JPS6115329Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はベルト駆動式無段変速機の駆動ベル
トに関する。

無段変速機においては、Ｖ形の溝を有する一対
のＶ型ベルト車に駆動ベルトを巻き掛けて、駆動
側のＶ型ベルト車から従動側のＶ型ベルト車にト
ルクの伝達をするものがある。この場合、駆動ベ
ルトとしてゴム製のベルトを用いたものでは大き
なトルクを伝達することが困難であつた。一方無
端状の金属帯を積層状にして形成したキヤリヤに
金属製のベルトブロツクを連続して組みつけて形
成した駆動ベルトがある。そして、この駆動ベル
トによる２個のＶ型ベルト車間のトルクの伝達
は、駆動側のＶ型ベルト車によりベルトブロツク
を締めつけつつ従動側のＶ型ベルト車方向へ押し
出すことによつて行われている。この場合、各ベ
ルトブロツクを連結するキヤリヤはベルトブロツ
クからの押圧力により大きな張力を受けるため、
その材料としては高抗張力の材料を使用する必要
があつた。このため、キヤリヤには柔軟性がな
く、一本の駆動ベルトにより同時に２個以上のＶ
型ベルト車を駆動することは困難であつた。

この考案は上記にかんがみ、両Ｖ型ベルト車間
に大きなトルクを伝達することができるととも
に、２個以上のＶ型ベルト車あるいはプーリに対
しても掛装することのできる駆動ベルトの提供を
目的とするものである。

つぎに、この考案を図面に示す実施例にもとづ
いて説明する。

第１図〜第３図において、ベルト駆動式無段変
速機の駆動側のＶ型ベルト車１にはテーパ状の駆
動面２ａを有する固定プーリ２と、このプーリ２
の駆動面２ａと相対するテーパ状の駆動面３ａを
有する可動プーリ３とがある。そして、両プーリ
２及び３の駆動面２ａ及び３ａによりＶ溝４が形
成されている。固定プーリ２はその軸心部が駆動
軸５に固着されており、可動プーリ３はその軸心
部が駆動軸５に遊嵌されている。そして、可動プ
ーリ３は油圧等の手段により固定プーリ２方向に
押圧されるようになつている。

被動側のＶ型ベルト車６はＶ型ベルト車１と略
同じ構造をしており、駆動面７ａを有する固定プ
ーリ７と駆動面８ａを有する可動プーリ８とがあ
る。そして、固定プーリ７は被動軸９に固着され
ており、可動プーリ８は油圧等の手段により固定
プーリ７方向へ押圧されて被動軸９上を移動する
ようになつている。

摩擦ベルト１１は弾性部材（例えばゴム等）に
より製作されて無端状になつており、その断面は
第２図に示すように両側面１２，１２がテーパし
ており、そのテーパ角はＶ型ベルト車１のＶ溝４
のテーパ角を略同一になつている。摩擦ベルト１
１はその外周面の周方向に細かいＶ溝１３が鋸歯
状に適数条切られている。摩擦ベルト１４は摩擦
ベルト１１と同じ断面形をしている。そして、摩
擦ベルト１１はＶ型ベルト車１のＶ溝４に嵌挿さ
れ、又摩擦ベルト１４はＶ型ベルト車６のＶ溝１
０に嵌挿される。又摩擦ベルト１１と摩擦ベルト
１４とは同じ長さになつている。いま、摩擦ベル
ト１４についてその長さを説明すると、このベル
ト１４は第１図に示すように、最大有効径になる
とその外周の直径が固定プーリ７の直径より小さ
な真円となる長さになつている。そして、この時
摩擦ベルト１４のテーパした両側面１６，１６
は、固定プーリ７及び可動プーリ８の両駆動面７
ａ及び８ａに対し、それぞれ全面において当接し
ている。そして、Ｖ型ベルト車のＶ溝のすき間を
大きくして、摩擦ベルトの有効径を小さくした時
には、第１図のＶ型ベルト車１で示されるよう
に、摩擦ベルト１１は長円形となり、Ｖ型ベルト
車１の駆動面２ａ及び３ａとは一部分において当
接するようになる。伝達ベルト１７は摩擦ベルト
１１と同様に弾性部材により製作された無端状の
ベルトであり、その内周面には摩擦ベルト１１の
細かいＶ溝１３に係合するＶ形突部１８が鋸歯状
に適数切られている。この伝達ベルト１７は摩擦
ベルト１１と摩擦ベルト１４との外周に巻き掛け
られて、摩擦ベルト１１からのトルクを摩擦ベル
ト１４側に伝達する。この場合、伝達ベルト１７
は両摩擦ベルト１１，１４を締めつけておく必要
があるので、このベルト１７には引張力が作用す
る。従つて、伝達ベルト１７はその内部にスチー
ルコード１９など（第２図参照）を適数本埋設し
て、その引張力が補強されている。そして、両摩
擦ベルト１１，１４及び伝達ベルト１７により駆
動ベルト２０が構成される。

つぎに、この実施例について説明する。

Ｖ型ベルト車１の摩擦ベルト１１が固定プーリ
２と可動プーリ３とにより締めつけられて、第１
図に示すように長円形になり、又Ｖ型ベルト車６
の摩擦ベルト１４が固定プーリ７と可動プーリ８
とにより締めつけられて略円形になつている状態
において駆動軸５が反時計方向に回転すると、Ｖ
型ベルト車１も同方向に回転する。そして、この
時摩擦ベルト１１は、その両側面１２，１２と固
定プーリ２及び可動プーリ３の駆動面２ａ及び３
ａとの間の摩擦力により、反時計方向に長円形を
維持しつつ回転させられる。摩擦ベルト１１の回
転にともない、このベルト１１の各Ｖ溝１３と伝
達ベルト１７の各Ｖ形突部１８との間の摩擦力に
より、伝達ベルト１７は摩擦ベルト１１と同方向
に回転させられる。これにより、伝達ベルト１７
は、第１図においてその上側が矢印Ａ方向に移動
させられ、この部に引張力が作用する。そして、
伝達ベルト１７の各Ｖ形突部１８と摩擦ベルト１
４の各Ｖ溝１５との間に摩擦力が作用し、摩擦ベ
ルト１４の上部がＡ方向に引かれるのでベルト１
４は反時計方向に回転させられる。摩擦ベルト１
４が回転すると、このベルト１４とＶ型ベルト車
６との間の摩擦力によりＶ型ベルト車６が反時計
方向に回転させられる。

第４図は摩擦ベルトの別実施例を示す。この摩
擦ベルト２１は圧縮に強く、かつＶ型ベルト車の
両プーリの駆動面との間の接触面積を確保するこ
とのできる金属薄板製のベルトブロツク２２と複
数の無端状金属帯２７，２７ａ，２７ｂ……を積
層状にして形成したキヤリヤ２６とにより構成さ
れている。ベルトブロツク２２にはキヤリヤ２６
を嵌挿するためのキヤリヤ溝２３が両側に設けら
れており、キヤリヤ溝２３の下部の両側面２４，
２４はＶ型ベルト車１のＶ溝４と同じテーパ角を
有している。そして、ベルトブロツク２２の上面
には、摩擦ベルト１１の細かいＶ溝１３と同様の
細かいＶ溝２５が適数切られている。このベルト
ブロツク２２はそのキヤリヤ溝２３，２３を介し
て一対のキヤリヤ２６，２６に取りつけられる。
このようにして、一対のキヤリヤ２６，２６にベ
ルトブロツク２２が連続して取りつけられると、
摩擦ベルト１１と同様の摩擦ベルト２１が形成さ
れる。そして、摩擦ベルト２１には各ベルトブロ
ツク２２の各Ｖ溝２５が連続したＶ溝が形成さ
れ、このＶ溝に第１実施例の伝達ベルト１７と同
じ構成の伝達ベルト１７Ａの各Ｖ形突部１８Ａが
係合するようになつている。

従つて、この摩擦ベルト２１は摩擦ベルト１１
と同様の作用を行なうことができる。

第６図は摩擦ベルト及び伝達ベルトからなる駆
動ベルトを使用した他の実施例を示す。この図に
おいて自動車用エンジンのクランクシヤフト（図
示しない）の先端に取りつけられたクランクプー
リ２８のＶ溝には第一実施例の摩擦ベルト１１と
同じ構成の摩擦ベルト２９が嵌挿されており、又
空調用コンプレツサプーリ３０のＶ溝にも摩擦ベ
ルト２９と同様の摩擦ベルト３１が嵌挿されてい
る。そして、両摩擦ベルト２９及び３１の外側に
巻き掛けられる伝達ベルト３２は第一実施例の伝
達ベルト１７と同様の構成になつている。そし
て、両摩擦ベルト２９，３１及び伝達ベルト３２
とにより駆動ベルト３３が構成される。ここで、
伝達ベルト３２はその厚さを薄く形成できるので
湾曲可能であり、２個のアイドラー３４，３５を
介してフアン・ウオータポンプ用プーリ３６及び
パワステアリングポンプ用プーリ３７にも巻き掛
けられる。従つて、クランクプーリ２８が回転す
ると空調用コンプレツサプーリ３０が減速回転さ
れるだけでなく、フアン・ウオータポンプ用プー
リ３６及びパワステアリングポンプ用プーリ３７
が減速されて回転する。

この実施例に示すように、伝達ベルトはスチー
ルコードなどで補強した軽量薄型のベルトとして
構成できるので、一本のベルトで摩擦ベルト以外
の複数のプーリを駆動することができる。

この考案は上記のように、無段変速機用の駆動
ベルトを、無段変速機の２個のＶ型ベルト車のＶ
溝にそれぞれ配設されて各Ｖ型ベルト車との間で
摩擦トルクの伝達を行なう無端状でかつ外面の周
方向に適数のＶ溝を有する一対摩擦ベルトと、こ
の摩擦ベルトのＶ溝に係合するＶ型突部を内面の
周方向に有し両摩擦ベルトの外側に巻き掛けられ
る無端状のトルク伝達ベルトとにより構成したこ
とにより、次のような効果がある。

(1) 駆動ベルトを摩擦ベルトと伝達ベルトとに区
別して製作するので、摩擦ベルトとしてはＶ型
ベルト車による圧縮に耐え、かつ摩擦に適した
材料を使用することができ、伝達ベルトとして
は引張に適した材料を使用することができる。

(2) 摩擦ベルトと伝達ベルトとはＶ形の細溝とこ
の細溝に係合するＶ形突部とにより係合するの
で、両ベルトの整合性がよくなる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示し、第１図は無段変
速機の要部説明図、第２図は第１図の−線断
面図、第３図は第１図の−線断面図、第４図
は他の実施例の摩擦ベルトの一部正面図、第５図
は第４図の−線断面図、第６図は駆動ベルト
を自動車用エンジンに適用した例を示す模式図で
ある。 １……Ｖ型ベルト車、４……Ｖ溝、６……Ｖ型
ベルト車、１０……Ｖ溝、１１……摩擦ベルト、
１３……Ｖ溝、１４……摩擦ベルト、１７，１７
Ａ……伝達ベルト、１８，１８Ａ……Ｖ形突部、
２０……駆動ベルト、２１……摩擦ベルト、２５
……Ｖ溝、２９，３１……摩擦ベルト、３２……
伝達ベルト、３３……駆動ベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Ｖ形断面の溝が可変に形成された一対の駆動及
   び従動のＶ型ベルト車の間に介装されて、両ベル
   ト車の間でトルクの伝達を行なう無段変速機用の
   駆動ベルトであつて、前記Ｖ型ベルト車のＶ溝に
   それぞれ配設されて各ベルト車との間で摩擦トル
   クの伝達を行なう無端状でかつ外面の周方向に適
   数のＶ溝を有する一対の摩擦ベルトと、この摩擦
   ベルトのＶ溝に係合するＶ形突部を内面の周方向
   に有し前記両摩擦ベルトの外側に巻き掛けられる
   無端状のトルク伝達ベルトとから構成したことを
   特徴とする駆動ベルト。