JPS6126565Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ピストンピンの潤滑構造の改良に関
するものである。

（従来技術） 一般に往復ピストンエンジンにおいては、ピス
トンとコンロツドはピストンピンを介して連結さ
れており、上記ピストンピンは、上記ピストンに
穿設したピストンピンボスに回転可能に取りつけ
られているため、ピストンピンとピストンピンボ
スとの間を、焼付け、摩耗防止のためにオイルに
より潤滑する必要がある。

そこで従来、オイルリング溝背面とピストンピ
ンボス内周面とを連通するオイル通路を上記ピス
トンピンボス軸方向に設け、該オイル通路により
オイルリング溝に溜つたオイルを積極的に上記ピ
ストンピンボス内周面に導き、潤滑するものが提
案されている。

しかしながら、ピストン頂部で受ける爆発圧力
がピストンピンボス付近に集中するため、ピスト
ンピンボス上にオイル通路を設けることは、ピス
トンピンボス付近の強度を著しく低下させる結果
となり、ピストンの耐久性が悪化するという問題
がある。

そこで、オイルリング溝とピストンピンボス内
周面とを連通するオイル通路を、ピストンピンボ
ス軸方向に対して略直交させるとともにピストン
ピンボス軸方向に対し左右対象に各々２本づつ設
け、上記オイル通路をピストンピンボス軸方向に
対してずらしたものが例えば、実開昭55−4315号
公報に開示されている。

しかしながら、上記のものにおいては排気側に
もオイル通路が形成されていることから、ピスト
ンピンボス部の肉厚が薄くなり、そのためその薄
肉部に爆発圧力に加え熱的影響が加わるため、ピ
ストンにクラツクが発生するという問題がある。

（考案の目的） 本考案は係る従来の問題に鑑みてなされたもの
で、ピストンの強度を低下させることなくピスト
ンピンとピストンピンボスとの間の潤滑を行える
ピストンピンの潤滑構造を提供することを目的と
する。

（考案の構成） 本考案は、上記目的を達成するために次のよう
に構成したことを特徴とする。

すなわち、オイルリング溝よりのオイル通路
を、ピストンピンボス軸方向に対して吸気側にの
み所定の角度傾斜させて設けることにより、ピス
トンの強度を低下させることなくピストンピンと
ピストンピンボスとの間を積極的に潤滑するよう
にしたものである。

（実施例） 以下、本考案を実施例をもとに具体的に説明す
る。

第１図及び第２図に示すように、ピストン１に
は、ピストンピン２を介してコンロツド３が連結
されている。そして上記ピストンピン２は上記ピ
ストン１に穿設されたピストンピンボス４に回転
可能に取り付けられている。又上記ピストンピン
ボス４の内周面５には、該内周面５を潤滑するた
めのオイルが通るオイル通路６の一端が開口して
いる。該オイル通路６の他端は、オイルリング溝
７の背面８に開口している。上記オイル通路６
は、ピストンピンボス４に対して垂直な通路９と
水平な通路１０とにより、構成されると共に該水
平な通路１０は、上記ピストンピンボス４軸方向
に対して吸気側にのみ、すなわち燃焼室（図示せ
ず。）の吸気バルブ１４が位置する方向に所定の
角度傾斜させてある。

尚、１１はエンジンの燃焼室を気密保持するた
めのプレツシヤーリング、１２はシリンダライナ
ー１３の表面のオイルを下方にかきとるためのオ
イルリング、１５は排気バルブである。

以上のようにピストンピンの潤滑構造を構成す
れば、ピストン１の下降時、シリンダライナー１
３の表面のオイルはオイルリング１２によつてか
きとられ、オイルリング１２の下方のオイルリン
グ溝７とのすきまからオイルリング溝背面８に流
れ込む。オイルリング溝背面８に流れ込んだオイ
ルは、オイル通路６を通つて内周面５に積極的に
供給されるので良好な潤滑ができると共に、オイ
ル通路６の一部である通路１０をピストンピンボ
ス４軸方向に対して所定の角度傾斜させたことに
より、ピストン１の頂部で受ける爆発圧力のオイ
ル通路６に対する影響が従来のものに対して減少
するので、ピストン１の耐久性が向上する。しか
も上記オイル通路６は、ピストン１内でも比較的
温度の低い吸気側に傾斜させているので、ピスト
ン１の耐久性からみてより好ましい。

尚、上記実施例では、ピストンピンボス４に開
口するオイル通路６の一部である通路９を、ピス
トンピンボス４軸方向に対して垂直に設けたが、
傾斜を持たせてもさしつかえない。又、オイル通
路６の一部である通路１０も、オイルリング溝７
の背面８に開口する必要なく、オイルリング溝７
の下面に開口してもよい。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、オイル
リング溝より設けたオイル通路を、ピストンピン
ボス軸方向に対して吸気側にのみ所定の角度傾斜
させることにより、ピストンピンとピストンピン
ボスとの間の潤滑を低下させることなくまた、排
気側におけるピストンピンボスの肉厚を確保でき
るのでピストンピンの耐久性を向上させることが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す上面図で、第２
図は第１図における−断面図である。 １……ピストン、２……ピストンピン、３……
コンロツド、４……ピストンピンボス、５……内
周面、６……オイル通路、７……オイルリング
溝、１４……吸気バルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンとコンロツドとを連結するピストンピ
   ンを、上記ピストンに穿設したピストンピンボス
   に軸支する一方、上記ピストンピンボスの内周面
   とオイルリング溝とを連通するオイル通路を設
   け、該オイル通路により上記オイルリング溝のオ
   イルをピストンピンボス内周面に導くようにした
   ピストンピンの潤滑構造において、上記オイル通
   路を、ピストンピンボス軸方向に対して吸気側に
   のみ所定の角度傾斜させて設けたことを特徴とす
   るピストンピンの潤滑構造。