JPS5936694Y2 - 内燃機関用吸気消音器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の吸気ダクトに取り付けて吸気騒音を
低減させる吸気消音器に関する。

自動車或いは建設機械等（以下車両等という）から発散
する騒音は種々の発生源からの騒音が重なり一合ったも
のであるが、その発生源の−っに機関の吸気系から発散
するいわゆる吸気騒音がある。

該吸気騒音は機関回転速度と吸気ダクト形状とによって
特定される下記（１）式に示す低周波騒音を主成分とす
る。

即ちｆ ＝ Ｎ ／６０Ｘ ２ ／ ｚ Ｘ ｎ ＝（
１）但し、 ｆ：吸気騒音の周波数（Ｈｚ）Ｎ：機関
の回転速度（ｒｐｍ） Ｚ：機関のサイクル数 ｎ：機関の気筒数 例えば、８気筒４サイクル機関で回転速度が２００Ｏｒ
ｐｍの場合発生周波数は１３３Ｈｚとなる。

かかる低周波騒音の低減対策は、高周波騒音の低減対策
として有効な遮音板、吸音材料等を用いる方法では難し
く重量増加、コスト高をもたらす割りには充分な騒音低
減機能を発揮できない。

これに対し、吸気ダクトに吸気消音器を接続することは
吸気騒音低減対策の有効な手段として広く採用され各種
構造のものが考案されている。

その代表的なものとして第１図に示すような共鳴形消音
器があり、吸気ダクトに接続することにより特定の低周
波騒音に対しては相当以上の騒音低減機能を発揮できる
。

即ち、このものは低周波の吸気騒音を消音器の空胴室内
に吸収して共鳴させつつ減衰させるようにしたものであ
り、消音器固有の共鳴周波数（いわゆる固有振動数）及
びその整数倍の周波数近傍の周波数領域における吸気騒
音を効果的に減衰できるものである。

かかる吸気消音器の共鳴周波数ｆｐは次式で示される。

但し、 ｆｐ＝ｃ／２帽Ｓ／ｐＶ・・・・・・・・・（２）Ｃ：
音速 ｍ ／Ｓ Ｓ：入口部断面積（第１図参照） ｌ：人口部の軸方向長さく第１図参照） ■：空胴室容積（第１図参照） しかしながら従来の吸気消音器ではその共鳴周波数ｆｐ
が上記（２）式で示した如く寸法諸元によって定まる固
有のものであるのに対し、吸気騒音の発生周波数は前記
（１）式で示したように機関回転速度に比例して変化す
るため、特に車両等の機関のように広範囲な回転速度域
に亘って運転される場をには該発生周波数ｆｎは第２図
に示すように大幅に変動する。

従って従来の吸気消音器では消音器の共鳴周波数及びそ
の整数倍の周波数近傍の吸気騒音が発生する特定の機関
回転速度域においては良好な消音機能を発揮するが、そ
れ以外の回転速度域においては、殆んど消音機能を発揮
を得ないものであった。

この欠点を解消するため共鳴周波数の異なる多数の消音
器を配設することも可能ではあるが、車両等のエンジン
ルームの限られたスペースで多数の消音器を設けること
は実質的に困難であり、又、重量増加、吸気抵抗の増大
にもつながるものである。

本考案はかかる従来の吸気消音器の欠点を改善すべく為
されたもので、吸気消音器の空胴室を機関回転速度に関
連して容積変化させる構成としてその固有振動数を連続
的に変え、もって機関運転領域の全体に亘って消音機能
を持たせ吸気騒音を減衰させるようにした吸気消音器を
提供するものである。

以下に本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第３図において、図示しないエアクリーナと機関の吸入
ポートとを連結する吸気ダクト１の周壁の一部を開口し
、該開口部１ａに本考案に係る吸気消音器２を接続して
取り付ける。

吸気消音器２は下記のように構成される。

即ち、入口部３Ａと該人口部よりも断面積大のシリンダ
部３Ｂとを一体成形した段付状の筒体３を人口部３Ａの
開口部と吸気ダクト１の開口部とを重合させて吸気ダク
ト１周壁に溶接等で固定取付する。

シリンダ部３Ｂにはピストン４を摺動自由に挿通し、固
定体であるシリンダ部３Ｂと、可動体であるピストン４
とによって画成される空胴室５容積を可変に形成すると
共に、該ピストン４を筒体３の開口端部にクロス結合さ
れたブラケット６にスプリング７を介して連結する。

次にがかる構成を有した吸気消音器の作動について説明
する。

前記したように機関回転速度が増大するとこれに比例し
て吸気騒音の発生周波数が増大するが、同時に吸入負圧
Ｐも第２図に示す如く増大する。

このとき吸気ダクト１内部に連通ずる空胴室５内の吸入
負圧が増大すると、該吸入負圧と平衡するまでスプリン
グ７が引張られピストン４が図示上方向に移動するため
空胴室５容積が減少する。

こうして空胴室５容積が減少すると前記（２）式から明
らかなように吸気消音器２の共鳴周波数が増大する。

即ち、機関回転速度の増大に伴ない吸気騒音の発生周波
数ｆｎが増大するが同時に吸気消音器の共鳴周波数ｔ’
ｐも増大するのであり、従ってスプリング７の弾性率及
び吸気消音器２の寸法諸元を適当に設定することにより
機関回転速度の全領域に亘って前記発生周波数ｆｎと共
鳴周波数ｆｐとが接近して良好な消音器の消音機能が得
られ吸気騒音を減衰させることができるのである。

この関係を第２図及び第４図を用いて例示する。

今、特定の機関回転速度ｎｏに対応して吸気騒音の発生
周波数ｆｎｏと消音器の共鳴周波数とが一致するように
設定すると、該回転速度ｎｏにおいて消音機能が最大限
に発揮されるのは勿論であるが、機関回転速度が例えば
ｎｌにまで増大しても該機関回転速度ｎ１に対応する発
生周波数ｆｎ１と共鳴周波数ｆｐ、とは略一致しており
、良好な消音機能を発揮できることが明らかである。

第５図は本考案の第２の実施例を示し、入口部１１ａ及
びこれより大径の胴壁部１１ｂを段付状に一体成形され
吸気ダクト１に連通して固定取付された筒体１１と、皿
形状の可動壁部材１２とをこれらの周縁部相互をシール
ラバー１３を介して密閉状態に連結したもので吸気消音
器１０を構成する。

この場合にも胴壁部１１ｂ、シールラバ−１３及ヒ可動
壁部材１２によって形成される空胴室１４が、吸入負圧
の増減に応じてシールラバー１３が弾性変形することに
より容積変化するため、該シールラバー１３の弾性率を
適当に設定することにより前記実施例と同様機関運転領
域の全体に亘って良好な吸気騒音低減機能が発揮される
。

本考案は以上説明したように共鳴型吸気消音器の空胴室
を吸気ダクトに固定取付された固定壁部と該固定壁部に
弾性部材を介して気密に連結した可動壁部とで形成し、
空胴室内に発生する吸入負圧に応じて空胴室容積が変化
するように構成したから車両等の機関のように広範囲な
回転速度域で運転されるものに対しても該運転領域の全
体に亘って吸気騒音を減衰させることができ吸気騒音対
策として極めて有効に機能するものである。

又、構造も簡単であるから低コストに実施できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は従来の吸気消音器構造を示す断面図、第２図は
機関回転速度に対する吸入負圧及び吸気騒音の発生周波
数の関係を示すグラフ、第３図は本考案に係る吸気消音
器構造を示す断面図、第４図は同上の吸気消音器の空胴
室容積に対する吸入負圧及び該消音器の共鳴周波数の関
係を第２図のグラフと対応して示すグラフ、第５図は本
考案に係る第２の吸気消音器構造を示す断面図である。 １・・・・・・吸気ダクト、２，１０・・・・・・吸気
消音器、３Ａ・・・・・・人口部、３Ｂ・・・・・・シ
リンダ部、４・・・・・・ピストン、５，１４・・・・
・・空胴室、７・・・・・・スプリング、１１ｂ・・・
・・・胴壁部、１２・・・・・・可動壁部材、１３・・
・・・・シールラバー。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）機関の吸気ダクトに小断面積の入口部を介して空
   胴室を連通接続しでなる吸気消音器において、前記空胴
   室を、吸気ダクトに固定された固定壁部と機関吸入負圧
   の増大に伴って空胴室容積を減少させるべく応動する可
   動壁部とで気密に形成し、吸気消音器の共鳴周波数が連
   続的に変化するようにしたことを特徴とする内燃機関用
   吸気消音器。
2. （２）シリンダ状に形成された固定壁部にピストン部材
   に形成された可動壁部が摺動自由に挿通され、両者がス
   プリングによって連結されてなる実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の内燃機関用吸気消音器。
3. （３）筒状に形成された固定壁部と皿状体に形成された
   可動壁部とがこれらの周縁部相互をシールラバーを介し
   て連結してなる実用新案登録請求の範囲第１項記載の内
   燃機関用吸気消音器。