JPS5916679B2 - 原子炉給水制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、原子力発電所の原子炉給水系において、出力
運転時に突然生じる蒸気しゃ断事故の場合、原子炉へ給
水を行なう２種類の給水ポンプの起動、停止を自動的に
行ない、原子炉水位の変動量を最小に制御する制御装置
に関するものである。

従来の沸騰水形原子力発電所の原子炉給水系は、２種類
の給水ポンプ即ちタービン駆動給水ポンプとモータ駆動
給水ポンプとから構成されるか、又は前記給水ポンプの
いずれか１種類の給水ポンプのみから構成される。

原子炉が定常出力運転時、給水系の原子炉水位を一定に
保つように動作するものであるが、原子炉から発生する
蒸気流量が急激にしゃ断される場合には、従来の給水系
の制御装置においては、原子炉水位を一定に保つ制御は
、発電所運転員によるタイミング良い適切な運転操作が
ないかぎり非常に困難である。

また、この適切な運転操作は、蒸気しゃ断事故後の短時
間内に行なわなければならない操作であるため、運転員
へかかる負担も大きい。

即ち、蒸気流量の急激なしゃ断により、原子炉内の蒸気
圧力が増し、これにより炉内蒸気気泡（ボイド）がつぶ
され、原子炉水位は一時減少する。

したがって、給水系は原子炉水位をもとの値にもどすよ
う応答し、給水ポンプに対し給水流量を増すことを要求
する。

一方、原子炉から外部合量る蒸気流量は、タービンバイ
パス弁を流れる分以外はしゃ断されているので、このま
ま原子炉へ多大な給水を続けると、やがて原子炉水位は
上昇し始め、原子炉水位を一定に保とうとする給水制御
系のみの制御では、その制御能力をこえ、原子炉水位は
急速に上昇する。

このままでは、原子炉内が給水で充満されるので、運転
員の判断による手動運転が必要となるが、蒸気しゃ断事
故後においては、運転員は他の機器、装置の監視、操作
で非常に多忙である。

本発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、急激な蒸気流量しゃ断後に生じる原子
炉水位の異常上昇を運転員の運転操作がなくとも自動的
に防止することを可能とする原子炉給水系の制御装置を
得ることにある。

以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。

第１図に沸騰水形原子炉の給水系を示す。給水ポンプ５
Ａ、５Ｂ、５Ｃはタービン復水器８の水を昇圧し原子炉
６へ送水する。

これら給水ポンプは５０チ容量のタービン駆動給水ポン
プ５Ａ。

５Ｂと５０係容量のモータ駆動給水ポンプ５Ｃとから構
成される。

タービン駆動給水ポンプ５Ａ。５Ｂは可変速度ポンプで
あり、速度により流量調整する。

モータ駆動給水ポンプ５Ｃは一定速度ポンプで、ポンプ
出口にある調整弁５Ｆにより流量調整する。

前記２種類の給水ポンプに対し、指令信号ＩＡ、ＩＢ、
ＩＣを与える制御装置１への入力信号は、原子炉６の水
位を測定する検出器２からの水位信号２Ａと、原子炉６
と発電機９直結のタービン７とを結ぶ主蒸気管１０途上
に設置したオリフィス３と蒸気流量検出器３Ａとから検
出される蒸気流量信号３Ｂと前記主蒸気管１０のタービ
ン７人口側に設置した蒸気しゃ新井４の弁開度信号４Ｂ
とからなる。

制御装置１は、第２図に示すように、弁開度信号４Ｂが
閉止状態になった時の入力信号である水位信号２Ａを記
憶する水位記憶器２１と水位記憶器２１の出力である記
憶水位信号２１Ａと水位信号２Ａとを加減演算する演算
器２２とこの偏差信号２２Ａをあらかじめ決められた値
と比較する水位比較器１，２３Ａ及び水位比較器２．２
３Ｂと補助機器２４Ａ、２４Ｂと蒸気流量信号３Ｂを入
力とする蒸気流量比較器１，２５Ａ蒸気流量比較器２．
２５Ｂとから構成されている。

水位記憶器２１の出力信号２１Ａは蒸気しゃ新井４が全
開状態のとき、入力信号である水位信号２Ａと等しくな
るものである。

次に原子炉給水系の制御装置１の作用について説明する
。

制御装置１は、急激な蒸気しゃ断後に生じる原子炉水位
の異常上昇を自動的に防止するためのものである。

このときの原子炉６のプロセス変数の過渡変化を第３図
に示す。

原子炉６が定常運転中、急激な蒸気しゃ断が発生すると
、原子炉６内の蒸気６Ｂの圧力が増し、気泡（ボイド）
６Ａがつぶされ原子炉水位信号２Ａは一時減少するが、
給水系は蒸気流量信号３Ｂが蒸気しゃ断により一時減少
するために、給水流量を減少させ、オリフィス１１と給
水流量検出器１１Ａとから検出される給水流量信号１１
Ｂは減少するように応答する。

しかし前記のように、原子炉水位信号２人は減少してい
るので、給水流量を増やし原子炉水位信号２Ａを回復さ
せるよう応答し、原子炉水位信号２Ａは上昇する。

一方、原子炉６は蒸気しゃ断と同時に、原子炉保護設備
の動作により停止する。

また、原子炉内の蒸気６Ｂの極度の圧力上昇を防止する
ためにバイパス弁４Ａを開放し、蒸気６Ｂをタービン復
水器８へにがす。

したがって、蒸気流量信号３Ｂは一時増加するが、原子
炉６は停止しているので再び徐々に減少し、やがてはマ
零となる。

原子炉６から外部へ放出される蒸気流量は減少しやがて
なくなってしまうにもかかわらず、給水流量は増加して
いるために第３図Ａの破線に示すように、原子炉水位信
号２Ａはさらに上昇しつづける。

このように、制御装置１は、異常に原子炉水位信号２人
が上昇した場合、給水系の応答を改善するものである。

蒸気しゃ新井４の閉止信号４Ｂが入ると水位記憶器２１
はこの時点の原子炉水位信号２Ａを記憶し、初期水位信
号２１Ａとして保持し出力する。

この初期水位信号２１Ａと原子炉水位信号２Ａとを加減
演算器２２で演算し偏差信号２２Ａとする。

水位比較器１，２３Ａは偏差信号２２Ａが設定値Ｌ１よ
り大きくなったとき、かつ許可信号２５Ｃが入ったとき
タービン駆動給水ポンプ５Ａへ停止信号１Ａを発し、同
時にモータ駆動給水ポンプ５Ｃへ起動信号１Ｃを発する
。

前記許可信号２５Ｃは蒸気流量比較器１，２５Ａで蒸気
流量信号３Ｂが設定値５０チ以下のとき発信している。

タービン駆動給水ポンプ５Ｂ停止信号１Ｂは偏差信号２
２Ａが設定値Ｌ２より大きくなったとき、かつ、許可信
号２５Ｄが入ったさき発せられる。

許可信号２５Ｄは、蒸気流量信号３Ｂが設定値３０係以
下のとき発せられる。

逆に許可信号２５Ｃ９２５Ｄがない場合即ち、蒸気流量
信号３Ｂがそれぞれの設定値以上の場合それぞれ停止信
号Ｉ Ａ。

起動信号１Ｃ及び停止信号１Ｂは禁止される。

第３図において、水位が設定値Ｌ１に達する時間はＴ１
水位が設定値Ｌ２に達する時間はＴ２に相当する。

蒸気流量比較器１，２５Ａ蒸気流量比較器２゜２５Ｂの
目的は、原子炉水位が回復し偏差信号２２Ａみ設定値Ｌ
１より大きくなったときでも、原子炉６から外部へ流出
する蒸気流量がタービン駆動給水ポンプ５Ａの容量５０
係以上であれば、停止信号１Ａを発しない。

このとき、不用意にタービン駆動給水ポンプ５Ａを停止
させると、残りの５０％容量のタービン駆動給水ポンプ
５Ｂのみでは充分余裕をもって給水ができなくなる可能
性がある。

同時に、タービン駆動給水ポンプ５Ｂの停止は蒸気流量
が時間Ｔ、で起動したモータ駆動給水ポンプ５Ｃで充分
余裕をもって給水可能な状態である３０％以下になった
とき可能となる。

上記４つの設定値（Ｌｌ、Ｌ２．５０係、３０安は任意
に調整設定可能であり、給水系のポンプの容量配分、能
力、原子炉の大きさ等により決定されるものである。

次に原子炉定常運転状態に蒸気しゃ断が発生した場合の
水位制御と２種類の給水ポンプの運転について説明する
。

原子炉定格（１００％）出力運転時２台のタービン駆動
給水ポンプ５Ａ、５Ｂにより、原子炉６へ給水している
。

このときタービン駆動給水ポンプ５Ａ、５Ｂの回転数を
制御し、原子炉水位を一定に保っている。

蒸気しゃ断が発生すると、原子炉水位の異常上昇防止の
ため、時間Ｔ１でまずタービン駆動給水ポンプ５Ａを停
止し、同時に低給水流量時に安定な流量制御可能なモー
タ駆動給水ポンベ５Ｃを起動させる。

このときタービン駆動給水ポンプ５Ｂの回転数制御とモ
ータ駆動給水ポンプ５Ｃ出口にある調整弁５Ｆの開度制
御とを同時に行ない原子炉水位を一定に保つような制御
がなされる。

次に時間Ｔ２に達すると、タービン駆動給水ポンプ５Ｂ
も停止され、後の給水はモータ駆動給水ポンプ５Ｃのみ
で行なう。

このとき、原子炉水位の一定制御は調整弁５Ｆの開度調
整を行ない、給水流量の制御を行なう。

給水流量要求は原子炉は停止しているため徐々に減少す
るので、この範囲では低給水流量制御可能な調整弁５Ｆ
での制御が必要となる。

斯して、本発明の原子炉給水制御装置は、出力運転時に
突然中じる蒸気しゃ断事故の場合、原子炉水位の異常上
昇を、原子炉へ給水する２種類の給水ポンプを自動的に
起動、停止を行うことによって、原子炉水位の変動量を
最小に制御することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は沸騰水形原子炉の給水系の系統図、第２図は本
発明の給水系の制御装置の一実施例を示す制御ブロック
図、第３図Ａ、Ｂ、Ｃはプロセス特性図、第３図りはタ
ービン駆動給水ポンプとモータ駆動給水ポンプへの信号
の時間経過に対する人、切状態図で縦軸に状態量を、横
軸に時間をとり、時間零は蒸気しゃ新開始点である。 ２１・・・・・・水位記憶器、２２・・・・・・演算器
、２３Ａ・・・・・・水位比較器１．２３Ｂ・・・・・
・水位比較器２，２４Ａ２４Ｂ・・・・・・補助機器、
２５Ａ・・・・・・蒸気流量比較器１．２５Ｂ・・・・
・・蒸気流量比較器２，１２・・・・・・給水管、５Ａ
、５Ｂ・・・・・・タービン駆動給水ポンプ、５Ｃ・・
・・・・モータ駆動給水ポンプ、４・・・・・・蒸気し
ゃ新井、４Ｂ・・・・・・弁開度信号、２Ａ・・・・・
・水位信号、３Ｂ・・・・・・蒸気流量信号、２１Ａ・
・・・・・記憶水位信号、２２Ａ・・・・・・偏差信号
、１０・・・・・・主蒸気管、２５Ｃ，２５Ｄ・・・・
・・許可信号。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 給水管に２台のタービン駆動給水ポンプと１台のモ
   ータ駆動給水ポンプが並列に介挿された原子力発電所に
   おける原子炉水位を制御するものにおいて、主蒸気管に
   設けられた蒸気しゃ新井弁開度信号の閉止指示によりそ
   の時点の原子炉水位信号値を記憶保持して記憶水位信号
   を出力する水位記憶器と、原子炉水位信号と前記記憶水
   位信号の偏差信号を得る演算器と、前記偏差信号が零に
   正規化した定常運転状態にある原子炉水位値の近傍に設
   定された第１基準値を超えたときに出力する第１の水位
   比較器と、この第１の水位比較器に縦続接続され第１の
   指令信号を出力するべく開閉動作する第１の補助機器と
   、前記偏差信号が前記第１基準値より犬に設定された第
   ２基準値を超えたときに出力する第２の水位比較器と、
   この第２の水位比較器に縦続接続され第２の指令信号を
   出力するべく開閉動作する第２の補助機器と、主蒸気管
   の蒸気流量信号が定格出力状態にある原子炉の蒸気流量
   の５０係に設定された基準値以下になったときに前記第
   １の補助機器に閉成指令を出力する第１の蒸気流量比較
   器と、主蒸気管の蒸気流量信号が定格出力状態にある原
   子炉の蒸気流量の３０係に設定された基準値以下になっ
   たときに前記第２の補助機器に閉成指令を出力する第２
   の蒸気流量比較器とを設け、前記第１の指令信号を用い
   て第１の前記タービン駆動給水ポンプを停止するととも
   に前記モータ駆動給水ポンプを起動し、前記第２の指令
   信号を用いて第２の前記タービン駆動給水ポンプを停止
   して蒸気しゃ新井閉止以降の炉水位変動を抑制するよう
   になしたこ六を特徴とする原子炉給水制御装置。