JPS6132757Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は防錆梱包紙に関し、浸油鉄鋼コイル
板等の梱包に使用する。耐油性に優れた梱包紙を
提供しようとしている。

従来より、薄鋼板をコイル状に巻いた状態で輸
送、保管する際、鋼板を油中に浸した後、油が鋼
板表面に付着したまま梱包することにより、防錆
効果を発揮させている。

上記梱包に使用する梱包紙としては、油に侵さ
れない耐油性に優れたものであること、重量のあ
る鉄鋼コイル板を梱包できる充分な強度があるこ
と等の性質が要求される。

ところが、従来使用されていたポリプロピレン
フイルムや塩化ビニルフイルムとクラフト紙との
ホツトメルト剤使用のラミネート加工紙などは、
耐油性が非常に悪く、フイルムがクラフト紙から
剥離し易い等浸油コイル板等の梱包には使用でき
ず問題となつていた。

そこで、この考案においては、上記問題を解消
できる複合材料からなる梱包紙を提供するもので
あり、その構成としては、基材となるクラフト紙
の片面に、網目状に糸材を介して、ポリビニルア
ルコールフイルムまたはエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物フイルムを耐水性エマルジヨン接
着剤にて接合してなることを特徴としている。

次いで、この考案の実施態様について図を参照
しながら以下に例示する。

１は基材となるクラフト紙であり、従来の包装
材として用いられたものと同様のものである。

２はポリビニルアルコールフイルム又はエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物による透明なフ
イルムである。

なお、上記のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物フイルムはポリビニルアルコールの原料で
ある酢酸ビニル樹脂と、エチレン樹脂との共重合
体のうち、酢酸ビニルの含量の多いものをケン化
して得られるもので、エチレンビニルアルコール
共重合体とも称せられ、上記ポリビニルアルコー
ルフイルムと同様の性質を有するものである。即
ち、鉱物油等に対する耐油性があり、強度的にも
優れており、また帯電性が無いためフイルムの表
面にホコリがつき難く、さらにガスバリヤー性
（気体遮断性）に優れていることなどが挙げられ
る。

なお上記フイルム２としては、二軸延伸あるい
は一軸延伸フイルムを用いれば引張り強さ等の強
度が非常に優れており、特に二軸延伸フイルムの
場合には強度に方向性が無く、使用時の荷重方向
が自由になるので最も好適なものである。

３は網目状になつた糸材であり、合成繊維等か
らなる補強用糸を、前記加工紙１とフイルム２の
間に介装しており、糸材３は桝目状に直交させて
敷設するもの、あるいは菱目状に斜めに交差させ
て敷設するもの等、補強効果を考慮して種々の態
様で実施できる。

４は耐水性エマルジヨン接着剤であり、酢ビ、
エチレン−酢ビ、アクリル等のオレフイン系のエ
マルジヨンからなるものであり、加工紙１とフイ
ルム２との接着性に優れたもので、糸材３を間に
介したまま両者１，２を接合し、積層一体化させ
ている。

上記のごとく構成さた梱包紙Ａは、円筒状に巻
回された鉄鋼コイル板Ｓに対して、クラフト紙１
側を内側にしてコイル板Ｓを包被して使用するも
のである。従つてクラフト紙１にはコイル板Ｓ内
の油が浸透するが、フイルム２で油の浸出を防止
できるようになつている。

なお、加工紙１に予め気化性防錆剤を塗工して
おけば、さらに防錆効果が良好になる。

以上のような、この考案の防錆梱包紙Ａによれ
ば、浸油鉄鋼コイル板Ｓのように耐油性および強
度等が要求される物品の包装に対して非常に有効
に使用できるものである。

即ち、ポリビニルアルコールフイルムまたはエ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フイルム２
をクラフト紙１に積層することにより、従来のポ
リプロピレンフイルムあるいはポリ塩化ビニルフ
イルムとクラフト紙との積層品に比べ、はるかに
優れた耐油性を発揮し、強度的にも優れたものと
なる。

またガスバリヤー性が優れていて、浸油コイル
板Ｓの油の劣化およびコイル板Ｓ自体の腐食；錆
を防止する効果があり、従来の通気性を有するポ
リエチレンフイルム等の欠点を改善している。さ
らに非帯電性を有するため、外面にホコリがつか
ず、美麗な包装状態を保つことができる。

そして、上記フイルム２とクラフト紙１の接合
には、耐水性エマルジヨン接着剤４を使用した結
果クラフト紙１が含油してもフイルム２との剥離
はなくなり、両者１，２の性質上、接着強度が優
れると共に接着作業も容易である。これは従来の
ポリプロピレンフイルムや塩化ビニルフイルムが
エマルジヨン接着剤では完全なラミネート接着が
できず、ホツトメルト接着剤にて接合していたの
に比べ、製造コスト、接着一体性の点で好適なも
のとなる。また耐水性のある接着剤を用いること
により、湿気や水の浸入を遮断するのに有効で、
クラフト紙１およびフイルム２の耐水性・透湿性
を補なつている。

さらに、クラフト紙１とフイルム２の間には網
目状に糸材３を介している為、梱包紙Ａの強度は
非常に高くなり、大型で重量のある収納物品の梱
包に対しても充分対応できるものとなる。

なお、この考案の梱包紙Ａは浸油コイル板Ｓだ
けでなく、各種鋼材、機械部品その他種々の物品
の梱包に好適に使用できるものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施態様を例示するものであ
り、第１図は一部切欠斜視図、第２図は断面図、
第３図は使用状態の一部切欠斜視図である。 Ａ……梱包紙、１……クラフト紙、２……フイ
ルム、３……耐水性エマルジヨン接着剤、４……
糸材、Ｓ……コイル板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 基材となるクラフト紙の片面に、網目状に糸
   材を介して、ポリビニルアルコールフイルムま
   たはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フ
   イルムを耐水性エマルジヨン接着剤にて接合し
   てなることを特徴とする防錆梱包紙。 ２ ポリビニルアルコールフイルムまたはエチレ
   ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フイルムが、
   二軸延伸フイルムからなる上記実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の防錆梱包紙。