JPS5945243B2 - 水晶振動子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は薄板状水晶板から形成される屈曲振動型棒状水
晶振動子に関する。

本発明の目的は小型で、インピーダンスレベルが低く、
かつ製造容易な水晶振動子を提供することにある。

屈曲振動を行なう棒状水晶振動子は小型であり、しかも
高Ｑおよび高安定なので電子腕時計用の基準振動子とし
て広く使われている。

従来このような振動子の加工はワイヤソウ、ダイヤモン
ドホイールカッター、超音波加工等の機械的方法によっ
てきたが、最近その生産性を向上し、かつ小型化するた
めに、振動子の厚みを薄くしてホトエツチング技術によ
る化学的方法を利用することが行なわれている。

しかしながらこのように厚みの薄い振動子の電気的性能
は機械的方法によって加工された厚みの厚い振動子に比
してＣＩ（クリスタルインピーダンス）が高く劣ってい
る。

第１図は従来の機械的方法で加工された棒状水晶振動子
の一例を示す斜視図、第２図は第１図のＩ−Ｉ線截断面
図である。

図においてＸ、ＹおよびＺは水晶の結晶軸で、図中１は
結晶のＸ軸を中心にしてＹ軸およびＺ軸をα、すなわち
０〜＋８度回転させて、互に直交するｘ、ｙ’ｚ’に沿
って切り出した公知の回転Ｘ板からなる棒状の水晶素片
である。

この座標軸および角度のとり方は古賀逸策著「水晶の圧
電気に関する表示法及び記号の統一」昭和１３年８月発
行、電気学会雑誌、第５８巻、第６０１号、６５７頁〜
６５９頁によっている。

そして２ａは棒状の水晶素片１の側面された電極、３ａ
は棒状の水晶素片１の主面に形成された電極でこれらの
電極２ａと３ａとの間に高周波電圧をかけることによっ
て圧電振動が励振される。

すなわち、ある半周期における電界の模様は第２図に示
す通りであって、このＸ方向の成分が水晶にＸ軸力向の
ひずみを誘起する。

その極性から明かなようにＸ軸力向のひずみは、図示の
ように棒状の水晶素片の中心線を境として、左側を■と
すれば、右側はｅと逆相になり、所望の屈曲振動が励振
される。

棒状屈曲水晶振動子の共振周波数は主としてＸ軸力向の
長さ、およびＸ軸力向の幅によって定まリＺ軸方向の厚
さにはほとんど関係しない。

したがって、所要周波数の点からは厚みは非常に薄くす
ることが可能で、このように厚みの薄いものにあっては
ホトエツチングにより大きな素板から多数の同一形状の
棒状素板を一度に切り出すことが可能になっている。

また側面に形成する電極２ａは棒状素板を切り出した後
にこの素板に個々にあるいは何個かを種重ねて電極を蒸
着することにより容易に形成できる。

しかしこのように厚みの薄い振動子において、従来のよ
うな電極形状を使用したのではＣＩがいちじるしく高く
なって、使用に困難をきたしている。

その理由は第３図に示したように電界は四隅の部分に集
中し、後述のようなひずみの充分太きいところを電気力
線がほとんど通らないために有効な圧電励振ができない
からである。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので厚さが
薄く、しかもＣＩが良好な振動子を提供するものである
。

第４図はこの発明による水晶振動子の原理を説明する図
であって、棒状素板の断面と屈曲振動を振動したときの
ある半周期におけるひずみの分布をｘ、ｚ’座標上に示
したものである。

この振動においてはひずみはＺ′力方向ほぼ一様であり
、Ｘ方向には図示のようにほぼ直線的に変化し、中央で
零になって符号が反転する。

強勢に励振するためには電気力線ができるだけこのひず
みの大きい領域を通るようにしなければならない。

第５図は本発明の一実施例を示す斜視図であって、第６
図は第５図■−■線截断面図である。

図中１は棒状水晶素片、１０ａは棒状水晶素片１の側面
に形成された電極である。

本発明では、振動子の主面に形成する電極１１ａの幅を
主面の幅の５５〜８０％として上記のような電界が形成
されるようにした。

すなわち、主面に形成される電極１１ａの幅を主面の幅
に等しい値から次第に狭くしていくと上述のように次第
に強勢に励振できるようになる。

しかし過度に狭くすると、中央部付近は第４図に示すよ
うに元来ひずみが小さいので電気力線を通しても励振の
改善にはつながらない。

実験によれば主面に位置する電極１１ａの幅は主面の幅
の約７０％のときが最適であり、５５〜８０％の範囲で
実用的に良好なＣＩ値が得られた。

第７図に示すグラフは共振周波数が３２．７６８ＫＨｚ
の棒状屈曲振動型水晶振動子の主面の幅Ｗと電極の幅Ｅ
との比に対するクリスタルインピーダンスＣＩおよび容
量比Ｃｏ ／ ＣＩを示すものである。

なおこの振動子は厚み０．１ ｍｍ、幅０．７ ｍｍ１
長さ６．６關の水晶振動子素片に第６図に示すような断
面形状に電極を形成したものである。

このグラフからも明らかなように主面に設ける電極の幅
Ｅは主面の幅Ｗの５５〜８０％の範囲でＣＩが最も低く
良好な特性を得られる。

第８図は本発明の他の実施例であって、第９図は第８図
１１１−１線截断面の電極配置および電界を示す図であ
る。

この例では蒸着の際のマスク構成の便宜や、電極接続上
の便宜のために、第９図に示すように側面の電極１０ａ
を一部水晶素片の主面にはみださしである。

このはみだす幅はあまり広くなると、すでに述べたひず
みの分布から明らかなように励振を阻害するから水晶素
片の主面の幅の８％以下にとどまるのがよい。

第１０図に示すグラフは主面の幅Ｗと側面の電極が主面
にはみだす幅りとの比に対するクリスタルインピーダン
スＣＩの変化を示すものである。

なおここで用いた振動子も第７図のグラフに示す振動子
と同一形状でかつ主面の幅Ｗに対する電極幅Ｗの比を３
５％および４４％の２種類について測定した。

このグラフからも明らかなように上記主面のはみだし幅
りは主面の幅Ｗの８％以下において良好な特性が得られ
る。

以上詳述したように本発明はホトエツチングでも加工で
きるような厚さの薄い棒状屈曲振動型水晶振動子でも、
強勢に励振できるような、電極形状、配置を与えるもの
であって、インピーダンスレベルが低く量産性に適した
小型な水晶振動子を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の棒状水晶振動子の一例を示す斜視図、第
２図は第１図１−Ｉ線截断面図、第３図は第１図の振動
子の振動姿態を示す図、第４図は本発明の詳細な説明す
る図、第５図は本発明の一実施例の水晶振動子を示す斜
視図、第６図は第５図の■−■線断面図、第７図は上記
実施例の電極幅とクリスタルインピーダンスおよび容量
比の関係を示すグラフ、第８図は本発明の他の実施例を
示す斜視図、第９図は第８図■−■線截断面図、第１０
図は電極のはみだし幅とクリスタルインピ−ダンスとの
関係を示すグラフである。 １・・・・・・水晶素片、１０ａ、１１ａ・・・・・・
電極。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 幅に対して厚みを充分に小さくした薄板状水晶板か
   ら形成される屈曲振動型棒状水晶振動子において、一方
   の電極を振動子の側面、他方の電極を振動子の主面中央
   部にそれぞれ形成し、かつ平面に形成される電極の幅を
   振動子主面の幅の５５％〜８０％にするとともに側面の
   電極が主面にはみだす幅を主面の幅の８％以下に抑えた
   ことを特徴とする水晶振動子。