JPS6125298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の分野） 本考案は架空ケーブルの架渉作業において使用
される移動金庫の吊線への取付け又は取外し作業
に用いられる工具に関するものである。

（従来技術及びその問題点） 従来においては、架空ケーブルを架渉する際に
複数の移動金車を吊線へ一度に取付けたり吊線か
ら一度に取外すための工具が存在しなかつた。こ
のため、架渉作業時には、作業者が数個の移動金
車を作業袋中に携帯し宙乗器を使つて吊線に近づ
き吊線に移動金車を４〜6m間隔で１個ずつ取付
け携帯した数を取付け終ると一旦地上に降り、再
度移動金車を携帯し宙乗器を使つて取付け作業を
行つていた。またケーブル架渉が終ると、上述し
た取付け作業とは逆に一個ずつ移動金車を吊線か
ら取外し作業袋に所定数納めると地上に降りるこ
とを繰返して行つていた。従来は、このように作
業者が１個ずつばらばらの移動金車を数個作業袋
中に携帯するのみなので携帯しうる移動金車の数
が少なく、その結果地上と吊線との間の昇降回数
が増え作業が煩雑で困難であつたし、作業袋から
の移動金車の落下のおそれや昇降回数の多い分だ
け作業に危険性が伴つていた。また、従来移動金
車は一個ずつばらばらであつたので、持ち運びが
面倒で、整理保管が面倒であつた。

（考案の目的） 本考案の目的は、これらの欠点を除去し、電柱
際の高所から移動金車の吊線への取付け取外しを
安全かつ容易に行え、ケーブル架渉作業を能率的
に行うことのできる移動金車取付け取外し工具を
提供することにある。

また本考案の他の目的は、移動金車の持ち運び
に便利な移動金車取付け取外し工具を提供するこ
とにある。

また本考案の他の目的は、移動金車の整理保管
が容易な移動金車取付け取外し工具を提供するこ
とにある。

これらの目的達成のために本考案に係る移動金
車取付け取外し工具は、腕金部の一端に鍵部を備
え、この腕金部の他端にはこれと連接し前記鍵部
に達する長さの金車掛棒を備え、前記腕金部に吊
下げ用フツクと連結ロープ整理用フツクとを備え
ていることを特徴とする。

（実施例） 以下、本考案を図に基づいて詳細に説明する。

第１図は本考案の一実施例を示す図である。１
は腕金部で、材料としては例えば直径８mmの鉄線
が用いられており、コ字状部２とその中央付近で
これに固定された台形状部３とから構成されてい
て、コ字状部２の角には必要に応じて補強材４が
設けられている。そして腕金部１の一端即ちコ字
状部２の一端には第２図に示すように鍵部５が設
けられており、腕金部１の一端即ちコ字状部２の
他端６には腕金部１と連接し鍵部５に達する長さ
の金車掛棒７が設けられている。この金車掛棒７
は腕金部１と同じ直径８mmの鉄線で作られてい
て、他端６近辺には例えばナツトを溶接付けした
ストツパ８が設けられている。そして腕金部１の
ほぼ中央いいかえれば台形状部３のほぼ中央には
吊下げ用フツク９が設けられており、またコ字状
部２のほぼ中央には連結ロープ整理用フツク１０
が設けられている。これらの吊下げ用フツク９及
び連結ロープ整理用フツク１０は共に回転可能な
構造が望ましい。即ち、吊下げ用フツク９は第３
図に拡大して示すような可動部１１によつて腕金
部１の台形状部３の上辺１２に連結されている。
可動部１１は両脇に突部１３を有する上辺１２に
よつて貫通される水平筒部１４とこの水平筒部１
４のほぼ中央に垂直に接続された垂直筒部１５と
から成り、吊下げ用フツク９は垂直筒部１５に貫
入されており垂直筒部１５から抜けないよう下端
部が太くなつていて、吊下げ用フツク９は矢印Ａ
及び矢印Ｂのいずれの方向にも回転できる。ま
た、連結ロープ整理用フツク１０は第４図に拡大
して示すような筒部１６によつて腕金部１のコ字
状部２に連結されており、筒部１６を貫通する連
結ロープ整理用フツク１０の両脇には突部１７が
設けられていて、矢印Ｃの方向に回転できる。以
上説明した実施例において、その具体的な寸法例
としては、コ字状部２の長手方向部分の長さが約
60cm、短手方向部分の長さが約５cm、コ字状部２
の長手方向部分と上辺１２との距離が約８cm、連
結ロープ整理フツク１０の曲がり部分の直径が約
5.5cm、曲がり部の底部から上端までの長さが約
13cmであり、金車掛棒７の長さは、それが鍵部５
にかかるように約65cm程度にする。この金車棒の
長さは平均的な電柱間距離に必要な移動金車の数
（13個）に応じて定めたもので、必要に応じて短
くしたり又は長くてもよいことはもちろんであ
る。なお、連結ロープ整理用フツク１０の先端は
第５図のようにやや内側に曲げておくと、連結用
ロープを外れにくくできるので便利である。

次に、この移動金車取付け取外し工具に用いら
れる移動金車の構造を簡単に説明する。

第６図は移動金車２０を示す図で、２１は枠、
２２は両側の枠をつなぐ連結棒、２３は吊線用ロ
ーラー、２４はケーブル用ローラー、２５はロー
プ連結部をそれぞれ示し、ケーブル用ローラー２
４は一方の枠端２６で、取外すことができ、取り
外した場合には第７図に示すようになる。

第８図、第９図は、本考案の移動金車取付け取
外し工具の使用状態を説明するための図である。
第８図は、移動金車２０を必要個数だけ移動金車
取付け取外し工具に装置した状態を示している。
移動金車２０の連結棒２２と吊線用ローラー２３
の間に金車掛棒７を通し、金車掛棒７の先端を鍵
部５にとめた状態になつており、各移動金車２０
のロープ連結部２５につながつている連結ロープ
２７は一まとめに束ねて連結ロープ整理用フツク
１０にかけられている。なおこのときケーブル用
ローラー２４は枠端２６から外された第７図の状
態になつている。ストツパー８があるため移動金
車２０がコ字状部３まで行つてしまうことはな
い。

第９図は、移動金車２０の吊線２８への取付け
状態を示す図である。第８図の状態の移動金車取
付け取外し工具の吊下げ用フツク９にロープ等を
取り付け本工具を電柱の上方に吊り上げて、吊線
２８上に吊線用ローラー２３が乗る状態にした後
連結ロープ２７を連結ロープ整理用フツク１０か
らはずしケーブル用ローラー２４を枠端２６に固
定し、その後金車掛棒７を鍵部５から外し第９図
の状態とする。このとき金車掛棒７は腕金部１と
同じ材料でその他端６と連接して設けられている
ので、金車掛棒７は適度な弾力状態で鍵部５から
離れている。

その後、金車掛棒７を引き抜き移動金車２０を
吊線２８上に取り残し、次の電柱から連結ロープ
２７を引くことにより、吊線２８上に一定間隔で
移動金車を設置し、吊線用ローラー２３とケーブ
ル用ローラー２４の間にケーブル（図示せず）を
通す。そして、ラツシングマシン等によつて、一
つの電柱側から吊線２８とケーブルを固定しなが
ら移動金車２０を次の電柱近くまで追い集める。
移動金車２０が次の電柱付近に集まつたところ
で、連結棒２２と吊線用ローラー２３との間に鍵
部５から外した金車掛棒７を通し、金車掛棒７を
鍵部５にとめ連結ロープ２７をまとめて連結ロー
プ整理用フツク１０にかけた後、ケーブル用ロー
ラー２４を枠端２６から外し、移動金車２０をま
とめて移動金車取付け取外し工具と共にケーブル
及び吊線２８から外して地上に降ろす。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案を用いると、電柱
間のケーブル架渉に必要な移動金車を一度に吊線
に取付けたり取外したりできるので架渉作業能率
を著しく向上できる。更に移動金車が金車掛棒に
しつかりと装着されているので従来のように移動
金車が作業袋からおちることもなく、また連結ロ
ープをまとめて連結ロープ整理用フツクにかけて
移動金車の昇降ができるので、作業の安全性も向
上できる。更に移動金車の持ち運びは、第８図に
示すような装着状態で行えるので容易に行える利
点がある。更に、移動金車の整理保管も、第８図
に示す装着状態で行えるので、整理が容易とな
り、移動金車の数の確認も楽になり保管が容易に
なる等の利点がある。また作業時には吊下げ用フ
ツクを第３図に示したように矢印Ａの方向に回転
できるので、鍵部の位置を所定の方向（取付け時
は次の電柱方向、取外し時は前の電柱方向）に簡
単に設定することができる。また持ち運び時には
吊下げ用フツクを第３図の矢印Ｂの方向にも回転
でき、連結ロープ整理用フツクを第４図の矢印Ｃ
の方向に回転できるので、各フツクを持ち運びの
邪魔にならないようにすることができる。

本考案は、以上説明した実施例に限定されるこ
となく、種々の変形例が考えられる。例えば、腕
金部１を第１０図ないし第１２図に示すような構
成としてもよい。また、工具を構成する材料も鉄
線に限定されることなく、種々の材料を使用でき
ることはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す図、第２図は
第１図の工具の鍵部を拡大して示す図、第３図は
第１図の工具の吊下げ用フツクを拡大して示す
図、第４図は第１図の工具の連結ロープ整理用フ
ツクの筒部を拡大して示す図、第５図は連結ロー
プ整理用フツクの一変形例を示す図、第６図及び
第７図は本考案に用いる移動金車を説明するため
の図、第８図は第１図の工具に移動金車を装着し
た状態を説明するための図、第９図は第１図の工
具の使用状態を説明するための図、第１０図ない
し第１２図は本考案の他の実施例を示す図。 １……腕金部、２……コ字状部、３……台形状
部、４……補強材、５……鍵部、６……他端、７
……金車掛棒、８……ストツパー、９……吊下げ
用フツク、１０……連結ロープ整理用フツク、１
１……可動部、１２……上辺、１３……突部、１
４……水平筒部、１５……垂直筒部、１６……筒
部、１７……突部、２０……移動金車、２１……
枠、２２……連結棒、２３……吊線用ローラー、
２４……ケーブル用ローラー、２５……ロープ連
結部、２６……枠端、２７……連結ロープ、２８
……吊線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 腕金部の一端に鍵部を備え、前記腕金部の他端
   に前記腕金部と連接し前記鍵部に達する長さの金
   車掛棒を備え、前記腕金部に吊下げ用フツクと連
   結ロープ整理用フツクとを備えていることを特徴
   とする移動金車取付け取外し工具。