JPS6114979B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車等に装着される、リザーバを
備えたマスタシリンダに関し、特に、金属製のシ
リンダ本体と、このシリンダ本体の壁部に形成さ
れ、その内部と連通する内孔を有する突出部と、
合成樹脂製のリザーバに一体に形成され、その内
部と連通する液通路を有しかつ前記突出部の前記
内孔と密封部材を介して密嵌する取付部とをえた
マスタシリンダに関する。

〔従来の技術及びその問題点〕 作動液リザーバをシリンダ本体にボルトにより
取りつけるようにしたマスタシリンダでは、例え
ば特開昭53−132669号に示されているものがある
が、このマスタシリンダではリザーバの側壁部か
ら両側方に延びる一対の突片が設けられ、これら
がボルトによりシリンダ本体の一部に固定されて
いる。これによりリザーバがシリンダ本体に取付
けられているのであるが、リザーバは合成樹脂で
成り、また上記突片からリザーバの液接続部（取
付部）もしくは液接続部が嵌合するシリンダ本体
の突出部までには相当の距離があるので、リザー
バに外力が作用すると突片が変形し、これにより
リザーバが倒れる。従つて、リザーバの液接続部
とシリンダ本体の突出部の内孔とのに介在するシ
ール部材（ゴム）に異常な外力が作用し、その密
封性能を悪化させてしまう。あるいはシール保護
が不確実となる。

以上のマスタシリンダでは外力が作用したとき
に突片が容易に変形してしまうことが原因でリザ
ーバが倒れるので、リザーバの一部を外力が作用
しても容易に変形しない形状とし、この部分がボ
ルトにより締めつけてシリンダ本体に取りつける
ことが考えられる。このようにすれば、リザーバ
に外力が作用してもリザーバは倒れることがない
ので、シール部材の密封性能が改良されるであろ
う。

しかしながら、単にボルトで締めつけて固定す
るのでは、この締めつけを受ける合成樹脂製のリ
ザーバの一部に相当な応力が加わり、このため熱
により永久変形をしたり、外力によつては破損す
るという不具合が生ずる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は上記問題に鑑みてなされ、ボルトで直
接、リザーバの一部を締めつけることなくリザー
バをシリンダ本体に取りつけることができるマス
タシリンダを提供することを目的とする。もしく
は技術的課題とする。

〔問題点を解決するための手段〕

以上の目的は、冒頭で述べた構成において、前
記取付部に前記液通路を横断するように中空部を
形成し、前記突出部の側壁部にはこれを貫通する
側孔を形成し、前記取付部を前記突出部の前記内
孔に、前記取付部の前記中空部と前記突出部の前
記側孔とが整列するように密嵌し、棒状部材を前
記突出部の前記側孔から前記取付部の前記中空部
内へ挿通させて、前記突出部に固定させることに
より前記リザーバを前記シリンダ本体に結合する
ことを特徴とするリザーバを備えたマスタシリン
ダ、によつて達成される。

〔作 用〕

以上の構成により、リザーバはシリンダ本体に
外力が働らいても倒れることなく取りつけられる
のであるが、棒状部材により直接固定されるので
リザーバではなく、シリンダ本体の突出部であ
る。シリンダ本体は金属から成るので、棒状部材
による締めつけ応力を受けても上述のような不具
合が生じない。リザーバは合成樹脂から成るが、
本発明によれば棒状部材により何ら締めつけ応力
を受けないので、上述のような不具合は回避され
る。

〔実施例〕

以下、本発明をリザーバを備えたタンデムマス
タシリンダに適用した実施例につき図面を参照し
て詳細に説明する。

第１図は、本考案の実施例を示すタンデムマス
タシリンダの要部を断面で示す側面図で、第２、
第３図は、それぞれ第１図の−線、−線
方向の断面図を各々示す。

図において、タンデムマスタシリンダは全体と
して１に示され、このタンデムマスタシリンダ１
は、合成樹脂のタンデム用リザーバ２と金属製の
シリンダ本体３を有し、これらは結合部Ａ及びＢ
によつて結合されており、それぞれの結合部Ａ及
びＢにおいて、リザーバ２の底部にはその内部と
連通する液通路４，５をそれぞれ有する取付部
６，７がリザーバ２と一体的に形成され、シリン
ダ本体３の一側部にはその内部すなわち液圧発生
室とそれぞれ連通する内孔８，９を有する突出し
たボス部１０，１１がシリンダ本体３と一体的に
形成されている。

一方の結合部Ａの断面を示す第２図を参照する
と、リザーバ２の取付部６には、半径方向に貫通
する孔１２を有する筒部１３が形成されており、
この筒部１３よりやゝ下方の位置に段部１４が形
成されている。取付部６は複数の補強リム１５に
よつて補強されている。他方、シリンダ本体３の
ボス部１０には、前記筒部１３の孔１２に対応す
る側壁の部分に突部１６，１７が各々形成され、
一方の突部１６にはねじ穴１８が形成され、他方
の突部１７には内孔８側に凹所１９が形成されて
いる。

この一方の突部１６のねじ穴１８には、内孔８
の内径より若干長い軸部２０を有するボルト２１
がその頭部近くに形成されたねじ部で螺合し、軸
部２０はリザーバ２の取付部６の筒部１３の孔１
２を貫通して軸部先端の先細り部２２をボス部１
０の凹所１９に嵌合して、取付部６がボス部１０
の内孔より抜けるのを防止するとゝもに、取付部
６をボス部１０に結合している。ボス部１０の内
孔８においては段部２４が形成され、この段部２
４と取付部６の段部１４との間にリング状の密封
部材２３が挾圧されている。ボス部１０の内孔８
の底部には戻し孔２５と補給孔２６が形成され、
これらを通じてボス部１０の内孔８はシリンダ本
体３内の液圧発生室と連通している。これら孔２
５，２６の作用及びこれら孔２５，２６と液圧発
生室の関係については従来公知のタンデムマスタ
シリンダにおけるものと同様であるので、こゝで
はそれらの説明は省略する。

第１図の左側及び第２図に示す結合部Ａによる
と、段部１４一段部２４間に配置された密封部材
２３により取付部６−ボス部１０間の密封が確実
に行なわれるとゝもに、取付部６は一端ねじ孔１
８に、他端を凹所１９に各々支持されたボルト２
１により、ボス部１０に結合されているため、結
合状態は確実に保持される。更に、ボルト２１の
軸部２０と取付部６の筒部１３の孔１２との間に
若干のすきまを設けてあるため、リザーバ２の取
付部５と６との間の寸法と、シリンダ本体３のボ
ス部１０と１１との間の寸法とが、製作上の誤差
により一致しなくとも、上記すきまによつて誤差
を補償してリザーバ２とシリンダ本体３とを結合
でき、また、リザーバ２とシリンダ本体３に結合
でき、また、リザーバ２をシリンダ本体３に結合
させた後、経時変化に伴う寸法変化がリザーバ２
に生じても上記すきまの存在によつてリザーバ２
に無理な応力が生じないようにできる。又、取付
部６の筒部１３は、戻し孔２５の上方に位置して
いるため、タンデムマスタシリンダ１の作動後の
ブレーキ弛め時に戻し孔２５からブレーキ液が内
孔８内へと急激に噴出しても、噴出してブレーキ
液が筒部１３にあたつてその流速が弱められ、リ
ザーバ２内のブレーキ液面をいたずらに変動させ
ることがく、リザーバ２内に液面警報装置を設け
ている場合には、この液面警報装置を誤作動させ
ることがない。

次に、他方の結合部Ｂについて第１図及び第３
図を参照して説明する。図から明らかなように、
リザーバ２の取付部７の下端部は小径の円筒状に
形成され、取付部７の中間部には径方向に延びる
突出部２８が形成され、これにより取付部７の通
路５は中間部において狭くなつている。突出部２
８の下側に隣接して円形の段部２９が形成され、
他方、ボス部１１の内方下端近くには円形の段部
３６が形成され、これら段部２９，３０間にリン
グ状の密封部材３５が挾着される。取付部７の突
出部２８には横方向に貫通孔２７が穿設され、ボ
ス部１１の突部３２，３３には前述の貫通孔２７
と同軸の貫通孔３０，３１が穿設される。ボス部
１１の底壁部には戻し孔３７及び補給孔３８が穿
設され、これら孔３７，３８を通じてボス部１１
の内孔９はシリンダ本体３内の液圧発生室と連通
している。

取付部７とボス部１１とは、取付部７の突出部
２８に形成された孔２７を挿通して両端がボス部
１１の突部３２，３３に形成された孔３０，３１
内に位置するように、孔３０又は３１側から圧入
されたスプリングピン３９により結合されてい
る。スプリングピン３９はほゞ円筒形状で、第１
図に明示されているようにその長さに沿つて切欠
溝を有し、その一端または両端はテーパとなつて
いて、ボス部１１の孔３０，３１及び取付部７の
孔２７内への導入を容易にしている。この場合、
図示の例ではスプリングピン３９の両端部が孔３
０，３１に密嵌しており、スプリングピン３９の
中間部も取付部７の突出部２８の孔２７に密嵌し
ているが、中間部は孔２７に遊嵌しているか、頭
部は孔３０，３１に遊嵌していたとしても、スプ
リングピン３９は抜け落ちることはないので、リ
ザーバ２とシリンダ本体３とは確実に結合される
ことは明らかである。

第１図右側及び第３図に示す結合部Ｂによれば
結合手段として、スプリングピン３９を使用して
いるため、リザーバ２とシリンダ本体３との間に
極めて大きい外力が作用した場合、外力の一部が
スプリングピン３９の弾性変形で吸収され、結合
部分、特に突出部２８が破損する可能性を低下さ
せている。更に、突出部２８の内方は、第１図で
明らなように、戻し孔３７の上方に位置している
ため、前述の結合部Ａと同様に液面警報装置の誤
作動を防止する。又、スプリングピン３９は両端
を支持されているので、リザーバ２とシリンダ本
体３とを確実に結合状態に保持するとゝもに、車
体の振動に対しても結合状態の信頼性を高めてい
る。

以上の結合部Ａ及びＢでは、ボルト２１をねじ
込んだり、スプリングピン３９を圧入するといつ
た簡単な方法で、リザーバ２とシリンダ本体３と
を結合でき、又、結合部分での密封性も、それぞ
れ取付部６，７の段部１４，２９とボス部６，７
の段部２４，３６との間に密封部材を配置して充
分確実に行なえ、かつ結合は確実であり、車体の
振動に対しても充分であるという効果を有してい
る。またリザーバ２に外力が作用してももリザー
バ２に倒れは生じない。また、リザーバ２は従来
のようにボルトにより締めつけ応力を受けないの
で、熱により永久変形したり、外力によつて破損
することもない。

以上、本発明の実施例について説明したが、本
発明はこの実施例に限定されことなく本発明の技
術的思想に基づいて種々の変形が可能である。

例えば、以上の実施例では結合部Ａ及びＢの構
造を説明及び図示の簡便化のため異なるものとし
たが、これら結合部Ａ及びＢは同一のものであつ
てもよい。すなわち、リザーバ２とシリンダ本体
３との一対の結合部わ第１図の左側と第２図で示
す構造としても、第１図の右側と第３図で示す構
造としてもよい。また実施例のように一対、すな
わち２個所でリザーバ２とシリンダ本体３とを結
金する構成の代りに、１個所で結合する構成も可
能である。この場合には、上述の実施例で示した
結合部Ａ及びＢの構造のいずれかが用いられ、リ
ザーバ２の底部のほゞ中央部に設けられゝばよ
い。

また以上の実施例では取付部６，７にそれぞれ
１２，２７を設け、これに棒状部材であるボルト
２０及びスプリングピン３９を嵌合させる構成と
したが、これら孔１２，２７の代りに取付部６，
７の外周壁部に溝を形成させ、これな上述の棒状
部材を嵌合させるようにしてもリザーバ２とシリ
ンダ本体３とは確実に結合されることは明らかで
ある。

また上述の実施例の結合部Ａではボルト２１を
その頭部に隣接するねじ部でボス部１０の突部１
６のねじ孔１８に螺合することにより、リザーバ
２とシリンダ本体３とを結合させる構成とした
が、ボルト２１に代えてタツピングスクリユーを
用いてもよい。この場合には、その先端部を突部
１７の凹所１９に沿つて前進させてタツピングス
クリユーのねじ込みが案内される。

更に上述の実施例の結合部Ａでは、ボス部１０
の突部１６にはねじ孔１８が形成され、突部１７
には凹所１９が形成された構成とされているが、
これに代えて突部１６，１７に貫通孔を形成させ
る構成としてもよい。この場合には突部１６の貫
通孔、取付部６の筒部１３の孔１２及び突部１７
の貫通孔を挿通させたボルトの先端部に形成され
たねじ部にナツトを螺合させことにより、リザー
バ２とシリンダ本体３とは結合される。

また、上述の実施例の結合部Ａにおいてはボル
ト２１の軸部２０は第２図で示されるようにボス
部１０の突部１７の凹所１９内にまで延びている
が、こゝまで延びずに孔１２の途中までゝ終わつ
ていてもリザーバ２はシリンダ本体３に確実に結
合され得ることは明らかである。

また、以上の実施例はタンデムマスタシリンダ
に適用されているが、勿論、本発明はシングルマ
スタシリンダに適用可能である。

以上述べたように、本発明によればリザーバの
取付部をボス部の内孔に密嵌し、ボルト２１やス
プリングピン３９のような棒状部材をボス部の側
孔１８，３０，３１を介して、リザーバの取付部
の孔や溝のような中空部に挿通することにより、
リザーバとシリンダ本体とを結合するようにして
いるので、結合作用が簡単であるばかりでなく、
密封性能や結合の安定性などの所要の条件を満足
させるなど種々の効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例によるタンデムマスタ
シリンダの一部を断面で示す側面図、第２図は第
１図の−線方向断面図、及び第３図は第１図
の−線方向断面図である。 なお図において、６，７……取付部、８，９…
…内孔、１０，１１……ボス部、１２……孔、１
８……ねじ孔、２１……ボルト、２７，３０，３
１……孔、３９……スプリングピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属製のシリンダ本体と、このシリンダ本体
   の壁部に形成され、その内と連通する内孔を有す
   る突出部と、合成樹脂製のリザーバに一体に形成
   され、その内部と連通する液通路を有しかつ前記
   突出部の前記内孔と密封部材を介して密嵌する取
   付部とを備えたマスタシリンダにおいて、前記取
   付部に前記液通路を横断するように中空部を形成
   し、前記突出部の側壁部にはこれを貫通する側孔
   を形成し、前記取付部を前記突出部の前記内孔
   に、前記取付部の前記中空部と前記突出部の前記
   側孔とが整列するように密嵌し、棒状部材を前記
   突出部の前記側孔から前記取付部の前記中空部内
   へ挿通させて、前記突出部に固定させることによ
   り前記リザーバを前記シリンダ本体に結合するこ
   とを特徴とするリザーバをえたマスタシリンダ。