JPS6125929B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は組立式の座金付きボルト、更にくわ
しくはプラスチツク加工物を支持工作物に締結固
定するための締結装置に関する。

鋼鉄（スチール）その他の薄板金属材に代つて
プラスチツクや、プラスチツク状材料の使用が増
大するにつれて締結に問題が生じて来た。プラス
チツク材は各種の金属板材に比べて価格や耐食性
において利点があるが、荷重をひずみなく受容し
得ないことが難点である。周知のとおりクリープ
現象ないし常温流れ現象があるためプラスチツク
材は強固に締結接合する場合の要素とはなり得な
い。ねじ締結具で締結するには殆んどの場合、そ
のねじ締結具が所期の張力を失わないことが絶対
条件で、さもないとその締結具はゆるんでしま
い、接合に役立たなくなつてしまう。プラスチツ
ク材を上にし、これをボルトのようなねじ締結具
の圧縮荷重下部構造体に固着させるとプラスチツ
クは前記荷重の下で常温流れを起こすことは明白
である。

各種のばね荷重分布座金が提案されて来たが、
問題の解決には殆んど役立たない。

そこで、この発明は、プラスチツク加工物に対
し圧縮荷重を効果的に排除する座金付きのねじボ
ルトを組入れた締結装置を提供することを主要目
的としている。

この発明のもう１つの目的は、プラスチツク加
工物を支持構造体に締結するのに役立つ組立式締
結装置を提供することである。

更にこの発明のもう１つの目的は、締結具の寸
法および締結具の荷重支持能力を最大なものとし
ながら、プラスチツク加工物への締結荷重の有害
な影響を最小にする組立式締結具を提供すること
である。

この発明の目的および利点は管形のスリーブ
と、その上端部に半径方向に突出したフランジを
有する座金装置をボルトのようなねじ付き細長締
結具と予じめ組立て結合することにより得られ
る。このねじ付き締結具は、ボルトの頭部下面に
近接してねじ山の山径より大きな所定の半径寸法
の環状突出部を備えている。また、座金状装置
は、スリーブ壁を上端部に半径方向に内向きに突
出した突出部備え、座金とボルトを相互にぱちん
とスナツプ組立てでき、しかも自由に回れるよう
になつている。軸のねじはスリーブの下方内部に
下から突入し、軸と支持構造体のタツプ仕上げし
た孔との間には、スリーブが締結接合の締付荷重
を受容するのを避けさせ得る締めしろは全くな
い。このボルトは更に、頭部下面と環状突起との
間に、ねじ山がない軸方向長さが小さい首領域を
備えており、この首領域の直径は、ねじ軸部のね
じの山径とほぼ等しいか大になつていて、ボルト
の荷重支持能力を最大にしている。

座金は吸盤状の円すい形をしていることが好ま
しく、その外周は、スリーブの下端から、締結す
べきプラスチツク加工物の厚さにほぼ等しい距離
上方へ離れているのが好ましい。フランジは種々
に設計してプラスチツクに対するばね荷重を減ら
す一方、スリーブによつて作り出された柱、すな
わち荷重支持柱の総合的締付荷重支持能力を最大
にすることがのぞましい。

以下、本発明を図示の実施例を参照して説明す
る。

第１図にはこの発明の締結装置１０が、プラス
チツク加工物４０をねじ孔４６を有するスチール
パネルなどの下部支持体４４に固着する好ましい
使用状態で示してある。

締結装置１０は、ボルト１４に対し自由に回転
はできるが、軸方向には動けない座金装置１２を
含む。

第２図、第３図を見ると、座金１２の好ましい
実施例は、軸方向に延びた管形のスリーブ３０、
前記スリーブの上端から全体的に放射状に外下向
きに指向しているフランジ２８を含む。フランジ
は、外周縁が平らなリム３６になつている円錐形
であることが好ましい。又、スリーブの下端３４
は、フランジの外周から下にプラスチツクパネル
４０の厚さより大きくも、小さくもなく、パネル
４０の厚さと略等しい距離だけ離れていることが
好ましいが、その理由は後述する。

スリーブ３０は第３図の実施例では内面３１の
上部に内向きの環状突出部３２を形成する肥厚部
を除いて肉厚がほぼ一定であり、これにより荷重
支持柱として信頼性がある。しかし第４図に示す
ように、肉厚は上端から下端まで一定で、外面３
３′の上部に環状凹溝により内向きの保持突出部
３２′を形成してもよく、この場は接合に対して
広範囲に亘り適切な締付荷重を与えるのに役立つ
強いばねを支柱に付与することができる。

第１図には座金とボルトの組立体、特に座金１
２の環状突出部３２とボルトの関係が示してあ
る。このボルト１４はトルクを加える平らな面を
備えた半径方向に拡大した頭部１６を含む。頭部
１６はほぼ平らな下面１８を有し、頭部の外周は
座金１２の外径とほぼ等しい寸法となつている。
このボルトは軸に所定の山径及び谷径からなるね
じ山部２０を備えている。座金１２をボルトと組
合わせた場合、ねじ山部の上端はスリーブ３０の
下端部中へ突入し、部分的にスリーブ３０の下部
領域により包囲されることに注目された。環状突
出部２２が、ボルトの頭部下面１８から少し下に
離れてねじ山部の上に形成してある。ボルトの抗
張力を最大にするためにねじ山部２０のねじの山
部にほぼ等しい径の首部２４が突出部２２と頭部
下面の間で軸に形成してある。

座金の環状突出部３２，３２′をボルトの突出
部２２に乗り越えさせて座金をボルトにストツプ
嵌めし、ボルトの突出部を座金の環状突出部の下
に係合させ、両者を組立てる。これにより座金の
上端はボルトに固定されるので、この接合部に加
わる圧縮締付荷重は、支柱すなわち荷重支持柱と
して作用するスリーブを介し座金の内周に直接加
えられる。突出部３０の下端は下部支持体４４の
ねじ孔４６の外圏区域に当接する。従つて、高の
圧縮荷重を上部のプラスチツク加工物４０に加え
ることなくこの接合部に加えることができる。し
かしながら、接合区域のプラスチツクに、わずか
な締付または保持圧力を加えたいと思い、かつそ
うする必要がある場合がしばしばある。この目的
のために、ばねフランジ２８は重要な機能を有し
ている。フランジ２８のばね定数は特定の用途に
適合するように変えることができるが、フランジ
は外周に平らなリム３６，３６′を備え、線接触
ではなく面接触して荷重を分布することが重要に
なつて来る。プラスチツク加工物４０にはスリー
ブの外径よりも径が大きいクリアランス孔４２が
あるので、それらが互いに干渉しないことに注目
すべきである。

上記のとおり、与えられた用途に対しばね定数
を減らしてしかも支柱ないしスリーブ３０の荷重
持特性を維持するために、ばね状フランジ２８は
種々に設計することができる。例えば、第５図の
座金１２ａはその一つで、スリーブの内面３１ａ
はその上端に内向きの環状突出部３２ａをもつば
ねフランジ２８ａを含む点で座金１２に似てい
る。しかし、フランジには内周部５２から半径方
向外側に、円周方向に離して複数の閉鎖開口４８
を設け、相互に連結した複数のばねアーム領域５
０と外周荷重支持領域５４とを効果的に形成して
ある。そして平らなリム３６ａは外周縁に形成し
てあるが、上記外周荷重支持領域５４の一部分ま
たは全体を平坦にし、リムと接続させてもよい。
このような座金の反動率および荷重支持特性は、
第１図から第３図に示した実施例よりもはるかに
小さい。

第６図の座金１２ｂは与えられたばね厚に対し
加えられた荷重を、スリーブの荷重支持特性に変
化をもたらさないで最小にしようと試みたもの
で、これも内周領域５２ｂの外圏に複数の開口４
８ｂを有す。しかし、限られた数のせまいアーム
５０ｂが形成してあつて、ばね圧力を徹底的に減
小させている。これらのアームの最下端は荷重支
持兼分布用のこの例では半円弧形をした弧状底面
５４ｂと一体的に連結し、従つて弧状の底面５４
ｂは最少限の複数の独立した可撓性の、しかも大
きな荷重分布要素となつている。平らなリム３６
ｂは、底面５４ｂの全部または一部に形成し得
る。尚、スリーブの内面上端には内向きの環状突
出部３２ｂを設けてある点は同じである。

第７図の座金１２ｃは肉厚一定の管形スリーブ
と、スリーブの上端から半径方向に延びているば
ねフランジ２８ｃとを含む。しかし、フランジの
内周には複数の内向き突出部３２ｃが設けてあ
り、これらがボルトの首部２４と連結するための
保持装置となつている。円周方向に離れた複数の
不連続突出部３２ｃはボルトと座金の間で限定的
な摩擦接触を行つて、この予備組立装置における
座金の自由回転能力を最大なものにしている。

必要があれば少量の常温流れも点がある。ここ
に説明した発明は、想うにこの目的を達成するた
めに修正もなし得るであろう。例えば、第８図の
座金１２ｄはスリーブ３０ｄと、前述した方法で
ボルト（図示しない）に固着するフランジ２８ｄ
とを含む。フランジ２８ｄは放射状の複数の波形
５６を有するので限定的な常温流れが可能であ
る。

ボルトには頭部下面の少くとも内周部に歯を設
けてもよい。この場合、歯は斜めのカム面と、垂
直な停止面を有する鋸形にすることが好ましい、
この様なボルトと第８図の座金を組立てゝ使用
し、締結すると、ボルトの頭部下面の歯が座金の
波形５６と５６の間に嵌まり、ボルトは逆回転す
るのを阻止される。

以上、この発明は幾つかの実施例について説明
したが、本発明はこれらの実施例に限定されるこ
となく特許請求の範囲に記載されている技術思想
に則り、種々に設計を変えて実施することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はプラスチツク加工物を支持体に固着し
ている状態での本発明の一実施例の断面図、第２
図は同上の締結装置に用いられた座金の平面図、
第３図は第２図の３−３線に沿う断面図、第４図
は座金の他の一例を第２図の４−４線に沿つて断
面にした断面図、第５図、第６図、第７図は夫々
座金の他の実施例の平面図、第８図は座金の更に
他の一例の側面図で、図中、１２は座金装置、１
４はボルト、１６は頭部、１８は頭部の下面、２
０はねじ山部、２２は環状突出部、２４は首部、
２８はフランジ、３０はスリーブ、３２，３
２′，３２ａ，３２ｂ，３２ｃは内向き突出部、
３４はスリーブの下端、４０は上部加工物である
プラスチツクパネルを示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 座金部材と、前記座金と予備組立された頭部
   があるねじ付き締付具とを含み、荷重支持用途に
   おいて常温流れまたはクリープを受ける所定の厚
   さの開口付き上部加工物と用いるのに適した締結
   装置において、前記座金部材はほぼ一定の肉厚と
   所定の軸方向長さのスリーブと、前記スリーブの
   上端から半径方向に延長しているフランジとを含
   み、前記フランジの外周はスリーブの下端から所
   定距離上へ離れ、又、ねじ付き締結具の軸は所定
   の山径と谷径からなるねじ山部を有し、ねじ山部
   の上端は頭部の下面から所定距離下に離れ、この
   距離はスリーブの軸方向長さより小さいのでねじ
   の少くとも一部分は組立状態においてスリーブ内
   に下から突入し、スリーブの内周径はねじ山部の
   山径よりも大であり、締結具の軸には頭部の下面
   とねじ山の上端との間に環状突出部が形成してあ
   り、この環状突出部と、前記頭部の下面との間に
   は、軸方向に短かい首が位置し、前記環状突出部
   はねじの山径よりも大きな径を有し、座金のスリ
   ーブの内面上端には内向き突出部が形成してあ
   り、上記内向き突出部はねじ軸部の環状突出部の
   径よりも小で、ねじの山径よりは大きな径の縮小
   開口をスリーブ内に形成している締結装置。 ２ フランジはほぼ円すい形をして、圧縮ばねを
   形成している特許請求の範囲１の締結装置。 ３ スリーブの下端は、フランジの外周から下に
   上部加工物の厚さより大きくなく、これとほぼ等
   しい距離離れている特許請求の範囲１の締結装
   置。 ４ スリーブにある内向き突出部は環状である特
   許請求の範囲１の締結装置。 ５ 内向き突出部は円周方向に離して複数、狭幅
   に設けてある特許請求の範囲１の締結装置。 ６ 軸部の環状突出部と、頭部の下面との間のね
   じがない首部の径はねじの山径よりも大径である
   特許請求の範囲１の締結装置。 ７ フランジの内周に近接してフランジには円周
   方向に離れた複数の開口があり、上部加工物に加
   わるばね力を減少させる特許請求の範囲１の締結
   装置。 ８ 円すい形フランジの外周には平らな周辺リム
   がある特許請求の範囲２の締結装置。 ９ フランジの開口は閉鎖されている特許請求の
   範囲７の締結装置。 １０ 前記開口は各々平らな外周基底部分に一体
   的に連結している下方へ延長した比較的せまい複
   数のばねアームを形成し、各アームとその連結基
   底部分が、上記加工物に対し比較的広い面接触と
   比較的軽いばね力とを引き起している独立した可
   撓ばね装置を形成している特許請求の範囲７の締
   結装置。 １１ フランジは半径方向に延びる波形を含んで
   いる特許請求の範囲１の締結装置。 １２ スリーブの肉厚は上端から下端までほぼ一
   定で、その外面の上部には環状凹溝によりばね性
   の内向き突出部を設けた特許請求の範囲１の締結
   装置。