JPS6126675Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、駆動軸の回転を可変径型伝動プーリ
を介して従動軸に伝達する自動二輪車、自動三輪
車等の動力伝達装置に関するものである。

無段変速機を備えた自動二輪車等の動力伝達装
置として、可変径型伝動Ｖプーリを用いたものが
知られている。この種の無段変速機の駆動側可変
径型伝動Ｖプーリは、駆動軸に固定した固定プー
リ半体と、駆動軸に軸方向に摺動可能に設けた可
動プーリ半体とから構成され、この可動プーリ半
体をその背面に収納したウエイトローラの遠心力
による移動によつて軸方向に移動させ、前記Ｖプ
ーリの径を可変している。

このウエイトローラを収納する可動プーリ半体
の背面には駆動軸に固設されたランププレートが
配置され、可動プーリ半体背面の傾斜面と該プレ
ートの傾斜面とによつて半径方向に漸次狭まる先
細り溝状のウエイトローラ収納室が形成され、該
室内にウエイトローラが収納されている。

ところが、駆動源である内燃機関の回転変動が
駆動軸を介してウエイトローラに伝わり、ウエイ
トローラがランププレートをたたいて騒音を発生
したり、ランププレート自体が共振して騒音を発
生したり、さらに隣接する機能部品までもが共振
して騒音を発生することがあつた。

そこで本考案はこの事情に鑑みなされたもの
で、先細り溝状のウエイトローラ収納室内に装填
されウエイトローラ移動の円滑を図るグリース等
の潤滑油をシールするシールラバーをランププレ
ートに当接させて、防振および防音を図つたもの
である。

以下、図示の一実施例について説明する。

駆動源に連結される駆動軸１と、適宜の負荷
（例えば後車輪）に連結される従動軸２とは、無
段変速機Ｔおよび遠心クラツチＣを介して連結さ
れている。

無段変速機Ｔの駆動軸１側の構成について説明
すると、駆動軸１に固定プーリ半体４と可動プー
リ半体５よりなる駆動側可変径型伝動Ｖプーリ３
が設けられ、固定プーリ半体４はその一面に円錐
面６を有する盤状に形成されて、駆動軸１の端部
に固着されている。

また前記可動プーリ半体５はその一面に円錐面
７を有して短円筒状に形成され、駆動軸１上に固
着されるスリーブ８上に、軸方向に摺動自在に嵌
合されており、前記固定プーリ半体４と相対面し
てＶ字状環状溝９を形成し、その環状溝９内に無
端Ｖベルト１０が装着され、円錐面６，７間に挾
持される。

前記可動プーリ半体５内において、前記スリー
ブ８の端部にはランププレート１１が固着され、
このランププレート１１の傾斜面１３と前記可動
プーリ半体５の背面に形成される傾斜面１２とに
より半径方向に漸次狭まる先細り溝状のウエイト
ローラ収納室１４が形成され、この室１４内に複
数個のウエイトローラ１５が浮動状態で収容され
ている。前記ランププレート１１の外周には可動
プーリ半体５の移動を案内するスライドピース１
６が設けられている。

そして、可動プーリ半体５の開口部５ａはシー
ルラバー１７にて覆われ、前記室１４内のグリー
スが流出することを防止している。このシールラ
バー１７は外周部に形成した取付フランジ部１７
ａを、可動プーリ半体５の外周端縁に装着し、フ
ランジ部１７ａの内周に延設されるシール部１７
ｂを可動プーリ半体５の開口部５ａを覆うように
半径方向に垂設し、かつ前記フランジ部１７ａを
可動プーリ半体５の外周に嵌着されるシールカバ
ー１８にて可動プーリ半体５に固定する。

このシールラバー１７のシール部１７ｂには図
中軸方向左右に夫々屈曲させた環状の屈曲部１９
ａ，１９ｂを形成し、第一屈曲部１９ａをランプ
プレート１１に当接せしめるとともに、第二屈曲
部１９ｂをランププレート１１に隣接して駆動軸
１に設けたフリーホイール２０に当接せしめる。

そして駆動軸１が回転されると、駆動側可変径
型伝動Ｖプーリ３、無端ベルト１０を介して、従
動軸２側の固定プーリ半体２１と可動プーリ半体
２２とからなる従動側可変径型伝動Ｖプーリ２３
に伝達されて、遠心クラツチＣが接続されて従動
軸２に伝達され、駆動軸１の回転速度に連れて前
記Ｖプーリ３，２３の径の可変によつて無段変速
が行なわれる。

駆動軸１の駆動源は内燃機関を用いていること
から、その爆発により駆動軸が回転変動し、これ
がウエイトローラ１５に伝わり、該ローラ１５が
端１４内で振動して、ランププレート１１をたた
くが、シールラバー１７の第１屈曲部１９ａがラ
ンププレート１１に当接しているためランププレ
ート１１の振動を抑え、かつ特に音の目立つ低速
回転時には第１図に示す如く、第二屈曲部１９ｂ
がやはり騒音の発生源となりうるフリーホイール
２０にも当接しているからその効果が倍加する。
高速回転時には可動プーリ半体５は第２図に示す
如く左方に移動するから、第一屈曲部１９ａはさ
らにランププレート１１に押し付けられ、このラ
ンププレート１１部分で発生する騒音を抑える。

尚シールラバー１７には図示の如く、芯材２４
を挿入すると当接力が向上して一層効果を発揮す
る。また上記実施例では第二屈曲部１９ｂはフリ
ーホイール２０に当接しているが、これに限定さ
れるものではなく、ランププレートに隣接する共
振の可能性のある機能部品であればよい。

本考案は以上のように構成されているから、ラ
ンププレートから発生する音をシールラバーによ
つて抑えることができ、防振，防音効果を奏する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は
本考案を備えた動力伝達装置の一部縦断正面図、
第２図は高速時の駆動軸側の縦断正面図、第３図
はシールラバーの半截断正面図である。 １は駆動軸、２は従動軸、３は駆動側可変型伝
動Ｖプーリ、５は可動プーリ半体、１１はランプ
プレート、１５はウエイトローラ、１７はシール
ラバー、１９ａ，１９ｂは屈曲部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動軸の回転を可変径型伝動Ｖプーリによる無
   段変速機を介して従動軸に伝達する自動二輪車等
   の動力伝達装置において、駆動軸上に設けられる
   可変径型伝動Ｖプーリの可動プーリ半体の背面
   と、この可動プーリ半体に隣接して駆動軸上に設
   けられるランププレートとにより形成されるウエ
   イトローラ収納室を該可動プーリ半体の外周に装
   着したシールラバーで覆うとともにランププレー
   トに前記シールラバーを当接せしめたことを特徴
   とする自動二輪車等の動力伝達装置。