JPS6118167Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はＶ列機関のシリンダブロツク機構に関
し、その目的は，(1)ラジエターフアンとシリンダ
ブロツク端面との距離を短縮することによる機関
全長の短縮化、(2)ラジエターフアン駆動のための
クランク軸支持構造の簡略化、(3)冷水式ポンプや
潤滑油ポンプ等補機類の配置構造のコンパクト化
等である。まず図面に基づいて本考案を説明す
る。

第１図は本考案によるＶ列機関用シリンダブロ
ツクの平面部分図、第２図は第１図の矢視図で
あり、これら第１，第２図において、第１，第２
シリンダ（シリンダ列）２，３は、クランク軸中
心Ｏの両側上方にＶ型（第２図）に配置されてお
り、またクランク軸中心Ｏをはさんで相対向する
各シリンダ２，３は、クランク軸長さ方向に位相
差Ｄ（第１図）を有して配置されている。このよ
うなシリンダブロツク１のラジエターフアン側端
面５と、この端面５から遠い位置に配置されてい
る側（第１、第２図の左側）のシリンダ２との間
のブロツク壁部分内に、クランク軸中心Ｏと直角
な潤滑油通路６が形成されている。また両シリン
ダ２，３間のブロツク壁部分には、クランク軸中
心Ｏと平行な潤滑油主管７が嵌着されており、潤
滑油主管７は潤滑油通路６の一端に連通してい
る。潤滑油通路６の他端は第１シリンダ２側のブ
ロツク端面４から外方へ開口し、第３図等の説明
で詳しく述べるように潤滑油冷却器８に連通す
る。また潤滑油主管７はクランク軸受等各被潤滑
箇所に連通する。

第３図は上記のようなシリンダブロツクを用い
た機関全体の側面図、第４図は第３図の矢視図
であり、これら第３，第４図において、１１はオ
イルパン、１２はシリンダヘツド、１３はギヤケ
ースであり、ギヤケース１３はブロツク１のラジ
エターフアン３２側の端面５に固着されており、
ギヤケース１３にはギヤケース蓋１５が固着され
ている。ギヤケース蓋１５には潤滑油ポンプ１
６、冷却水ポンプ１７及びラジエター駆動装置１
８が固定されている。１９は調圧弁である。

ブロツク１の側面（第３図の表面）の略中央部
には燃料噴射ポンプ２０が配置されており、燃料
噴射ポンプ２０より下側でラジエターフアン側寄
部分には、潤滑油こし器２１が配置され、また燃
料噴射ポンプ２０のラジエターフアン側には前記
潤滑油冷却器８が配置されている。潤滑油ポンプ
１６の入口部は油管２２を介してオイルパン１１
に接続され、潤滑油ポンプ１６の出口部は油管２
３（第４図）を介して調圧弁１９に接続され、調
圧弁１９は油管２４を介して潤滑油こし器２１に
接続されている。上記油管２４はこし器入口部２
１ａに接続され、こし器出口部２１ｂは逆Ｔ字型
の油管２５を介して潤滑油冷却器８の入口部に接
続され、潤滑油冷却器８の出口部は前記ブロツク
１の潤滑油通路６に直接、即ち外部配管すること
なく接続されている。２６は余剰油戻し管であ
る。

第４図の−断面拡大部分図である第５図に
おいて、クランク軸３０のギヤケース内部分に
は、クランク軸３０のねじり振動のピークを回避
するための回避マス３１が装着されており、また
クランク軸３０はギヤケース蓋１５に固着された
環状体１５ａの孔を通過してラジエターフアン３
２側へ突出しているが、環状体１５ａの孔とクラ
ンク軸外周面の間にはシール３３のみが配置され
ていて、軸受は配置されていない。クランク軸３
０のラジエターフアン側突出部にはＶプーリ３５
が固着されており、このＶプーリ３５はラジエタ
ー駆動装置１８のＶプーリ３６にＶベルト３７を
介して連動連結されている。３８は潤滑油主管７
の蓋である。

潤滑油の流れについて簡単に説明すると、潤滑
油ポンプ１６（第３図）によつてオイルパン１１
内から吸い出された潤滑油は、調圧弁１９によつ
て調圧された後、こし器２１によつてろ過され、
潤滑油冷却器８に送られて冷却される。冷却され
た潤滑油は、潤滑油冷却器８からブロツク１内の
潤滑油通路６に供給され、潤滑油主管７を介して
各被潤滑箇所へ供給される。

従来の機関では、潤滑油冷却器８と潤滑油主管
７との接続を、パイプ等を利用した外部配管で行
つており、そのため次のような不具合があつた。

(1) 外部配管用のスペースを確保するために、ラ
ジエター駆動装置１８全体のクランク軸長さ方
向の長さを長くしなければならず、それに伴つ
てブロツク１のラジエターフアン側端面５とラ
ジエターフアン３２との距離Ｌ（第５図参照）
は長くなり、機関全長も長くなる。

(2) 上記距離Ｌが長くなると、クランク軸３０の
ラジエターフアン側突出長さｌも長くしなけれ
ばならず、そのためギヤケース蓋１５部分（環
状体１５ａ部分）にクランク軸支持用の軸受が
必要になる。

(3) 外部配管することにより、冷却水ポンプ１７
や潤滑油ポンプ１６のギヤケース蓋１５上の配
置パターンが制限され、そのため燃料噴射ポン
プ２０をブロツク側面の中央部に配置すること
もできなくなり、燃料高圧管が長くなり、機関
性能が悪化する原因になる。

(4) 外部配管することにより、回避マス３１（第
５図）の大きさが制限され、そのためにンパー
やゴム継手を装備しなければならなくなり、コ
ストが高くつく。

これに対して本考案は、シリンダをクランク軸
の両側にＶ型に配列すると共に、クランク軸をは
さんで相対向するシリンダをクランク軸長さ方向
に位相差を有して配置し、シリンダブロツクのラ
ジエターフアン側端面と、この端面から遠い位置
に配置されている側のシリンダとの間のブロツク
壁部分にクランク軸と概ね直角な潤滑油通路を形
成し、潤滑油通路の一端部をクランク軸上部に平
行するシリンダブロツク中央に設けた潤滑油主管
と略直角に連通し、この潤滑油主管を介して潤滑
油を被注油箇所に供給するようにしているので、
次のような利点がある。

(1) 潤滑油冷却器８から潤滑油主管７の間の接続
において、ラジエター駆動装置１８部分を通る
ような外部配管をする必要がなくなるので、ブ
ロツク１のラジエターフアン側の端面５からラ
ジエターフアン３２までの距離Ｌ（第５図）を
短くすることができ、機関全長が短縮される。

(2) 上記距離Ｌを短くすることにより、クランク
軸３０のラジエターフアン側突出長さｌを短く
することができ、クランク軸３０の外部軸受が
不必要になる。即ちギヤケース蓋１５（環状体
１５ａ）にクランク軸支持用軸受を備える必要
がなくなり、クランク軸支持構造が簡単にな
る。

(3) 冷却水ポンプ１７や潤滑油ポンプ１６を第４
図に示すようにギヤケース蓋１５上にコンパク
トにかつ集中的に配置することが容易にでき、
そのため燃料噴射ポンプ２０（第３図）もシリ
ンダブロツク１の側面の中央部に容易に配置す
ることができる。従つて燃料高圧管を短くする
ことができ、機関性能が向上する。

(4) 回避マス３１の大きさの制限が大幅に緩和さ
れるので、ダンパーやゴム継手を装備する必要
がなくなり、コストが安くつく。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるシリンダブロツクの平面
部分図、第２図は第１図の矢視図、第３図は本
考案によるシリンダブロツクを備えたＶ列機関の
合体側面図、第４図は第３図の矢視図、第５図
は第４図の−断面拡大図である。 １……シリンダブロツク、２，３……シリン
ダ、５……端面、６……潤滑油通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダをクランク軸の両側にＶ型に配列する
   と共に、クランク軸をはさんで相対向するシリン
   ダをクランク軸長さ方向に位相差を有して配置
   し、シリンダブロツクのラジエターフアン側端面
   と、この端面から遠い位置に配置されている側の
   シリンダとの間のブロツク壁部分にクランク軸と
   概ね直角な潤滑油通路を形成し、潤滑油通路の一
   端部をクランク軸上部に平行するシリンダブロツ
   ク中央に設けた潤滑油主管と略直角に連通し、こ
   の潤滑油主管を介して潤滑油を被注油箇所に供給
   するようにしたことを特徴とするＶ列機関のシリ
   ンダブロツク構造。