JPS588523Y2 - 射出成形用分岐バルブ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は射出成形用分岐バルブに関する。

射出成形品を得るに、従来では、型締め機の部分に固設
した型キャビティに射出成形機を対応させておき、型締
めした型キャビティに対して射出成形機から射出して成
形し、そして成形品を冷却固化させたのち型キャビティ
を開放して取り出すものであった。

これによると、射出成形の全工程のうち各機器が一工程
づつ作動することから機器の稼動率は低いことになり、
換言すれば成形能率低下の原因となっていた。

本考案は前記問題点を解決し得る射出成形用の分岐バル
ブを提供するもので、以下これを射出成形装置に用いた
場合の実施例について図面に基づき説明する。

図において、１は架台４上に水平に設置された樹脂可塑
化射出機であり、この射出機は後部から樹脂が投入され
、これを加熱可塑化したのち前部へ送り、先端部の射出
ノズル２より外方へ可塑樹脂を射出する。

射出ノズル２は、射出路３の先端間口３ａが縦軸心Ｘ上
で下向きに開口するように鉤状に曲折されて成る。

縦軸心Ｘの周囲には同一仮想円周上に定角度おきに多数
の型キャビティ５ａ〜５ｅが設けられる。

この型キャビティ５ａ〜５ｅは周知のように下型及び上
型とから戒り、両型の間に成形空間を有し、この空間に
連通ずる樹脂注入口６が前記縦軸心Ｘに対向して開口す
る。

型キャビティ５ａ〜５ｅは本実施例のように、すべてが
縦軸心Ｘを中心とする同一円周上に位置するものでなく
ても良く、要するに縦軸心Ｘの周囲に定角度おきに設け
られておれば充分であり、これは設置場所等との関連か
ら任意に定められる。

７は各型キャビティ５ａ〜５ｅに囲まれるように設置さ
れた平面多角形状の架台であり、該架台７上の前記縦軸
心Ｘとの交叉位置に分岐バルブ８が装着されている。

第３図に良く示されているように、この分岐バルブ８は
、円筒状ケーシング９に前記縦軸心Ｘから各型キャビテ
ィ５ａ〜５ｅに向って伸びる定角度おきに設けられた多
数の延長ノズル１０ ａ 、１０ ｂ・・・・・・１０
ｅを有する。

これらはそれぞれが、前記各型キャビティ５ａ〜５ｅに
対応するものであって、それぞれ軸心方向の可塑樹脂圧
入路１１を有し、この圧入路１１は、前記ケーシングに
該圧入路に対応し、かつ、同一高さに穿設された貫通孔
１２に連通ずる。

延長ノズル５ａ〜５ｅの先端には先端ノズル１３ａ〜１
３ ｅが連結されており、この先端ノズル開口は前記各
型キャビティ５ａ〜５ｅの樹脂注入口６に臨まされると
共に、型キヤビテイ５ａ〜５ｅ内に樹脂が加圧注入され
た際に、該加圧樹脂が前記可塑樹脂圧入路１１内に逆流
するのを阻止する逆止機構が付設されている。

この逆止機構は図示していないが、前記機能を有する公
知の装置により容易に構成できる。

さらに延長ノズル１０ ａ〜１０ ｅにはその中間部に
加圧装置付アキュームレータ１４２〜１４ ｅが装着さ
れている。

この加圧装置付アキュームレータ１４ ａ〜１４ ｅは
、前記射出機１から型キヤビテイ内に圧入される可塑樹
脂が、型キヤビテイ内及び延長ノズル１０ ａ〜１０
ｅの樹脂圧入路１１内に前記射出機１の射出圧で充填さ
れ、それによって樹脂圧入路１１内の樹脂圧がバランス
したとき、該樹脂圧入路を閉塞すると同時に、型キヤビ
テイ５ａ〜５ｅ内を成形に適した一定の圧力で保圧する
ものである。

前記した分岐バルブ８は、円筒状ケーシング９内部にバ
ルブ本体１５の下部が挿入されて戊る。

すなわち、このバルブ本体１５は下部に前記ケーシング
９の内周面９ａに対して密接摺動する摺動面１６ ａを
有して成る回転基部１６を有し、該基部１６上方に小径
部１７を介して肉厚の回転鍔部１８を有する。

そして回転基部１６の上下両端面と円筒状ケーシング９
との間には、前記摺動面１６ ａの密封状態を保持すべ
くシール材１９．２０がそれぞれ介装されている。

２１は押板である。また回転鍔部１８は前記射出機１の
射出ノズル２先端に形成された連結用凹入部２２に内嵌
され、同時に該鍔部１８の外周面及び上端面が凹入部２
２の内周面及び天面と密接摺動するようになっている□
。

２３はその密封状態を良好に保持するためのシール材で
ある。

前記凹入部２２の天面と鍔部上端面との間にもシール材
を介装して良いこと勿論である。

かかるバルブ本体１５は、始端部がその回転軸心上、す
なわち前記縦軸心Ｘ上に位置し、終端部が円筒状ケーシ
ング９に、定角度おきに穿設されている前記貫通孔１２
に連通可能となるように、曲折して形成された連結孔２
４を有する。

したがってこの連結孔２４の始端開口２４ ａは、前記
縦軸心Ｘ上で、前記射出ノズル２の射出路先端間口３ａ
と常時連通し、終端開口２４ ｂは、バルブ本体１５の
回転に伴って間欠的、かつ、択一的に前記延長ノズル１
０ ａ〜１０ ｅの可塑樹脂圧入路１１に連通ずる。

しかして回転鍔部１８と射出ノズル２の先端部とによっ
てロータリジヨイント部２５が構成される。

バルブ本体１５の下端面には、縦軸心Ｘ上に下方に伸び
る回転伝達軸２６が固着されており、該伝達軸２６の下
端部に、左右一対のラック軸２７ ａ 、２７ｂと噛合
されたピニオンギヤ２８が取り付けられている。

そしてこのピニオンギヤ２８と回転伝達軸２６との間に
は、ピニオンギヤ２８が正逆回転する場合に正又は逆回
転のみを回転伝達軸２６に伝達する公知のラチェット機
構２９が設けられており、各ラック軸２７ ａ 、２７
ｂを互に逆方向に所定ストロークだけ往復動させるシ
リンダ装置３０の押し引き作動により、前記バルブ本体
１５を一方向に前述した定角度づつ間欠回転させ、連結
孔２４を介して射出ノズル２の射出路３と延長ノズル１
０ａ〜１０ ｅの樹脂圧入路１１とを択一的に連通し得
るようになっている。

これから明らかなように、回転伝達軸２６、ラックギヤ
２７ ａ 、２７ ｂ、ピニオンギヤ２８、ラチェット
機構２９及びシリンダ装置３０によって、バルブ本体１
５の間欠回転駆動装置３１が構成されている。

次に成形方法を説明する。

前記した構成の射出成形装置は、型キヤビテイ５ａ〜５
ｅ内に、該型キャビティ５ａ〜５ｅに順次可塑樹脂を圧
入して成形するための装置であり、先ず成形始点となる
たとえば型キヤビテイ５ａ内に、樹脂可塑化射出機１で
可塑化された樹脂を圧入する。

この場合、間欠回転駆動装置３１によって射出ノズル２
の射出路３と型キャビティ５ａに対応する延長ノズル１
０ａの可塑樹脂圧入路１１を連通しておくめである。

そしてこの圧入によって型キヤビテイ５ａ内に樹脂が充
填され、該型キヤビテイ５ａ内及び樹脂圧入路１１内の
樹脂圧が樹脂可塑化射出機１の射出圧とバランスするや
いなや加圧装置付アキュームレータ１４ ａが作動して
可塑樹脂圧入路１１を閉塞し、同時に型キヤビテイ５ａ
内を成形に必要な圧力に一定時間保圧する。

このように可塑樹脂圧入路１１が閉塞されると、該キャ
ビティ５ａでの成形が開始され、同時に間欠回転駆動装
置３１によってバルブ本体１５が定角度だけ回転し、前
記射出路３が連結孔２４を介して後続の型キャビティ５
ｂに対応している延長ノズル１０ ｂの可塑樹脂圧入路
１１と連通ずる。

そしてこのとき前記成形始点の可塑樹脂圧入路１１は、
バルブ本体１５の回転開始時にその入口が回転基部１６
の摺動面１６ ａによって密封遮断される。

一方バルブ本体１５の連結孔２４も、回転中は円筒状ケ
ーシング９の内周面９ａによってその終端開口２４ ｂ
が密封遮断されているので、樹脂可塑化射出機１では樹
脂の可塑化が速かに進行される。

この樹脂可塑化は射出路３が型キャビティ５ｂに対応し
ている可塑樹脂圧入路１１に連通されるまで続き、両者
が連通ずると同時に該型キヤビテイ５ｂ内への可塑樹脂
の圧入が開始される。

そして前記と同様に可塑樹脂圧入路１１が射出圧とバラ
ンスしたとき、加圧装置付アキュームレータ１４ｂによ
り該圧入路１１を遮断し、一定時間型キヤビテイ５ｂ内
を保圧させ、続いてバルブ本体１５を回転させ、さらに
後続の型キャビティ５Ｃでの圧入成形を行なつ。

このようにして順次後続する型キャビティへの可塑樹脂
の充填を行い、全ての型キヤビテイ５ａ〜５ｅ内への樹
脂圧入が終了する以前、換言すれば、バルブ本体１５が
定角度づつ間欠的に一回転する以前に、前記成形始点の
型キャビティ５ａでの成形を完了し、成形品を取り出し
た後、再使用の為該型キャビティ５ａを型締しぬしてお
くのである。

このようにすると成形は成形開始点の型キャビティ５ａ
から順次連続的に行うことができ、時間の無駄を省き、
稼動率を大幅に向上させることができる。

以上の説明からも明らかなように、本考案によると、縦
軸心の周囲に定角度おきに多数の型キャビティを設ける
ことにより型キャビティへの樹脂圧入、成形、成形品冷
却、成形品取出し、型キヤビテイ再使用のための型締め
などの諸工程を、特定の型キャビティに対しては各工程
を順番に一定時間おきに、全ての型キャビティに対して
は同一工程を連続して行えるので、成形品を連続的に得
ることができ、稼動率、即ち生産性を大幅に向上するこ
とができる。

また型キャビティに充填された樹脂は、加圧装置付アキ
ュームレータによって確実に保圧されるので成形品に髭
などは発生せず、品質の向上を期待できる。

さらに型キャビティと直接連通ずる先端ノズルに逆止機
構が付設されているので、型キャビティへの可塑樹脂圧
入時に該樹脂の逆流を防止し得るので、射出がスムーズ
に行われる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の分岐バルブを射出成形装置に用いた場合
の実施例を示し、第１図は一部を切欠いて示す要部側面
図、第２図は平面図、第３図はロータリージヨイント部
２５及び分岐バルブ８の一部切欠縦断側面図、第４図は
第３図のＡ−Ａ矢視図である。 １・・・・・・樹脂可塑化射出機、２・・・・・・射出
ノズル、３・・・・・・射出路、３ａ・・・・・・射出
路３の先端開口、５ａ〜５ｅ・・・・・・型キャビティ
、６・・・・・・樹脂注入口、８・・・・・・分岐バル
ブ、１０ ａ〜１０ ｅ・・・・・・延長ノズル、１１
・・・・・・可塑樹脂圧入路、１３ａ〜１３ ｅ・・・
・・・先端ノズル、１４ａ〜１４ ｅ・・・・・・加圧
装置付アキュームレータ、１５・・・・・・バルブ本体
、１６・・・・・・回転基部、２４・・・・・・連結孔
、２６・・・・・・回転伝達軸、２７ ａ 、２７ ｂ
・・・・・・ラック軸、２８・・・・・・ピニオンギヤ
、２９・・・・・・ラチェット機構、３０・・・・・・
シリンダ装置、３１・・・・・・間欠回転駆動装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 縦軸心周囲に定角度おきに設けられた多数の型キャビテ
   ィの各々に、前記縦軸心位置から放射状に伸び、かつ、
   それぞれの先端ノズルが各型キャビティの樹脂注入口に
   臨む多数の延長ノズルを有し、前記縦軸心上で開口する
   樹脂可塑化射出機の射出ノズルの射出路と前記延長ノズ
   ルの樹脂圧入路基端開口とを連通ずる連結孔を有してな
   るバルブ本体を設け、該バルブ本体を前記定角度おきに
   間欠回転させて前記射出ノズルを延長ノズルに対して択
   一的に連通させる間欠回転駆動装置を設け、前記延長ノ
   ズルの樹脂圧入路中間部に、該圧入路内で樹脂圧が前記
   射出機の射出圧とバランスしたとき該圧入路を閉塞する
   加圧装置付アキュームレータを介装すると共に、前記先
   端ノズルに型キヤビテイ内の加圧樹脂が逆流するのを阻
   止する逆止機構を有せしめて成ることを特徴とする射出
   成形用分岐バルブ。