JPS606415Y2 - 石炭液化生成液中の不溶性物質分離装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は石炭液化生成液中の不溶性物質分離装置、特に
、石炭類を有機溶媒処理あるいは水添液化反応させて得
られる生成液から不溶性物質を重力沈降により分離する
装置に関する。

−搬に、石炭類を有機溶媒と共に混合してスラリー化し
、この原料スラリーを加熱して高温高圧下で水添液化反
応させた場合、石炭中に含まれている鉱物物質や水添反
応され難い物質が石炭液化生成液中に不溶性（固体）物
質として残り、しかも水添液化反応に触媒を添加した場
合にはこれも不溶性物質として残存する。

従来においては、これらの不溶性物質を除去する、いわ
ゆる脱灰手段として沈降分離、濾過あるいは遠心分離な
ど物理的方法が提案されているが、種々の問題があった
。

例えば沈降分離法においては、石炭液化生成液そのまま
では粘度が高すぎ沈降速度が遅いため、有機溶媒を多量
に加えて希釈したり昇温させて粘度を下げ沈降速度を速
めているが、その割に不溶性物質の分離効率は良くない
という問題があった。

本考案は、このような問題を解決し、石炭液化生成液中
の不溶性物質を効率よく分離することができる重力沈降
を利用した分離装置を得ることを目的としてなされたも
ので、その要旨は、一端に石炭液化生成液導入口を、他
端に液体排出口をそれぞれ有し、底部または他端側下部
に不溶性物質排出口を有する沈降槽の内部に、該沈降槽
内を流動する液体の流動方向に平行に、かつ水平面に対
し４５°以上の傾斜角を持つ複数の傾斜板を設けてなる
重力沈降による石炭液化生成液中の不溶性物質分離装置
、にある。

好ましい実施態様としては、各傾斜板にその上側表面下
部と下側表面上部に相互に絶縁された金属面を設けて導
電性を付与し、隣接する傾斜板の下側表面上部金属面と
上側表面下部金属面との間に直流電圧を印加させるよう
にする。

以下、本考案の一実施例を示す添付の図面を参照して説
明する。

図において、１は流動式沈降槽で、その一端の中央部に
石炭液化生成液導入口２を有し、他端の上部には不溶性
物質を除去された生成液を装置外へ排出する排出口３を
有している。

沈降槽１の底部４または他端側下部には生成液から分離
された不溶性物質を排出するための不溶性物質排出口５
が設けてあり、この底部は一端側から他端側へ下向きに
傾斜させるようにしてもよい。

沈降槽１の内部には、その内部を流動する生成液の流動
方向に平行に、かつ水平面に対し４５度以上の傾斜角θ
を持たせて複数の傾斜板６が配設されている。

傾斜角を４５度以上にしたのは、それ未満では重力によ
り沈降した不溶性物質が傾斜板６に堆積し、液からの不
溶性物質の分離が困難となるからである。

また、液中に存在する固体は、通常、程度の差はあるが
ゼータ電位に起因する正または負の電荷を帯びているの
で、第３図に示すように、絶縁性材料で傾斜板本体６を
形威し、その下側表面上部に金属板または金属材料を化
学メッキしてなる金属層などの金属面６ａを設けると共
に、上側表面下部にも金属面６ｂを設け、隣接する傾斜
板の下側表面上部金属面６ａと上側表面下部金属面６ｂ
間に直流電圧を印加し、一枚の傾斜板の下側表面上部金
属面６ａを生成液中の不溶性物質の帯電極性と同極性に
帯電させ、それに隣接する傾斜板の上側表面下部金属面
６ｂを不溶性物質と同極性に帯電させ、不溶性物質と両
金属面間の電気的反発力および吸引力を利用することに
より沈降速度をさらに速くすることができる。

上記装置において、石炭液化生成液を導入口２から導入
し排出口３の方へ線流で流動させると、液は傾斜板６に
対しては平行に、かつ不溶性（固体）物質の沈降路に対
しては直角になるように流動するので波線速度が沈降線
速度を減少させず、従って、分離効率を向上させること
ができる。

また、不溶性物質は傾斜板６まで沈降した後、傾斜板に
そって降下し、沈降槽下部に堆積するので、周期的に排
出口５を開閉して装置外へ排出される。

なお上記実施例は本考案の一例を示すもので、本考案が
この実施例に限定されるものでないことは言うまでもな
い。

実施例 豪州モーウェル褐炭とクレオソート油を重量比１：ＩＯ
の割合で混合し、常法により４３０°Ｃ１１５吃圧の条
件下で水添液化反応させて得た石炭液化生成液を２００
°Ｃ３吃圧で第１図の装置に通し、装置滞留時間が３紛
となるようにオーバーフローさせた後、排出口３から排
出された生成液中の固形物質を測定したところ、３（２
）であった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る不溶性物質分離装置の断面正面図
、第２図は第１図の■−■線における断面図、第３図は
第１図の装置の変形例を示す要部断面図である。 １・・・・・・沈降槽、２・・・・・・導入口、３・・
・・・・排出口、６・・・・・・傾斜板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １一端に石炭液化生成液導入口を、他端に液体排出口を
   それぞれ有し、底部または他端側下部に不溶性物質排出
   口を有する沈降槽の内部に、該沈降槽内を流動する液体
   の流動方向に平行に、かつ水平面に対し４５°以上の傾
   斜角を持つ複数の傾斜板を設けてなる重力沈降による石
   炭液化生成液中の不溶性物質分離装置。 ２ 各傾斜板がその上側表面下部と下側表面上部に相互
   に絶縁された金属面を有し、隣接する傾斜板の下側表面
   上部金属面と上側表面下部金属面との間に直流電圧を印
   加する手段を備えてなる実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の装置。