JPS5942874B2 - 再帰性反射シ−トの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は再帰性反射シート状物の焦点樹脂層面に液状で
流動性を有する顔料分散液を用いて所望の文字、図柄等
を印刷または押印し、ガラス微小球子間の同心円的に形
成された焦点樹脂の谷間部分にのみ着色せしめた後、そ
のうえに金属蒸着により光反射層を形成して得る再帰性
反射シート状物に関するものであり、その目的とすると
ころは再際性反射シート状物に特定の文字または図柄等
を克明に印刷、押印し、白昼光下でのある特定距離（約
２ｍ）からは確実容易に判読出来るが、夜間における自
動車のヘッドライト等の直線性を有する再帰反射光を目
視したときには文字や図柄等が消失したごとくなつて観
測者には視認できないようにされた再帰性反射シート状
物を提供することにある。

従来再帰性反射シートの用途目的は道路標識等の交通安
全に関する用途が主であるが、他面、反射シート状物に
特定な文字や図柄等を賦与する目的はメーカー名、国名
、品質標示、公的用途等の明確化が要求されつつあるか
らである。

特定の文字や図柄等が再帰反射光においては消失するご
とくせねばならぬ目的は再帰性反射シート表面上に透明
性インキやシートの切文字などで再帰反射し、かつ視認
し得る図柄を賦与したときのその文字や図柄と前記特定
の文字、図柄と混同することを避けるためである。

再帰性反射シート状物に単に文字や図柄を賦与せしめる
方法は製造工程における積層段階でいかなる層にも適用
可能であるが、本発明のごとき再帰反射光にのみ文字や
図柄を消失させる適用工程は極く限られた範囲である。

例えば表面樹脂層に近い部分や表面樹脂層内部に文字、
図柄を賦与する場合には、直線性を有する光線の樹脂膜
透過にともなう透過条件が文字や図柄の線の太さ、印刷
するインキの濃度、インキの色等極く限られた厳しい条
件下で製造されなければ満足されない。また、再帰性反
射シートの表面樹脂に分散された透明顔料や染料の色調
によつてさらに複雑な条件選定が必要になるのである。
さらに困難なことは、製造工程の比較的前工程で特定の
文字や図柄を付与する場合、同一ロッド内での異種文字
、図柄の振分けが困難なことで生産性のうえからも不合
理が生じる。従来から同種のすかし印刷を付与した再帰
性反射シートとしてはガラス微小球子に同心的に形成さ
れた焦点樹脂層にアルミニウム粉末等の金属粉を混入し
た半反射顔料を印刷塗膜し任意の文字や図柄等を賦与せ
しめ、次いでアルミニウム等の金属蒸着によつて光反射
膜を付与する方法が採られ白昼光下では半反射顔料と反
射シート表面樹脂との明度差が生じ視認できるが、夜間
の再帰反射光下では半反射顔料と金属蒸差膜との反射相
乗効果で文字や図柄は消失して視認できない方法をとつ
ている。

かかる方法では反射シート自体の色調によつて半反射顔
料の印刷乾燥後の明度と反射シートの表面樹脂顔料の明
度が近接する場合、白昼光下でのコントラストがつき難
く文字や図柄等が鮮明に出現し難いものである。本発明
の方法による再帰性反射シートの特徴はガラス微小球子
に同心的に焦点樹脂を形成させたる後、焦点樹脂の例え
ばアクリル酸メチル、エチル等のエステル誘導体、ウレ
タン、塩化ビニル、ブチラール、アルキツド、等の焦点
樹脂材質を溶解または変型させることなく印刷や押印し
得る水分散型、溶剤分散型、油中水型、水中油型のエマ
ルジヨン等の着色剤を用い、セツテイング工程から乾燥
工程で同心的に形成された焦点樹脂の谷間部分に流動固
着し得る条件で印刷または押印する。

印刷はグラビア方式でもスタンピング方式でも、いづれ
の方法も使用できる。本発明の印刷後の状態を顕微鏡で
観察すると印刷後の着色剤はただちに流動を開始して約
５秒間で完全にガラス微小球子の谷間部分に移行するこ
とが観察できる。流動移行した顔料分散液は液の蒸発に
ともない同心的半球体の焦点樹脂の谷間部のみ顔料で着
色され、焦点樹脂の山部分は溶解変型されることなく初
期の形状で光透過性を有したまま残存される。図面の第
１図は従来の再帰性反射シートの断面図で、第２図、第
３図は本発明の再帰性反射シートであり、１は表面樹脂
層、２はガラス小球子を安定に固着させるための固着樹
脂、３はガラス微小球子４は焦点樹脂、５はガラス微小
球子の谷間部分に乾燥沈着した顔料分散液、６は光反射
層である。本発明の方法によると表面樹脂側から文字や
図柄等を観察した際、ガラス微小球子間の再帰反射に寄
与しない部分の着色部分を観察することになり鮮明に文
字が視認できるのである。また夜間の再帰反射光は着色
顔料の付着部分とは関係なく殆んど全面的にガラス微小
球子の性能を低下させないものである。かかる方法で文
字、図柄等を印刷すれば文字や図柄の太さは制限されな
くなるのであり、顔料分散液中の顔料濃度は比較的低濃
度から高濃度まで使用出来、低濃度領域においても非常
に鮮明な印刷が可能である。また夜間の再帰反射光によ
る観測では文字図柄が完全に消失し、シート自体の色調
に合せて種々の色印刷が可能となるのであり、かかる方
法で印刷した後、アルミニウム等の金属蒸着を施し完成
品となすのである。金属蒸着の前工程での印刷であるた
め、小ロッドに分割して文字、図柄の振分けが可能であ
り、生産ロスが非常に少なくなるという利点を有するも
のである。次に本発明に関する実施例をあげる。

実施例 １ ポリエステルベースフイルム７５μのうえにアクリル酸
エステル共重合物のトルエン−イソプロピルアルコール
溶液を用いて乾燥膜厚２５μの表面樹脂層を形成させ、
アタリル酸エステルの共重合物をイソシアネートで架橋
してなるアクリルウレタンでガラス微小球子を５０〜８
０％固着埋没させ、さらにアクリル酸エステル共重合物
のトルエン−イソプロピルアルコール溶液で同心的に焦
点樹脂層を施けた。

本基体を使用し上記条件でグラビア印刷（２００メツシ
ユ、深度１０μ）を行い１３０℃で３０秒間乾燥した後
金属蒸着を行つたところ文字は非常に鮮明で、印刷の部
分はもちろん、全面印刷の部分も再帰反射光で観察した
場合、完全に消失した。

実施例 ２ 厚さ５０μのポリエステルフイルム上に無黄変タイプの
ポリウレタン１液型溶液を厚さ１５μに塗工し、５０〜
６０μ径のガラスビーズ（屈折率２．２〜２．２５）を
熱可塑性ポリウレタンに５０％〜８０％埋没させて固定
し、軟質アクリル樹脂の固型分３０％のトルエン−ブタ
ノール溶液を用い同心的に光学特性を持たせた後グラビ
アロール２５０メツシユ深度１０μ〜５０μに変化させ
たロールを使用し、文字太さ０．５へ〜７〜と全面印刷
を以下の条件で行つた。

乾燥条件１２『Ｃ時間３０秒行つたのちアルミニウム蒸
着を施したところいづれも文字は非常に鮮明であり、さ
らに再帰反射光では完全に文字は消失し初期の目的は達
せられた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一般的な反射シートの拡大断面図、第２
図は本発明によりなる反射シートの拡大断面図、第３図
はその平面図を示すものである。 １は表面樹脂層、２は固着樹脂層、３はガラス微小球子
、４は焦点樹脂層、５顔料分散液、６は光反射層である
。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 平滑で透明性を有する表面樹脂に一定の光学的連携
   を維持しつつ透明微小球子、及び該透明微小球子に対し
   同心的に焦点樹脂を積層した後、焦点樹脂層に対して液
   状で流動性に富む顔料分散液を用いて所望の文字、図柄
   等を印刷又は押印し、印刷箇所の各透明微小球子に対し
   同心的に形成された、焦点樹脂層の谷間部分のみを着色
   して、さらに全面に金属蒸着を施すことを特徴とする再
   帰性反射シートの製造方法。