JPS6127994B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインバータなどで構成される周波数変
換装置を用いた交流電動機の速度制御装置に関す
る。

最近インバータによる交流電動機の速度制御分
野が急速に発展し、大容量交流電動機の分野にも
適用されるようになつてきた。大容量交流電動機
の速度制御方式には速度の連続制御を必要とする
場合もあるがインバータを始動用制御装置として
使用し電動機を加速、同期速度まで加速した後系
統へ同期切換えを行ない継続運転するような制御
方式も考えられる。

本発明は後者のような運転制御方式を行なう場
合円滑な同期切換を行なえるような速度制御装置
提供しようとするものである。

インバータを始動機として使用し交流電動機を
同期切換制御する制御方式としては各種方式があ
るが一方式としてP.L.L（フエーズロツクルー
プ）制御による制御方式がある。このP.L.L制御
方式は簡単な制御回路構成で同期切換制御が可能
であるので広く用いられている。しかし大容量電
動機をインバータ駆動し同期切換制御を行なう場
合はP.L.L制御が一種の外乱要素となり制御ルー
プのゲインが高く取れず、の結果同期切換時間
（同期投入時間）が長くなつてしまう欠点があ
る。勿論交流電動機容量に対し始動用インバータ
容量が十分であれば多少の外乱があつても十分安
全にしかもかつ短時間で同期切換動作が可能にな
るが非常に不経済な装置設計となつてしまう。

そこで、本発明においては上記の欠点を改良し
経済的で円滑なる同期切換制御が可能なる交流電
動機の速度制御装置を提供することを目的とす
る。この目的を達成する特許請求の範囲記載の本
発明構成によれば、交流母線（系統電源）の周波
数が変動する場合、また駆動する交流電動機容量
に比しインバータ出力容量が小さな設備の場合、
特に有効である。

第１図は従来の実施例を示す。１は交流母線で
あり、２は例えばサイリスタ整流器、直流リアク
トルを含む電流中間回路およびサイリスタインバ
ータからなる周波数変換装置（以下インバータと
略称する。）である。３，４は切換開閉器、５は
交流電動機（例えば誘導電動機）である。１１は
周波数設定器であり、この周波数設定器１１によ
る設定値は、スイツチ１２および遅れ追従回路
（いわゆる加減速演算器）１３を介して、周波数
指令信号としてインバータ２の周波数を決定する
周波数制御器２０に入力されると同時に、インバ
ータ２の出力電圧制御器に電圧目標値として与え
られる。さらに、交流母線電圧とインバータ出力
電圧との位相差を検出する位相差検出器１５と位
相制御増幅器１６と零保持スイツチ１７とからな
る位相制御ループが設けられていて、増幅器１６
の出力電圧が加算点１９において回路１３からの
周波数指令信号に重畳される。電動機の起動、加
速時にはインバータ側開閉器３が投入され、スイ
ツチ１２のオンによつて周波数指令信号がほゞ直
線状に上昇されてゆく。このときスイツチ１７も
オンされていて増幅器１６の出力電圧は零に保持
されている。電動機５は電圧と周波数との比を一
定に保たれながら加速されてゆく。この加速はイ
ンバータ２から電動機５に供給される電圧の周波
数が交流母線１の周波数にほゞ一致するまで行な
われる。この加速が完了すると零保持スイツチ１
７がオフされ、これにより位相差検出器１５およ
び増幅器１６を含むP.L.L回路が動作を開始す
る。インバータ出力電圧位相が交流母線１の電圧
位相にほゞ一致すると切換開閉器４が投入され
る。切換開閉器４の投入完了後直ちに切換開閉器
３が開放され、同時にインバータ２は停止され
る。

このような制御を行なえば交流電動機を始動か
ら同期投入完了までの間円滑な制御が可能であ
る。このような使用例は例えば製鉄所内における
省エネルギーを目的としたブロア、ポンプ等の制
御に用いられている。しかし第１図に示す従来方
式では元来インバータ交流電動機系の安定性の問
題に加えて位相制御ループ自体が一種の外乱的要
素になるため位相制御中インバータが交流電動機
系全体の制御が不安定になり易く、また、安定化
するため位相制御ループゲインを低く取ると同期
化制御期間（同期切換時間）が長くなつてしまう
という問題がある。

この系の安定性の問題は駆動する交流電動機の
容量に比しインバータ出力容量が小さい場合に
は、特に深刻なる問題となる。また交流母線１の
周波数が変動が大きい場合もやはり同期化のため
位相制御ループゲインを高く取る必要があり上記
のような問題点が発生する。

本発明は上述の問題点を解決することを目的と
するものであり、とくに交流母線周波数の変動に
対しても系の安定度を損うことなく速度性のある
位相制御を可能にしようとするものである。第２
図に本発明の実施例を示す。

第２図の本発明の実施例が第１図の従来装置と
本質的に異なるところは、位相制御回路から発
信された位相制御信号を制限するリミツタ１８を
設けたこと、および、周波数指令回路を、交流
母線１の周波数を検出してこの検出周波数に相当
した信号を周波数指令信号として発信する周波数
検出器１０によつて構成したこと、である。すな
わち、第２図によれば、第１図の設定器１１の代
りに周波数検出器１０が設けられていて、速度指
令信号（周波数指令信号）nsは周波数検出器１
０の出力端子から供給される。周波数検出器１０
の入力端子は交流母線１に接続されている。周波
数検出器１０は交流母線１の周波数を検出し交流
母線１の周波数に比例した速度指令信号nsをス
イツチ１２を介して加減速演算器１３に与える。
このようにすると交流電動機加速終了直後のイン
バータ出力周波数は交流母線１の周波数の変動い
かんにかかわらず交流母線１の周波数にほゞ等し
くなる。なお一般に交流母線１の周波数の変動周
期はインバータ内部の制御装置の応答時間と比較
するとはるかに長いため交流母線１の周波数変動
がインバータ交流電動機系の安定性を損なうこと
はない。

今、切換開閉器３が投入され更にスイツチ１２
が投入されるとインバータ２は運転を開始し、交
流電動機５を加速し始める。加減演算器１３は交
流電動機を最適に加速するための運転パターンを
発生する。加速中増幅器１６は零保持スイツチ１
７にて零に保持されている。インバータ２の出力
周波数が交流母線１に等しくなると自動的に加速
は終了する。加速終了と同時に零保持スイツチ１
７が開放され位相検出器１５、増幅器１６、リミ
ツタ１８、加算器１９、周波数制御器２０、イン
バータ２からなる位相制御ループにて同期化のた
めの制御が行なわれる。周波数制御器２０の入力
には周波数検出器１０、スイツチ１２、加減速演
算器１３および加算器１９を介して交流母線１の
周波数にほゞ等しい入力信号がすでに加えられて
いるため増幅器１６又はリミツタ１８の出力（位
相制御信号）が僅かでもあれば同期化制御が可能
である。すなわち位相制御のループゲインをさほ
ど大きく選ばなくても交流母線１とインバータ出
力電圧の位相は十分に一致するよう制御できる。
リミツタ１８は位相制御ループが位相制御期間中
もインバータ交流電動機系の安定性を損なわない
よう制御信号の制限を行なう。同期化完了後切換
開閉器４が投入され、またこれと同時に切換開閉
器３およびスイツチ１２は解放され同期切換動作
を完了する。

以上のようにすれば交流母線１の周波数が変動
したりまたインバータの出力容量が交流電動機の
容量に比較し十分でないような場合でも円滑でか
つ同期切換時間の短縮が可能なるような制御動作
が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の実施例を示すブロツク図、第２
図は本発明の実施例を示すブロツク図である。 １……交流母線、２……周波数変換装置、３，
４……切換開閉器、５……交流電動機、１０……
周波数検出器、１２……スイツチ、１３……遅れ
追従回路（加減速演算器）、１４……電圧制御
器、１５……位相差検出器、１６……位相制御用
増幅器、１７……零保持スイツチ、１８……リミ
ツタ、１９……加算器、２０……周波数制御器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 交流母線に接続される周波数変換装置と、交
   流電動機を前記交流母線または周波数変換装置出
   力側に接続するための切換開閉手段と、周波数指
   令信号を遅れ追従回路を介して前記周波数変換装
   置に与える周波数指令回路と、前記交流母線の電
   圧と前記周波数変換装置の出力電圧との位相差に
   応じた位相制御信号を前記周波数指令信号に重畳
   させる位相制御回路とを備え、前記交流電動機に
   供給される前記周波数変換装置の出力電圧周波数
   を前記周波数指令信号に基づいて前記交流母線の
   電圧周波数にほぼ一致させ、その後、前記位相制
   御回路により、前記周波数変換装置の電圧位相を
   P.L.L制御方式に基づいて前記交流母線の電圧位
   相にほぼ一致させ、その後、前記交流電動機を前
   記周波数変換装置から前記交流母線に切換接続す
   る交流電動機の速度制御装置において、 前記位相制御回路から発信された前記位相制御
   信号を制限するリミツタ１８を設け、かつ 前記周波数指令回路を、前記交流母線の周波数
   を検出してこの検出周波数に相当した信号を前記
   周波数指令信号として発信する周波数検出器１０
   によつて構成した、 ことを特徴とする交流電動機の速度制御装置。