JPS6112072Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、外槽内に底部に回転翼を有する洗濯
兼脱水槽を設けた脱水洗濯機に関し、洗濯に粉石
けんを使用しても、洗濯兼脱水槽の外周壁や外槽
の内周壁に付着した石けん粕が洗濯兼脱水槽内へ
侵入して中の洗濯物を汚染するようなことのない
ようにすると共に、石けん粕を確実にフイルター
にて除去できるようにしたものである。

以下本考案を一実施例として示した図に基き説
明する。１は外槽で、その内部に、周壁に多数の
脱水孔２を有する洗濯兼脱水槽３が設けられてい
る。この脱水槽３の底部中央には一段低くなつた
開口４が形成され、この開口上に回転翼５が配設
されている。この回転翼５の下には、その下面よ
り放射状の羽根６が垂設されたインペラー７が配
設されている。このインペラー７と回転翼５とは
回転翼軸８に共に固定される。つまり回転翼軸８
の横断面が非円形の上部８′に、インペラー７の
ボス部９が嵌合され、このボス部９は同じく横断
面形状が非円形をしており、このボス部９の外周
に回転翼５のボス部１０が嵌合され、ネジ１１を
前記軸８の上端より締着することにより、インペ
ラー７と回転翼５とを軸８に固定している。かか
るインペラー７の上面即ち背面には、前記羽根６
より小さい放射状の補助羽根３５が突設されてい
る。

１２は前記開口４の周縁にネジ１３により取付
けられ、回転翼５とインペラー７間を回転翼のボ
ス部１０の近辺まで延びて両者間を仕切る略円錐
形状のカバーである。このカバー１２の頂端部１
４は上方へ折曲され、この頂端部１４を囲む如く
回転翼５の裏面より環状リブ１５が垂設されてい
る。

脱水槽３の外底面には、その１部分１６が開放
された環状リブ１６と、複数のボス１７が垂設さ
れている。１８は脱水槽３の駆動軸１９に固定さ
れ、脱水槽の底面となる脱水槽基板で、この基板
１８上に前記環状リブ１６とボス１７とが当接
し、ボス１７にネジ２０を締着して基板１８と脱
水槽３とを結合している。そして前記カバー１２
と環状リブ１６と基板１８とでポンプ室２１が形
成される。基板１８には複数の透孔２２が設けら
れ、インペラー７の回転時、外槽１と脱水槽３間
の液がインペラー１７の羽根６のポンプ作用によ
り透孔２２を通つて第１図矢印の如くポンプ室２
１へ吸引される。

脱水槽３の外底部には、前記環状リブ１６の開
放部１６′と連設したポンプ室２１の吐出口２３
が形成されている。２４は吐出口２３を形成する
ため脱水槽外底面のコーナー部に装着されたカバ
ーである。脱水槽３の内側壁には下端が前記吐出
口２３の上端と連用した縦溝２５が形成され、こ
の縦溝２５内に、ブロー成形により造られた送水
管２６が嵌め込まれている。この送水管２６の下
端は吐出口２３の上端に連結され、一方上端は、
脱水槽３の口縁にあるバランスリング２７の下面
に形成された凹部２８内にて下方へ彎曲されてい
る。そしてこの送水管２６の先端に対向して脱水
槽内に網袋よりなるフイルター２９が着脱自在に
取付けられている。３０はバランサーとして働ら
く液体である。

そこで、まず所定水位まで給水すると、円錐状
のカバー１２の頂端部１４及び環状リブ１５の付
近には必然的に空気が溜まる。従つて、洗濯兼脱
水槽３内とポンプ室２１内とをここで連通させる
ことはない。そして、回転翼５が回転する洗濯や
すすぎ時、インペラー７も回転し、そのポンプ作
用により前述の如くポンプ室２１へ吸引された外
槽１と脱水槽３間の液は、前記吐出口２３、送水
管２６を通り第１図矢印の如くフイルター２９を
通つて脱水槽３内へ送水され、前記脱水孔２より
再び外槽１と脱水槽３間へ出て以後同じサイクル
を繰り返すが、この際、インペラーのポンプ作用
により、フイルター２９を通つて脱水槽３へ送水
される液の量を脱水槽内より脱水孔２を通つて脱
水槽外へ出る液の量より多くして、脱水槽内の水
位H₁が脱水槽と外槽１間の水位H₂よりも高くな
るように、インペラー７の羽根６の大きさや形状
それに脱水孔２の数や大きさ等が設定してある。

第１図で３１は軸受ケース、３２はモータで、
これらは外槽１の外底面に装着され、かかる外槽
１は図示しない機枠の上部より吊下されるもので
ある。

ところで近年洗濯に使用する中性洗剤による環
境汚染が社会問題となつてきており、そのため中
性洗剤の代りに粉石けんを使用する家庭が増えて
きたが、粉石けんを使用すると、その石けん粕が
洗濯兼脱水槽の外周壁や外槽の内周壁に付着し、
この付着した石けん粕が変色しついには剥れて外
槽と洗濯兼脱水槽間の液中に浮遊し、従来の脱水
洗濯機では、この浮遊した石けん粕が洗濯兼脱水
槽の周壁にある多数の脱水孔より洗濯兼脱水槽内
へ侵入し、中の洗濯物を汚染するという問題があ
つた。

しかしながら本考案の脱水洗濯機によれば、外
槽１と洗濯兼脱水槽３間の液をインペラー７のポ
ンプ作用により洗濯兼脱水槽内上部に取付けたフ
イルター２９へ送水するようにしているので、外
槽１と脱水槽３間に浮遊している石けん粕も液と
一緒にフイルター２９へ送られ、ここで液中に含
まれた糸屑等と一緒に捕獲される。この際インペ
ラー７背面に、放射状の補助羽根３５が突設され
ているので、インペラー７が回転するとこの羽根
３５の作用により、インペラー７と前記カバー１
２間の液を第４図矢印Ｙの如く遠心方向へ押し出
そうとする。

即ち、カバー１２の頂端部１４付近の空気だま
りが負圧になるように作用し、ポンプ室２１から
洗濯兼脱水槽３へ液が直接流出するのを完全にし
や断する。この結果ポンプ室２１へ吸込まれた石
けん粕を含んだ液は、前記羽根３５の作用により
カバー１２の下側から上側へ乗り越えて回転翼５
の周囲から脱水槽３内へ洩れ出るようなことはな
く、全てフイルター２９へ送られるので、石けん
粕を脱水槽内へ逃がすことなく確実にフイルター
２９にて捕獲できるものである。従つて脱水槽内
の洗濯物Ａが石けん粕で汚染されることはなく、
石けん粕はフイルター２９にて確実に除去できる
という優れた効果を奏するものである。

尚実施例の如くインペラーのポンプ作用によ
り、脱水槽内の水位H₁が脱水槽と外槽間の水位
H₂より高くなるようにすると、脱水槽内の水圧
が脱水槽と外槽間の水圧より高くなり、脱水孔２
を通じての脱水槽外から脱水槽内への水の流れが
完全に遮断され、脱水孔２からの石けん粕の侵入
の恐れを完全になくすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を示し、第１図は洗濯やすすぎ状
態における脱水洗濯機の内部縦断面図、第２図及
び第３図は夫々第１図ー線及びー線に基
づく断面図、第４図は要部拡大断面図である。 １……外槽、５……回転翼、３……洗濯兼脱水
槽、８……回転翼軸、７……インペラー、１２…
…カバー、２９……フイルター、２１……ポンプ
室、３５……補助羽根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外槽内に、底部に回転翼を有する洗濯兼脱水槽
   を設けたものにおいて、前記回転翼の裏面と前記
   脱水槽底面との間に回転翼軸に取り付けられたイ
   ンペラーを設け、前記脱水槽の前記インベラーの
   周囲よりインペラーと回転翼間を回転翼中央のボ
   ス部近辺まで上方傾斜して延びる略円錐状のカバ
   ーを設け、該カバーの頂端部を上方に折曲すると
   共に、この頂端部を囲む環状リブを前記回転翼の
   裏面に垂設し、このカバーと前記脱水槽底面間
   を、前記インペラーの回転によるポンプ作用によ
   り前記外槽と脱水槽間の液を吸込み前記脱水槽内
   上部に設けたフイルターへ送水するポンプ室と
   し、前記インペラーの背面に、インペラーと前記
   カバー間の液を遠心方向へ押し出す補助羽根を設
   けてなる脱水洗濯機。