JP4158211B2 - はんだ付性エナメル線 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだ付性エナメル線に係り、特に、高耐熱用のはんだ付性エナメル線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エナメル線端末の接続においては、電工作業の合理化を図るべく、エナメル線の被膜を除去することなく、直接はんだ付けを行うことのできるはんだ付性エナメル線が多く用いられている。
【0003】
このはんだ付性エナメル線としては、ポリウレタンエナメル線が良く用いられており、特に、機械的に被膜を除去することが難しい細径エナメル線において幅広く用いられている。
【0004】
ここで、近年における機器の小型化、高性能化、あるいは高信頼性の要求に伴い、はんだ付性エナメル線においては、より高い耐熱性が要求されるようになってきている。
【0005】
このため、ポリウレタンの一部をポリエステルイミドで変性して耐熱性を向上させた変性ポリウレタンエナメル線や、ポリエステルイミドにウレタン基を導入してはんだ付性を付与した変性ポリエステルイミドエナメル線などが種々検討されていると共に、実用化されてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの変性ポリウレタンエナメル線や変性ポリエステルイミドエナメル線などにおいては、耐熱性を重視するとはんだ付性が不十分となり、逆に、はんだ付性を重視すると耐熱性が不十分となる。
【0007】
すなわち、はんだ付性と耐熱性は相反する特性であるため、両立させることは非常に困難であり、従来の変性ポリウレタンエナメル線や変性ポリエステルイミドエナメル線などは、近年要求されている特性を十分満足するものではなかった。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決し、はんだ付性が良好であると共に、優れた耐熱性を備えたはんだ付性エナメル線を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、脂肪族ジイソシアネートおよび4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合割合が、モル比で10/90〜90/10であるジイソシアネート化合物とトリメリット酸無水物とを反応させてなるポリアミドイミド樹脂塗料を、導体上に塗布焼付してなるものである。
【0011】
上記数値範囲の限定理由を以下に述べる。
【0012】
脂肪族ジイソシアネートと4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合割合を、モル比で10/90〜90/10としたのは、モル比が10/90よりも小さいとはんだ付性が悪化するためであり、モル比が90/10よりも大きいと耐熱性が不十分となるためである。
【0013】
以上の構成によれば、脂肪族ジイソシアネートと4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを混合してなるジイソシアネート化合物とトリメリット酸無水物とを反応させてなるポリアミドイミド樹脂塗料を、導体上に塗布焼付しているため、はんだ付性が良好であると共に、優れた耐熱性を備えたはんだ付性エナメル線を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
本発明のはんだ付性エナメル線は、はんだ付性を有さないものの耐熱性に優れているポリアミドイミドに着目し、ポリアミドイミドにはんだ付性を付与すべく、脂肪族ジイソシアネートおよび4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物であるジイソシアネート化合物とトリメリット酸無水物とを反応させてポリアミドイミド樹脂塗料を作製し、このポリアミドイミド樹脂塗料をエナメル塗料として、導体上に塗布焼付したものである。
【0016】
次に、本発明のはんだ付性エナメル線の製造方法を説明する。
【0017】
本発明のはんだ付性エナメル線に用いるエナメル塗料の製造方法は、先ず、脂肪族ジイソシアネートおよび4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合モル比を所定の値に調整したジイソシアネート化合物と過剰のトリメリット酸無水物との混合物を溶媒中に溶解させると共に、その溶媒を高温で撹拌反応させてポリアミドイミド樹脂塗料を得る。
【0018】
このポリアミドイミド樹脂塗料をエナメル塗料として用いると共に、一般的な手法を用いて導体上に焼付塗布することによって、はんだ付性エナメル線を得る。
【0019】
脂肪族ジイソシアネートは、特に限定するものではないが、耐熱性とはんだ付性のバランスおよび材料の入手性の点から、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0020】
溶媒は特に限定するものではなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0021】
本発明のはんだ付性エナメル線によれば、脂肪族ジイソシアネートおよび4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物であるジイソシアネート化合物とトリメリット酸無水物とを反応させてなるポリアミドイミド樹脂塗料を、エナメル塗料として用いているため、ポリアミドイミドが本来持つ優れた耐熱性は略そのままであると共に、通常、はんだ付が行われる400〜450℃程度の温度域においてエナメル被膜が短時間で分解・溶解し、容易にはんだ付を行うことができる。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
1molのトリメリット酸無水物と0.5molのヘキサメチレンジイソシアネートおよび0.5molの4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを、800mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、この溶液を100℃で2時間撹拌した後、更に140℃で2時間撹拌してポリアミドイミド樹脂塗料を作製する。
【0023】
このポリアミドイミド樹脂塗料を、エナメル塗料としてφ0.2mmの銅導体上に1種被膜厚さとなるように塗布した後、この銅導体に焼付処理を施し、はんだ付性エナメル線を作製する。
【0024】
(実施例2)
ヘキサメチレンジイソシアネートを0.8mol、4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを0.2molとする以外は実施例1と同様にしてはんだ付性エナメル線を作製する。
【0025】
(実施例3)
ヘキサメチレンジイソシアネートを0.2mol、4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを0.8molとする以外は実施例1と同様にしてはんだ付性エナメル線を作製する。
【0026】
(比較例1)
エナメル塗料として、日立化成社製のポリアミドイミド塗料(HI−406−30)を用い、このエナメル塗料を、φ0.2mmの銅導体上に1種被膜厚さとなるように塗布した後、この銅導体に焼付処理を施し、エナメル線を作製する。
【0027】
(比較例2)
エナメル塗料として、大日精化社製のはんだ付性ポリエステルイミド塗料(FS−2)を用い、このエナメル塗料を、φ0.2mmの銅導体上に1種被膜厚さとなるように塗布した後、この銅導体に焼付処理を施し、エナメル線を作製する。
【0028】
(比較例3)
ヘキサメチレンジイソシアネートを0.95mol、4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを0.05molとする以外は実施例1と同様にしてエナメル線を作製する。
【0029】
(比較例4)
ヘキサメチレンジイソシアネートを0.05mol、4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを0.95molとする以外は実施例1と同様にしてエナメル線を作製する。
【0030】
実施例1〜3および比較例1〜4のはんだ付性エナメル線またはエナメル線における絶縁破壊電圧(kV)、可とう性、密着性、220℃×1hr後のヒートショック、軟化温度(℃)、240℃×7days後の熱劣化性(絶縁破壊電圧残率(%);(熱劣化性試験後の絶縁破壊電圧×100)/(熱劣化性試験前の絶縁破壊電圧))、440℃におけるはんだ付性(sec)について試験を行った。尚、上記各試験は、JIS−C3003に準拠して行った。
【0031】
実施例1〜3および比較例1〜4のはんだ付性エナメル線またはエナメル線の諸元、および各種試験結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示すように、可とう性、密着性、およびヒートショックについては、実施例1〜3および比較例1〜4の全てのはんだ付性エナメル線またはエナメル線において良好であった。また、絶縁破壊電圧は、それぞれ9.0kV、8.8kV、9.0kV、9.0kV、8.8kV、8.6kV、9.0kVであった。
【0034】
実施例1〜3のはんだ付性エナメル線においては、ポリアミドイミド樹脂塗料におけるヘキサメチレンジイソシアネートと4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合モル比を規定範囲(10/90〜90/10)内にそれぞれ調整している。
【0035】
このため、実施例1〜3のはんだ付性エナメル線における軟化温度はそれぞれ380℃、350℃、400℃、また、熱劣化性を示す絶縁破壊電圧残率はそれぞれ91%、85%、93%であり、優れた耐熱性を有している。さらに、実施例1〜3のはんだ付性エナメル線におけるはんだ付に要する時間はそれぞれ6秒、3秒、12秒であり、いずれもはんだ付可能であった。
【0036】
これに対して、比較例1のエナメル線においては、エナメル塗料が、100mol%のポリアミドイミド塗料からなるため、軟化温度が420℃、絶縁破壊電圧残率が95%と耐熱性には優れているものの、はんだ付が不可能であった。
【0037】
比較例2のエナメル線においては、エナメル塗料が、100mol%のはんだ付性ポリエステルイミド塗料からなるため、はんだ付は可能であるものの(はんだ付に要する時間は6秒)、軟化温度が330℃、絶縁破壊電圧残率が80%であり、耐熱性が劣っていた。
【0038】
比較例3のエナメル線においては、ポリアミドイミド樹脂塗料におけるヘキサメチレンジイソシアネートと4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合モル比が47.5:2.5と規定範囲(10/90〜90/10)外であるため、はんだ付は可能であるものの(はんだ付に要する時間は2秒)、軟化温度が310℃、絶縁破壊電圧残率が80%であり、耐熱性が劣っていた。
【0039】
比較例4のエナメル線においては、ポリアミドイミド樹脂塗料におけるヘキサメチレンジイソシアネートと4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合モル比が2.5:47.5と規定範囲(10/90〜90/10)外であるため、軟化温度が410℃、絶縁破壊電圧残率が94%と耐熱性には優れているものの、はんだ付が不可能であった。
【0040】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、はんだ付性エナメル線のエナメル塗料として、脂肪族ジイソシアネートおよび4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物であるジイソシアネート化合物とトリメリット酸無水物とを反応させてなるポリアミドイミド樹脂塗料を用いることで、ポリアミドイミドが本来持つ優れた耐熱性は略そのままであると共に、容易にはんだ付が可能なはんだ付性エナメル線を得ることができるという優れた効果を発揮する。
Claims (1)
- 脂肪族ジイソシアネートおよび4・4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合割合が、モル比で10/90〜90/10であるジイソシアネート化合物とトリメリット酸無水物とを反応させてなるポリアミドイミド樹脂塗料を、導体上に塗布焼付してなることを特徴とするはんだ付性エナメル線。
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JP26662597A JP4158211B2 (ja) | 1997-09-30 | 1997-09-30 | はんだ付性エナメル線 |
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JPH11111058A JPH11111058A (ja) | 1999-04-23 |
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JP26662597A Expired - Fee Related JP4158211B2 (ja) | 1997-09-30 | 1997-09-30 | はんだ付性エナメル線 |
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JP (1) | JP4158211B2 (ja) |
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1997
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