JPS594552Y2 - 発熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、正の抵抗温度係数を有するチタン酸バリウム
系半導体磁器発熱体（以下正特性磁器発熱体と称す）を
使用した発熱装置に関する。

正特性磁器発熱体は、周知のように、特定温度に達する
と電気抵抗が急激に増加して自己発熱を自動的に制御す
る自己温度制御機能を有し、ニクロム発熱体と違って過
熱の危険がなく、安全で信頼性も高いことから、従来よ
り各種の発熱装置の発熱源として広く利用されている。

正特性磁器発熱体は、一般にはペレット状に形成される
が、ペレット状であると、−素子当りの発熱量が小さく
、数百ワット以上に及ぶヘヤドライヤ、温風機または衣
類乾燥機等の発熱源として用いる場合には素子の使用数
が多くなり、性能面、コスト的に不利になる。

こうした欠点を解消するため、第１図に示すように、正
特性磁器素体１の厚み方向に多数の貫通孔２を設け、該
貫通孔２を開口させた面に電極３，４を設けたハニカム
状の正特性磁器発熱体が提案されている。

このハニカム状の正特性磁器発熱体は、単位体積当りの
有効表面積が非常に大きく、貫通孔２に直接空気等の流
体を貫通させることにより、効率の良い熱放散が得られ
、従来ペレット状のものでは得られなかった一素子当り
数百ワット以上の発熱が可能であると共に、昇温特性の
優れた温風を取り出すことができることから、ヘヤドラ
イヤ、温風機または衣類乾燥機などの送風を伴う大容量
製品の発熱源として広く利用されるようになってきた。

本考案は上述するハニカム状の正特性磁器発熱体におけ
る発熱量を更に増大させた大容量の発熱装置を提供する
ことを目的とする。

上記目的を質或するため、本考案に係る発熱装置は、多
数の貫通孔を有する正特性磁器発熱体の、前記貫通孔を
開口させた少なくとも一面上に、前記貫通孔に斜めに連
通ずる多数の貫通孔を有する放熱体を具備することを特
徴とする。

以下一実施例たる添付図面を参照し、本考案の内容を具
体的に詳説する。

第２図は本考案に係る発熱装置の断面図を示している。

図において、５，６はハニカム状の正特性磁器発熱体で
ある。

この実施例では、第１図に示したように、円板状に形成
された正特性磁器素体１の厚み方向に多数の貫通孔２を
設け、該貫通孔２を開口させた面に、電極３，４を設け
たハニカム状の正特性磁器発熱体として構威しである。

該正特性磁器発熱体５，６はキュリ一温度Ｔｃが、たと
えば２２０℃以上の高温域にあるものによって構成する
ことが望ましい。

すなわち正特性磁器発熱体５，６の発熱量をＷ、放熱係
数をＣ、キュリ一温度をＴｃ、周囲温度をＴａとしたと
き、 Ｗ＝Ｃ（ＴＣ−Ｔａ）・・・・・・（■）なる公式が成
立し、キュリ一温度Ｔｃと周囲温度Ｔａの温度差（Ｔｃ
−Ｔａ）が大きくなる程、大きな発熱量Ｗが得られるか
らである。

また、正特性磁器発熱体５，６は、単数としてもよいが
、実施例に示すように、２個以上の複数個として発熱量
の増大を図る場合には、送風方向Ｐ１に対して風下とな
る正特性磁器発熱体６のキュリ一温度Ｔｃを、風上の正
特性磁器発熱体５のキュリ一温度Ｔｃより高い値に設定
すると、より大きい発熱量が得られる。

キュリ一温度Ｔｃは、周知のようにチタン酸バリウムＢ
ａＴｉＯ３のＢａの一部を鉛Ｐｂで置換することにより
、容易に高温域へ移動させることができる。

７．８は放熱体であり、耐熱性、熱伝導性に優れた材料
、たとえばアルミニウム等の金属材料またはべりリア磁
器などを使用し、正特性磁器発熱体５゜６の外形とほぼ
円形の円板状に形成しである。

該放熱体７，８には、その厚み方向に多数の貫通孔９゜
１０を斜設してあり、この貫通孔９，１０が正特性磁器
発熱体５，６の貫通孔２に対して斜め１こ連通するよう
に、放熱体７，８を正特性磁器発熱体５，６の電極形成
面に対接させである。

放熱体７，８と正特性磁器発熱体５，６との界面には、
両者間の熱伝導性を高めるため、グリース等の熱結合剤
または弾力性のある熱伝導材を介在させることが望まし
い。

また放熱体７，８がアルミニウム等の金属材料で構成さ
れていて、正特性磁器発熱体５，６の電極３，４と放熱
体７，８との電気的絶縁性を確保する必要がある場合は
、両者の界面に熱伝導性に優れた耐熱絶縁物を介装する
必要がある。

またこの実施例では、放熱体５，６は、貫通孔９゜１０
の方向が互に逆向きとなるように配設してあす、シたが
って正特性磁器発熱体５，６と放熱体７゜８の各貫通孔
（９−２−１０−２）によってジグザグの貫通路が形成
される。

ただし放熱体５，６の貫通孔９．１０の方向は互に平行
する方向であってもよい。

貫通孔９，１０の開口率、すなわち放熱体７，８の全断
面積に対する貫通孔９，１０の面積の割合は、貫通孔９
．１０内を貫流する流体に対する風損を考慮し、正特性
磁器発熱体５，６の貫通孔２の開口率より若干大きい値
に選定するのが好ましい。

１１は、正特性磁器発熱体５，６、放熱体７，８を収納
する筒体であり、送風筒または放熱筒として、機能させ
ることもできる。

１２は送風ファンである。上述のように、本考案に係る
発熱装置は、正特性磁器発熱体５，６の貫通孔２を開口
させた少なくとも一面側に、この貫通孔２に連通ずる多
数の貫通孔９，１０を有する放熱体７，８を備えるから
、放熱体７．８の単位体積当りの有効表面積が非常に大
きく、貫通孔２，９．１０に直接空気等流体を貫流させ
ることにより、効率の高い熱放散が得られる。

この結果、前掲の公式（１）における放熱係数Ｃが大き
くなり、発熱量Ｗがより一層大幅に幅大することとなる
。

しかも、放熱体７，８の貫通孔９，１０を、正特性磁器
発熱体５，６の貫通孔２に対して斜めに連通させである
から、各貫通孔９，１０．２を貫流する空気が攪拌混合
され、正特性磁器発熱体５，６および放熱体７．８と流
体との間の熱交換効率が向上し、発熱量が更に増大する
。

また実施例に示すように、放熱体７または８を、正特性
磁器発熱体５または６より風上に配置した場合は、送風
空気に対して放熱体７，８による予熱作用が加えられる
から、正特性磁器発熱体５，６に対する熱衝撃が緩和さ
れ、発熱量が増大する。

以上のように、本考案に係る発熱装置は、多数の貫通孔
を有する正特性磁器発熱体の、前記貫通孔を開口させた
少なくとも一面側に、前記貫通孔に斜めに連通ずる多数
の貫通孔を有する放熱体を備えることを特徴とするから
、放熱係数、熱効換効率が高く、シたがって発熱量の大
きな発熱装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はハニカム状正特性磁器発熱体の斜視図、第２図
は本考案に係る発熱装置の使用状態における断面図であ
る。 １・・・・・・正特性磁器素体、２・・・・・・貫通孔
、３，４・・・・・・電極、５，６・・・・・・正特性
磁器発熱体、７，８・・・・・・放熱体、９゜１０・・
・・・・貫通孔。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）多数の貫通孔を有する正特性磁器発熱体の、前記
   貫通孔を開口させた少なくとも一面側に、前記貫通孔に
   斜めに連通ずる多数の貫通孔を有する放熱体を備えるこ
   とを特徴とする発熱装置。
2. （２）前記放熱体および前記正特性磁器発熱体は、それ
   ぞれ複数個づつ備えられることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の発熱装置。
3. （３）前記放熱体は、送風方向に対して正特性磁器発熱
   体より前方となるように設けられることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項または第２項に記載の発熱
   装置。