JPS6053210B2 - 電磁クラツチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、広くいえば電気的作動のまさつ装置であり
、とくに、電磁クラッチに関するものである。

従来から使用されているまさつクラッチは、一般に、
駆動クラッチ部材と被駆動クラッチ部材を有し、その両
部材の対向するまさつ面が係合することにより両部材の
結合がなされ、駆動トルクの伝達が行われるようになつ
ている。

この種のクラッチは良好な制御特性を表わすが、比較的
高いトルク伝達を行うばあいには、両クラッチ部材を互
いにスリップを生じないように相当に強い力で結合させ
る必要がある。そして、このばあい両クラッチ部材を結
合方向に作動させるために電磁石を用いる形式のクラッ
チでは、比較的大容量の電流を要するのである。この問
題を避けるために、大トルク伝達用として、オーバラン
ニング クラッチ（０ｖｅｒ一Ｒｕｎｎｉｎｇｃｌｕｔ
ｃｈ）が用いられた。

このクラッチは一般に、駆動クラッチ部材と被駆動クラ
ッチ部材との間に複数個のローラやボールが配置された
構造である。両クラッチ部材の一方にはローラ又はボー
ルと係合するカム面を有し、ぞれによつで、両クラッチ
部材間の駆動的結合が果される。ずなわち、ローラ又は
ボールが、カム面上を転動するにつれて、カム面のより
高い面位置に乗り上げて、クサビ作用が働き、それによ
つて、両クラッチ部材が互いに固定（ロック）された状
態となる。しかし、この構成のクラッチでは、カム面が
まもうしてきた場合には、クラッチの切離が悪くなるこ
とがしばしばあり、この点が問題であつた。本発明は上
述した各種クラッチが有する種々の問題点を解消したま
さつクラッチを提供することを目的とするものであつて
、本発明におけるクラッチは、前述したオーバランニン
グ・クラッチと同様のローラ又はボールを両クラッチ部
材間に備えている。

ただし、当該クラッチは両クラッチ部材の対応まさつ面
が係合するときに、ローラ又はボールを両クラッチ部材
の間で強いクサビ作用を生じさせないように、対応まさ
つ面が構成されている。そして、ローラ又はボールは電
磁石により制御される指状部材により各対応まさつ面と
まさつ係合するように動かされるとともにその係合位置
に保持される構成となつている。又、前記指状部材は、
クラッチの確実な切離を行うために、ローラ又はボール
を係合している対応まさつ面の少くとも一方の面より離
脱させるように動かす働きも行う。本発明に係るクラッ
チは、大容量の電流を必要とせずに、まさつクラッチと
して積極的な制御特性を果すとともにオーバランニング
・クラッチの有する欠点を避けることができる。

当該クラッチ部材は、又、駆動クラッチ部材の回転方向
がいずれの方向でも、両クラッチ部材の間の駆動結合を
果すことができる。

本発明は電磁クラッチを企図し、当該電磁クラッチは、
対向する平行でない面をそれぞれ有する駆動クラッチ部
材及び被駆動クラッチ部材と、前記両対向面の間に位置
づけられた複数個のローラと、クラッチが切離したとき
に両クラッチ部材間の相対的回転を起こさせる手段と、
アーマチュアを有するとともにクラッチを結合させるた
めの電磁石とを備え、その電磁石のアーマチュアが複数
個のローラを前記対向面と係合させるように動かす複数
個の指状部材を有し、それによつて、電磁石が励磁され
たときに両クラッチ部材間のまさつ駆動を果すように構
成されている。

以下、本発明を図面に示す実施例に従つて詳細に説明す
る。

図に示された本発明に係る電磁クラッチは駆動クラッチ
部材１、被駆動クラッチ部材３、及び両クラッチ部材の
間に配置された軸受５を有する。

駆動クラッチ部材１は、クラッチ切離状態において、軸
受５により被駆動クラッチ部材３上で回転しうる．よう
になつている。駆動クラッチ部材１はプーリ７を有し、
そのプーリ７は部材１をモータなどの駆動源に連結する
。

又、駆動クラッチ部材１はリング状の外側磁極９を有し
ている。被駆動クラッチ部材３はスリーブ１１を有し、
そのスリーブ１１はキーなどの適宜の手段により被駆動
軸（図示せず）に固定されている。

そのスリーブ１１には、外側磁極９の半径方向に沿つて
その内方に、スリーブと一体に内側磁極１３が形成され
ている。そして、この内側磁極１３は、第２図で示され
ているように、おおむね三角形状をなしている。スリー
ブ１１上には軸受１７を介して電磁石１５が回転可能に
支持されている。この電磁石１５は磁性材料でできた円
環状の鉄心１９を有し、その鉄心１９は断面がおおむね
Ｕ字形をなしている。このＵ字形の鉄心の両脚の間にコ
イル２１が配置されている。コイル２１は図示しない電
源から動力を得て励磁されると、クラッチが結合状態と
なる。電磁石１５の一端部（図において左端部）にはス
ラスト・ワッシャ２３がおかれ、そのワッシャ２３はス
リーブ１１に固定されたリング２５に当接している。ス
リーブ１１は、クラッチが結合したときに、電磁石１５
と相対的に回転するので、電磁石に動力を供給するため
のスリップ・リングを使用する必要がない。２７はブレ
ーキ部材で、電磁石の鉄心１９のＵ字形の脚のところで
その鉄心に固定されている。

そのブレーキ部材２７は層状をなす非磁性材料よりなる
まさつ部材２９を有し、その部材２９の一側面は内外側
の磁極１３，９に近接している。３１は磁性材料よりで
きたリング状のアーマチュアで、スリーブ１１の外周で
、かつ内外側の磁極１３，９の間に配置されている。

前記内側磁極１３内には、図示のとおり、複数個のスプ
リング３３が収納されていて、各スプリング３３はスリ
ーブ１１の軸線方向に沿つておかれている。この各スプ
リング３３は、電磁石１５の励磁が解消されたときに、
アーマチュア３１をブレーキ部材２７と係合するように
軸方向に押圧する働きをする。内側磁極１３と外側磁極
９の間には、多数のローラ３５が配置されている。

この各ローラ３５は、第２図に示すように、外側磁極９
と内側磁極１３の対応面が平行となつていない位置に配
置され、その位置に円弧状の指状部材３７により保持さ
れている。この部材３７は非磁性材料でできているとと
もにアーマチュア３１に固定され軸方向に延出して内側
磁極１３と外側磁極９の平行てない対向面内に進入して
いる。以上のように構成された電磁クラッチの作動を以
下説明する。

電磁石１５が励磁から解放されると、クラッチが切離状
態となり、アーマチュア３１がスプリング３３により押
されて軸方向に移動してブレーキ部材２７に係合する。

そして、各ローラ３５は両磁極９，１３の対応面の少く
とも１つの面との係、合より外れる。その結果、駆動ク
ラッチ部材１は被駆動クラッチ部材３と相対的に回転し
うるようになる。一方、電磁石１５が励磁されてクラッ
チが結合状態になると、アーマチュア３１が内外側の磁
極１３，９の方へ電磁的に吸引され、外側磁Ｉ極９と一
緒に回転し始める。アーマチュア３２に固定された円弧
状の指状部材３７は、各ローラ３５が、三角形状の内側
磁極１３の１つの面と外側電極９の内周面との両面に係
合するまで、各ローラ３５を移動させ、それによつて、
駆動クラッチ・部材１と被駆動クラッチ部材３との間の
駆動連結を果す。駆動クラッチ部材１より被駆動クラッ
チ部材３に伝達されるトルクの大きさは、ローラと両磁
極の対応面とのまさつ係合及びアーマチュア３１と両磁
極との電磁的係合のｆ合により決定される。

万一、負荷が大きくて駆動クラッチ部材１と被駆動クラ
ッチ部材３との間で滑りが生じたばあいには、アーマチ
ュア３１に固定された円弧状の指状部材３７が、三角形
状の内側磁極１３の１つの面と外側磁極９の内周面の両
面に各ローラ３５を強く係合させるように動かす。内側
磁極１３上の面と外側磁極９の内弧状内周面とは、各ロ
ーラ３５ノが区弧状の指状部材３７により両磁極の対応
面とまさつ係合状態に保持されるが、カム面を使用した
オーバランニング●クラッチのばあいのように対応面の
間にローラがクサビ作用を伴つて食い込むことを避けう
る形状ならびに構成となつてい・る。そして、両磁極９
，１３の対応面は、被駆動クラッチ部材の回転方向がい
ずれの方向でも、駆動クラッチ部材を被駆動クラッチ部
材に駆動的に連結しうるようにクラッチ結合を果すこと
ができる形状ならびに構成となつている。電磁石が励磁
から解放されることによりクラッチは切離する。

そうすると、アーマチュア３１がスプリング３３の作用
により軸方向に動かされて静止状態のブレーキ部材２７
と係合する。従つて、アーマチュア３１の回転は止まり
、円弧状の指状部材３７はローラ３５を外側磁極９の内
周面との係合から離脱させる。その結果、駆動クラッチ
部材１と被駆動クラッチ部材３との間の駆動連結は解消
され、被駆動クラッチ部材３の回転は止まる。なお、こ
の実施例では当該クラッチが複数個のローラを使用する
ごとく記載されているが、当該クラッチは、このローラ
のかわりにボールやその他の適宜の手段を使用しうる。

従つて、本明細書で使用している「ローラ」の用語は上
述のような代替可能な部材をも含む意味であると理解す
べきである。又、クラッチは、電磁石が励磁されたとき
に、切離状態となり、他方、電磁石の励磁が解消された
ときに、クラッチ結合状態となるようにも構成できる。
この構成は電磁石およびスプリングによりアーマチュア
上にかかる力の作用方向を逆にすれば可能てある。以上
のように、本発明に係るクラッチはまさつクラッチの制
御特性ならびにオーバランニング・クラッチの駆動係合
の性質を併有する。

当該クラツチでは動力が少なくてすむとともにまさつ・
クラッチよりも大きいトノ＠を発生させる。又、クラッ
チの結合・切離の動作はきわめて積極的になされる。そ
れは円弧状の指状部材が各ローラを両磁極の対応面の間
で積極的に動かすからであり、．ローラの移動のために
スプリングを使用する必要がない。更に又、当該クラッ
チは、駆動クラッチ部材の回転方向が逆になつたばあい
に、被駆動クラッチ部材を駆動クラッチ部材に駆動的に
連結する作用も果すなど、その効果はきわめて大である
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る電磁クラッチの実施例の軸線方向
に沿う縦断面図、第２図は第１図の２−２線断面図であ
る。 １・・・・・・駆動クラッチ部材、３・・・・・・被駆
動クラッチ部材、９・・・・・・外側磁極、１．３・・
・・内側磁極、１５・・・・・電磁石、１６・・・・・
・鉄心、２１・ ・・コイル、２７・・・・ブレーキ部
材、３１・・・・・・アーマチュア、３５・・・・・・
ローラ、２７・・・・・・指状部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 対向する平行でない面をそれぞれ有する駆動クラッ
   チ部材及び被駆動クラッチ部材と；前記両対向面間に位
   置づけられた複数個のローラと；前記被駆動クラッチ部
   材上に回転可能に支持された鉄心と、その鉄心内に設け
   られたコイルとを有する電磁石と；前記被駆動クラッチ
   部材上に回転可能に支持されるとともに前記電磁石の励
   磁・非励磁の作動に伴つて軸方向へ相対移動可能なリン
   グ状アーマチュアと；前記アーマチュアに取付けられる
   とともにクラッチ部材の両対向面間に軸方向に延出する
   とともに前記ローラをそれぞれ案内する複数の指状部材
   と；前記駆動クラッチ部材に設けられた外側磁極と前記
   被駆動クラッチ部材に設けられた内側磁極と；前記アー
   マチュアが電磁石の励磁の際に前記両磁極に電磁的に吸
   引され、それによつて、両クラッチ部材の間のまさつ駆
   動を生じさせように前記ローラをクラッチ部材の両対向
   面に係合させることと；前記電磁石の鉄心に固着され、
   アーマチュアとのまさつ係合によつて前記ローラを前記
   両対向面の少なくとも一方の面との係合より離脱させ、
   それによつて両クラッチ部材の駆動連結を切離するブレ
   ーキ部材と；よりなる電磁クラッチ。 ２ 電磁石の励磁が解除されたときに前記アーマチュア
   を付勢して前記ブレーキ部材とまさつ係合させるばね手
   段を備えてなる特許請求の範囲第１項に記載の電磁クラ
   ッチ。 ３ 前記ばね手段は、前記被駆動クラッチ部材に、その
   軸方向に沿つて収納された複数個のコイル・スプリング
   よりなる特許請求の範囲第２項に記載の電磁クラッチ。