JPS5845275Y2 - 液体貯槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は液体貯槽に関するものである。

従来、設置されている液体貯槽は、鉄筋コンクリート製
あるいは鋼製のものがほとんどである。

前者は、たとえば浄水場の調整池などでは、コンクリー
トの硬化収縮や温度変化によるひび割れを防ぐために適
当な間隔で伸縮継目を設けなければならないが、この継
目における漏水を防ぐことは極めて困難で完全な施工は
期し難く、さらにコンクリート自体の防水のための表面
処理材にも完壁なものは見当たらない。

また後者は、軽量で外圧に弱い特性から、地中に構築す
るような場合、土圧や地下水による浮力に耐えるために
は極めて不経済な構造となり、内容物の保温性にも劣る
。

本考案は、前述した従来の欠点を補完できる液体貯槽を
提案するもので、以下にその一実施例を図面に基づいて
説明する。

第１図は板状の複合部材１Ａを示し、両外面に配置され
た鋼板２と、直交する二方向の適当距離位置でこれら鋼
板２間に介装された隔板３と、前記両鋼板２の内面に固
定されたずれ止め部材４と、前記両鋼板２で囲まれた空
間内に打設されて前記ずれ止め部材４により前記両鋼板
２と一体化されたコンクリート５とよりなる。

第２図は柱状の複合部材１Ｂを示し、この場合に四側外
面に鋼板２か゛配置される。

なお第１図、第２図において切欠部の中は、構造を明確
化するために空間としているが、実際にはコンクリート
５が充てんされている。

このような複合部材ＩＡ、ＩＢにおいて、鋼板２は、種
々の荷重によって生じる曲げモーメントなどの応力に対
して、圧縮力および引張力を分担している。

そして隔板３は、前記鋼板２間に生じる引張力を分担す
るが、コンクリート打設時のコンクリート５のまわり（
充てん性）を考慮して、その機能を阻害しない範囲でで
きる限り大きな開口部６を設けている。

またコンクリート５は圧縮力およびせん断力を分担し、
ずれ止め部材４によって前記鋼板２と緊結されている。

このずれ止め部材４は、前記鋼板２のうち圧縮側の鋼板
２の座屈補剛材としての役目も負っている。

またずれ止め部材４は、コンクリート５のまわりを考慮
するとできるかぎり単純な形状がよく、実施例では平鋼
を採用している。

第３図、第４図は上述したような複合部材ＩＡ。

１Ｂを組合わせて構成した、たとえばフラットスラブ構
造の浄水池を示す。

浄水池は、基礎地業、換気室や点検室などの上屋７、流
出管８、排泥管９、流入管１０、越流管１１を除いて、
すべて鋼板２やコンクリート５などからなる複合部材Ｉ
Ａ、ＩＢによって構成されている。

すなわち側壁１２や床版１３は板状複合部材１Ａから構
成され、また柱１４は柱状複合部材１Ｂから構成されて
いる。

その際に側壁１２や床版１３を構成するための板状複合
部材１Ａの組合わせは、複数枚の板状複合部材１Ａの鋼
板２，２間を溶接結合することにより行なわれる。

また柱状複合部材１Ｂの組合わせは、その鋼板２を板状
複合部材１Ａの鋼板２に溶接結合することにより行なわ
れる。

なお液体貯槽の規模などによって柱状複合部材１Ｂは省
略することができる。

また第３図、第４図においては箱状の液体貯槽を示して
いるが、これは湾曲した鋼板２とすることによって円弧
状の液体貯槽を構成できる。

１５は排水桝、１６は排出弁室、１７は流入弁室を夫々
示す。

以上に述べたように本考案の液体貯槽によると、底面用
床版１３と、天井用床版１３と、側壁１２とからなる箱
状貯槽本体および柱１４の建設の際、従来必要であった
コンクリート打設用型枠が不用で経済性に優れている。

また工場において予め製造された多数の板状複合部材１
Ａおよび柱状複合部材１Ｂを現場にて適宜に溶接するだ
けでよいから、工期を著しく短縮することができる。

また構造物の寸法精度を高く維持することができ、伸縮
継目を設ける必要がないことから建設工程も著しく短縮
することができ、漏水も完全に防止することができる。

さらに複合部材ＩＡ、ＩＢはじん性に富むことから、従
来のものに比べてより優れた耐震性も有している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は板状複合部材
の一部切欠斜視図、第２図は柱状複合部材の一部切欠斜
視図、第３図は液体貯槽の一例を示す縦断面図、第４図
は同横断面図である。 １Ａ・・・・・・板状複合部材、１Ｂ・・・・・・柱状
複合部材、２・・・・・・鋼板、３・・・・・・隔板、
４・・・・・・ずれ止め部材、５・・・・・・コンクリ
ート、６・・・・・・開口部、７・・・・・・上屋、８
・・・・・・流出管、９・・・・・・排泥管、１０・・
・・・・流入管、１１・・・・・・越流管、１２・・・
・・・側壁、１３・・・・・・床版、１４・・・・・・
柱、１５・・・・・・排水桝、１６・・・・・・流出弁
室、１７・・・・・・流入弁室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 地盤内の適所に、底面用床版１３と、天井用床版１３と
   、側壁１２とからなる箱状貯槽本体を設け、上記底面用
   床版１３と天井用床版１３との間に互いに適当間隔をお
   いて多数の柱１４を配設し、上記底面用床板１３の適所
   に排水桝１５を形成し、該排水桝１５に開口する流出管
   ８および排泥管９を設け、貯槽本体内の適所に開口する
   流入管１０および越流管１１を設け、上記底面用床版１
   ３、天井用床版１３および側壁１２を、互いに端縁どう
   しがつき合わせられると共にそのつき合わせ個所が溶接
   させられた多数の板状複合部材１Ａにより形成し、該各
   板状複合部材１Ａを、互いに一定間隔をおいて平行する
   鋼板２と、該両鋼板２間に介装された開口部６を有する
   格子状隔板３と、各鋼板２の内面に固定されたずれ止め
   部材４と、両鋼板２で囲まれた空間内に打設されて前記
   ずれ止め部材４により該各鋼板２と一体化されたコンク
   リート５とにより構成し、前記各柱］４を、互いに端面
   どうしが当接させられると共にその当接個所が溶接させ
   られた複数の柱状複合部材１Ｂにより形成し、該各板状
   複合部材１Ｂを、四角筒状に形成された鋼板２と、該鋼
   板２内にこの鋼板２の長手方向に沿って適当間隔ごとに
   配設されると共に中央に開口部６を有する複数の隔板３
   と、鋼板２の内面に固定されたずれ止め部材４と、鋼板
   ２内に打設されて前記ずれ止め部材４により鋼板２と一
   体化されたコンクノート５とにより構成したことを特徴
   とする液体貯槽。