JPS603114B2 - 自己融着電線 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、加熱処理することによって、皮膜に融着性を
生ずる熱硬化性目己融着電線に関する。

従釆この種の自己融着電線として用いられているものは
導体にポリビニルブチラール樹脂、脂肪族ポリァミド樹
脂等を主成分とする塗料を塗布燐付けて得られた自己雛
着電線があるが、この種の自己融着電線により成形され
たコイル成形体は常温及び高温下における接着力に乏し
く、例えば回転機のコイルとして使用したとき融着層の
熱分籍或いは熱溶融が生じ実機条件下での充分な固着力
を有していなかった。従って回転機等に用いる自己融着
電線の融着塗料は特に、高温下での固着力を維持するた
めにポリサルフオン樹脂、ポリエーテルサルフオン樹脂
、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等、
融点の高いものを主成分とするものが用いられるか、イ
ソシアナート再生体、例えばバイエル社製デイスモジュ
ールＡＰステーブル（商品名）、日本ポリウレタン製コ
ロヌート２５０１（商品名）等で橋かけする方法が用い
られるようになった。一方、回転機等における自己融着
電線の応用に関しては高温下の固着力が優れ、加熱処理
温度が低く、しかもコイルの仮固着が容易であり、仮固
着の段階でその後のコイル処理に生ずる機械的負荷に耐
えるに十分な敵着性をそこなわない等の要望を満足する
ものでなければならない。従来、提供されてきた高融点
の熱可塑性樹脂を主成分として得られる自己敷着電線は
高温下の固着力維持が比較的良好であり、また、コイル
の仮固着をしたのちの融着が可能であったが、加熱処理
温度が著しく高温となり仮固着などを含めて作業性に大
きな匁点があった。またィソシアート再生体で橋かけす
る方法は加熱処理温度以上でも固着力を維持するが、従
来用いられてきた再生体はフェノール系活性水素化合物
の中、主にｍ−クレゾールであるためイソシアナート基
そとの解離温度が比較的低く仮固着が困難であった。本
葬明は熱硬化性目己融着電線であるため加熱処理温度以
上の固着力維持館力をもち、加熱処理温度が高鷲虫鳶熱
可塑性樹脂に比して低く、ィソシアナート基解離温度以
下で充分な流動性を呈することにより融着処理温度以下
で仮固着が可能であり、しかも仮固着時に橋かけの生成
がないので敵着性への影響もない等、前記匁点を改良し
た自己歌着電線を提供するものである。

以下本発明を詳細に説明する。

本発明に用いるトリカルボン酸無水物とはトリメリツト
酸無水物、ヘミメリット酸無水物等一分子中に藤無水物
基を含む化合物であり、芳香族ジイソシアナートとして
はＰーフエニレンジイソシアナート、ｍーフエニレンジ
イソシアナート、２・４トリレンジイソシアナート、２
・６トリレンジイソシアナート、Ｐ一Ｐ′ジフエニレン
ジイソシアナート、Ｐ一Ｐ′ジフエニルメタンジイソシ
アナート、Ｐ−Ｐ′ジフエニルエーテルジイソシアナー
ト、Ｐ一Ｐ′ジフエニルスルホンジイソシアナート、Ｐ
‐Ｐ′ペンゾフェノンジイソシアナート等がある。

これ等の反応溶媒としては、Ｎ‐Ｎ′ジメチルホルムア
ミド、Ｎ一Ｎ′ジメチルアセトアミド、Ｎ−Ｎ′ジメチ
ルスルフオキジド等の有犠牲溶媒が好ましい。また前記
トリカルポン酸無水物と芳香族ジィソシアナートの反応
生成物末端基に付加させる活性水素化合物はＱーピロリ
ドンのほか２−４ジイソブチルフエノール、インオクチ
ルフエノール、４ヒドロキシビフエニル、６一ヒドロキ
シテトラリンが使用できる。また本発明に用いる分子量
１ぴ以上で且つ１分子中に２個以上のアルコール性水酸
基を有するポリヱーテルもしくはポリェーテルェステル
樹脂とは、下記【１｝および【２｝式で表わされるフェ
ノキシ樹脂或いは変性フェノキシ樹脂等である。

上述中ｎ、ｍは整数、Ｒ，は脂肪族桟基、Ｒ２は水素或
いはアルキル基、Ｒ３は脂肪族、芳香族或いは脂環族残
基を示す。

上記ポリヱーテル樹脂として例えばシェル製ェポノール
ＯＬ一斑一Ｂ４０（商品名）、ＵＣＣ製ＰＫＨＨ８５０
止ＰＲＤＡ８雌０（商品名）等があり、またポリェーテ
ルェステル樹脂としては大日本インキ製ェピクロン日３
３０、日３５０（商品名）等がある。以下従釆例と共に
本発明を実施例を用いて説明する。

実施例 縄梓器、温度計、冷却管、Ｎ２ガス導入管のついた３そ
のセパラブルフラスコ中にトリメット酸嬢水物１舵夕、
Ｐ−Ｐ′ジフェニルメタンジィソシアネー１．５００夕
、Ｎ一Ｎ′ジメチルホルムアミド２０００夕を入れＮ２
ガスを流しながら加熱縄拝した。

内容物は１４０℃、約３時間で赤褐色の透明溶液となっ
た。途中１００〜１１０℃付近からＣＱが発生し泡立つ
。泡の発生がなくなってからＱーピロリドン１７１夕を
加え末端イソシアナート基への付加を行なった。この反
生成物のＩＲ分析の結果ィミド環の特性吸収５．筋〆お
よび１３．８山の存在と酸アミドのＮＨ伸縮振動３．岬
〆の吸収帯が認められる。また２０ぴ○でＱーピロリド
ンの解離、輝散をさせることによりィソシアナートの特
性吸収４．４１Ａの存在が認められた。以上のように得
られたアミドーイミドジイソシアナート、Ｑ−ピロリド
ン付加体の約３０％Ｎ−Ｎ′ジメチルホルムアミド溶液
と予めＮ−Ｎ′ジメチルホルムアミドを溶媒としたポリ
ヱーテル樹脂（水酸基当量約２雛）とをＮＣＯ／ＯＨ＝
０．３の組成に配合することにより自己鼠着性塗料を得
た。更に導体径０．５風◇の鋼線の外周に膜停（片側）
２５ｒ塗布鱗付けしてなる１種ポリエステル線上に前記
目己融着塗料を膿厚（片側）２０ム塗布嫌付けて自己敗
着電線を得た。この自己雛着電線の性質を従釆例として
敵融点熱可塑性樹脂を主成分とした塗料を最外層とする
自己融着電線と比較して第１表に示す。第］表 第１表より明らかなように本発明の自己雛着電線はほぼ
同一寸法の従来品と比べ耐摩耗性が優れ、可とう性が良
好等から回転機等のコイル巻きにおける自動巻線機にも
対応でき、しかも敵着処理後の絶縁破壊電圧が高いとこ
ろから電気絶縁性の優れたコイルを提供することができ
る。

図面は加熱処理温度と雛着力の関係を示すもので第１表
に掲げた従来品の特性と共に示した。

従来品は１４０〜１６０℃の比較的低い加熱温度では融
点下であるため融着性を示さないが本発明に基づくもの
はこのような温度で融着性を示す。また図面から明らか
なように本発明に基づくものは１８ぴ０前後で急激に融
着力が向上するが、これはＱーピロリドン付加体の解離
、輝散により再生したィソシアナート基がポリェーテル
樹脂の分子内水酸基とウレタン結合をとり橋かけが生成
することを示すものである。第２表にコイルの仮固着を
へて融着することを想定し綿密に巻回したヘリカルコィ
ルを１５０％伸長し雛着面が互いに接触しない状態で１
４０〜２００℃、２瓜ｈｉｎの加熱処理を行なったのち
、前記ヘリカルコイルを２００℃で荷重１５０夕の下２
０ｍｉｎの加熱融着処理したものの藤着力を示す。

第２表 第２表から明らかなように１４０〜１６ぴ○で予め仮固
着した場合でも本発明に基づく自己雛着電線は良好な敵
着性を保つ。

従って仮固着したコイル成形体鰭羊を更に葛甥書させる
ことができる。しかしながら橋かけの生成に伴う１８０
℃以上での仮固着は従来用いられてきた熱硬化性目己融
着電線と同様に困難となっている。以上からも明らかな
ようにＱ−ピロリドン付加体は解離温度が１８０℃以上
であり、他にこのような性質を示すものとして２一４ジ
ィソプチルフヱノールイソオクチルフエノール、４一ヒ
ドロキシビフエニル、６−ヒドロキシテトラリンがある
。

次に本発明の高温下での固着力維持能力を第３表に従来
品と共に示す。第３表 第３表から本発明に基づくものは高融点の熱可塑性樹脂
を主成分とする従釆品と同様、高温下で良好な固着力維
持能力を有している。

尚本発明は酸アミド結合とイミド結合によって芳香族化
合物を連結することでテトラカルボン酸雛水物を出発原
料としたものに比し、分子構造上薬軟性に富み、有機溶
媒への溶解性が良好であると共に、このようなアミド・
ィミド鎖で橋かけした鞭着層を鼓外層とする自己敵着鰭
線は充分な加熱処理によって藤着後再軟化せず、優れた
耐熱性を兼ねそなえている。

従って本発明に基づく自己藤着電線は比較的低温で寛虫
着でき、更に低温で仮固着をすることができる。また雛
着後の電気絶縁性、及び高温下での固着力維持能力が良
好である。従って、本発明品は、特殊な製造法、過酷な
自動巻線に有利に対応でき、しかも優れた品質の１蚤気
機器を安定して造ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は加熱処理温度に対する本発明実施例および従来例
の自己融着電線の融着力を示す特性図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ １〜２モルのトリカルボン酸無水物と２〜３モルの
   芳香族ジイソアナートを不活性溶媒中で脱炭酸ガス反応
   して得られる生成物の末端部にα−ピロリドンを付加し
   たものを分子量約１０＾４以上で且つ一分子中に２個以
   上のアルコール性水酸基を有するポリエーテルまたはポ
   リエーテルエステル樹脂に配合してなる塗料を、導体に
   直接もしくは他の絶縁層を介して塗布焼付したことを特
   徴とする自己融着電線。