JPS6146251B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は細線ワイヤーを使用し、ガイド間を所
定の張力を加えながら移動せしめ、該ワイヤーを
電極として被加工体を対向し、対向間隙に通電し
て加工するワイヤーカツトの改良に関する。

前記細線ワイヤーは線径が0.05〜0.5mmφ程度
の細線が用いられる。そして、加工精度を向上さ
せるためには、加工部に於けるワイヤー電極に高
い張力を付与して直線状態に強く緊張させること
が望ましいが、張力が強過ぎると僅かのことで断
線し、また断線し易くなる。したがつて張力は所
定以上加えることができず、このために加工精度
を向上できなかつた。

本発明はこの点に鑑みて、ワイヤー電極に従来
よりも実質的に高い張力を付与して加工精度を向
上させることを目的として提案されるものであ
り、ワイヤー電極に少なくとも100Hz以上の周波
数でパルス的に変化する張力を加えることによつ
て巻枠から巻ほぐしたワイヤーに伸びを与え、ガ
イド間を移動するワイヤーの直線性を改善するよ
うにしたものである。

前記パルス的張力の付与は次のようにして与え
る。即ち細線ワイヤーにはブレーキ及び駆動装置
の相互作用によりガイド間を所定の張力を加えた
状態で移動させるが、前記ブレーキのトルクまた
は駆動装置のトルクがパルス的に制御されるブレ
ーキまたは駆動装置を設け、これより前記ワイヤ
に加える張力をパルス的に制御する。

以下図面の一実施例により本発明を説明する。
第１図において、１は線径が0.05〜0.5mmφ程度
の細線のワイヤーでこれをガイド２間に移動さ
せ、これを電極として被加工体３を対向し、加工
液（通常水）を供給すると共に通電して加工す
る。加工液供給ノズル及び通電々源は省略して図
示しない。４は加工用のワイヤー１を巻回してあ
る巻枠で、巻きほぐしながら順次ワイヤー供給す
る。供給されるワイヤーはガイドローラ６に案内
されながらガイド２間の加工部分を通過し、加工
後の消耗したワイヤーはガイドローラ６により移
動し巻き取り用の巻枠５に巻き取られる。７はワ
イヤー１が矢印の方向に進むとき、加工部の手前
に設けられたブレーキ、８は加工部を通過して出
て来たワイヤーに移動用の駆動力を作用する駆動
装置で、この駆動引張力と前記ブレーキ７とによ
つてガイド２間のワイヤー１に所要の張力を作用
して移動を行なわせる。

前記ブレーキ７は圧着ローラ７１とトルクモー
タ等７３により逆転される。ブレーキローラ７２
との間にワイヤー１を挾み、ローラ７１，７２間
を圧接状態に保つことによりブレーキが作用す
る。７４はモータ７３とローラ７２間の接続を断
続するクラツチで、このクラツチをパルス制御し
てブレーキトルクをパルス的に変化させるように
構成してある。また駆動装置８も、圧着ローラ８
１とモータ８３により正転される駆動ローラ８２
との間にワイヤー１を挾んで駆動トルクを作用す
るようにしてある。

第２図はクラツチ７４に制御パルスを供給する
発振器９で、発振トランスの出力を半波整流した
パルスをクラツチ７４コイルに供給する。発振周
波数は0.1〜10KHz程度を用いる。

ブレーキ７と駆動装置８との作用でワイヤー１
に張力が働き、且つこの張力が加わつた状態で矢
印方向に移動するが、ブレーキ７は発振器９の出
力によりクラツチ７５がオン・オフ制御され、駆
動モータ７３とブレーキローラ７２間の断続を行
なつてブレーキトルクをパルス的に変化させるよ
うにしてあるから、したがつて前記ワイヤー１に
作用する張力はパルス的に作用する。このパルス
変化の周波数は少なくとも100Hz以上にしないと
効果がない。駆動装置８によりワイヤー１は連続
駆動トルクが作用しているがブレーキ７が前記の
ようにパルス的にトルクを変化させることによつ
て両者間のワイヤー１にはパルス的に瞬間的に前
記駆動装置８による駆動トルク以上の力、即ち張
力が作用し、実質的には極めて大きな張力が働い
たのと同様になり、ワイヤー１は充分に伸ばされ
直線性が著しく改善される。ワイヤー１に働く張
力が前記のように張力に働いても、それは連続的
に作用するのではなく、パルス的に瞬間的に作用
するものであるから断線することなく駆動制御で
きる。このようにしてパルス的に張力が働き、実
質的に張力を高めて移動させることによりワイヤ
ー１は直線性が改善され、ガイド２間のワイヤー
は一直線に緊張した状態になり被加工体３と対向
し加工するから、したがつてこのワイヤーによる
加工精度は著しく向上する。

例えば0.2mmφのCu線を用い、従来法により負
荷々重750ｇ一定の張力を加えてガイド間を移動
させ、これを電極としてS55C板に50mmφの円形
切断加工をした。加工液は２×10₄Ωcmの抵抗値
の水を用いて行つたとき、５回の加工において、
加工精度は円形加工における直径の最大誤差が18
μ，19μ，16μ，15μ，16μであつた。次に本発
明によりブレーキにマグネツトクラツチブレーキ
を用いて、このブレーキトルクをパルス的に制御
して前記ワイヤ電極材の引張り強さを越える高い
荷重を加え、1.2mmsecの常時加えても断線しない
程度の低い荷重を交互に作用させることにより、
パルス的に張力を変更させてワイヤーに２Kgの荷
重が作用するように制御したときは、前記と同じ
加工条件で５回の加工において円形加工穴の直径
の最大誤差が各々６μ，８μ，４μ，６μ，３μ
であり、従来に比べて加工精度が著しく改善され
た。またブレーキに静電クラツチブレーキを用
い、0.8ｍsecブレーキを作用して前記ワイヤ電極
材の引張り強さを越える高い荷重を加え、1.3ｍ
secの常時加えても断線しない程度の低い荷重を
交互にパルス的に制御を行ない、ワイヤーに対す
る最大荷重を1.4Kgとしたときは、前記５回の加
工における最大誤差が各々４μ，６μ，８μ，２
μ，３μであつた。いずれもブレーキトルクのパ
ルス的制御によつて高精度の加工ができた。

以上はブレーキトルクをパルス的に制御するこ
とについて説明したが、パルス的なワイヤーの張
力制御を行なうには駆動装置８に駆動トルクがパ
ルス的に働く装置を設けて制御してもよい。それ
には駆動ローラ８２とモータ８３を結合する駆動
軸にクラツチを設けてそのクラツチをパルス発振
器により制御すればよい。また駆動装置８及びブ
レーキ７を共にパルス的にトルクが制御できるも
のを用い、両者を同期して、または位相をづらせ
て制御するようにしてもよい。

また変更例として第３図のような巻枠の駆動プ
ーリにパルス的回動を行なうものを用いることが
できる。１０は外周に外掛溝を形成した円板、１
１は回動モータ、１２は溝に引掛る爪で、この爪
１２がマグネツト１３の励磁により上下し引掛が
はずれるようにしてある。円板１０には常にモー
タ１１により回動力が作用するが、外周溝に爪１
２が引掛つておることにより自由回動ができな
い。そこでマグネツト１３を発振器の出力パルス
によつて励磁すると爪１２が吸引され引掛りがは
ずれて円板１０は次の溝まで回動する。爪１２を
パルス的に制御することにより前記円板１０のス
テツプ回動が繰返されてパルス的に回動しワイヤ
ーのパルス的巻き取りが行なわれ、結果的にガイ
ド２間を移動するワイヤー１にパルス的張力が働
くことになる。

以上はワイヤーにパルス的張力を働せる方法の
２，３の例を説明したが、他にも種々変更例が考
えられる。いずれにしてもパルス的張力を働せる
ことによつて、実質的にワイヤーに強い張力を作
用させることができるから、これによりワイヤー
の直線性が改善され、ワイヤーカツトの加工精度
が著しく向上する。また勿論ワイヤーの直線性が
良くなることによつてアーク・短絡等が発生し難
くなり安定加工を続けることができて加工スピー
ドも増大できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例図、第２図は発振器
の実施例、第３図は巻枠駆動プーリーの実施例で
ある。 １はワイヤー、２はガイド、３は被加工体、
４，５は巻枠、６はガイドローラ、７はブレー
キ、８は駆動装置である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 細線ワイヤーを、加工部ガイド間を所定の張
   力を加えながら移動せしめ、該ワイヤーを電極と
   して被加工体と対向させ、対向間隙に通電して加
   工するワイヤーカツトにおいて、前記加工部ガイ
   ド間のワイヤー電極にその電極材料の引張り強さ
   を越える高い荷重と常時加えても断線しない程度
   の低い荷重とを交互に作用して少くとも100Hz以
   上の周波数でパルス的に変化する張力を加えなが
   ら加工することを特徴とする通電ワイヤーカツト
   加工方法。