JPS5918918B2 - ピツクアツプカ−トリツジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、いわゆるムービングマグネット形のピックア
ップカートリッジの構造に係り、特に厚み方向に着磁さ
れた偏平アーマチュアを用いた構成として最適なピック
アップカートリッジに関する。

従来より、この種のピックアップカートリッジ（以下、
単に「カートリッジ」と称する）としては第１図及び第
２図に示したものが知られて（・る。

第１図に示したカートリッジは、一端に音針１を取着し
たカンチレバー２の他端に、厚み方向に着磁された偏平
アーマチュア３をカンチレバー２の軸方向に対して直交
延在するようにして取着し、この偏平アーマチュア３を
ヨーク４内において支点５を中心として前後方向（矢印
Ａ方向）で傾斜振動可能に支持し、偏平アーマチュア３
の傾斜振動（振動により一方へ傾斜偏倚した状態を仮想
線で示した）に際して、ヨーク４に流れる磁束の方向を
切換え、このヨーク４に巻装された線輪６に電圧を誘起
するようにしたものである。

しかし、この第１図の構成では、偏平アーマチュア３の
振動に際し、ヨーク４に対して偏平アーマチュア３の磁
極部がほんの少ししか移動せず、しかも着磁された厚み
方向の寸法に対して、これと対向するヨーク４０寸法が
長いため、図示の様に線輪６に鎖交する有効磁束φいの
他に線輪６に鎖交しない無効磁束φＢが多（発生してし
まい、良好な感度を得るのが困難である。

これに対し、第２図に示したカートリッジは、断面がほ
ぼＥ字状のヨークＩを、その中央磁極Ｐ１が、静止時の
偏平アーマチュア３０周縁に適宜なる間隔をもって対向
するように配置し、偏平アーマチュア３の傾斜振動（振
動により一方へ傾斜偏倚した状態を仮想線で示した）に
際してその周縁がヨークＪの前側磁極Ｐ２に近づ（か、
後側磁極Ｐ３に近づ（かによってヨーク７０線輪６を巻
装した部分に流れる磁束方向を切換え、線輪６に電圧を
誘起するようにしたものである。

このようにした第２図の構成においては、偏平アーマチ
ュア３の傾斜振動に際して、その周縁の磁極の一方は中
央磁極Ｐ１ に対して磁気的バランスをくずして接近す
るが、他方の磁極が前側或いは後側磁極Ｐ２．Ｐ３に接
離する距離の変化量は小さいので発電効率が高いとはい
えなかった。

また、上記第１図、第２図に示した構成では、線輪６及
びこれを巻装するヨーク４或いは７はそれぞれ独立して
一方向についての振動を検出する構成であるので、＝般
の２チヤンネルステレオ用とするには、Ｌチャンネル（
左チャンネル）用、及びＲチャンネル（右チャンネル）
用にそれぞれ同様の構成を一組づつ、つごう２組必要で
あり、しかも、磁極面等の構造上、ヨーク４及び７は例
えばボーマロイなどの磁性材料を厚み方向にコ字状に折
曲しなげればならず、磁気特性の劣化を招くおそれがあ
る。

従って、これら従来の構成は、ヨークの製作、またこれ
を組立てる上での容易性、製造上及び特性上のバラつき
などの点で好ましいとはいえなかった。

本発明は、この様な事情に基いて、なされたもので、発
電効率が高く、電気磁気特性に優れてしかも構成が簡単
で且つ容易に製造できるカートリッジを提供することを
目的としている。

以下、第３図以降を参照しながら、実施例を用いて本発
明について詳細に説明する。

第３図は本発明の一実施例を示す斜視図、第４図はその
正面図である。

図において、一端に前針１を取着したカンチレバー２の
他端に、厚み方向に着磁された円形板状の偏平アーマチ
ュア３を前方をＮ極としカンチレバー２の軸方向に対し
て直交延在するようにして取着し、この偏平アーマチュ
ア３をその中心軸上の厚み方向での中央を支点として傾
斜振動し得るようにして適宜なるダンパー（図示せず）
を介して支持し、予定の一位置に付勢静止させるべ（構
成している。

更に、この付勢静止位置にある偏平アーマチュア３の延
在平面と同−或いは平行な平面上に偏平アーマチュア３
より薄い３本の脚部８−１ 、８−２ 、８−３を有す
るヨーク８を偏平アーマチュア３の上方に位置する如（
配設し、このヨーク８０両側脚部８−１及び８−２の先
端磁極面がそれぞれ偏平アーマチュア３０周縁の左右両
側方の側面部に適宜間隔を存して対向するようになし、
中央脚部８−３の先端磁極面が上側方の側面部に適宜間
隔を存して対向するようになし、これら各脚部８−１．
８−２゜８−３には両側脚部８−１及び８−２にそれぞ
れ線輪Ｌ１及びＲ１を巻装し且つ中央脚部８−３に線輪
Ｌ２及びＲ２を共に巻装する。

前記線輪Ｌ１とＲ２及びＲ１とＲ２はそれぞれ後述の如
く前針１の振動に基くアーマチュア３の所定の傾斜振動
に対応する誘起信号以外の誘記信号は相殺し且つ所定の
傾斜振動に対応する誘起信号は加算するように結線し、
各々前針１の振動に応じたＬチャンネル及びＲチャンネ
ルの信号をとり出すＬ側線輪り及びＲ側線輪Ｒとなす。

次に上記構成における発電原理について詳細に説明する
。

すなわち、第４図の状態から、第５図に示すように前針
１が変位し偏平アーマチュア３が図示Ｘ−Ｘ線を軸に、
基準面（レコード盤面）に対する垂直方向に対して４５
°の角度をなすＹ′方向に傾斜偏倚したとすれば、ヨー
ク８の左側脚部８−１の先端磁極面に偏平アーマチュア
３ＯＮ極が接近し、中央脚部８−３と右側脚部８−２の
それぞれの先端磁極面にはＳ極が接近するので、ヨーク
８には第５図に示すように磁束φ０．φｌ。

φ２が生ずる。

（但し、φθキφ１＋φ２）従って、左側脚部８−１に
巻装・した線輪Ｌ１、中央脚部８−３に巻装した線輪Ｌ
２にはそれぞれ図示極性の電圧が誘起され、これら線輪
Ｌｌ ｔ Ｒ２を図示の如く前記誘起電圧が加算される
ように結線してＬ側線輪μとしておけば、偏平アーマチ
ュア３の前記Ｘ−Ｘ憩を軸とした傾斜振動による磁束の
変化に比例した電圧がＬ側線輪りからとり出せる。

一方、ヨークｌの右側脚部８−２に巻装した線輪Ｒ１と
中央脚部８−３に巻装した線輪Ｒ２にはそれぞれ図示極
性の電圧が誘起されるが、これら線輪Ｒ１，Ｒ２を図示
の如く前記誘起電圧が相殺されるように結線してＲ側線
輪Ｒとしておくことにより、偏平アーマチュア３の前記
ｘ−ｘｉを軸とした傾斜振動によってはＲ側線輪Ｒには
電圧は誘起されない。

この場合、線輪Ｒ１とＲ２の巻数比の関係はそれぞれの
巻数をＮＲ１及び獄２とすれば、線輪Ｒ１に誘起される
電圧が線輪Ｒ２に誘起される電圧と等しくなるように ｄφ２ ｄφ１ ＮＲ１−−Ｎｌ匂− ｄｔ ｄｔ なる関係を満足する如く設定することはいうまでもない
。

また、上記とは反対に偏平アーマチュア３が第４図の状
態から第６図のようにＹ−Ｙ’線を軸に基準面に対する
垂直方向に対して４５°の角度をなすＸ′力方向傾斜偏
倚したとすれば、偏平アーマチュア３のＮ極はヨーク８
の右側脚部８−２の先端磁極面に接近しＳ極は左側脚部
８−１と中央脚部８−３の先端磁極面に接近して、図示
した方向に磁束φ。

′、φ１′、φ２′が生じ、この場合上述の様に線輪Ｒ
１とＲ２及びＬｌとＲ２が結線されていると、線輪Ｒ１
，Ｒ２に誘起された電圧は加算され、線輪Ｌｌ Ｊ Ｒ
２に誘起された電圧は相殺されて、結果的にはＲ側線輪
旦には偏平アーマチュア３０Ｙ−Ｙ”線を軸とした傾斜
振動による磁束の変化に比例した電圧が誘起され、この
よりなＹ−Ｙ”線を軸とした傾斜振動ではＬ側線軸方に
は電圧は誘起されない。

この場合線輪Ｌ１とＲ２の巻数比も上述の線輪Ｒ１とＲ
２の巻数比と同様に設定されている事は勿論である。

このような発電原理による上記構成のカートリッジは性
能面においても、また製作面においても種々の利点を有
する。

すなわち、上述においては偏平アーマチュア３０周縁に
延在するヨークｌの３本の脚部８−１ 、８−２ 、８
−３の厚さ１１ は第１図に示す側面図のように厚み方
向に着磁されている偏平アーマチュア３の厚さＲ２より
薄く設定しているため、従来の構造（例えば第１図）に
比して無効磁束の発生が少なく、また偏平アーマチュア
３のわずかな変位に対してもヨーク８脚部間に磁位差が
発生するため発電効率が高い。

しかも、この場合、構造上、偏平アーマチュア３とヨー
クｌの脚部８−１．８−２．８−３との間隔を容易に狭
く設定できるので、更に発電効率を向上できる。

また、発電効率がよいため偏平アーマチュア３の厚さを
薄（したり、外形を小さくしたりできるので、振動系を
軽量化でき、周波数特性および機械インピーダンス特性
を向上できる。

また、偏平アーマチュア３の下方（レコード盤面側）に
ヨークを配設しない構成であるので、第７図の如く発電
部下側とレコード盤面との間隔ａを広くとる事ができ、
このため垂直トラッキング角βの設計が容易であり、ま
たカンチレバー２の長さを短かくして振動系の軽量化を
図ることも容易に行なえる。

更に、ヨーク８の中央脚部８−３に巻装した線輪Ｌ２．
Ｒ２の巻数を適宜設定することにより、Ｌ、 Ｒチャン
ネル間のクロストークの値をよくすることが出来、且つ
一定の範囲内で任意に選定することも出来る。

ヨーク８における磁路を短かく設定でき、ヨークの曲げ
加工も不要となるため、磁気損失が少ない。

特に、上記構成では曲げ加工が不要であるためヨーク部
のラミネーション即ち成層構造化が容易に行なえ、磁気
回路の周波数特性の向上を容易に図り得る。

また、偏平アーマチュア３の下方にヨーク１が存在して
いないため、振動系の着脱に際しても従来のように正面
から着脱する以外に下方からの着脱が可能となり、振動
系の着脱、いわゆる針交換を簡単化できる。

また、ヨーク基の脚部８−１．８−２．８−３の線輪Ｌ
ｌ ｔ Ｒ２ｔ Ｒ１ｔ Ｒ２を巻装する部分の間隔を
広くできるので巻線作業の簡単化が図れる。

また、従来、２チヤンネルステレオ用カートリツジでは
Ｌチャンネル用及びＬチヤンネル用にそれぞれ独立して
１組づつ、計２組のヨークが必要であったが、上記構成
によればヨーク８は一組でよく、ヨークｌの製作上及び
カートリッジの組立製作上有利であり、製作費の低減化
が図れる。

その他、小型、軽量、構造が簡単であること等により生
ずる種々の効果がある。

尚、上記実施例においては、アーマチュア３の厚さく磁
化方向寸法）よりも薄い３本の脚部８−１．８−２，８
−３を有するヨーク８をアーマチュア３の磁化方向に対
して直角な方向に配設しであるが、これはアーマチュア
３０周縁に３本の脚部の先端が対向し、３本の脚部間が
磁気的に連結してさえいれば、例えば第８図に示すよう
な形状のヨーク９としてもよ（、第９図に示すような形
状のヨーク１０等としても良い。

また、同実施例においては円形板状の偏平アーマチュア
３を用いる構成としたが、第１０図に示すように棒状ア
ーマチュア１１を用い且つこのアーマチュア１１に対し
てアーマチュア１１の長さ方向に平行な磁極面で三本の
脚部１２−１．１２−２，１２−３を対向させたヨーク
１２を設ける構成としてもよい。

この場合は、脚部１２−１．１２−２，１２−３の対向
磁極面はアーマチュア１１より長い方が好ましい。

また、アーマチュアの形状も円形に限らず、第１１図ａ
のように正方形、同図すのように略半円形、同図Ｃのよ
うに略三角形、同図ｄのように略凸字状などでもよい。

このほか、本発明はその要旨を変更しない範囲内で種々
変形して実施できるものである。

以上詳述したように本発明によれば、発電効率が高く、
電気磁気特性に優れてしかも構成が簡単で且つ容易に製
造できるカートリッジを提供する事ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のピックアップカートリッジの一例の概略
的構成図、第２図は従来のピックアップカートリッジの
他の例の概略構成図、第３図は本発明の一実施例の概略
構成を示す斜視図、第４図は同実施例の正面図、第５図
及び第６図は同実施例の発電原理を説明するための図、
第７図は同実施例の側面を示す概略構成図、第８図〜第
１０図はそれぞれ本発明の異なる実施例の概略構成を示
す斜視図、第１１図ａ、ｂ、ｃ、ｄばそれぞれ本発明に
おけるアーマチュアの変形例を示す図である。 １・・・・・・前針、２・・・・・・カンチレバー、３
，１１・・・・・・アーマチュア、８，９，１０，１２
・・・・・・ヨーク、８−１．８−２，８−３，１２−
１．１２−２゜１２−３・・・・・・脚部、Ｌ・・・・
・・Ｌ側線輪、Ｒ・・・・・・Ｒ側線輪、Ｌｌ、Ｒ２，
Ｒ１，Ｒ２・・・・・・線輪。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ カンチレバーの一端に音針を取着するとともに、他
   端にこのカンチレバーの軸方向に着磁されたアーマチュ
   アを取着し、このアーマチュアを傾斜振動可能に且つ一
   位置に付勢静止させるべく支持し、この付勢静止位置に
   あるアーマチュアの周囲側面に３方からそれぞれ対向す
   る３本の脚部を有するヨークを設け、前記３本の脚部の
   一側方および他側方の脚部にはそれぞれ線輪Ａ１および
   Ｂ１を各別に巻装し、中央脚部には線輪Ａ２とＢ２とを
   共に巻装して、これら線輪Ａ１とＡ２とおよびＡ２とＢ
   ２とをそれぞれ、両者を直列的に通る磁束による誘起信
   号については同一極性とし、両者を並列的に通る磁束に
   よる誘起信号については逆極性として接続し、前記音針
   に与えられる振動に基（前記アーマチュアの所定の傾斜
   振動に対応する誘起信号以外の誘起信号を相殺し且つ前
   記所定の傾斜振動に対応する誘起信号を加算して、前記
   音針に与えられる振動に基（前記アーマチュアの傾斜振
   動に応じた信号を得ることを特徴とするピンクアンプカ
   ートリッジ。