JPS6113145Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高速熱間鍛造機において、成形後の
粗材を外部に押出すためのノツクアウト装置の改
良に関する。

この種の高速熱間鍛造機で薄肉部を有するギヤ
部品を成形する場合、成形後にノツクアウト装置
で外部に押出すことになるが、このノツクアウト
装置によつて押出す際にギヤ部品にそりを生ぜし
めるおそれがある。

まず、このようなノツクアウト装置の従来のも
のを第１図により説明する。なお、ここで図の上
半部は成形終了時、下半部はノツクアウト装置時
の状態を示す。

第１図に示す高速熱間鍛造機において、ギヤ製
品などの粗材１を成形するためのパンチ２および
パンチスリーブ３の軸線方向に対向するようにエ
ジエクタ４および第１ダイ５が配設されており、
これらのパンチ２、パンチスリーブ３、エジエク
タ４および第１ダイ５で粗材１を挾持する一方、
前記パンチスリーブ３の外周に位置するリングダ
イ６で粗材１の外周側への移動を阻止して粗材１
を成形するようになつている。前記第１ダイ５、
リングダイ６および第１ダイ５の後方に位置する
第２ダイ７はこれらの外周に位置する固定部材８
に取付けられており、また、前記エジエクタ４は
図示しない駆動機構により矢印で示す軸線方向へ
移動し、成形後の粗材１を押出すようになつてい
る。

ところで、このエジエクタ４４により成形後の
粗材１を押出す場合、リングダイ６の内周面６ａ
には0.5〜１度の抜け勾配が形成されてはいる
が、リングダイ６の内周面６ａと粗材１の外周面
１ａとが摩擦により張付くことがある。そして、
この張付いた状態でさらに押出すと、粗材１の薄
肉部１ｂより変形が生じ、このとき前述した張付
力が粗材１の薄肉部１ｂの剛性より大きいと、粗
材１にそりが起り、不良品となる。

なお、前記リングダイ６の内周面６ａの抜け勾
配を大きくすれば前記張付力は弱くなるが、自動
機のため、移送装置（図示せず）によりクランブ
できる粗材１の外周勾配は１度までであり、した
がつて、リングダイ６の内周面６ａの抜け勾配は
１度以内に設計する必要がある。

本考案は、前述した従来のものにおける欠点を
除去し、成形品を型から押出す際に成形品にそり
等の変形が生じないようにしたノツクアウト装置
を提供することを目的とする。

本考案のノツクアウト装置は、固定型に配置さ
れ、成形品の底面を区画成形する第１ダイと、固
定型に配置され、成形品の外周側面を区画成形す
るリング状の第２ダイと、固定型に配置され、前
記第１ダイを貫通して成形品の底面の中央部に接
し、成形品取出し時に該成形品をノツクアウトす
るエジエクタとを備え、前記第１ダイは成形品取
出し方向前後に一定の範囲で摺動自在とされると
ともに成形品取出し方向にばね付勢され、該第１
ダイは成形品取出し時に前記エジエクタとともに
成形品の底面を前記一定の範囲で押出すよう構成
されている。

本考案の構成によれば、成形品の底面を区画成
形する第１ダイは、成形品取出し時すなわち上型
が取除かれてエジエクタが成形品をノツクアウト
する時に、ばねにより成形品取出し方向に摺動
し、これによつて成形品の底面、特に成形品の外
周縁近傍の底面をエジエクタとほぼ同期して押出
す。これにより、成形品の外周側面と第２ダイと
の間に摩擦等があつても、この成形品の外周縁近
傍は成形品の中央部とともに押出され、成形品に
そり等の変形が生じることは防止される。

以下、本考案を第２図に示す実施例により説明
する。なお、前述した従来のものと同一の構成に
ついては、図面中に同一の符号を付し、その説明
は省略する。なお、この第２図でも同様に、図の
上半部は成形終了時、下半部はノツクアウト時の
状態を示す。

エジエクタ４の外周面にはスリーブエジエクタ
９が摺動自在に配設されており、このスリーブエ
ジエクタ９は、その背部に位置する固定部材１０
との間に介装された圧縮ばね１１により粗材１方
向に付勢されている。このスリーブエジエクタ９
および前記エジエクタ４の合計半径は粗材１の外
径と等しくされており、したがつて、これらのエ
ジエクタ４およびスリーブエジエクタ９により粗
材１の全側面が少なくともある程度の距離は押出
し力を直接受けることになる。前記スリーブエジ
エクタ９は、常時は図示しなストツパにより第２
ダイ７に当接して停止しており、粗材１を押出す
際にのみばね１１の力により左側に移動するよう
になつている。また、前記スリーブエジエクタ９
の外周面９ａには段部９ｂが形成されており、こ
の段部９ｂは、スリーブエジエクタ９がばね１１
の力により移動した際に第１ダイ５の内周面５ａ
の段部５ｂに当接してスリーブエジエクタ９を停
止せしめるようになつている。

なお、前記リングダイ６の内周面６ａには0.5
〜１度の抜け勾配が形成されている。

つぎに、前述した実施例の作用について説明す
る。

成形後、パンチ２およびパンチスリーブ３が後
退して成形荷重がなくなると、駆動機構（図示せ
ず）により駆動されるエジエクタ４のみならず、
ばね１１により付勢されたスリーブエジエクタ９
によつても粗材１は図において左側に押出され
る。このとき、特に、粗材１の薄肉部１ｂはスリ
ーブエジエクタ９により押出されることになる
が、リングダイ６の内周面６ａおよび粗材１の外
周面１ａの張付力が粗材１の剛性およびばね１１
のばね力の和より小さくすれば、粗材１はそらず
に押出される。また、ばね力が張付力より大きい
場合も、粗材１はそらずに押出される。

つぎに、スリーブエジエクタ９はその段部９ｂ
が第１ダイ５の段部５ｂに当接すると停止する
が、リングダイ６の内周面６ａには抜け勾配が形
成されているので、この時点ではリングダイ６の
内周面６ａと粗材１の外周面１ａとの間には間隙
が生じており、張付力は生じなくなつている。よ
つて、その後はエジエクタ４のみによつて押出し
ても粗材１がそるおそれはない。

以上説明したように、本考案に係るノツクアウ
ト装置は、エジエクタの外周面に、粗材方向にば
ね付勢されたスリーブエジエクタを摺動自在に配
設したので、押出す際の粗材の変形を確実に防止
できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のノツクアウト装置の縦断面図
で、上半部は成形後、下半部は押出し状態をそれ
ぞれ示す図、第２図は本考案に係るノツクアウト
装置の実施例を示す第１図と同様の縦断面図であ
る。 １……粗材、４……エジエクタ、６……リング
ダイ、９……スリーブエジエクタ、１１……ば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定型に配置され、成形品の底面を区画成形す
   る第１ダイと、固定型に配置され、成形品の外周
   面を区画成形するリング状の第２ダイと、固定型
   に配置され、前記第１ダイを貫通して成形品の底
   面の中央部に接し、成形品取出し時に該成形品を
   ノツクアウトするエジエクタとを備え、前記第１
   ダイは成形品取出し方向前後に一定の範囲で摺動
   自在とされるとともに成形品取出し方向にばね付
   勢され、該第１ダイは成形品取出しに前記エジエ
   クタとともに成形品の底面を前記一定の範囲で押
   出すよう構成されているノツクアウト装置。