JPS6110628Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この出願の考案はミシンの縫い糸巻き戻し装置
に関する。

従来より使用されているミシンの縫い糸巻き戻
し装置は、縫い糸巻き戻しボビンをボビン保持部
材に回転自在に装着して、別に保持部材上方に配
設した縫い糸ガイド棒を介して下方に垂下し、ボ
ビンに巻着した縫い糸をガイド棒のガイド孔等を
通過させ、ミシン頭部に導く構成である。この縫
い糸巻き戻し装置は縫い糸を一旦ガイド棒に引上
げて更にこれを垂下せしめ糸巻きより縫い糸を繰
り出す方式であるから、ミシンを使用中に運転を
急に中止した時等ボビンのオーバーランが起り縫
い糸が余分に巻解して、屡々円滑な縫い糸の繰り
出しができずそのため布地縫製作業中不具合が生
じる等の欠陥があつた。

又別の公知例としては、針金を逆Ｖ字形に屈曲
し、その一方を軸脚となし、他方を揺動体とな
し、先端に糸案内環を設けた案内具を形成し、こ
の案内具の軸脚をミシンアーム上に立設した支軸
に嵌合しているボビンを支軸の間隙に差し込み、
ボビンの孔縁に接触させて支架した装置が存在す
る（実公昭58−10546号公報）。この構成は簡単で
はあるが、ボビンと支軸の間隙に案内具の軸脚を
差し込んで案内具を支持するものであるから、ボ
ビンより縫い糸をくりだす為にボビンが回転中案
内具軸脚が間隙内において支軸に当接しボビンの
円滑な回転がさまたげられるし、特に案内具の軸
脚がミシン回転中折曲した場合にはボビンの回転
に不具合が生じたり、又太い縫い糸（番手の大き
い糸）を縫い糸として使用し高速度ミシンで縫製
する際には、ボビンと支軸の間隙に差し込んだ案
内具の軸脚が折曲してそのためボビンが回転でき
なくなる等の不具合が生じ、縫い糸のミシンへの
供給が出来なくなる等の問題点があつた。

本願の考案に係る巻き戻し装置は上述の欠陥を
除去するもので、縫い糸を糸巻きの側方よりほぼ
水平方向より円滑に繰り出す構成を提供すること
を目的とするものでその概要は次の通りである。

縫い糸を筒状に巻回したボビンを回転自在に支
承する糸巻き立てａとミシンが運転を中止したと
き前記の回転をその腕部で制御する糸巻き押え具
ｂとこの糸巻き押え具ｂの一方向への回動を規制
する糸巻き押え調整具ｃとその端部で糸巻き押え
具ｂに係合しており前記糸巻き押え具と共働して
筒状糸巻きを取付けたボビンの回動を規制すると
共に前記ボビンに巻回した筒状糸巻きの縫い糸を
ミシン糸案内へとガイドするガイド部ｄとを有す
るミシンの縫い糸巻き戻し装置を提供する。

すなわち本考案の装置においては、回転するボ
ビンより縫い糸を引出して、縫製中は、縫い糸に
より、ガイド部ｄはボビンに近接するように引つ
ぱられるので、糸巻き押え具ｂはボビンより遠ざ
かつた位置にあるが、ミシンの運転が急に中止す
ると、前記とは逆にガイド部ｄはボビンより遠ざ
かり、そのかわりに糸巻き押え具ｂはボビンに当
接してボビンのオーバーランを制動するブレーキ
の役割を果す。従つてボビンが回転中は縫い糸は
筒状糸巻きより円滑に巻き戻されて、円滑な縫製
作業が実施される。

以下添付図面を参照して本願考案に係る実施例
を説明する。

本願の考案は大別して、糸巻き立てａ、糸巻き
押え具ｂ、糸巻き押え調整具ｃ、糸ガイドｄ、ス
タンドｅに区分される。

糸巻き立てａは、立設杆５０を具えたスタンド
ｅの保持板２にねじ止め４された棒杆９を有し、
ベアリング６を介して、棒杆９の周りに回転自在
の円筒管８を設ける。円筒管８には後述する縫い
糸を筒状４２に巻回したボビン１１を嵌挿する。
スタンドｅの保持板２に立設した糸巻き押え調整
具ｃの棒状体１０の上端部には脚部１４を具えた
ナツト１２を螺着する。棒状体１０の上端外周に
はコイルスプリング２０を巻着し、その端部をＬ
字状押え１８に形成し、棒状体の端部に設けたナ
ツト１４を操作することによりコイルスプリング
２０への押圧力を加減してＬ字状押え１８の糸巻
き押え具ｂの腕部１６に対する押圧力を加減し糸
巻き押え具ｂの一方向への回動を規制する。糸巻
き押え具ｂの腕部１６を形成する線材２１，２３
の端部はそれぞれ棒状体１０に回動自在に巻着さ
れ、その他端部は後述する筒状糸巻き４２を抱擁
するようにこの筒状糸巻きの方向へ湾曲した部分
２２よりなる。次に糸ガイドｄは二本の並列した
線材２４，２６よりなり、線材２４の一端部は棒
状体１０に巻着して上方に湾曲Ｌ字状２８を形成
し、線材２６の一端部は下方湾曲Ｌ字状３０を形
成する。

前記Ｌ字状部材２８，３０はそれぞれ糸巻き押
え具ｂの腕部１６の線材２１，２３にその内側よ
り係合し、糸ガイドｄの線材２４，２６と共に棒
状体１０を芯として回動する際に、これらのＬ字
状部材に係合している糸巻き押え具ｂの腕部１６
の線材２１，２３も同一方向へ回動する。糸ガイ
ドｄの先端部には糸ガイド孔３２が形成される。
糸ガイドｄの線材２４，２６のガイド孔３２に近
接した部分は折曲２７される。又ガイド孔３２に
は弾性部材３４がはめこまれている。

ボビン１１に巻回した筒状糸巻き４２より引出
された縫い糸４４はボビン１１の回動に応じて、
前記糸ガイド孔３２をへてミシンの糸案内５２，
５４へと供給される。スタンド５０に水平に支持
された支持板２に立設した回転自在の円筒管８に
装着したボビン１１に巻回した筒状糸巻き４２の
外側には適宜の間隙を保つて糸巻き押え具ｂの腕
部１６の湾曲部２２と糸ガイドｄの並列線材２
４，２６が配設される。

符号３６は糸巻き押え調整具ｃのコイルスプリ
ング２０の下端部Ｌ字状押え１８に接して棒状体
１０に嵌着したワツシヤであり、更に符号３８は
糸ガイドｄの線材２６に接してコイルスプリング
４０の上端部に接するよう棒状体１０に嵌着した
別のワツシヤである。

既に説明したように縫い糸を筒状に巻回したボ
ビン１１は回転自在の円筒管８に外嵌されてな
り、その一本の縫い糸４４はガイド孔３２を通じ
て引出されミシンの糸案内へ導かれる。

第８図は本願の装置とミシンの配置を示したも
のである。テーブル４１上に配設されたミシン頭
部４８の前方にはスタンド５０上に設けた保持板
２に糸巻き立てａ、糸巻き押え具、糸巻き押え調
整具ｃ、糸ガイドｄが装着される。ミシンの作動
によりボビン１１に巻回した筒状糸巻き４２より
くり出された縫い糸４４（上糸）は糸ガイドｄの
ガイド孔３２を通過してミシンの糸案内５２，５
４をへてミシン針５６に挿通され下糸（図示せ
ず）と共働して生地に縫い目（例えば本縫い）を
形成する。ミシンは高速度に運転されて縫い目が
形成されている間は、糸ガイドｄの並列線材２
４，２６の端部に設けた孔３２より縫い糸４４が
迅速に引出されるから、筒状糸巻き４２が装着さ
れたボビン１１は円筒管８とに共所定方向に回動
し縫い糸は巻き戻される。ミシンの作動中はボビ
ン１１が回転し、糸ガイドｄの並列線材２３，２
４は筒状糸巻き４２に近接して位置しその折曲部
２７は筒状糸巻き４２に当接したりするので、糸
ガイド孔３２よりは縫い糸が円滑に引出される。
一方糸巻き押え具ｂの腕部１６は糸ガイドｄの一
対のＬ字状線材２６，２８を介して、前記筒状糸
巻き４２より遠ざかる方向に移動させられる。

今ミシンが急激に作動を中止した際には、糸ガ
イドｄの並列線材２４，２６の端部に設けたガイ
ド孔３２に対する縫い糸４４による引張りが急激
にゆるみ、ボビン１１に巻回された筒状糸巻き４
２にはボビン１１と共に慣性により今まで回転し
ていた方向へ回転を継続しようとする力が働く。
ところがミシンの急激な作動中止により縫い糸１
１による引張りがゆるむと、糸ガイドｄの線材２
４，２６は筒状糸巻き４２より遠ざかる方向（第
１図に向つて）へ移動するので、これに対応して
糸巻き押え具ｂの腕部１６は糸ガイドｄと反対に
筒状糸巻き４２方向へ近接してその湾曲部２２で
筒状糸巻き４２に当接するから、腕部１６はボビ
ン１１に対するブレーキの役割を果すので、ボビ
ン１１の不要の回転を阻止することができる。従
つて糸巻き戻し装置のオーバーランを防止するこ
とができる。この様に糸巻き押え具ｂと糸ガイド
ｄとは共働して、ボビン１１に巻回した筒状糸巻
き４２のオーバーランを防止する。

本考案においては、特に高速運転のミシンにお
いて太い番手の縫い糸を使用して縫製作業を実施
する場合にも筒状糸巻きを装着したボビンのオー
バーラン回転を防止して円滑な縫い目形成を可能
となし、縫製作業の能率増進に役立つ等の効果が
ある。

尚第９図は別の実施例を図示するもので、糸巻
き押え具ｂの線材２１，２３の湾曲部２２の内側
に弾性材５８等を装着すればより効果的に糸巻き
４２の回転作用を調整することができる。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本願考案に係る装置の実施例であ
る。第１図は斜視図、第２図は糸巻き立ての円筒
管の側面図、第３図は糸巻き押え調整具の側面
図、第４図は糸巻き押え具の側面図、第５図は糸
ガイドの側面図、第６図は棒状体の下端部とスタ
ンド板との側面図、第７図は糸立て円筒管の縦断
面図、第８図は本願の考案に係る装置とミシンの
配設を示す略線図、第９図は糸巻き押え具の別の
実施例。 ａは糸巻き立て、ｂは糸巻き押え具、ｃは糸巻
き押え調整具、ｄは糸ガイド部、ｅはスタンド、
１０は棒状体、１６は糸巻き押え具の腕部、１８
はＬ字状押え、２１は線材、２２は湾曲部、２３
は線材、２８はＬ字状部、３０はＬ字状部、４２
は筒状糸巻き、４４は縫い糸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ スタンド上に保持板を設けたスタンドｅと、
   縫い糸を筒状に巻回したボビンをスタンｅに立
   設した円筒管に回転自在に支承する糸巻き立て
   ａと、スタンドｅの保持板に立設した棒状体に
   一端部が巻着され、その腕部でボビンの回動を
   制御する糸巻き押え具ｂと、前記棒状体に巻着
   され糸巻き押え具ｂの一方向への回動を規制す
   る糸巻き調整具ｃと、棒状体に巻回したその端
   部が糸巻き押え具ｂに係合してなり、糸巻き押
   え具ｂと共働してボビンの回動を規制するガイ
   ド部ｄとを有するミシンの縫い糸巻き戻し装
   置。 ２ スタンド５０上に設けた保持板２上に立設し
   た糸巻き立てａに装着したボビン１１の筒状糸
   巻き４２に接触可能な糸巻き押え具ｂの一方向
   への回動を規制するために、棒状体１０に巻着
   したコイルスプリング２０のＬ字状押え１８を
   前記糸巻き押え具ｂの腕部１６の線材２１，２
   ３に一方向より係合可能となした実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載のミシンの縫い糸巻き
   戻し装置。 ３ 保持板２に立設した棒状体１０に巻着する糸
   ガイドｄの線材端部を糸巻き押え具ｂの腕部線
   材２１，２３にそれぞれ係合可能なＬ字状部２
   ８，３０に形成した実用新案登録請求の範囲第
   ２項に記載のミシンの縫い糸巻き戻し装置。