JPS6113716Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンの排気ガスによりタービン
を駆動し、このタービンによりブロアを駆動して
吸気を加圧して吸気過給する過給機を備えたエン
ジン、特に過給機の回転軸を潤滑する潤滑装置の
改良に関する。

一般に、エンジンにより駆動されるオイルポン
プにより潤滑油を過給機の回転軸の軸受部（潤滑
部）に供給するようにした過給機の潤滑装置で
は、エンジンの停止と同時に、オイルポンプが停
止するのに対し、タービンが慣性である時間高速
で回転し続けるため、特にエンジンを高回転させ
た状態から急に停止するようにした場合には、潤
滑油が不足し、温度が急上昇していわゆる焼付き
を生ずる問題がある。

この問題に対処するため、従来より、オイル通
路圧力を検出してオイル通路の圧力が低下したと
きにはリターン通路を弁じ閉じるようにしたもの
（実開昭53−37807号公報）、あるいはオイル圧が
低下したときには、蓄圧タンク等の補助タンクか
ら潤滑油を過給機の潤滑部に供給するようにした
もの（特開昭48−85919号公報）が提案されてい
る。

しかしながら、前者のものは、潤滑部に潤滑油
が閉じ込まれるため、潤滑部の冷却が不完全とな
る問題があり、後者のものでは、冷却の問題は解
消しうるが、補助タンクやこれに切換えるための
切換系を別に設けなければならず、装置が複雑と
なつて高価となる難点がある。

特開昭48−88305号公報には、エンジンの通常
の運転時には過給機からの排出潤滑油は直ちにオ
イルパンに排出されるが、エンジンの停止時を含
むエンジンの回転数が低下した時には、過給機を
略等高に位置する大気と通断可能な浮子室を介し
てオイルパンに排出し、少なくとも過給機の潤滑
部に油圧を低下させた潤滑油を侵すようにしたこ
とにより、潤滑部の焼き付けを防止するものが提
案されている。しかしながら、このものは、大気
圧程度の低い圧力の潤滑油で過給機の潤滑部を侵
すにすぎないため、潤滑油の循環が必ずしも保証
されず、潤滑油の対流による潤滑油の炭化，劣化
のおれがあり、さらに、油圧の低下による軸受部
からの油洩れのおそれがあるうえ、潤滑部と略等
高の浮子室を設ける必要があるため、過給機全体
の大型化が避けられず、レイアウト上も不利なも
のとなるといつた問題がある。

本考案は、かかる従来の問題に鑑みなされたも
のであつて、簡単な構造でありながら、過給機の
潤滑部の潤滑を確保するとともに、冷却性を確保
することができる過給機付エンジンの潤滑装置を
提供することを目的としている。

このため、本考案においては、過給機のオイル
吐出通路の過給機本体のオイルギヤラリ下方位置
に、エンジン停止時オイル吐出通路内のオイル吐
出量を減少させる制御装置を設け、エンジン停止
直後オイル供給通路内に残存する油圧で少量の潤
滑油を循環させるよにしたことを特徴としてい
る。

以下、図示の実施例に基づいて本考案をより具
体的に説明する。

第１図において、１はエンジンの吸気通路２の
途中に介設したブロア３をエンジンの排気通路４
の途中に介設したタービン５により駆動し、吸気
を加圧してエンジンの各気筒に供給するようにし
た過給機、６はブロアケーシグ３ａとタービンケ
ーシング５ａとを背中合せに支持し内部において
タービン５とブロア３とを連結する回転軸７と一
対の軸受８，８′で回転自在に軸受した過給機１
の本体、９は上記軸受８，８′に分岐通路１０，
１０′を介して潤滑油を供給するオイル供給通
路、１１は過給機本体１の内部に形成したオイル
ギヤラリ１２内の潤滑油をエンジン本体１３の底
部に形成したオイルパン１４に帰還させるオイル
吐出通路で、上記オイル供給通路９には、オイル
パン１４内の潤滑油をエンンジンの出力軸により
駆動されるオイルポンプ１５よつて加圧し、加圧
した潤滑油をフイルタ１６およびメインオイルギ
ヤラリ１７を介して供給し、エンジンの他の潤滑
部と同様、過給機１の回転軸７の潤滑を図る。

本実施例においては、オイル吐出通路１１の途
中にエンジンの停止時、即ちキーオフ時、オイル
吐出通路１１に絞り１８を形成する電磁ソレノイ
ド弁１９を介設し、そのソレノイド１９ａにはキ
ーのオン・オフに連動してオン・オフするキース
イツチ２０を介してバツテリー２１を接続して制
御装置を構成する。

上記の電磁ソレノイド弁１９は、キーオン時に
あつては、キースイツチ２０を介してバツテリ２
１から給電され、可動鉄片に支持した弁体１９ｂ
を下降させてオイル吐出通路１１を全開する（第
１図点線イ参照）一方、キーオフ時には、スプリ
ング１９ｃのバネ力で弁体１９ｂをオイル吐出通
路１１内に突出させ、少量の潤滑油の帰還を許容
する絞り１８を形成する。

この場合、エンジンの停止と同時にオイルポン
プ１５も停止されるが、オイル給通路９内に残存
する油圧でオイルギヤラリ１２内の潤滑油は、絞
り１８を通して少量がオイル吐出通路１１を流下
し、その結果、回転軸７の軸受８が焼付きを生じ
ない温度になるまで潤滑油はオイルギヤラリ１２
内に充満した状態で過給機１の回転軸７の潤滑を
確保すると同時に、少量の潤滑油の循環で必要な
冷却性を保証する。

なお、第１図において、３０はタービンケーシ
ング５ａの底壁を形成するリング状円盤３１と本
体６との間に形成した冷却水通路で、エンジン冷
却水の一部を分流して過給機の冷却を図る。

第２図に示す実施例では、オイル吐出通路１１
の途中好ましくは、本体６のオイルギヤラリ１２
に近い部分に絞り２３を設けるとともに、この絞
り２３をバイパスするバイパス通路２４を設け、
このバイパス通路２４に該通路２４を開閉する電
磁ソレノイド弁２５を設け、電磁ソレノイド弁２
５にはキースイツチ２６を介してバツテリ２７を
接続して、制御装置を構成する。

この場合には、エンジンの運転中は、電磁スレ
ノイド弁２５を開作動してバイパス通路２４から
もオイルギヤラリ１２の潤滑油をオイルパンに帰
還させる一方、エンジン停止時は、キースイツチ
２６のオフで電磁ソレノイド弁２５を閉作動し、
バイパス通路２４を閉じる、そのため、エンジン
停止時には、絞り２３を通して少量の潤滑油がオ
イルギヤラリ１２から流出し、しかもオイルギヤ
ラリ１２には潤滑油が充満した状態が維持される
で、回転軸７の潤滑性が確保されると同時に一定
の冷却性が確保される。

なお、第２図の実施例について、第１図と同一
の部分には、同一の符号を付して重複した説明を
省略する。

以上の説明から明らかなように、本考案は、過
給機付エンジンにおいて、その停止時、過給機潤
滑部の潤滑油を絞りを介して帰還させる制御装置
を設けた過給機の潤滑装置を提供するものであ
る。

本考案によれば、絞りによつてエンジン停止後
に潤滑部に潤滑油を充満させた状態で、その一部
を流出させるようにしたので、ごく簡単な構造で
ありながら、過給機潤滑部の潤滑性と冷却性の両
方を同時に確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る潤滑装置の第１実施例を
示す過給機の垂直断面を含んだ全体説明図、第２
図は本考案の第２実施例を示す過給機の垂直断面
図である。 １……過給機、２……吸気通路、３……ブロ
ア、４……排気通路、５……タービン、７……回
転軸、８，８′……軸受、９……オイル供給通
路、１１……オイル吐出通路、１９，２５……電
磁ソレノイド弁、２４……バイパス通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジンの排気ガスにより駆動され、吸気を加
   圧する過給機の潤滑装置において、 過給機のオイル吐出通路の過給機本体のオイル
   ギヤラリ下方位置に、エンジン停止時該通路内の
   オイル吐出量を減少させる制御装置を設けたこと
   を特徴とする過給機付エンジンの潤滑装置。