JPS607322Y2 - 開口容易な紙容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は開口構造を改良したアルミ箔層を有する紙容器
に関するものである。

近年、牛乳カートンに代表される紙容器は著しい普及を
示し、多種多様な物に応用するために素材の改良が進み
、当初の紙の表裏両面に熱融着性合成樹脂層を有するも
の以外に、更に裏面の合成樹脂層にアルミ箔、熱融着性
合成樹脂を順次積層したものも使用されるようになった
。

これらのアルミ箔層を有する容器は、主として酒、しよ
う油、ジュース等の浸透性の高い液体やマヨネーズ、ジ
ャム等の粘稠物等の容器として既に使用され又は使用が
検討されている。

本考案は、上記構成のアルミ箔層を有する紙容器につい
て、ストロ−やスプーンを挿入するための一部開口を容
易に形成できるようにしたものである。

本出願人は、先に実開昭５４−６７１３８に於て、紙の
表裏両面にポリエチレン樹脂層を設けたのみの素材を使
用した従来の紙容器に関腰ストロー挿入穴形成のために
、容器の内外両面から素材厚の半分の切込みを設けるこ
とを提案したが、アルミ箔層を有する紙容器についても
同様に、容器の頂部パネルの引きはがしやナイフの使用
によることなく、ストロ−やスプーンを容器に挿入でき
る構造の開発が望まれている。

しかしながら、上記提案に係る従来型紙容器についての
構成をアルミ箔層を有する紙容器に適用すれば、アルミ
箔層自体にも切込むこととなり、浸透性の高い物の紙容
器としての本来の機能を失うこととなる。

−ａｔに、この種の紙容器に於て、ストロ−の挿入時に
最も大きな抵抗となるのは紙ベースである。

従って、ストロ−挿入部分の紙ベースを欠くことを解決
策とする構成として、挿入予定位置に透孔を設けた紙ベ
ースに合成樹脂層とアルミ箔層とを積層したものや、ス
トロ−挿入部分に対し容器外面から予め最外層の樹脂層
と紙ベースを除去したものが提案されている。

しかし、後者については勿論のこと、前者の場合でも紙
ベースを欠いた部分の樹脂層が凹状になるために、保管
、運搬又は陳列時にこのストロ−挿入部分にほこりがた
まり易く不衛生であり、又、これを避けるために紙やア
ルミ箔等の補助材で蓋をすればコスト高となる。

本考案は、紙容器の製造段階で紙ベースの一部を除去す
ることから生ずる前述の不都合を解消したものであり、
購入者の側で開口部分の紙ベースを剥離により取除くこ
とができ、強度を低下させた上でストロ−やスプーンを
差込むことができるように構成したものである。

即ち、本考案は容器外面から紙の厚さの半分以上に達す
る剥離用切込みを設けると共に、この剥離用切込みによ
り区画される位置にほぼ相当する紙と熱融着性合成樹脂
裏面層との積層面又は熱融着性合成樹脂裏面層とアルミ
箔層との積層面を非接着処理したことを特徴とする。

以下、図面に示す実施例に従って本考案を説明する。

第１図は、本考案に係る紙容器を外面から剥離した状態
を示す斜視図、第２図は剥離用切込みの部分の一例を示
す要部断面図、第３図は剥離用切込みの部分゛の別の例
を示す要部断面図である。

図面に於て、紙容器１の素材は、紙２をベースとし、そ
の表裏両面にポリエチレン等の熱融着性合成樹脂による
表面層３及び裏面層４を有し、更に容器内面側の前記裏
面層４の上にアルミ箔層５及び熱融着性合成樹脂の内面
層６が積層されている。

積層状態を良くするために、各層間に接着性の良い樹脂
を介在させても良い。

この紙容器１の外面には、紙２の厚さの半分以上に達す
る剥離用切込み７が設けられている。

尚、この剥離用切込み７の形状は任意であるが、先端部
を容器１の屈曲部上に位置させれば、剥離操作に際して
指先がこの先端部に引掛り易くなり好都合である。

更に、第２図に示すように、前記剥離用切込み７により
区画される位置にほぼ相当する紙２と合成樹脂裏面層４
との積層面には剥離剤８が介在し、この部分のみを非接
着状態としている。

この非接着処理は第３図に示すように、合成樹脂裏面層
４とアルミ箔層５との積層面に施しても良い。

非接着処理は処理部分の接着状態を弱めるものであれば
足りるが、シリコン樹脂、尿素メラパン樹脂、アルキッ
ド樹脂、ポリビニルアルコール、パラフィン、ワックス
類、テフロンディスパージョン等の剥離剤を処理部分の
少なくとも片面に塗工又は印刷すると効果的であり、特
にシリコン樹脂が適している。

上記のような剥離剤に変えて、発泡性インキの如く合成
樹脂に対する接着能力の弱い塗料を介在させても良い。

非接着処理を施す面は、剥離用切込み７の区画する面に
ほぼ一致していれば足り、区画面に対する多少の大小相
違や位置のズレは許容される。

又、理論上、剥離用切込み７は紙２の全景に切込まれ、
剥離剤にまで達していることが望ましく、更に第３図の
場合には合成樹脂裏面層４に切込んでいることが望まし
いが、実質的に紙厚の半分以上に達していれば、紙層間
で剥離することもなく、紙２を全厚にわたってめくるこ
とができる。

本考案に係る紙容器の使用に際しては、先ず剥離用切込
み７の部分をめくると、第２図の場合には紙２と合成樹
脂裏面層４との間が非接着処理を施されているのでこの
間で剥離が生じ、切込みの形状に従って紙２が全厚にわ
たってめくられて、合成樹脂裏面層４が露出する。

同様に、第３図の場合には合成樹脂裏面層４とアルミ箔
層５との間で剥離が生じ、アルミ箔層５が露出する。

次に、露出した合成樹脂裏面層４又はアルミ箔層５にス
トロ−やスプーンを突当てれば、紙ベースを欠いて抵抗
の弱くなった残存層を容易に突破ることができる。

以上、詳述した通り、本考案によれば、非接着処理を施
すことにより、開口時に、ストロ−やスプーン等の挿入
に最大の抵抗となる紙ベースを完全に剥離することが可
能になった。

従って、ストロ−等の挿入が容易であると共に、蓋等の
補助材を使用することもなく低コストで衛生的な紙容器
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る紙容器の開口部分を外面から剥離
した状態を示す斜視図、第２図及び第３図は剥離用切込
み部分の例を示す要部断面図である。 １・・・・・・紙容器、２・・・・・・紙、３・・・・
・・合ａｔｉｔ脂表面層、４・・・・・・合成樹脂裏面
層、５・・・・・・アルミ箔層、６・・・・・・合成樹
脂内面層、 ７・・・・・・剥離用切込み、 ・・・・・・剥離剤。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）紙の両面に熱融着性合成樹脂の表面層及び裏面層
   を形威し、更に上記裏面層にアルミ箔層、熱融着性合成
   樹脂の内面層を順次積層した素材からなる紙容器に於て
   、容器外面から紙厚の半分以上に達する剥離用切込みを
   設けると共に、この剥離用切込みにより区画される位置
   にほぼ相当する紙と裏面層との積層面又は裏面層とアル
   ミ箔層との積層面を非接着処理したことを特徴とする開
   口容易な紙容器。
2. （２）剥離用切込みに区画される位置にほぼ相当する紙
   と裏面層との積層面に、シリコン樹脂を介在させること
   により非接着処理したことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の開口容易な紙容器