合、被処理織物は先ず第1水槽に導かれ
マングルによつて約70%程度の含水とされる。 そして、湿潤状態の前記織物は次いでピンテン
ターによつて適宜幅出しされながら第1のホツト
ドラムに達し、該ホツトドラムと無端状ゴムシー
トとの間で挾持されて進行しながらホツトドラム
表面からの伝熱によつて熱処理を受ける。この温
度は100%の毛織物の場合、80〜120℃が望ましい
が前記導電性複合繊維混合の場合には稍高くする
こともできる。 なお、処理速度は通常15〜25m/minであり、
浸漬槽は60〜80℃前後に保たれる。 第1ホツトドラムを出た被処理織物は次に第2
水槽中に浸漬されて再び100〜200%程度の含水を
与えられると同時に30℃以下に冷却される。 この目的は前記公報中にも開示してあるが第1
ホツトドラムによる熱処理によつて被処理織物は
乾燥状態にあるが、十分なる煮絨効果を得るには
少くとも60%程度以上の含水が必要なこと、又一
般に羊毛の繊維の形態安定性の向上には単に1回
の加熱−冷却サイクルよりも複数回、繊維の二次
転移点を通過させるサイクルを繰り返すことがよ
り望ましいからである。 次いで処理されるべき朱子織物は第2ホツトド
ラムの作用域に導入され第1ホツトドラムと同様
な熱処理を受ける。 このとき、前述の冷却処理によつて布中に収縮
力が発生するが、この力を出来るだけ利用して梳
毛朱子織物の長さ方向の密度の増加を図るために
第1、第2両ホツトドラム間で布張力が一定値以
上にならないように何れかの回転速度を制御しつ
つ第2ホツトドラムでの熱処理を施す。 かくの如くして、その後、第2ホツトドラムか
ら前記朱子織物が離脱すると、この織物は最後に
水温30%以下の第3水槽に浸漬され更にマングル
で絞られ、次工程の処理に適した含水状態にされ
て一連の煮絨工程が完了する。 上記煮絨工程の実施態様においてホツトドラム
は2個であるがこれを更に多数連設し、複数回の
繰り返し煮絞処理を行えば、その効果が一層向上
することは勿論である。 そして、この場合、当初の煮絨処理を経た織物
を一旦洗絨し、再煮絨処理を行なう。 洗絨は直接的には織物原糸にある紡績油、塵
埃、経糊、機械油また毛焼屑などの汚れを落すも
のであるが、附随的に羊毛特有の弾性を十分に発
揮させ、自然的光沢に富む柔軟豊満な手触りを与
え、色相に冴えを出す。又、織物は収縮して組織
を緻密化しある程度強力を増す。 通常、石けん、アルカリ性薬品、フーラースア
ース、合成洗剤、有機溶剤などの洗剤を単独又は
混合使用し、被処理織物に障害を与えないよう化
学的又は物理的な方法で行なわれ、先ず、前記洗
剤により40℃前後で洗絨し50℃前後で湯洗し冷却
して取り出される。一般に梳毛絨洗絨としては拡
布式洗絨機が使用される。しかし前記煮絨工程に
おける第1ホツトドラムと第2ホツトドラム間に
位置する第2水槽を洗絨工程に使用することも1
つの態様である。 洗絨後の再煮絨は通常、当初の煮絨条件と同様
な条件で行なわれるが、当初の浸漬槽より高くす
ることもある。 かくて、叙上の処理を経た梳毛織物はその後、
蒸絨工程において蒸され、外観上の見映え、風合
を整えられる。 蒸絨には開閉型と密閉型とがあるが高級梳毛絨
布に対しては密閉式蒸絨機、就中、缶蒸しが最も
好適なものとして一般に使用され、略2Kg/cm2
度の蒸気圧で処理される。 以上のような梳毛糸の形成より蒸絨に至る一連
の工程を経ることによつて製造された本発明梳毛
朱子織物は深みのある黒色朱子織物であり、従来
の黒色朱子織物に対比し染色、紡績から織物を仕
上げるまでの諸工程で受ける羊毛繊維の損傷度が
非常に低く強力、耐摩耗性に優れ、適度の腰感を
有する上に炭素複合繊維の混合により摩擦帯電圧
も低く、しかもLab系による色相差(△E)が極
めて小さく従つて製造ロツト間の色相変動が殆ど
ないために濃色の既製服素材、特に既製フオーマ
ルウエア素材として極めて有用なものである。 そこで、この特徴を把握すべく、羊毛繊維の損
傷度を示す溶解度を測定し、考察したところ、次
表の如き結果を得た。
【表】 上記表より明らかなように酸、アルカリ溶解度
については各ロツト共、大した差は認められない
が、UB溶解度に関しては顕著にその差が表わ
れ、本発明における梳毛朱子織物の特性を明確に
知悉し得ることが判明した。 そして、本発明者らは前述の如く、特にUB溶
解度が13以上において意図する前記既製フオーマ
ルウエア素材として好適な結果を得ることを見出
したのである。 従つて、本発明における濃色既製服素材はUB
溶解度が13以上であることが必須とされる。 以下、更に本発明の具体的な効果を明らかにす
るため実施例を掲げる。 実施例 羊毛スライバーを連続オーバーセンターコイリ
ングモーシヨンにより均一にケースに充填して
0.3〜0.4g/cm3のバンプ巻きを作成し、次の条件
によりイン−アウト染色を行なつた。 染 浴 クロム染料(クロム・ブラツク PLW、C、I、16500) 7%owf 酢 酸 3%owf りん酸 0.4%owf ポリオキシエチレン型非イオン活性剤 (HLB13、E0平均付加モル数9) 1%owf 浴 比 1:5 温 度 40℃でスタート、30分で85℃まで昇温、
85℃で30分染色 後処理(染料固着、発色) 重クロム酸ソーダ 2%owf 酢 酸 1%owf からなる処理液で98℃、30分処理 以上により得られた染色スライバーを、水洗
後、乾燥し、横断面形状が導電成分により中央で
2分され、非導電成分に酢酸相対粘度2.70、
TiO2含有率2.0%のナイロン6を配し、導電成分
に上記ナイロン6に導電性カーボンブラツクを20
%配合した成分を配した単糸繊度5デニール、カ
ツト長89mmの巻縮した導電性複合繊維を1%混入
した後、通常の前紡工程−精紡工程を通して72番
手双糸(2/72′S)の梳毛糸を作成した。 この梳毛糸の強力は205g、伸度は17.8%であ
つた。 次に、かかる梳毛糸を経糸及び緯糸として用
い、ズルツアー(Sulzer)織機により筬密度20.5
羽×6.5本、緯密度88本/吋で5枚朱子織物を製
織した。 製織に際し前記梳毛糸の強力、伸度より何らト
ラブルはなく朱子織物が得られ、且つ織疵も見ら
れなかつた。 このようにして得た5枚朱子織物に、次いで、
以下の順序で各処理を施した。 (1) 煮絨処理 前記特公昭55−42183号公報記載による。但
し、処理速度20m/min、浸漬槽温度70℃、シ
リンダー温度120℃、 (2) 洗絨処理 通常の合成洗剤を使用し、40℃で行ない、50
℃で湯洗後、冷却して取り出した。 (3) 再煮絨処理 前記(1)の処理と同条件で処理し、冷却後、取
り出した。 (4) 蒸絨処理 缶蒸しを利用し、2Kg/cm2の蒸気圧で処理し
た。かくして上記各処理を経て、経密度146
本/吋、緯密度90本/吋、目付290g/m2の深
みのある黒色5枚朱子織物を得た。 この朱子織物は以下の特性を有していた。
【表】 ここで、上記色相差(△E)はJISZ8730−
1970色差表示方法の「6.3Lab系による色差」に
もとづいて計算した。 以上の諸特性から判るように上記方法により得
られた朱子織物は織物に仕上がるまでの各工程で
受ける羊毛繊維の損傷度が低いことから強力、耐
摩耗性に優れ、適度の腰感がある上に摩擦帯電圧
も低く、その上、色相差(△E)が極めて小さく
濃色の既製フオーマルウエア素材として極めて好
適かつ有用なものであつた。 比較例 1 実施例と同様にして羊毛スライバーをケンスに
充填してバンプ巻きを作成し、次の条件で染色し
た。 染 浴 クロム染料(クロム・ブラツク PLW、C、I、16500) 7%owf 酢 酸 3.5%owf りん酸 0.8%owf 浴 比 1:5 温 度 40℃でスタート、30分で98℃まで昇温98
℃で30分染色 後処理 実施例に同じ 得られた染色スライバーを用い実施例と同様に
して紡績し、導電糸1%を含む梳毛糸(2/
72′S)を得た。この梳毛糸(2/72′S)は強力が
173g、伸度12.6%であつた。 以下、実施例と同様にして5枚朱子織物を織成
後、同様の処理を施し、経密度146本/吋、緯密
度90本/吋、目付286g/m2の黒色5枚朱子織物
を得た。 この朱子織物の諸特性を以下に示す。
【表】 以上のように、高温で染色したものは、色相差
(△E)は、適度の範囲内に抑えられるが、羊毛
繊維の損傷が大きく、強力、耐摩耗性に劣るため
に製織時の事故(織疵)が多く、更に着用時の損
傷も受け易く製品にも織疵が多発し、高級な既製
服素材としては不適なものであつた。 比較例 2 実施例と同様の羊毛スライバーと導電糸(1
%)とを同様にミキシングし、前紡−精紡工程を
通して2/72′Sの梳毛糸を作成した。 そして、かかる梳毛糸を用い、前記実施例と同
様の5枚朱子織物を織成後、次の条件で染色し
た。 染浴、浴比 比較例に同じ 温 度 40℃でスタート、60分で98℃まで昇温98
℃で30分染色 後処理 比較例1に同じ 続いて染色した朱子織物に実施例と同様の処理
を施し、経密度148本/吋、緯密度100本/吋、目
付322g/m2の黒色5枚朱子織物を得た。 かかる朱子織物の諸特性を以下に示す。 なお、ここで、本比較例は反染の例であるた
め、用いた梳毛糸は朱染色であり、前掲の2例と
は比較にならないが、参考までに強伸度値を挙げ
ると強力は225g、伸度は22.0%であつた。勿論
朱染色糸であるので受けたダメージは最も少な
く、強伸度は最も高い値を示している。
【表】
【表】 以上のような反染品は、目付が大きくなるた
め、強度や耐摩耗性では前記実施例品や比較例1
品と一概に比較はできないが、羊毛繊維の損傷度
が極めて大きく、色相差(△E)に見られるよう
に製造ロツト間の色相変動非常に大きく、従つて
既製服、特に色相の均一性を必要とするフオーマ
ルウエア素材としては全く不向きなものであつ
た。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 クロム染料により濃色に染色された、少くと
    も60番手以上の細い梳毛糸を経糸及び緯糸に用い
    て製織してなる朱子織物であり、かつ該織物は少
    くともJIS L 1081−1971によつて測定される
    UB溶解度が13以上であることを特徴とする濃色
    既製服素材。 2 前記梳毛糸が3重量%以上の有機導電性繊維
    を含んでいる特許請求の範囲第1項記載の濃色既
    製服素材。 3 前記既製服素材織物の曲げ剛性が単位長さ当
    り0225g・cm2/cm以上である特許請求の範囲第1
    項又は第2項記載の濃色既製服素材。 4 クロム染料により90℃以下の温度で染色した
    羊毛スライバーを用いて60番手以上の細い梳毛糸
    を作成し、該梳毛糸により朱子織物を製織した
    後、該朱子織物に含水せしめ、移動する加熱体表
    面と弾性シートの間に挾持してその間、均一な面
    圧と熱を付与し、次いで実質的に無拘束状態で含
    水せしめると共に30℃以下に冷却して充分に収縮
    せしめ、その後、更に低張力を保ちつつ再び移動
    する加熱体表面と弾性体シートとの間に挾持して
    均一な面圧と熱を付与して連続煮絨処理を施し、
    爾後、洗絨と、前記同様の煮絨処理を1回又は複
    数回繰り返した後、常法により蒸絨し仕上げ処理
    することを特徴とする濃色既製服素材の製造方
    法。
JP56104666A 1981-07-03 1981-07-03 濃色既製服素材及びその製造方法 Granted JPS588154A (ja)

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