JPS602315Y2 - ボルト固定用接着剤 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はボルトの固定に使用されるボルト固定用接着
剤に関するものである。

従来、粘性液体樹脂と充填剤の混合物と硬化剤とを別々
に同一容器内に収容したボルト固定用接着剤をコンクリ
ート、岩盤及びその他の母材中に設けられた穿孔内に挿
入し、次いでアンカーボルトをその孔の中に挿入し、ア
ンカーボルトの回転及び衝撃によりボルト用固着剤を破
壊して内容物を攪拌混合し、次いで粘性液体樹脂と硬化
剤との硬化反応によりアンカーボルトを穿孔内に固定す
る方法は一般に公知である。

このようなボルト固定用接着剤としては、例えばプラス
チックフィルムチューブの中に稀釈剤と結合剤と過酸化
物例えば過酸化ベンゾイルを圧縮成型してなる硬化剤と
、樹脂及び充填剤との混合物を収容したものが知られて
いる。

この場合、前記の硬化剤に接している樹脂が重合するこ
とに基づいて、この硬化剤と樹脂及び充填剤との混合物
との間の界面の処で１枚の境界膜層が形成され、こうし
て樹脂と硬化剤とが隔離された状態に保たれる。

しかしながら、硬化剤の作用による樹脂の重合の進行は
完全には除かれないので、この種のボルト固定用固着剤
の貯蔵寿命は比較的短いという問題があった。

またこの場合該硬化剤は、無機物系結合剤により成型さ
れているために硬化剤の強度は比較的弱く、このような
ボルト固定用固着剤の取扱い時や実送時に硬化剤が折れ
てしまい取扱いに不便を生ずるという問題があった。

また、他の例としてプラスチックフィルムチューブの中
に樹脂混合物を充填し、更に粉末状の硬化剤を封入した
ガラス管を収容したものが知られている。

この場合、硬化剤を収容するガラス管の内径は一般に少
さく、従ってガラス管内に硬化剤を充填しにくい、また
硬化剤を収容したガラス管の封管は一般にガスバーナー
等の火気により行われるため封管時の熱により硬化剤の
変性をきたすおそれがある等の問題があった。

更には、このようなボルト固定用固着剤の取扱い時に硬
化剤を収容したガラス管が折れた場合、ガラス管の破断
部分がプラスチックフィルムチューブを突き破りひいて
はガラス管の破断部分により手を負傷するおそれがある
等の問題があった。

この考案は上記問題点を解決するためにな・されたもの
であり、粘性液体樹脂と充填剤の混合物と、有機結合剤
と稀釈剤及び過酸化物とが棒状に成型されかつ該棒状成
型物の全表面にわたって樹脂被膜層を有してなる硬化剤
をプラスチックフィルムチューブに収容して、プラスチ
ックフィルムチューブの両末端を金属クリップで密閉し
てなるボルト固定用固着剤を提供するものである。

この考案によるボルト固定用接着剤は、第１図、第２図
及び第３図、第４図によってより具体的に説明される。

第１図及び第３図はこの考案の一実施態様を示す一部切
欠断面図であり、第２図及び第４図はそれぞれ第１図の
Ａ −Ａ’横断平面図及び第３図の１３−Ｂ’横断平面
図である。

第１図においては、粘性液体樹脂と充填剤の混合物１は
被膜層付き硬化剤４と共にプラスチックフィルムチュー
ブ５内に収容され、プラスチックフィルムチューブ５の
両末端は金層クリップ６で密閉されている。

被膜層付き硬化剤４は棒状に成型された硬化剤２と硬化
剤の全表面にわたって形成される被膜層３からなるもの
である。

棒状に成型された硬化剤２は第２図イ及び口に示すよう
に、円柱状又は四角柱状に成型される。

第２図イにおいて、７は円柱状に成型された硬化剤であ
り、第２図口において８は四角柱状に成型された硬化剤
である。

また、第３図においては、粘性液体樹脂と充填剤の混合
物１は第１の被膜層と第２の被膜層を有する被膜層付き
硬化剤１１と共にプラスチックフィルムチューブ５内に
収容され、プラスチックフィルムチューブ５の両末端は
金属クリップ６で密閉されている。

第１の被膜層と第２の被膜層を有する被膜層付き硬化剤
１１は棒状に成型された硬化剤２と硬化剤の全表面にわ
たって形成される第１の被膜層９と第１の被膜層の全表
面にわたって形成される第２の被膜層１０からなるもの
である。

棒状に成型された硬化剤２は第４図イ及び口に示すよう
に円柱状又は四角柱状に成型される。

第４図イにおいて１２は円柱状に成型された硬化剤であ
り、第４図口において１３は四角柱状に成型された硬化
剤である。

硬化剤２は過酸化ベンゾイル等の過酸化物と炭酸カルシ
ウム、硫酸カルシウム、ケイ酸塩等の稀釈剤及びアクリ
ル酸エステルとスチレンの乳化重合物等の有機物系結合
剤とからなるものであって、過酸化物、稀釈剤及び結合
剤とが均一に混合され、かつ過酸化物と稀釈剤は有機物
系結合剤の作用により強固に結合されている。

該硬化剤２は第２図イ９口及び第４図イ２口の如く円柱
状又は四角柱状に成型されている。

第１図及び第２図イ９口において、硬化剤２の全表面に
わたって形成される被膜層３は、粘性液体樹脂及び硬化
剤と非反応性の樹脂被膜層からなるものであり、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢
酸繊維素等が使用される。

又、第３図及び第４図イ、印とおいて、硬化剤２の全表
面にわたって形成される第１の被膜層９は、溶媒に可溶
でありかつ溶媒を除去することにより得られる樹脂組成
物からなるものであって、硬化剤及び第２の被膜層と非
反応性の樹脂被膜層であり、ポリビニルアルコール、ポ
リ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸繊維素等が使用さ
れる。

更に、第１の被膜層９の全表面にわたって形される第２
の被膜層１０は熱硬化性樹脂からなるものであって、第
１の被膜層及び粘性液体樹脂と非反応性の硬質樹脂被膜
層であり、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂が
使用される。

上記の如き被膜層を有する硬化剤は、まず過酸化物及び
稀釈剤に結合剤を加えて混合し、棒状に成型・固化させ
たものに被膜層を形成することにより得られる。

被膜層３又は第１の被膜層９はポリビニルアルコール、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸繊維素のいずれ
かを含有する溶液中に予め棒状に成型された硬化剤２を
浸漬させ、その後溶媒を除去することにより樹脂被膜層
が得られる。

更に第１の被膜層９の全表面にわたって形成される第２
の被膜層１０は、液状の不飽和ポリニス樹脂、エポキシ
樹脂等に適当な硬化剤を加えたものを第１の被膜層９の
全表面にわたって塗布するか、あるいは第１の被膜層９
を有する硬化剤を浸漬させ次いで重合・硬化反応により
硬質樹脂からなる第２の被膜層１０を形成することによ
り得られる。

ここにおいて第１の被膜層９は、例えば棒状に成型され
た硬化剤２の表面上に直接第２の被膜層を形戊七た場合
、第２の被膜層の重合・硬化中に第２の被膜層が硬化剤
と反応するものを未然に防止するために形成されるもの
である。

粘性液体樹脂と充填剤の混合物１に使用される材料は、
粘性液体樹脂としては不飽和ポリエステル樹脂等が使用
され、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸カルシウム
、石粉、砂等が使用される。

又、硬化剤としては過酸化ベンゾイル、硬化促進剤とし
てジメチルアニリンが使用される。

プラスチックフィルムチューブ５は例えば、ナイロン、
ポリプロピレン、ポリエステル等のフィルムからなるチ
ューブが用いられ、このプラスチックフィルムチューブ
５の中に粘性液体樹脂と充填剤の混合物１と被膜層付き
硬化剤４又は第１の被膜層と第２の被膜層を有する被膜
層付き硬化剤１１とを収容し、プラスチックフィルムチ
ューブ５の両末端を金属クリップで密閉することにより
この考案によるボルト固定用固着剤が得られる。

上記の如く構成されたボルト固定用接着剤は、第１図及
び第３図から明らかなように硬化剤２と粘性液体樹脂と
充填剤の混合物１との間に被膜層及び粘性液体樹脂と非
反応性の被膜層３、あるいは硬化剤及び第２の被膜層と
非反応性の第１の被膜層９更には第１の被膜層及び粘性
液体樹脂と非反応性の第２の被膜層１０が硬化剤２の全
表面にわたって形成かれている。

従って、粘性液体樹脂と硬化剤２とが直接に接すること
更には粘性液体樹脂と被膜層３あるいは第２の被膜層１
０との反応により被膜層が破壊されて粘性液体樹脂と硬
化剤２とが接触するのを未然に防止しているので、従来
、の硬化剤のように単に棒状に成型された硬化剤を収容
したものとは異なり硬化剤と粘性液体′樹脂との界面の
ところで粘性液体樹脂の重合が進行することはない。

また、この考案によるボルト固定用接着剤は、硬化剤２
は有機物系結合剤により過酸化物と稀釈剤とが強固に結
合されており、更に加えて該硬化；剤２の全表面にわた
って樹脂被膜層が設けられているので可トウ性があり、
硬化剤の強度が増大されている。

従って、この考案によるボルト固着用接着剤の輸送又は
取扱い時に硬化剤が折れて取扱いに不便を生じることは
ない。

また、仮りにこの１考案によるボルト固定用接着剤の取
扱い時に硬化剤が折れたとしても、従来のようにガラス
管の中に硬化剤を収蓉したものが折れた場合とは異なっ
て、硬化剤の破断部分がプラスチックフィルムチューブ
を突き破るおそれはなく、かつ硬化剤の破断面により手
を負傷するおそれはなく安全に取扱うことができる。

更に、硬質樹脂からなる第２の被膜層１０は、ボルト打
込み時の回転・衝撃により硬質の小片に破壊されるので
骨材としても有効に利用できるのみならず、硬質の小片
の作用によりボルトによる樹脂と硬化剤との攪拌混合効
果を高めるという効果も併せて有している。

更に、この考案によるボルト固定用接着剤は、例えばガ
ラス管に粉末状の硬化剤を封入したものとは異なり、火
気によりガラス管を封管する必要はなく、火気により硬
化剤特に過酸化物が変性をきたすおそれは全くない。

また、被膜層付き硬化剤も予め棒状に成型された硬化剤
２の全表面に被膜層を形成させるだけでよく、製造方法
も簡単であり連続かつ大量に生産することができる等の
利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第３図はこの考案によるボルト固定用接着剤
の一実施態様を示す一部切欠断面図、第２図は第１図の
Ａ −Ａ’横断平面図、第４図は第３図の１３−Ｂ’横
断平面図である。 第１図及び第２図において、１は粘性液体樹脂と充填剤
の混合物、２は棒状に成型された硬化剤、３は被膜層、
４は被膜層付き硬化剤、５はプラスチックフィルムチュ
ーブ、６は金属クリツプ、７は円柱状に成型された硬化
剤、８は四角柱状に成型された硬化剤である、第３図及
び第４図において、９は第１の被膜層、１０は第２の被
膜層、１１は第１の被膜層と第２の被膜層を有する被膜
層付き硬化剤、１２は円柱状に成型された硬化剤、１３
は四角柱状に成型された硬化剤である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 粘性液体樹脂と充填剤の混合物と、有機結合剤と稀
   釈剤及び過酸化物とが棒状に成型されかつ該棒状成型物
   の全表面にわたって樹脂被膜層を有してなる硬化剤をプ
   ラスチックフィルムチューブに収容して、プラスチック
   フィルムチューブの両末端を金属クリップで密閉してな
   るボルト固定用接着剤。 ２ 硬化剤の全表面にわたって形成される樹脂被膜層が
   粘性液体樹脂及び硬化剤と非反応性の樹脂被膜層からな
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のボルト固定用接
   着剤。 ３ 粘性液体樹脂及び硬化剤と非反応性の樹脂被膜層が
   、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
   ニル、酢酸繊維素のいずれかからなる実用新案登録請求
   の範囲第２項記載のボルト固定用接着剤。 ４ 硬化剤の全表面にわたって形成される樹脂被膜層が
   第１の被膜層と第２の被膜層からなり、第１の被膜層は
   溶媒に可溶でありかつ溶媒を除去することにより得られ
   る樹脂組成物からなるものであって、硬化剤及び第２の
   被膜層と非反応性の樹脂層であり、第２の被膜層は熱硬
   化性樹脂からなるものであって、第１の被膜層及び粘性
   液体樹脂と非反応性の硬質樹脂被膜層である実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のボルト固定用接着剤。 ５ 第１の被膜層がポリビニルアルコール、ポリ塩化ビ
   ニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸繊維素のいずれかからなり
   、第２の被膜層が不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹
   脂のいずれかからなる実用新案登録請求の範囲第４項記
   載のボルト固定用接着剤。