JPS6020063Y2 - 時計の停止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は時計の停止装置、特に針合せ操作時に時計輪列
を一時的に停止する停止装置の改良に関するものである
。

時計の針合せ操作時に時計輪列及び指示針の回転を停止
して正確な針合せを行なう為に従来より種々の停止装置
が提案されている。

従来の停止装置は、針合せ操作と連動する停止レバーの
先端を時計輪列中の任意の歯車に当接させ、前述した時
計輪列の回転停止を行っていた。

この従来装置では、歯車への当接作用を得るために停止
レバーはそれ自体弾性を有し、この結果、歯車の半径方
向への押圧力によって以下の欠点を生じていた。

即ち、停止レバーが当接する歯車に直接大きな弾圧力が
加わる為歯車真の曲り及び歯形部の変形を生じるという
欠点があった。

更に、従来装置では、停止レバーの弾性を利用し、歯車
との当接状態で適正な弾圧力を得る為に操作レバーの形
状寸法精度あるいはばね定数等を極めて正確に管理しな
ければならず、加工及び組立て作業性が悪いという欠点
があり、又、前述した適正な弾圧力を得る事ができない
場合には良好な停止作用を行なう事ができず、極端な場
合、針合せ操作時に停止不良が生じる等の欠点があった
。

従来の改良された装置として、停止レバーの弾圧力を利
用する事なく、輪列に停止用の特別の突起その他を設は
停止レバーと突起を係合する事により停止作用を得るも
のも提案されているが、この従来装置では特別な突起を
別個に設けなければならない等の欠点があった。

本考案は上記従来の課題に鑑み為されたものであり、そ
の目的は停止制御される輪列に半径方向の弾圧力を与え
る事なく良好な停止作用を得る事のでる改良された時計
の停止装置を提供する事にある。

上記目的を達成する為に、本考案は互いに噛合い結合し
ている時計輪列中の一対のカナ及び歯車に同時に噛合い
係合する停止突部と、前記停止突部を担持し針合せ操作
に応じて停止突部を一対のカナ及び歯車と噛合う位置そ
して離脱する位置に移動制御する停止レバーと、を含み
、停止突部と前記一対のカナ及び歯車との同時噛合いに
より時計輪列の回転を停止する事を特徴とし、互いに逆
方向に回転するカナ及び歯車が停止突部と突張現象を起
こしカナ及び歯車の半径方向への弾圧力を生じる事なく
良好な停止作用を得る事ができる。

本考案において停止突部は噛合い係合するカナ及び歯車
と同一モジュールを有する歯形とすることができ、この
停止突部は停止レバーと一体に成形しても、又停止レバ
ーに回転可能に軸支された歯車形状から形成してもよい
。

本考案において、操作レバーはその停止突部がカナ及び
歯車と噛合い係合する位置を規制する為に位置決めピン
と係合する事ができ、この位置決めピンにより停止突部
とカナ及び歯車との最適な噛合い状態を得る事ができる
。

以下図面に基づいて本考案の好適な実施例を説明する。

第１図には本考案に係る停止装置の要部が示され、針合
せ操作が行なわれない状態を示す。

実施例において停止制御される時計輪列中の一対のカナ
及び歯車としてはロータカナ１０及び六番歯車１２が選
択されている。

ロータカナ１０には図示していないが周知のロータが同
軸に固定され、水晶振動子その他の時間基準体から得ら
れる高精度の励磁信号により励磁される電磁変換装置に
よりロータ及びロータカナ１０が定速駆動される。

ロータカナ１０の定速回転は六番歯車１２及び図示して
いない周知の時計輪列を介して指示針に伝達され所望の
時刻表示作用が行なわれる。

本考案において特徴的な事は、前述したロータカナ１０
及び六番歯車１２の近傍に停止突部１４がロータカナ１
０及び歯車１２と噛合い及び離脱可能に設けられている
事である。

第１図の実施例において、停止突部１４は軸１６に軸支
された停止レバー１８の先端に一体形成された歯形から
成る。

停止レバー１８は針合せ機構と連動してその先端に担持
した停止突部１４をロータカナ１０及び六番歯車１２へ
噛合い及び離脱移動させる。

針合せ機構は時計の軸受板２０に軸支された針合せ軸２
２を含み、針合せ軸２２の一端に針合せカナ２４が固定
され、表示輪列に噛合い結合している伝えカナ２６と針
合せカナ２４とが係合若しくは離脱する事により針合せ
作用が得られる。

針合せ軸２２の上端には係合溝２８が設けられ、係合溝
２８に前述した停止レバー１８の一端に設けられた係止
ピン３０が係合する事により、針合せ軸２２の軸方向移
動により停止レバー１８が回動作用を行なう。

針合せカナ２４と軸受板２０との間には復帰スプリング
３２が挿入され、針合せ軸２２を常時第１図のように上
方向へ付勢して針合せカナ２４と伝えカナ２６との噛合
いが離脱されている。

同時に、この状態では停止レバー１８が軸１６を中心に
反時計方向へ回動した位置に保持され、この結果、停止
突部１４はロータカナ１０及び六番歯車１２から離脱し
た位置に保持されている。

本考案の第１実施例では以上の構成から戒り、以下に第
１，２図を参照しながらその作用を説明する。

第１図の状態から針合せ軸２２を図の下方へ引いて針合
せ作用を行なう状態が第２図に示されている。

針合せ軸２２の下方移動により針合せカナ２４は伝えカ
ナ２６と噛合い針合せ軸２２の回転により指示時刻を所
望時刻に針合せする事ができる。

これと共に、針合せ軸２２は停止レバー１８を軸１６を
中心として時計方向へ回動し、第２図に示されるように
、停止突部１４はロータカナ１０及び六番歯車１２と同
時に噛合い係合する。

図示した実施例においては、この噛合い係合位置は停止
レバー１８が位置決めピン３４に当接した位置で位置決
めされ、停止突部１４は単にロータカナ１０及び六番歯
車１２と噛合うのみでロータカナ１０、歯車１２を半径
方向に押圧する事はない。

第２図の噛合い状態において、互いに噛合い結合してい
るロータカナ１０及び六番歯車１２は各々矢印Ａ及びＢ
て示される反対方向に回転し、両回溝が停止突部１４に
より停止制御され、時計輪列及び指示針の回転を確実に
停止する事が可能となる。

以上のように第１実施例においては、停止突部１４によ
りロータカナ１０及び六番歯車１２を同時に噛合い停止
させ、停止レバー１８の弾性力等を利用する事なく歯形
噛合いにより良好な停止作用を得る事ができ、停止制御
されるロータカナ１０及び六番歯車１２に何等半径方向
の押圧力を与えることがなく、真の曲り、あるいは歯形
変形等を生起させる事なく良好な停止作用を得る事がで
きる。

第１，２図の実施例においては停止レバー１８及び停止
突部１４の停止位置を規制する為に位置決めピン３４が
設けられているが、本考案においては停止レバー１８の
弾性力を用いる事がないので、位置決めピン３４を除去
しても停止突部１４とロータカナ１０、歯車１２との噛
合い状態に大きな誤差を生じる事はない。

第３図には本考案に係る停止装置に好適な停止突部及び
停止レバーの他の好適な実施例が示され、第３図におい
ては、停止突部１４は停止レバー１８に軸３６にて軸支
された回転可能な歯車から成る。

この歯車１４によっても前述した第２図から明らかなよ
うに互いに噛合い結合するカナ及び歯車は逆方向に回転
するので、歯車１４を両者に同時噛合いさせる事により
カナ及び歯車は突張現象を起こし良好な停止作用を得る
事が可能となる。

第３図の停止レバー１８は、更にその一端に弾性部３８
を有し、第１実施例における復帰スプリング３２を必要
とする事なく針合せ機構の復帰力を与える事が可能とな
る。

尚、本考案において、停止突部は歯形形状とすることな
く、カナ及び歯車と噛合う突子とすることも可能である
。

以上説明したように、本考案によれば、停止制御される
輪列機構に何等悪影響を与える事なく良好な停止作用を
得る事ができ、又従来のような高精度の部品精度を必要
とする事がないので種々の時計に適用する事ができる利
点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る停止装置の好適な実施例を示す要
部平面図、第２図は第１図の針合せ操作時における状態
を示す平面図、第３図は本考案に係る停止装置の他の実
施例における停止突部及び停止レバーの構造を示す平面
図である。 １０・・・・・・ロータカナ、１２・・・・・・六番歯
車、１４・・・・・・停止突部、１８・・・・・・停止
レバー、３４・・・・・・位置決めピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに噛合い結合している時計輪列中の一対のカナ及び
   歯車に同時に噛合い係合する停止突部と、前記停止突部
   を担持し針合せ操作に応じて停止突部を一対のカナ及び
   歯車と噛合う位置そして離脱する位置に移動制御する停
   止レバーと、を含む時計の停止装置。